2007/05/27 東京中野「中野サンプラザ」で「プレステージ」の試写を観た。

ゲストはスカーレット・ヨハンソンが劇中で実際に着た衣装を身にまとったくまきりあさ美。
また、本編上映前には、くまきりあさ美の消失イリュージョンと劇中でも登場したテスラコイルの実演が行われた。
 
 
ガス灯が電灯に変わり、空想が現実となり、
奇術が科学へと姿を変える19世紀のロンドン。

華麗で洗練されたパフォーマンスを得意とする「グレート・ダントン」ことロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)と、無骨だが天才的な想像力を持つ、トリックメイカー「THEプロフェッサー」ことアルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベール)は互いに尊敬しあい、その情熱のすべてを注いでイリュージョンの腕を競い合っていた。

しかしある日、アンジャーの妻ジュリア(パイパー・ペラーボ)が、脱出マジックの失敗で帰らぬ人に。トリック中にほどけるはずだった縄を結んだのはボーデンだっだが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:クリストファー・ノーラン
原作:クリストファー・プリースト 「奇術師」(早川書房刊)
脚本:クリストファー・ノーラン、ジョナサン・ノーラン   
撮影:ウォーリー・フィスター     
プロダクションデザイン:ネイサン・クロウリー     
衣装デザイン:ジョーン・バーギン     
編集:リー・スミス     
音楽:デヴィッド・ジュリアン
出演:ヒュー・ジャックマン(ロバート・アンジャー)、クリスチャン・ベール(アルフレッド・ボーデン)、スカーレット・ヨハンソン(オリヴィア)、マイケル・ケイン(カッター)、デヴィッド・ボウイ(ニコラ・テスラ)、パイパー・ペラーボ(ジュリア・マッカロー)、アンディ・サーキス(アレー)、レベッカ・ホール(サラ)

本作「プレステージ」は、先ずは大変面白い作品でした。
脚本が良く出来ていて、非常に楽しく拝見させていただきました。

さて、いきなり余談だが、本作「プレステージ」のタイトルだが、わたしは「PRE-STAGE」だと思っていたのだが、実際は「PRESTIGE」であり、クレジットをみたわたしはちょっと驚いた。

物語は、過去に遺恨を持つ二人のイリュージョニストの永年にわたる対決と、その結末となるひとつの殺人事件を描いている。

構成は、過去の遺恨となる事件、現在の殺人事件、そこから遡る過去の互いのステージと妨害、互いのトリックの探りあい、新しいトリックの創出、そして殺人事件の結末、と言うように、時制が比較的複雑で、何が起きているのかわからない、と思う観客も多いのではないか、と思える。

キャストは、先ずはヒュー・ジャックマンが良かった。
元来、ヒュー・ジャックマンのルックス自体が非常にクラシカルで、本作のようなコスチューム・プレイにピッタリだと思った。

一方、相手役となるクリスチャン・ベールは、ヒュー・ジャックマンと比較すると、華に乏しく、二人の永年にわたる対決とその結末が描かれているだけに、ちょっと残念な印象を受けた。

ところで、クリスチャン・ベールとマイケル・ケインとクリストファー・ノーランと言えば、「バットマン・ビギンズ」(2005)トリオなのだが、マイケル・ケインは非常に良い味を出し、作品自体に格調高い雰囲気を付与しているのだが、クリスチャン・ベールの起用は、邪推だが「バットマン・ビギンズ」つながりなのかも知れない、と思った。

余談だが、本作のクリスチャン・ベールのルックスはジェイク・ギレンホールにちょっと似ているのではないかと個人的には思った。

そしてマイケル・ケインが最高だった。
物語の要所要所を締めると共に、彼の苦悩が胸をうつ。

ストップウォッチをみながら斧の準備をするマイケル・ケインが最高に格好良い。

あとは、デヴイッド・ボウイとアンディ・サーキスの博士と助手コンビが良かった。

フランケンシュタイン博士と助手フリッツ的な感じだろうか。「フランケンシュタイン」(1931)
または、フロンコンシュテイン博士と助手イゴールとか。
「ヤング・フランケンシュタイン」(1974)
ついでにヒュー・ジャックマンつながりで、ヴァン・ヘルシングとカールとか。
「ヴァン・ヘルシング」(2004)

クリストファー・ノーランのお願い(「この映画の結末は決して誰にも言わないで下さい。」)もあることなので、物語には触れないが、本作「プレステージ」の脚本や設定は大変面白く、また美術やセットも絢爛豪華な世界観を見事に構築しているし、俳優陣の演技合戦も相まって、すばらしい娯楽作品に仕上がっている。

そして、これぞ伏線の見本、とも言うべき伏線の山に、楽しい時間が過ごせることは請け合いである。

是非劇場で二人のイリュージョニストに幻惑されて欲しいと思うのだ。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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2007/05/18 東京新橋「ヤクルトホール」で「ザ・シューター/極大射程」の試写を観た。

アフリカの小国エリトリア。
海兵隊の特殊部隊であり狙撃の名手ボブ・リー・スワガーは、相棒のドニーと岩山で任務に就いていた。
彼等の任務は、自軍の武装車両の隊列を敵軍の攻撃から守ることだった。次々と現れる敵軍を的確に狙撃するスワガーだったが、戦闘ヘリを投入し激しさを増す敵の攻撃に進退窮まったスワガーらは無線で応援を要請するが無線は切られてしまった。
彼等は見捨てられたのだ。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:アントワーン・フークア
原作:スティーヴン・ハンター 「極大射程」(新潮社刊)
脚本:ジョナサン・レムキン
出演:マーク・ウォールバーグ(ボブ・リー・スワガー)、マイケル・ペーニャ(ニック・メンフィス)、ダニー・グローヴァー(アイザック・ジョンソン大佐)、ケイト・マーラ(サラ・フェン)、イライアス・コティーズ(ジャック・ペイン)、ローナ・ミトラ(アローデス・ガリンド)、ネッド・ビーティ(チャールズ・ミーチャム上院議員)、ラデ・シェルベッジア(マイケル・サンダー)

本作「ザ・シューター/極大射程」は娯楽作品として先ずは大変面白かった。

作品の方向性としては、配給会社も言っているように、(「ボーン・アイデンティティー」の“ジェイソン・ボーン”シリーズに続き、プロフェッショナルを極めたゆえに巨大な陰謀に呑み込まれようとする孤高のヒーローが、またひとり誕生する。)、本作「ザ・シューター/極大射程」のボブ・リー・スワガーは、「ボーン・アイデンティティー」(2002)シリーズのジェイソン・ボーンとかぶる。

また、俳優の外見と言うか印象もジェイソン・ボーンを演じたマット・ディモンと本作でボブ・リー・スワガーを演じたマーク・ウォールバーグがかぶると思うのはわたしだけだろうか。

物語は、悪い政府の人にはめられた孤高のヒーローが、悪い政府の人への復讐を遂げる、と言う、物語としてはありがちなものなのだが、悪い政府の人を演じるダニー・グローヴァーとネッド・ビーティ、そしてイライアス・コティーズが非常に良い味を出しているし、原作がスティーヴン・ハンターの機略に満ちたベストセラー小説と言うこともあり、描写や設定、伏線は、微に入り細に入り、よく出来ており、根本的なプロットはありがちなものでも作品としては非常に良く出来た面白い作品に仕上がっている。

印象的だったのは、マイケル・ペーニャが演じたニック・メンフィスのキャラクターが秀逸で、コメディ・リリーフでありながらも大活躍すると言う、感覚的に言うと「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(2005)のダーク・ピットとアルみたいな関係のような感じを受けた。

そして、「スーパーマン」(1978)でレックス・ルーサーの間抜けな手下を演じたネッド・ビーティだが、本当に良い味を出している。どちらかと言うと「スーパーマン」にしろバート・レイノルズの作品でもコメディ色が強い俳優だと思うのだが、今回は灰汁の強い名悪役を見事に演じている。

ついでに、イライアス・コティーズのサディスティックでいながら一風変わったユーモア・センスを持ったジャック・ペインのキャラクターも良かった。
名前もペインだし。(綴りは違うけど・・・・)

さて、主演のマーク・ウォールバーグだが、個人的な印象では「ブギーナイツ」(1997)以降初めての当たり役じゃないかと思った。
結果的に本作はマーク・ウォールバーグの現在のところの代表作だと言っても良い出来だと思う。
「ディパーテッド」(2006)のラストでも、最後に物語をさらうような良い味を出してるけど、本作は良い味出しっ放しだし、孤高のヒーローの説得力もあった、と思う。

監督のアントワーン・フークアにとっても本作は代表作だと言っても良いんじゃないかと思う。前作「キング・アーサー」(2004)とは雲泥の差を感じる。まぁプロデューサーのせいかも知れないが。

ところで、所謂スナイパーを描いた作品としては、トム・ベレンジャーがスナイパーを演じた「山猫は眠らない」(1992)シリーズがあるが、本作の狙撃のシークエンスは「山猫は眠らない」シリーズのスタンスを踏襲し、非常にリアルな印象を受ける。

特に冒頭のシークエンスで、2人一組で狙撃を行い、狙撃手とその狙撃を成功に導くナビゲーター(日本語名称は失念)とのペアでの狙撃をきちんと描写している点には感心した。

一般的な作品に登場するスナイパーは、ペアでの作業ではなく個人的な作業として描かれていることが多いが、本作では標的や周囲の情報や風向き、気温、湿度、標的までの距離や標的の状況をスナイパーに伝え、また本作中では、移動している車両のドライバーをウインドウ越しに狙撃する際、「3ミル手前を撃て」(1ミル=0.001インチ=0.025mm)と言うような、一般人では到底認知できない距離の指示が出ていたのが印象的だった。

正しくプロフェッショナルの仕事なのだと思った。

復讐劇になってからは、アクションにしろプロットにしろ若干やりすぎの感は否めないが、娯楽作品としては十分に見応えのある追跡劇が楽しめる。

またプロットの根本には、利益のためなら人の死をなんとも思わない、と言う悪い政府の人が出てくるのだが、本作は見方によれば、社会派的なスタンスを持った娯楽作品だと言えるかも知れない。

とにかく本作「ザ・シューター/極大射程」は大変面白いサスペンス映画だと言える。

社会派的な側面からスカッと爽やかなさくひんではないし、人が簡単にたくさん死んでいくので、その辺にアレルギーがある人にはオススメできないが、娯楽作品としては満足が行く作品だと思う。

是非劇場で観ていただきたいと思う。

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2007/05/13 東京渋谷「シネマライズ」で「恋愛睡眠のすすめ」を観た。

引っ込み思案でシャイなステファンは、仕事も恋愛も失敗ばかりの冴えない人生を送ってきた。そんな現実から、眠っている間だけでも幸せになるため都合のいい夢ばかり見ている。
ある時、メキシコで一緒に暮らしていた父親が死んでしまい、パリに戻ることに。母親が大家をしているアパートに移り住み、ついでに就職先も見つけてもらう。これでパッとしない生活も良くなると思っていたが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:ミシェル・ゴンドリー     
脚本:ミシェル・ゴンドリー     
芸術監督:ピエール・ペル、ステファン・ローザンボーム
衣装デザイン:フロランス・フォンテーヌ         
音楽:ジャン=ミシェル・ベルナール
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル(ステファン)、シャルロット・ゲンズブール(ステファニー)、ミュウ=ミュウ(母クリスチーヌ)、アラン・シャバ(ギィ)、エマ・ドゥ・コーヌ(ゾーイ/ゾエ)、ピエール・ヴァネック(プシェ氏)、オレリア・プティ(マルチーヌ)、サッシャ・ブルド(セルジュ)

本作「恋愛睡眠のすすめ」は、ご存知「エターナル・サンシャイン」(2004)のミシェル・ゴンドリーの新作である。

ところで、いきなり私見で恐縮だが、ミシェル・ゴンドリーの嗜好は、テリー・ギリアムのそれと非常に近いものがあるとわたしは思っている。

テリー・ギリアムが創造する世界観は、ダークでグロテスクだとすると、ミシェル・ゴンドリーが創造する世界観はライトでキュートだと思える。

物語を描くテイストは異なるものの、両者の作品の根底に流れている根本的なスピリッツは非常に似通っているような印象を受けている。

さらに言えることは、本作「恋愛睡眠のすすめ」の物語は、夢の女を執拗に追い続ける主人公が自我崩壊にいたる、と言うテリー・ギリアムの「未来世紀ブラジル」(1985)によく似た構成を持っている、と言える。

「恋愛睡眠のすすめ」と言う作品は、ミシェル・ゴンドリーによる「未来世紀ブラジル」のリメイクと言うか、リ・イマジネーションのような作品なのかも知れない。

また、作品全体を捉えた場合、多くの観客は、この作品を否定せず、あそこが良かった、ここが良かった、と枝葉の部分を好意的に評価するが作品全体としては微妙、と言った類いの、言わば「裸の王様」的な作品だったような印象を受ける。

枝葉の部分はキュートでキャッチーなのだが、作品全体として評価できるか、と言うと、若干厳しいのではないか、と思えるし、スタイル先行で集まった観客にとっては、若干敷居が高い作品なのかもしれない。
尤も、本作「恋愛睡眠のすすめ」は単館ロードショー作品なので、その辺については杞憂かも知れないが・・・・。

と言うのも、ミシェル・ゴンドリーの前作「エターナル・サンシャイン」は、世界中の映画ファンに愛された作品であるだけに、ちょっと惜しい気がする。

キャストは、何と言ってもガエル・ガルシア・ベルナルが芸達者振りを見せているのが印象的であった。

「モーターサイクル・ダイアリーズ」(2003)で一躍スターダムに名乗りをあげたガエル・ガルシア・ベルナルは、最近では「バベル」(2006)の好演も光っているが、本作「恋愛睡眠のすすめ」では見事なコメディアン振りを見せてくれている。今後の幅広い活躍に期待が持てる。

脚本は、非常に複雑で、登場人物は勿論、わたし達観客にも今描かれている部分が現実なのかそれとも夢なのかの判断が難しく、それと同時にステファンが開発した様々なふしぎ道具も実在のものなのか、それとも夢の中のものなのかが判然としない。

そのあたりは、前述のように、物語の表層を楽しむ観客にとっては、ひとつの難関にあたるのではないか、と思える。

世界観は大変素晴らしく、特にステファンの夢の中や頭の中を描いたシークエンスの美術は一見チーブでありながら、その世界観から創出されるファンタジックな空間は非常に素晴らしい。

ダンボールを多用したステファンTVのセットの造形もすばらしい。

自宅のテレビにダンボールの枠でもつけようかと思った。

とにかく本作「恋愛睡眠のすすめ」は、観客を選ぶ作品かもしれないが、機会があれば是非観ていただきたい作品だと思う。

特に「未来世紀ブラジル」好きに観ていただきたいな、と個人的に思う。

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「バベル」

2007年5月13日 映画
2007/05/13 東京板橋「ワーナーマイカル・シネマズ板橋」で「バベル」を観た。

バラバラにされた私達が、再びひとつにつながるには、どうすればいいのか?
その答えを秘めた銃弾が今、放たれた。

リチャード(ブラッド・ピット)は、妻のスーザン(ケイト・ブランシェット)とモロッコを旅していた。ある哀しい出来事が原因で壊れかけた夫婦の絆を取り戻すため、アメリカからやって来たのだ。まだ幼い息子:マイク(ネイサン・ギャンブル)と娘:デビー(エル・ファニング)はメキシコ人の子守:アメリア(アドリアナ・バラッザ)に託していた。山道を行く観光バスの中で、事件は起こった。どこからか放たれた一発の銃弾が窓ガラスを突き抜け、スーザンの肩を撃ち抜いたのだ。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:ギジェルモ・アリアガ
出演:ブラッド・ピット(リチャード)、ケイト・ブランシェット(
スーザン)、ガエル・ガルシア・ベルナル(サンチャゴ)、役所広司(ヤスジロー)、菊地凛子(チエコ)、二階堂智(ケンジ)、アドリアナ・バラーザ(アメリア)、エル・ファニング(デビー)、ネイサン・ギャンブル(マイク)、ブブケ・アイト・エル・カイド(ユセフ)、サイード・タルカーニ(アフメッド)、ムスタファ・ラシディ(アブドゥラ)、アブデルカデール・バラ(ハッサン)

「パンドラの匣」の一番奥に、小さく震えて隠れていたのは「希望」だった。
同様に、本作「バベル」のラストには「希望」が、または本作「バベル」が問いかけた命題「バラバラにされた私達が、再びひとつにつながるには、どうすればいいのか?」の回答が明確に描写されていた。

しかしながら、どうやら多くの観客は、本作「バベル」のラストシーンに釈然としなかったようである。
事実、わたしの周りで「バベル」を観ていた観客の多くは首を傾げていたし、WEB上でも、ラストがわからない、と言う書き込みをよく見かける。

わたしは映画と言う存在は、言語が異なる世界中の人々が、理解し得る「万国共通語」のような存在だと思っていたのだが、どうやらそれはわたしの誤りのようである。

こんなにわかりやすいラストを解釈できない人々が沢山いる訳だ。
ひとは言葉が違っていてもわかり合えると訴える映画を理解できない程、言語と言うかコミュニケーションの壁は堅牢なのだろうか。

映画を信じるわたしは、なんだか哀しくなってしまう。

脚本は、誤解とディスコミュニケーションによる争いや諍いを描きつつ、その状況下においてディスコミュニケーションを乗り越える幾人かの人々を描いている。

この本作のテーマとも言える部分で非常に重要な位置を占めているのが、菊地凛子(チエコ)と役所広司(ヤスジロー)、そして二階堂智(ケンジ)のシークエンスである。

各国の映画賞で菊地凛子が取沙汰されるのも当然と言えば当然。映画の中で非常に重要なパートを担っているのだ。

車の中での菊地凛子(チエコ)と役所広司(ヤスジロー)のシークエンスが重要である。
手話と日本語で「何故、ケンカをふっかけてくるのだ」と言うことである。

そして彼女が聾唖者として描かれているのが、非常に重要である。
同じ言語を話す人々(同国人)の中でもディスコミュニケーションは存在し、同じ言語を話す人々(同国人)の間でも争いや諍いが起きている事を明示しているのだ。

つまり、現代では、バベルの塔が崩壊した当時より、争いや諍いは、言葉が違っている人々の間から、同じ言葉を話す人々の間まで加速している、と言う訳である。

そしてもう一つ興味深いのは、天までとどく塔を建設してしまっている日本である。

つまり日本と言う国は、神の怒りを買う寸前まで来ている、と言うことを描いているのではあるまいか。
ここで気をつけなければならないのは、日本がそうだ、ということではなく、制作者サイドは、神の怒りを買う寸前まで行ってしまっている存在のメタファーとして日本を使っていると言うだけである。

映画はメタファーの固まりなのだから、あんなの日本と違うとか、正確な描写ではない、とか言うのは大したことではないのだ。

もう一つ興味深いのは、罪の意識など一切なしに、軽い気持ちで兵器(銃器:ウィンチェスターM70)を渡してしまう人がいる、と言う事である。

つづく・・・・
一時保存です。

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「京都買います」(「怪奇大作戦」)をめぐる冒険
2007/04/30-05/03の深夜、NHK BS2で「怪奇大作戦セカンドファイル」(2007)3話と、「怪奇大作戦」(1968)14話が放映された。

「怪奇大作戦」(1968)とは、NHKのサイトによると、

オリジナル版「怪奇大作戦」は、昭和43年、円谷プロダクションが「ウルトラセブン」の後番組として制作した特撮犯罪ドラマ。平均視聴率22%を獲得した人気番組でした。特撮で描かれる怪奇犯罪とその謎解きの面白さはもちろん、事件の背後に隠された人の心の闇にこそ真の“怪奇”が潜むという社会派のスタンスは、今もなお多くのファンを惹きつけてやみません。

とのことです。

なお、「怪奇大作戦セカンドファイル」は、2006年に急逝した実相寺明雄がシリーズ構成・脚本(ファイル2「昭和幻燈小路」)を努め、発表順で言うと遺作となっている。
(「ユメ十夜」は、2007/01/27公開)

実相寺明雄と言えば、やはり「ウルトラマン」(1966-67)や「ウルトラセブン」(1967-68)の監督として名が挙がって来ると思うのだが、わたし的には「帝都物語」(1988)の印象が強い。

「帝都物語」で描かれる日本人のおじさん達が、滅法格好良いのだよ、これが。
そして、そんな俳優達の立ち居振る舞いが素敵なのだ。彼らは肩で立っているのだ。

そして、「屋根裏の散歩者」(1994)、「D坂の怪事件」(1997)、「乱歩地獄」(2005)等の一連の江戸川乱歩原作作品の映像化作品であったり、2005年の「姑獲鳥の夏」(京極夏彦原作作品)を映像化し、ついには夏目漱石の映像化と、江戸川乱歩、京極夏彦、夏目漱石と、日本の近代文学のひとつの方向性(耽美性)を持った映像化の騎手として期待されていた中の悲報は残念でならないものだった。

彼の映像スタイルは、広角レンズを多用した極端な被写体のアップであったり、前景から被写体を覗く画面構成であったり、被写体の顔のアップでありながら、顔を切ると言った映像スタイルが素晴らしく、またセリフではなく映像で物語を語るスタンスをもっていた。

そこで「京都買います」/「怪奇大作戦」(1968)第25話だが、子供の頃に再放送で見ていると思うのだが、そんなに印象に残っていなかったのだが、今回大人になってから初めて見たのだが、はっきり言って驚いた。

「京都買います」は、フィルムで撮った30分ものの子供向けのテレビシリーズのクオリティを遥かに凌駕している。
その映像スタイルと編集スタイルは既に完成されており、最早芸術作品と言って良い程のスタイルを持っているのだ。

特に印象的なのは、編集がきちんとされていることである。
1960年代にフィルムで撮られたテレビドラマでありながら、ワンカットで複数のセリフを描写するのではなく、ひとつのセリフですら複数のカットで構成されている。

また、前景と背景を意識して撮影された映像も素晴らしい。
極端なアップの多用のため、セリフではなく表情で物語を語る手法が、俳優に要求されているのだ。

また、セリフを喋ることではなく、セリフを喋る状況を基に構成、演出されている芝居も素晴らしい。

そして、キャストだが、何と言っても岸田森の格好良さにはたまらない。岸田今日子も凄いが、岸田森のダンディズムには涙が出てしまう。

こんな芳醇な作品が、30分ものの子供向けのテレビシリーズで放映されていた、とは全く驚きを禁じ得ない。

セリフを喋っている映像を繋いだだけで、ドラマになると思っている現代の映像作家に見せてやりたいと思った。

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2007/04/30 東京新宿「テアトルタイムズスクエア」で「ブラックブック」を観た。

1944年9月、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。

美しいユダヤ人女性歌手ラヘル(カリス・ファン・ハウテン)は、ナチスから逃れるため一家で南部へ向かう。
しかし、ドイツ軍の執拗な追跡にあい、ついには彼女を除く家族全員が殺されてしまう。

その後、レジスタンスに救われたラヘルは、ユダヤ人であることを隠すため髪をブロンドに染め、名前をエリスと変えて彼らの活動に参加するが・・・・。

監督:ポール・ヴァーホーヴェン
原案:ジェラルド・ソエトマン     
脚本:ジェラルド・ソエトマン、ポール・ヴァーホーヴェン
撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ     
プロダクションデザイン:ウィルバート・ファン・ドープ     
衣装デザイン:ヤン・タックス     
音楽:アン・ダッドリー
出演:カリス・ファン・ハウテン(ラヘル・シュタイン/エリス・デ・フリース)、トム・ホフマン(ハンス・アッカーマン)、セバスチャン・コッホ(ルドウィグ・ムンツェ)、デレク・デ・リント(ヘルベン・カイパース)、ハリナ・ライン(ロニー)、ワルデマー・コブス(ギュンター・フランケン)、ミヒル・ホイスマン(ロブ)、ドルフ・デ・ヴリーズ(公証人スマール)、ピーター・ブロック(ファン・ハイン)、ディアーナ・ドーベルマン(スマール夫人)、クリスチャン・ベルケル(カウトナー将軍)

本作「ブラックブック」は、もちろん娯楽作品として素晴らしい作品に仕上がっているのだが、それ以上にポール・ヴァーホーヴェンと言う映像作家にとって非常に重要な意味を持つ作品だと言える。

と言うのも、オランダ出身の映像作家であるポール・ヴァーホーヴェンが、ハリウッドからオランダに戻り、自らのアイデンティティに関わる祖国オランダのナチス・ドイツ占領時を舞台とした作品をオランダのスタッフと共に撮り上げた作品なのだ。

そして興味深いのは、本作のテイストがハリウッド時代の悪趣味な悪ふざけ的テイストではなく、もちろんヴァーホーヴェンお得意のエログロ描写はあるものの、ハリウッド時代の作品と一線を画した、非常に真摯に作品に取り組んだ印象を受ける。

1938年に生まれたヴァーホーヴェンにとって、ナチス・ドイツ占領時のオランダでの思い出は、彼にとって原初的でかつ強烈な印象となって残っていることは想像に難くない。

つまり、今までハリウッドでちょっとふざけて映画を撮っていた監督が、祖国で祖国のスタッフのために、本気で映画を撮った。
と言うような印象を受ける。

とは言う物の、日本の配給会社が本作「ブラックブック」を「シンドラーのリスト」(1993)や「戦場のピアニスト」(2002)と並べて売ろうとする愚挙的な広告戦略を取っているが、本作は実はそんな文芸作品ではなく、ヴァーホーヴェンの嗜好を充分に備え持った娯楽作品に仕上がっている。

「シンドラーのリスト」(1993)や「戦場のピアニスト」(2002)の感動をもとめて劇場に行った観客はちょっと困った事になるかも知れない、と思う。

さて、本作「ブラックブック」についてだが、先ずは脚本が非常に良かった。
伏線とは何か、と言うのが非常に明確に描かれており、特に印象的だったのは、チョコレートの使い方である。
そのチョコレートの伏線の使い方に、わたしは思わず膝を叩くところだった。
これこそ伏線であり、伏線のお手本のような脚本に仕上がっているのだ。

また、もう一点印象に残ったのは、ナチス・ドイツの占領から解放されたオランダの戦後処理の部分があったのが良かった。

と言うか実際は、連合軍がやって来た後の部分が本作の肝(キモ)なのだが、そういった構成になっている脚本に感心した。
大抵の映画では、連合軍がナチス・ドイツを蹴散らして、めでたしめでたしで終わる事が多いのだが、本作「ブラックブック」では、そこから物語が始まっているのだ。

キャストは先ずは、カリス・ファン・ハウテン(ラヘル・シュタイン/エリス・デ・フリース)が良かった。
彼女はとっても頑張りました。

噂ではカリス・ファン・ハウテンは、次回作のボンドガールになるとかならないとか言われているらしいのだが、北米での「ブラックブック」の公開は4月からなで、その影響(「ブラックブック」での演技や描写から来るイメージ)がどうでるのかが興味深いところである。

また、俳優陣も全てが全て良かったし、美術も良い仕事をしていたし、撮影もスコアも良かった。

本作「ブラックブック」は、もう本当に、悪いところが一切ない、と言って良いほど素晴らしい作品に仕上がっていた。
強いて言えば、尺(144分)が短すぎるということだろう。
もっともっと長い間観ていたい作品だった。

とにかく本作「ブラックブック」は、若干観客を選ぶ作品なのかもしれないが、是非劇場でポール・ヴァーホーヴェンの美学と真摯な仕事を堪能していただきたいと思うのだ。

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さて、早速ですが2007年の目標の中間発表その4です。

とりあえず目標の再確認を・・・・

目標第一弾 「映画を300本観るぞ!!」(DVD等含む)
目標第二弾 「本を100冊読むぞ!!」
 
 
1.映画
 
#011「さくらん」シネ・リーブル池袋 2007/04/01
#012「明日、君がいない」東商ホール 2007/04/10
#013「プルコギ」ニッショーホール 2007/04/11
#014「ゆれる」新文芸坐 2007/04/17
#015「時をかける少女」新文芸坐 2007/04/17
#016「さくらん」シネ・リーブル池袋 2007/04/29
#017「ブラックブック」テアトルタイムズスクエア 2007/04/30
 
 
2.DVD、CATV等

#042「スチュアート・リトル」CATV 2007/04/03
#043「カプリコン・1」DVD 2007/04/05
#044「ダンボ」CATV 2007/04/07
#045「40歳の童貞男」VOD 2007/04/08
#046「イントゥ・ザ・サン」CATV 2007/04/09
#047「アンジェラ」CATV 2007/04/13
#048「東京大学物語」VOD 2007/04/14
#049「CUBE ZERO」HDD 2007/04/15
#050「アサルト13/要塞警察」CATV 2007/04/15
#051「ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カット」HDD 2007/04/21
#052「プラトニック・セックス」HDD 2007/04/22
#053「緯度0大作戦」HDD 2007/04/23
#054「くりいむレモン」HDD 2007/04/24
#055「波止場」HDD 2007/04/25
#056「ブロークン・フラワーズ」CATV 2007/04/25
#057「シャークボーイ&マグマガール」CATV 2007/04/28
#058「ザ・インターネット」CATV 2007/04/28
#059「エミリー・ローズ」HDD 2007/04/29
#060「エリザベスタウン」HDD 2007/04/30
#061「かもめ食堂」HDD 2007/04/30

 
3.読書

#009「落着かぬ赤毛」E・S・ガードナー著 尾坂力訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2007/04/04
#010「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー著 清水俊二訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2007/04/22 
 
映画は、劇場7本(累計17本)、DVD等20本(累計61本)で、計27本(累計78本)。
このままのペースで、年間234本(劇場51本)です。

読書は2冊(累計10冊)で、このままのペースでは、年間30冊です。

今年は非常にマズイ状況です。
Wii購入の影響か、映画に割ける時間が激減しています。
 
まあ、先は長いですが頑張ります。

参考)
2007年の状況
映画78本(うち劇場17本)
読書10冊

2006年の状況
映画87本(うち劇場16本)
読書07冊

2005年同時期の状況
映画75本(うち劇場27本)
読書11冊

2004年同時期の状況
映画87本(うち劇場23本)
読書16冊

2003年同時期の状況
映画89本(うち劇場30本)
読書29冊

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「リンガー!替え玉★選手権」
2006/11/25 東京新宿「新宿ミラノ1」で開催されていた「東京国際シネシティフェスティバル2006」のオールナイト企画「映画における表現の自由を考える夕べ」で上映された「リンガー!替え玉★選手権」(上映当時のタイトルは「The Ringer(原題)」)

人のいいスティーヴ・バーカー(ジョニー・ノックスヴィル)はこれまでありふれたデスクワークに甘んじてきたが、ある時ついに意を決して上司に昇進を願い出る。

しかし、彼の昇進と引き換えに、長年管理人として働いてきたスタヴィ(ルイス・アヴァロス)がクビになってしまう。

仕事がなくなったスタヴィを個人的に雇ったスティーヴだったが、スタヴィは芝刈り作業中に指を失う事故に見舞われてしまう。

責任を感じたスティーヴは、スタヴィの指を救うために必要な大金を得る方法を、お調子者の叔父ゲイリー(ブライアン・コックス)に相談すると、彼は想像を絶する卑劣で最低最悪のとてつもなくクレイジーなアイディアを思いつく。

それは、かつて陸上のスターだったスティーヴが、来たるスペシャルオリンピックスの大会に“替え玉”として出場し、五種競技で6度の金メダルに輝く史上最高のチャンピオン、ジミー(レオナード・フラワーズ)をうまく破れば、自分はジミーが敗北する方に賭けているので大儲けができるというものだった。

監督:バリー・W・ブラウスタイン
製作:ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー
脚本:リッキー・ブリット
出演:ジョニー・ノックスヴィル(スティーヴ・バーカー/ジェフィ)、ブライアン・コックス(ゲイリー・バーカー)、キャサリン・ハイグル(リン)、ジェド・リース(グレン)、ビル・コット(トーマス)、エドワード・バーバネル(ビリー)、レナード・アール・ハウズ(マーク)、ジェフリー・エアンド(ウィンストン)、ジョン・テイラー(ルディ)、ルイス・アヴァロス(スタヴィ)、レナード・フラワーズ(ジミー)、ゼン・ゲスナー(デヴィッド)

先ずは『スペシャルオリンピックス』とは何ぞやと言う話だが、『認定NPO法人 スペシャルオリンピックス日本』のオフィシャル・サイトによると、次の通り説明されている。

スペシャルオリンピックス(SO)とは、知的発達障害のある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、年間を通じ提供している国際的なスポーツ組織です。SOは非営利活動で、運営はボランティアと善意の寄付によっておこなわれています。SOでは、これらのスポーツ活動に参加する知的発達障害のある人たちをアスリートと呼んでいます。

『認定NPO法人 スペシャルオリンピックス日本』
http://www.son.or.jp/

そして本作「リンガー!替え玉★選手権」のプロットは、スティーヴ(ジョニー・ノックスヴィル)が、芝刈り作業中に指を切り落としてしまったスタヴィ(ルイス・アヴァロス)の指を救う金を得るため、知的発達障害者になりすまし、『スペシャルオリンピックス』の大会に出場する、と言うとんでもないプロットを採用した作品である。

本作の監督はエディ・マーフィ主演のコメディの脚本を何本か書いているバリー・W・ブラウスタインなのだが、注目すべきは本作の制作に名を連ねるボビー・ファレリーとピーター・ファレリー(ファレリー兄弟)の存在だと言わざるを得ない。

「メリーに首ったけ」(2001)で一躍メジャー監督の仲間入りをしたファレリー兄弟だが、彼等の作品には必ずといって良いほど、障害者、老人、子供、動物等の社会的弱者が登場し、笑いのネタにされている。

最新作の「2番目のキス」(2005)はともかく、前作の「ふたりにクギづけ」(2003)は特に顕著で、なにしろ「ふたりにクギづけ」は腰のところで繋がった結合双生児を題材にしたコメディなのだ。

「ふたりにクギづけ」
http://diarynote.jp/d/29346/20041129.html

そして興味深いのは、彼等ファレリー兄弟の作品で描かれている(例えば)障害者は、ただ単に障害と言う個性を持ったただの人間でしかないのだ。
このあたりも「ふたりにクギづけ」に顕著である。

本作「リンガー!替え玉★選手権」は、知的発達障害者になりすまし『スペシャルオリンピックス』の大会に出場する、と言うプロットを持つ作品なのだが、ファレリー兄弟の視点では、例えば、男性が女性の振りをして『オリンピック』に出場する、と言うようなプロットと何ら変わりはないのである。
または、「トッツィー」(1982)みたいな作品である、と言うような感じ。

そして障害者を題材にするファレリー兄弟のもうひとつの視点は、障害者には当然ながら良い人も居れば悪い人も居る、と言う点であろう。

ところで、現在においても、国内外を問わず多くのメディアは、(例えば)障害者を、良い人として、ピュアで純粋で正直な存在として画一的に描きがちである。
特にフィクションに登場する障害者は、どの作品をみてもピュアで正直な存在としてキャラクター設定がされている。

そのあたりについては、「おそいひと」を参照して下さい。
http://diarynote.jp/d/29346/20041121.html
(障害者を殺人者として描いた作品)

そんな中、本作「リンガー!替え玉★選手権」は、健常者が知的発達障害の振りをして『スペシャルオリンピックス』大会に出場する、と言う一見とんでもないプロットを採用している訳だ。

こんなプロットを持つ作品を企画する方も企画する方だと思うが、出資する方も出資する方である。
なにしろ本作は、一歩間違えば、社会的に大々的な批判を食らってしまうようなリスクを持った作品になりかねないのだ。

と言うのも、本作は、多くの未見の観客にとって、健常者が知的発達障害の振りをして『スペシャルオリンピックス』大会に出場する、と言うプロットを基本プロットとして採用している、と言うことから、居心地の悪い、モラルの低い人向けの作品ではないか、この作品を観に行くことにより、自分がモラルの低い人間だと思われてしまうのではないか、と言う観点から、敬遠されがちな作品だと思う。

しかしながら、本作の作品自体は大変面白く、非常に良心的で誰にでもオススメできる娯楽作品に仕上がっている。

ついでにカタルシスまで観客に与えてしまっているし、障害者を考える契機にもなる、と言う一粒で二度も三度も美味しい作品に仕上がっているのだ。

キャストは、やはりジョニー・ノックスヴィルの怪演がすばらしい。特に知的発達障害者に扮する部分が凄いと思った。

ただ単に知的発達障害者に扮するだけではなく、実は健常者で良心の呵責に耐えていると言う複雑な部分が非常に興味深かった。

おそらく本作「リンガー!替え玉★選手権」は、観客はあまり入らないと思うのだが、出来ることなら、多くの人々に足を運んでいただきたい良質な作品だと思う。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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自らの意志で一番最初に観た映画はなんだろう。

そんな素朴な疑問に答えるべく、劇場に行った記憶を紐解いてみる。

と言うのも、先日、大学時代からの映画好きの友人と「スタートレックを語ろう2007春〜矢島正明さんを迎えて〜」と言うトークライブに行った際、新宿「LOFT/PLUS ONE」の階段で開場を待っている間に、一番最初に観た映画は何か、と言う話題が出て、いろいろ考えたのだが、結局は二人とも覚えていない、と言う結論に達してしまい、それでも何とかして、自分の意志で最初に観た映画を知りたいと思ったのだ。

一応前提として、親の選択ではなく、自分の選択で劇場で最初に観た映画を思い出す事にしたいと思う。

それでは、思い出せる限り観た映画(今回は洋画)を挙げてみたいと思う。

数字は製作年(日本公開年月は後日調べます)

1974
「エアポート75」
「華麗なるギャッツビー」
「ゴールド」
「タワーリング・インフェルノ」
「007/黄金銃を持つ男」

1975
「グレート・ハンティング」
「ジョーズ」
「バギーチェイス」

1976
「カサンドラ・クロス」
「弾丸特急ジェットバス」
「ロッキー」

1977
「エアポート77」
「オルカ」
「合衆国最後の日」
「カプリコン1」
「スター・ウォーズ」
「トランザム7000」
「未知との遭遇」
「007/私を愛したスパイ」

1978
「ゾンビ」

今日はここまで。

一番最初に観た映画をめぐる冒険はつづく・・・・ 

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「明日、君がいない」
2007/04/10 東京丸の内「東商ホール」で「明日、君がいない」の試写を観た。

「明日、君がいない」の原題は「2:37」。

「2:37」は、昨年(2006年)開催された「第19回東京国際映画祭」のコンペティション部門に出品されていた。
当時のわたしは話題の「2:37」が観たくて観たくて仕方がなかったのだが、特別招待作品「パフューム」と上映時間が重なってしまっており、やむなく見逃してしまった、と言う作品である。

ところで、その話題の「2:37」と言う作品は元々、2006年の「カンヌ国際映画祭」の「ある視点」部門で絶賛され、続く「トロント国際映画祭」、「メルボルン国際映画祭」でも続々と絶賛された作品なのだが、驚くべきことに、その作品を制作(監督/脚本/共同編集/プロデューサー)したのが、なんと弱冠19歳(2005年当時)の青年だったのだ。

監督/脚本/共同編集/プロデューサー:ムラーリ・K・タルリ
撮影監督/共同編集/プロデューサー:ニック・マシューズ
音響デザイン:レスリー・シャッツ
出演:テレサ・パルマー(メロディ)、フランク・スウィート(マーカス)、サム・ハリス(ルーク)、チャールズ・ベアード(スティーヴン)、ジョエル・マッケンジー(ショーン)、マルニ・スパイレイン(サラ)

先ずは、脚本と構成が見事である。

脚本と構成は、現在の時制、過去の時制、インタビュー映像(高校で自主制作されている作品の一部と言う設定と思われる)が巧みにモンタージュされている。
そして意味ありげに挿入される樹木の枝葉。

また興味深いのは、同じ事象を複数の視点から撮影する、と言う撮影手法。
例えるならば「パルプ・フィクション」(1994)の冒頭とラストのシークエンス(冒頭のパンプキンのシークエンスのカメラにビンセントとジュールスがちらっと写っている)のような手法が、全編で行われている、と言うことである。

そして前述のインタビュー映像は、それを挿入することにより、作品自体に対するリアリティの付与に非常に貢献している。

また、本作「明日、君がいない」は、映画の冒頭部分で、誰かが自殺をしてしまい、その日の朝に物語が巻き戻る、と言うような構成を持っているのだが、その自殺をした人が一体誰なのかが分からない構成も、ありきたりな手法ではあるものの、観客をより一層登場人物の一挙手一投足に集中させる、と言った良い効果を与えている。

また、撮影だが本作は、低予算映画ではありながら、美術・照明のすばらしい仕事も相まって、通常の商業映画以上の風格や格調を持つ作品に仕上がっている。
これを19歳の青年が撮ったとは、本当に驚きである。

さらに撮影のコンセプトとして、カメラは、登場人物や周辺にいる学生たちの視点を代弁し、観客をただの観客ではなく、物語の傍観者としてその出来事を実際に体験しているような臨場感や印象を与えることに成功している。

そして一番驚いたのは、ラスト近辺に描かれる自殺のシークエンスである。

カメラは冷徹に、全く臆することなく逃げずにその事象を撮り続ける。

年間300本以上映画を観ているわたしだが、こんな直球勝負で、ワンカット勝負の映画は沢山は観たことがない。

また、多くの作品で、自殺を美化し美しいものとして描くことが多いような印象をわたしは持っているのだが、本作「明日、君がいない」での自殺のシークエンスは非常にエモーショナルでありながら、大変恐ろしく、大変痛々しい。
正に正視できない映像なのだ。

物語は高校の同級生が自殺をしてしまう、と言うセンセーショナルであり、かつ残念なことに最近増加してしまっている事象を題材にしている。

個人的には是非若年層の皆さんに観ていただきたいと思う作品である。

軽々しく言える話ではないが、もしかしたら本作「明日、君がいない」と言う作品は、自殺を考える人が自殺を思いとどまるひとつの契機となりうる作品かも知れない、とわたしは思う。

☆☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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折角なので、東京池袋「新文芸坐」で「ゆれる」と「時をかける少女」を観て来た。

余談だけど、「時をかける少女」は「日本アカデミー賞」の「アニメーション作品賞最優秀作品賞」を受賞したそうですね。

良かったですね。
「日本アカデミー賞」にも良心があったようですね。
日本テレビ的にはいろいろあったかも知れませんがね。

■受賞
□ノミネート

■「時をかける少女」         
□「あらしのよるに」        
□「ゲド戦記」        
□「ブレイブ ストーリー」        
□「名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)」

「時をかける少女」は以前もお話ししましたが、
http://diarynote.jp/d/29346/20060904.html
大変良い映画でした。

「ゆれる」も大変良かった。
俳優たちの演技合戦も良かったし、脚本も良かった。

またラストのカットも素晴らしかった。
「サイドウェイ」もびっくりのラストカットだと思いました。

あとは鬼気迫る香川照之が良かったし、もちろんオダギリジョーも、そして出番は少なかったけど新井浩文も良かった。

また田口トモロヲが普通の役で面白かった。
おじさんたち(伊武雅刀とか蟹江敬三とかピエール瀧)はちよっとやりすぎのような気もした。

そのうちきちんとレビューするかもです。

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仕事柄わたしのところへは広告代理店の営業が来ることが多い。

わたしのところへ来る多くの営業は、わたしが映画好きだと知っているので、最近観た映画の話だとか、面白い映画観ましたか、と言う話題を振ってくることが多い。

一昔前の営業だったら、例えば最近の巨人がどうのこうのとか、松井がどうしたとかイチローがどうしたとか、今朝の日経にこんな記事があったとか、そんな話で営業トークを繰り広げていたのだと思うのだが、わたしのところに来る営業は映画の話とか、音楽の話とか、自転車(MTB)の話とか、をしてくることが多い。

で先日来た営業は、最近DVDで観た映画の話をしてきた。

彼が観た作品は「日本以外全部沈没」「日本沈没」「ゆれる」の三本。

彼が言うには、莫迦にするつもりで観た「日本以外全部沈没」に案外感心させられてしまい、娯楽大作として期待して観た「日本沈没」にがっかりした、と言うことだった。

そして、彼が更に言うのは、『日本が沈没するかも知れない、って言ったら凄い大変な事じゃないですか、でも「ゆれる」なんてひとりの人間が橋から落ちたとか落ちないとかって言う、たったそれだけの話なんですよ。でも引き込まれるのはどっちかって言うと「ゆれる」なんですよね。なんでこんなに面白いんでしょうかね』と言う話だった。

また『大ヒットする映画って、なんだかつまらない映画が多いですよね』とも言っていた。

その営業の人は、まだ20歳代の若い人で、そんなに映画好きと言う訳ではないのだが、そんな人にそんな感想をもたせてしまうような日本映画界の状況はやはり問題だと思う次第です。

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「さくらん」

2007年4月2日 映画
2007/04/01 東京池袋「シネ・リーブル池袋」で「さくらん」を観た。

真っ赤な金魚たちが宙を泳ぐ大門をくぐると、そこは華やかな吉原遊郭。
桜が満開の中、遊郭『玉菊屋』に連れてこられた8歳の少女は、きよ葉と名付けられた。

しかし、向こう意気が強いきよ葉は脱走を試みて捕まり折檻を受ける。そんなきよ葉に店番の清次は、決して咲くことのない吉原の桜の木に花が咲いたら俺が出してやるとなぐさめる。

やがてきよ葉は、美貌も知性も兼ね備えた完璧な花魁・粧ひが面倒を見ることに。それでも脱走をやめようとしないきよ葉だったが、粧ひの挑発に乗せられ、自分も花魁になってやると啖呵を切るのだった。

監督:蜷川実花
原作:安野モヨコ 「さくらん」(講談社刊)
脚本:タナダユキ     
撮影:石坂拓郎
美術:岩城南海子
出演:土屋アンナ(きよ葉・日暮)、椎名桔平(倉之助)、成宮寛貴(
惣次郎)、木村佳乃(高尾)、菅野美穂(粧ひ)、永瀬正敏(光信)、美波(若菊)、山本浩司(大工)、遠藤憲一(坂口)、小池彩夢(幼ききよ葉)、山口愛(しげじ)、小泉今日子(お蘭)、石橋蓮司(楼主)、夏木マリ(女将)、市川左團次(ご隠居)、安藤政信(清次)

先ず思ったのは、本作「さくらん」と「マリー・アントワネット」(2006)との共通点である。

1.コスチューム・プレイ(時代劇・歴史劇)である。
2.現代文化・現代音楽をフィーチャーしている。
3.美術・衣装が絢爛豪華である。

そして、本作「さくらん」の根底にあるのは、おそらく多くの観客が感じたように、シェークスピア悲劇「ロミオとジュリエット」である。
特に日暮と清次が月を眺めるシークエンスは「ロミオとジュリエット」のシークエンスそのものである。

と考えた場合、ラストのシークエンスの現実離れした風景は、果たして本当の事なのだろうか、と思えてならない。
感覚的には「未来世紀プラジル」(1985)のラストをも彷彿とさせる。

また、ラスト近くの猫が金魚を襲うシークエンスは、「ロミオとジュリエット」のラストのような悲劇性を観客に示唆するために存在するのだが、その伏線は既に語られており、蛇足ですらある。

絢爛豪華な衣装と美術、またそこに現れる色彩設計は非常に印象的で素晴らしい。

一方、何度か繰り返される花魁道中のシークエンスはあまりにもアップ過ぎて、非常に残念な印象を受けた。
余談だが、「日光江戸村」の花魁道中が、ショーとして大変素晴らしいだけに、映画がそのダイナミズムや繊細さを再現できていないのは、非常に残念な印象を受けた。

機会があれば、是非「日光江戸村」の花魁道中を観て欲しいと思う。

監督の蜷川実花は写真家と言う事もあり、画作りと色彩に長けているが、演出については順当で、真っ当な印象を受ける。

クセのある俳優の演技バトルは非常に面白いのだが、主演の土屋アンナは微妙である。何しろ声が出ていないのだ。また怒鳴り過ぎで声が潰れているような印象すら受ける。

あと驚いたのは、花魁役の3女優(菅野美穂、木村佳乃、土屋アンナ)の脱ぎっぷりと言うか濡れ場が印象的だった。

俳優陣は、椎名桔平、成宮寛貴、石橋蓮司が良かったが、安藤政信が特に良かった。良い俳優になってきたものである。

あと興味深かったのは、直接の共演は無いのだが、永瀬正敏と小泉今日子がキャスティングされている点や、庵野秀明や忌野清志郎のカメオである。

まあとにかく、観るべきものは多々ある作品だと思うので、是非劇場に足を運んでいただきたいと個人的には思う。     

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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さて、早速ですが2007年の目標の中間発表その3です。

とりあえず目標の再確認を・・・・

目標第一弾 「映画を300本観るぞ!!」(DVD等含む)
目標第二弾 「本を100冊読むぞ!!」
 
 
1.映画
 
#004「バブルへGO! タイムマシンはドラム式」ワーナーマイカル・シネマズ板橋 2007/03/09
#005「パフューム/ある人殺しの物語」新宿バルト9 2007/03/11
#006「それでもボクはやってない」ワーナーマイカル・シネマズ板橋 2007/03/14
#007「マリー・アントワネット」ワーナーマイカル・シネマズ板橋 2007/03/16
#008「口裂け女」ワーナーマイカル・シネマズ板橋 2007/03/17
#009「蟲師」新宿ミラノ1 2007/03/24
#010「ブラッド・ダイヤモンド」全電通ホール 2007/03/27
 
 
2.DVD、CATV等

#029「ロッキー・ホラー・ショー」LD 2007/03/05
#030「遊星からの物体X」DVD 2007/03/07
#031「ドアーズ」LD 2007/03/13
#032「ジョーズ」LD 2007/03/19
#033「28日後・・・」DVD 2007/03/20
#034「ショーン・オブ・ザ・デッド」DVD 2007/03/22
#033「超劇場版 ケロロ軍曹」VOD 2007/03/24
#036「ゾンビ」DVD 2007/03/25
#037「死霊のえじき」DVD 2007/03/26
#038「死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット」DVD 2007/03/28
#039「ファインディング・ニモ」DVD 2007/03/29
#040「ハウルの動く城」DVD 2007/03/30
#041「ルバン三世/カリオストロの城」DVD 2007/03/31
 
 
3.読書

#005「Yの悲劇」エラリー・クイーン著 鮎川信夫訳 創元推理文庫 2007/03/17
#006「アクロイド殺し」アガサ・クリスティ著 田村隆一訳 ハヤカワ文庫 2007/03/23
#007「幕末新選組」池波正太郎著 文春文庫 2007/03/26
#008「招かれざる客」アガサ・クリスティ著 深町真理子訳 ハヤカワ文庫 2007/03/31 
 
映画は、劇場7本(累計10本)、DVD等13本(累計41本)で、計20本(累計51本)。
このままのペースで、年間204本(劇場40本)です。

読書は4冊(累計8冊)で、このままのペースでは、年間32冊です。

今年は非常にマズイ状況です。
Wii購入の影響か、映画に割ける時間が激減しています。
 
まあ、先は長いですが頑張ります。

参考)
2007年の状況
映画51本(うち劇場10本)
読書08冊

2006年の状況
映画67本(うち劇場127)
読書04冊

2005年同時期の状況
映画58本(うち劇場20本)
読書09冊

2004年同時期の状況
映画62本(うち劇場15本)
読書12冊

2003年同時期の状況
映画72本(うち劇場23本)
読書15冊

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「口裂け女」

2007年3月18日 映画
2007/03/17 東京板橋「ワーナーマイカルシネマズ板橋」で「口裂け女」を観た。
上映前に、監督の白石晃人、キャストの佐藤江梨子、加藤晴彦の舞台挨拶があった。

本作「口裂け女」は、子供に対する暴力描写に不快感を感じるが、現代の日本ホラー映画界を考える上で、有意義な作品だと思う。

私見だが、ホラー映画と言う物は、大きく二つに分類できると考えている。
それは、ホラー映画の主体となる存在、ーーモンスターや殺人者ーー、にスーパーナチュラルな要素があるかどうか、と言うことである。

言い換えるならば、そのモンスターが物理法則に従っているかどうか、である。

大昔のホラー映画の主体(モンスター等)のほとんどはスーパーナチュラルの要素に満ちていたのだが、いつの頃からか、ーおそらくベトナム戦争等、国家の信頼が揺るいだ後ー、実際に恐ろしいのはモンスターではなく人間である、と言う時代が到来し、物理法則に則ったモンスターが登場するホラー映画が製作されるようになり、同時に実際の世の中にも、理解に苦しむような異常性格殺人者の事件が増えてくる。

1950年代のエド・ゲイン事件を基に製作されたトビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」(1974)や、ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968)等ゾンビシリーズは、物理法則に則ったモンスターが登場するホラー映画の代表だと思う。

ここで何故そんな話をしているかと言うと本作「口裂け女」は、口裂け女の存在自体にはスーパーナチュラルな要素が含まれているのだが、その口裂け女が行っていることは、「悪魔のいれにえ」のレザーフェイスが行っていることと類似しているのだ。

つまり、本作「口裂け女」は、スーパーナチュラルなホラー映画、ー怖いのはその場だけのファンタジックなホラー映画ー、の体裁を取りながら、実際は実在のサイコキラーを主人公とした恐怖を描いているのではないか、と思えるのだ。

つまり、この映画は、幼少期にこの映画を観た観客にとってトラウマとなりうる力を持ったホラー映画になりうる可能性を持った作品だと思えるのだ。

脚本は、難はあるものの十分に面白いものだし、その演出はツボをおさえた的確な演出が続き、また残酷描写もなかなかにえぐいものがあり、ショック・シーンだけではなく、生理的な嫌悪感を与えるような恐怖描写も効果的である。

つづく・・・・

☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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さて、早速ですが2007年の目標の中間発表その2です。

とりあえず目標の再確認を・・・・

目標第一弾 「映画を300本観るぞ!!」(DVD等含む)
目標第二弾 「本を100冊読むぞ!!」
 
 
1.映画
 
 
2.DVD、CATV等

#020「白い巨塔」CATV 2007/02/04
#021「ワースト・コンタクト」HDD 2007/02/07
#022「ロボコン」HDD 2007/02/08
#023「くたばれ!ハリウッド」CATV 2007/02/18
#024「スーパーマンII(ドナー版)」DVD 2007/02/18
#025「クリスティーン」DVD 2007/02/18
#026「いぬのえいが」CATV 2007/02/18
#027「模倣犯」CATV 2007/02/18
#028「ブレードランナー」DVD 2007/02/26
 
 
3.読書

#004「ニューロマンサー」ウィリアム・ギブスン著 黒丸尚訳 ハヤカワ文庫 2007/02/28
 
 
映画は、劇場0本(累計3本)、DVD等9本(累計28本)で、計9本(累計31本)。
このままのペースで、年間186本(劇場18本)です。

読書は1冊(累計4冊)で、このままのペースでは、年間24冊です。

冬季はスキー三昧で休日は劇場に行けない、と言う状況が続き、「2007年の目標」的には厳しい状況です。
なんと2月1ケ月は、劇場に1回も行きませんでした。
超驚きです。

映画については例年通りおそらく問題ないと思うのですが、読書については、昨年よりましですが、状況はよくありません。心を入れ替える必要があります。

まあ、先は長いですが頑張ります。

参考)
2007年の状況
映画28本(うち劇場3本)
読書04冊

2006年の状況
映画48本(うち劇場7本)
読書03冊

2005年同時期の状況
映画41本(うち劇場12本)
読書08冊

2004年同時期の状況
映画38本(うち劇場12本)
読書07冊

2003年同時期の状況
映画53本(うち劇場13本)
読書10冊

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と、言うわけで「第79回(2006年)アカデミー賞」予想の結果なのだ。

結果
☆受賞
□ノミネート

予想
◎本命
○対抗

■作品賞
結予
□◎「バベル」
☆○「ディパーテッド」
□□「硫黄島からの手紙」
□□「リトル・ミス・サンシャイン」
□□「クィーン」

1点

■主演男優賞
結予
□□「ブラッド・ダイヤモンド」 レオナルド・ディカプリオ
□□「ハーフ・ネルソン(原題)」 ライアン・ゴズリング
□◎「ヴィーナス(原題)」 ピーター・オトゥール
□□「幸せのちから」 ウィル・スミス
☆○「ラストキング・オブ・スコットランド」 フォレスト・ウィッテカー

1点(累計2点)

■主演女優賞
結予
□□「ボルベール <帰郷>」 ペネロペ・クルス
□◎「あるスキャンダルの覚え書き」 ジュディ・デンチ
☆○「クィーン」 ヘレン・ミレン
□□「プラダを着た悪魔」 メリル・ストリープ
□□「リトル・チルドレン(原題)」 ケイト・ウィンスレット

1点(累計3点)

■助演男優賞
結予
☆○「リトル・ミス・サンシャイン」 アラン・アーキン
□□「リトル・チルドレン(原題)」 ジャッキー・アール・ヘイリー
□□「ブラッド・ダイヤモンド」 ジャイモン・フンスー
□◎「ドリームガールズ」 エディ・マーフィ
□□「ディパーテッド」 マーク・ウォールバーグ

1点(累計4点)

■助演女優賞
結予
□□「バベル」 アドリアナ・バラーザ
□□「あるスキャンダルの覚え書き」 ケイト・ブランシェット
□□「リトル・ミス・サンシャイン」 アビゲイル・ブレスリン
☆◎「ドリームガールズ」 ジェニファー・ハドソン
□○「バベル」 菊地凛子

3点(累計7点)

■監督賞
結予
□□ 「硫黄島からの手紙」 クリント・イーストウッド
□□ 「クィーン」 スティーヴン・フリアーズ
□○ 「ユナイテッド93」 ポール・グリーングラス
□□ 「バベル」 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
☆◎ 「ディパーテッド」 マーティン・スコセッシ

3点(累計10点)

■脚本賞
結予
□◎「バベル」 ギジェルモ・アリアガ
□□「硫黄島からの手紙」 アイリス・ヤマシタ、ポール・ハギス
☆○「リトル・ミス・サンシャイン」 マイケル・アーント
□□「パンズ・ラビリンス」 ギレルモ・デル・トロ
□□「クィーン」 ピーター・モーガン

1点(累計11点)

■脚色賞
結予
□□「ボラット(原題)」 サシャ・バロン・コーエン、アンソニー・ハインズ、ピーター・ベイナム、ダン・メイザー
□◎「トゥモロー・ワールド」 アルフォンソ・キュアロン、ティモシー・J・セクストン
☆○「ディパーテッド」 ウィリアム・モナハン
□□「リトル・チルドレン(原題)」 トッド・フィールド、トム・ペロッタ
□□「あるスキャンダルの覚え書き」 パトリック・マーバー

1点(累計12点)

■外国語映画賞
結予
□□ 「アフター・ザ・ウェディング(原題)」 (デンマーク)
□○ 「デイズ・オブ・グローリー(原題)」 (アルジェリア)
☆□ 「善き人のためのソナタ」 (ドイツ)
□◎ 「パンズ・ラビリンス」 (メキシコ)
□□ 「ウォーター(原題)」 (カナダ)

0点(累計12点)

■長編アニメ賞
結予
□◎ 「カーズ」
☆○ 「ハッピー フィート」
□□ 「モンスター・ハウス」

1点(累計13点)

相変わらず当たらんです。


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強烈に時間がないので予想のみ。

◎本命
○対抗

■作品賞
◎ 「バベル」
○ 「ディパーテッド」
□ 「硫黄島からの手紙」
□ 「リトル・ミス・サンシャイン」
□ 「クィーン」

■主演男優賞
□ 「ブラッド・ダイヤモンド」 レオナルド・ディカプリオ
□ 「ハーフ・ネルソン(原題)」 ライアン・ゴズリング
◎ 「ヴィーナス(原題)」 ピーター・オトゥール
□ 「幸せのちから」 ウィル・スミス
○ 「ラストキング・オブ・スコットランド」 フォレスト・ウィッテカー

■主演女優賞
□ 「ボルベール <帰郷>」 ペネロペ・クルス
◎ 「あるスキャンダルの覚え書き」 ジュディ・デンチ
○ 「クィーン」 ヘレン・ミレン
□ 「プラダを着た悪魔」 メリル・ストリープ
□ 「リトル・チルドレン(原題)」 ケイト・ウィンスレット

メリル・ストリープのミランダに入れたいが難しいでしょう。

■助演男優賞
○ 「リトル・ミス・サンシャイン」 アラン・アーキン
□ 「リトル・チルドレン(原題)」 ジャッキー・アール・ヘイリー
□ 「ブラッド・ダイヤモンド」 ジャイモン・フンスー
◎ 「ドリームガールズ」 エディ・マーフィ
□ 「ディパーテッド」 マーク・ウォールバーグ

■助演女優賞
□ 「バベル」 アドリアナ・バラーザ
□ 「あるスキャンダルの覚え書き」 ケイト・ブランシェット
□ 「リトル・ミス・サンシャイン」 アビゲイル・ブレスリン
◎ 「ドリームガールズ」 ジェニファー・ハドソン
○ 「バベル」 菊地凛子

菊地凛子は希望的観測。

■監督賞
□ 「硫黄島からの手紙」 クリント・イーストウッド
□ 「クィーン」 スティーヴン・フリアーズ
○ 「ユナイテッド93」 ポール・グリーングラス
□ 「バベル」 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
◎ 「ディパーテッド」 マーティン・スコセッシ

そろそろスコセッシにやってくれ。

■脚本賞
◎ 「バベル」 ギジェルモ・アリアガ
□ 「硫黄島からの手紙」 アイリス・ヤマシタ、ポール・ハギス
○ 「リトル・ミス・サンシャイン」 マイケル・アーント
□ 「パンズ・ラビリンス」 ギレルモ・デル・トロ
□ 「クィーン」 ピーター・モーガン

■脚色賞
□ 「ボラット(原題)」 サシャ・バロン・コーエン、アンソニー・ハインズ、ピーター・ベイナム、ダン・メイザー
◎ 「トゥモロー・ワールド」 アルフォンソ・キュアロン、ティモシー・J・セクストン
○ 「ディパーテッド」 ウィリアム・モナハン
□ 「リトル・チルドレン(原題)」 トッド・フィールド、トム・ペロッタ
□ 「あるスキャンダルの覚え書き」 パトリック・マーバー

スコセッシを壇上にあげてくれ。

■外国語映画賞
□ 「アフター・ザ・ウェディング(原題)」 (デンマーク)
○ 「デイズ・オブ・グローリー(原題)」 (アルジェリア)
□ 「善き人のためのソナタ」 (ドイツ)
◎ 「パンズ・ラビリンス」 (メキシコ)
□ 「ウォーター(原題)」 (カナダ)

■長編アニメ賞
◎ 「カーズ」
○ 「ハッピー フィート」
□ 「モンスター・ハウス」

この中から何を選べと言うのだ!

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さて、早速ですが2007年の目標の中間発表その1です。

とりあえず目標の再確認を・・・・

目標第一弾 「映画を300本観るぞ!!」(DVD等含む)
目標第二弾 「本を100冊読むぞ!!」
 
 
1.映画

#001「鉄コン筋クリート」ワーナーマイカル・シネマズ板橋 2007/01/01
#002「幸せのかたち」東京厚生年金会館 2007/01/16
#003「DOA デッド・オア・アライブ」なかのZEROホール 2007/01/25

2.DVD、CATV等

#001「マルサの女2」CATV 2007/01/02
#002「交渉人 真下正義」CATV 2007/01/02
#003「続社長繁盛記」CATV 2007/01/02
#004「ウエスト・サイド物語」CATV 2007/01/03
#005「突撃」DVD 2007/01/04
#006「ライフ・イス・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」CATV 2007/01/13
#007「コンスタンティン」CATV 2007/01/13
#008「エイリアンVS. プレデター」CATV 2007/01/13
#009「イントゥ・ザ・ブルー」CATV 2007/01/13
#010「華麗なる一族」CATV 2007/01/14
#011「つる−鶴−」CATV 2007/01/15
#012「赤ひげ」CATV 2007/01/15
#013「Shall We ダンス?」CATV 2007/01/21
#014「岸辺のふたり(短編)」VOD 2007/01/22
#015「遠すぎた橋」CATV 2007/01/23
#016「スカイ・ハイ」HDD 2007/01/26
#017「X-メン」CATV 2007/01/28
#018「007/ムーンレイカー」DVD 2007/01/29
#019「007/私を愛したスパイ」DVD 2007/01/31
 
 
3.読書

#001「レベル7」宮部みゆき著 新潮文庫 2007/01/04
#002「ダーク・タワーVII 暗黒の塔(下)」スティーヴン・キング著 風間賢二訳 2007/01/25
#003「B級ニュース図鑑」泉麻人著 新潮文庫 2007/01/31
 
 
映画は、劇場3本、DVD等19本で、計22本。
このままのペースで、年間264本(劇場36本)です。

読書は3冊で、このままのペースでは、年間36冊です。

冬季はスキー三昧で休日は劇場に行けない、と言う状況が続き、「2007年の目標」的には厳しい状況です。

映画については例年通りおそらく問題ないと思うのですが、読書については、昨年よりましですが、状況はよくありません。心を入れ替える必要があります。

まあ、先は長いですが頑張ります。

参考)
2007年の状況
映画22本(うち劇場3本)
読書03冊

2006年同時期の状況
映画23本(うち劇場4本)
読書01冊

2005年同時期の状況
映画21本(うち劇場7本)
読書04冊

2004年同時期の状況
映画18本(うち劇場4本)
読書05冊

2003年同時期の状況
映画28本(うち劇場6本)
読書06冊

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日本映画専門チャンネルは粋なことをする。

と言うのも、木村拓哉主演のテレビシリーズ『TBS開局55周年記念特別企画 日曜劇場「華麗なる一族」』第一話が放映された2007/01/14の21:00の直前(17:00〜20:50)に仲代達矢主演の映画「華麗なる一族」(1974)を放映したのだ。

この、映画「華麗なる一族」(1974)は、なんと211分にも及ぶ大長編でもあり、わたし的に一気に見る自信がなかったため、HDDレコーダー録画しつつ見ることにした。

しかし、結果的にはそれは杞憂に過ぎず、圧倒的な面白さに211分(3時間31分)の間、わたしはテレビに釘付け状態であった。

物語の内容については、木村拓哉版「華麗なる一族」を楽しみにしている方も多いと思うし、同作の折角の趣向を削ぐので割愛する。

ところで、山崎豊子原作、山本薩夫監督作品と言えば「白い巨塔」(1966)と「不毛地帯」(1976)があるが、「華麗なる一族」のテイストと言うか肌触りは「白い巨塔」のそれに近い印象を受けた。

わたしの乏しい経験から言わせていただければ、山崎豊子作品の魅力は「飽くなき欲望」なのだと思う。

「華麗なる一族」(1974)では、登場人物の多くが圧倒的な欲望を見せてくれる。
特に素晴らしいのは佐分利信(万俵大介)の欲望だろう。

テレビシリーズではこの万俵大介を演じているのは北大路欣也なのだが、佐分利信と比較すると残念ながら脂ぎったギラギラ感に乏しい。ギラギラ感あっての万俵大介だと思うぞ。

また万俵鉄平を演じるのは、仲代達矢と木村拓哉である。
比較するのは酷な気がするが、仲代達矢の存在感には圧倒させられる。

万俵銀平は、目黒祐樹と山本耕史。
山本耕史はなかなか良かったが、目黒祐樹のニヒルさはなんともたまらない。

これから木村拓哉版「華麗なる一族」もどんどん佳境に入ってくると思うが、期待と不安でいっぱいな感じだね。

余談だけど、こんな話もあるよ。(2006/12/30の再掲載だけど)

現在公開中の「武士の一分」の原作「盲目剣谺返し」が収録されている文春文庫の「隠し剣秋風抄」(藤沢周平著)と、2007年1月にTBS系で放映開始されるテレビドラマ「華麗なる一族」の原作である新潮文庫の「華麗なる一族」(山崎豊子著)の帯が興味深い。

と言うのも、「隠し剣秋風抄」(文春文庫)の帯は文字情報だけで木村拓哉の写真が掲載されていない。
一方「華麗なる一族」(新潮文庫)の帯には、文字情報以外に木村拓哉の写真が掲載されているのだ。

映画やテレビドラマと原作小説のプロモーションは一般的にタイアップによって行われることが多い。
映画配給会社と出版社の双方がそれぞれプロモーションすることにより、観客動員や書籍の販売に相乗効果が得られ、タレントの価値があがるのだ。

そのため、配給会社や出版社、タレントの所属事務所は、コピーや宣材写真、プレスキット等を共同で制作・使用することが一般的である。

例えば映画の原作の表紙が映画のビジュアルを使用したタイアップ版の表紙に変更になったり、原作小説が映画のタイトルに従って改題されたり、今回お話しするタイアップ版の帯が巻かれたりするのは非常に一般的である。

で、興味深いのは文春文庫版「隠し剣秋風抄」の帯には木村拓哉の写真が使用されていないのに、新潮文庫版「華麗なる一族」の帯には木村拓哉の写真が使用されているのだ。

同時期に書店に並んで平積みされる書籍なののに、取り扱いにこんなに差があるのは驚きである。

ところで、木村拓哉の今後の展開を考えた場合、日本国内でしか放映されないテレビドラマとのタイアップに軸足を置くより、世界中に配給されるであろう山田洋次の新作映画「武士の一分」とのタイアップに軸足を置いた方が良いに決まっている。

特に、一般大衆に木村拓哉の芸風が飽きられ、しかも本来木村拓哉が望んでいる方向ではない分野での仕事が続いている現在、他のSMAPのメンバーと比較して、映画部門では立ち遅れている状況を考えた場合、木村拓哉のプロモーションを考えた場合、どう考えても「武士の一分」のプロモーションに力を入れるべきだと考えられる。

しかし現状を見てみると、ジャニーズ事務所は文藝春秋社ではなく、新潮社とタイアップすることを望んでいるようなのだ。

ここには実はジャニーズ事務所と文藝春秋社の間に大きな溝があるようなのだ。

その溝については、ご存知の方はご存知だと思うので、明記しないが、上手く行けば、木村拓哉がグローバルな俳優になれるかもしれないこの時期、ジャニーズ事務所はくだらない面子に重きを置いてしまっているのかも知れない。

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