2005/02/15 東京竹橋「科学技術館サイエンスホール」で「エターナル・サンシャイン」の試写を観た。

バレンタイン・デー直前のある朝、ジョエル・バリッシュ(ジム・キャリー)は会社に行く代わりに、季節外れで閑散とした海へと向かった。
寒々とした海岸でジョエルはクレメンタイン・クルシェンスキー(ケイト・ウィンスレット)と偶然出会う。
帰りの列車の中で会話を交わすうちに、ジュエルとクレルンタインは打ち解けていくが・・・・。

監督・原案:ミシェル・ゴンドリー
脚本:チャーリー・カウフマン
出演:ジム・キャリー(ジョエル・バリッシュ)、ケイト・ウィンスレット(クレメンタイン・クルシェンスキー)、キルスティン・ダンスト(メアリー)、マーク・ラファロ(スタン)、イライジャ・ウッド(パトリック)、トム・ウィルキンソン(Dr.ハワード・ミュージワック)

はっきり言って最高である。
本作「エターナル・サンシャイン」は精神世界の冒険と運命、そして愛を見事に描いた素晴らしい傑作である。
笑いながら、気が付いたら泣かされてしまう上に、トリッキーな脚本に翻弄されてしまう、楽しい楽しい時間が過ごせるのだ。

チャーリー・カウフマンの脚本はトリッキーで伏線に満ち、また言葉遊びに満ち満ちた、楽しくて楽しくて仕方が無い脚本に仕上がっている。

その脚本を具現化する美術(ダン・リー)も素晴らしいし、ファンタジックなシークエンスとトリッキーな脚本を具現化する特殊効果と演出も素晴らしい。

キャストは何と言ってもジム・キャリーとケイト・ウィンスレットが凄い。二人とも、最高に魅力的で最高に輝いている。
本作はおそらく二人の代表作に数えられる種類の作品なのだろう。

何を書いてもネタバレになってしまうので、こんな感じで失礼します。
公開後、きちんとレビューしたいと思います。

とにかく、事前の情報をシャットアウトした状態で、公開日に劇場にゴー!なのだ。

☆☆☆☆★ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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2005/02/09 東京新宿「テアトルタイムズスクエア」で「ベルヴィル・ランデブー」を観た。

戦後まもないフランス。
内気で友達もできない孫のシャンピオンを不憫に思ったおばあちゃんは、テレビセットやピアノ、おもちゃの列車、ブルーノという名前の子犬など、色々なものを買い与えたが、シャンピオンにとって興味を示すものはなかった。
そんなある日のこと、おばあちゃんは、偶然シャンピオンが有名な自転車選手の写真をスクラップしていることを知り、早速三輪車をプレゼントすると、シャンピオンは今までに見たこともないようないきいきとした顔で、嬉しそうに三輪車に夢中になっていった。
そんなシャンピオンのために、おばあちゃんは来る日も来る日も厳しいトレーニングを見守り、いつしか世界最高峰の自転車競技の祭典、ツール・ド・フランスに参加するまでに育て上げた。

しかし、レースの最中に思わぬ事件が起こる。
首位グループから離されたシャンピオンと他の選手2名が、救護車になりすました謎のマフィアに誘拐されてしまったのだ・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督・脚本・絵コンテ・グラフィックデザイン:シルヴァン・ショメ

本作「ベルヴィル・ランデブー」は、日本やハリウッドのアニメーション映画とは比較できないほどの強烈な個性と独自の作家性を持つ、素晴らしいアニメーション作品に仕上がっている。

本作のアニメーション・キャラクターの絵柄からの印象は「101匹わんちゃん」や初期の短編映画時代のディズニー作品を彷彿とさせるのだが、物語の方向性はシニカルで無軌道。どこに連れて行ってくれるのかわからないスリリングな展開が楽しめる。

勿論、一般の観客が物語を楽しめる程度のストーリーは付いているものの、セリフはほとんど皆無。映像と音楽だけでストーリーやキャラクターの性格や情感を物語る手腕には驚くべきものがある。
ただ単に絵が動いているだけで楽しいと言う、ある意味のアニメーションの原点を見る思いがした。

そしてそれは、全くと言って良いほどセリフがない作品だと言うのに、全く飽きが来ないのも、シルヴァン・ショメの構築した卓越した世界観と、生き生きとし、確固たる個性や自我を持ったキャラクターたちによるところが大きいと思う。
しかし、それら独創的なキャラクターは何も喋らず、行動のみで自らの情感や性格を表現している訳なのだ。

しかも、それを俳優の演技ではなく、アニメーションでやってしまっているのだから、驚きを禁じえない。
喋らないのくせに素晴らしくも魅力的に見えてしまうキャラクターの演出力に脱帽なのだ。

また演出的には、作品として考えた場合、若干のもたつきはあるものの、キャラクターの些細な行動(例えば釣りのシークエンスのような)のマニアックな理由付けとそれを描写する演出コンセプトと発想が大変素晴らしい。
正にセンス・オブ・ワンダーなのだ。

そしてそのキャラクターの造形は、前述のようにディズニーの初期の短編映画に登場する擬人化された動物たちの造形の系統を汲むようなデザインで、動きもその時代の漫画映画的な動きが楽しめる。
と同時に、CGIでモデリングされた事物が、描きこまれた背景に融和した状態で動き回るさまも楽しめるのである。

また音楽も素晴らしい。
何がどう素晴らしいのか言葉で説明するのは難しいのだが、所謂ジプシー・ジャズのテイストが楽しくも悲しい。

とにかく本作「ベルヴィル・ランデブー」は、「ハウルの動く城」と「Mr.インクレディブル」に対抗しうる、フランスの素晴らしいアニメーション映画なのだ。

☆☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)2005/02/12号
をお届けします。
 
 
■「映画レビュー・インデックス」
http://homepage3.nifty.com/~tkr/ture/openindex.htm
 
 
■公開中
2005/02/11公開作品
「ボーン・スプレマシー」http://diarynote.jp/d/29346/20050119.html
「THE JUON / 呪怨」http://diarynote.jp/d/29346/20050202.html

2005/01/29公開作品
「Ray/レイ」http://diarynote.jp/d/29346/20050126.html
「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」
http://diarynote.jp/d/29346/20050128.html

2005/01/22公開作品
「パッチギ」http://diarynote.jp/d/29346/20050113.html
 
 
■週末興収ベストテン
2005/02/05-06 興収ベストテン
1.「オペラ座の怪人」(ギャガ=ヒューマックス)
2.「オーシャンズ12」(ワーナー)
3.「着信アリ2」(東宝)
4.「アレキサンダー」(松竹=ヘラルド)
5.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
6.「北の零年」(東映)http://diarynote.jp/d/29346/20050105.html
7.「きみに読む物語」(ギャガ=ヒューマックス)
8.「東京タワー」(東宝)
9.「テニスの王子様 二人のサムライ The First Game」(松竹)
10.「ネバーランド」(東芝エンタテインメント)
http://diarynote.jp/d/29346/20041206.html
 
 
■公開間近
2005/02/19公開作品
「アイ・アム・デビッド」http://diarynote.jp/d/29346/20050118.html

「鉄人28号」http://diarynote.jp/d/29346/20041019.html
「カナリア」http://diarynote.jp/d/29346/20041123.html
 
 
良いのか悪いのかわかりませんが、現在公開中の作品は大作映画ばかりですね。
多くの人々は多分こんな大作映画を観たいと思うのでしょうが、わたし的には「オペラ座の怪人」にしろ、「オーシャンズ12」にしろ「アレキサンダー」にしろ、ほとんど食指が動かない状況です。
「オペラ座の怪人」は招待券を貰ったので多分行くと思うのですが・・・・。

また例によって言い訳ですが、冬季間はスキー中心のスケジュールが立ってしまうため、映画に割ける時間が少なく、映画が観れないと言う困った状況が続いています。

その週の興収ベストテンに入っている10本の作品のうち、3本しか観ていない状況は、週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)を始めてから、初めての琴田と思います。

因みにスキーの予定ですが、02/11〜02/13は福島へ、02/19〜02/20は八方へ行く予定です。

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わたしは「文春きいちご賞」と言う賞の設立背景は知らないし、肝心の掲載誌も読んではいない。
誰がどんな基準で「文春きいちご賞」対象作品を選出しているのかも知らないし、どのような規準で受賞作品を決定しているのかも知らない。

しかし、「文春きいちご賞」と言う賞の名称を聞いて驚いた。
これは何かのジョークのつもりなのだろうか?
 
 
わたしの記憶が確かならば・・・・

1977年
日本テレビで、プライムタイムのロードショー番組のホストを務めていた水野晴郎が、日本映画評論家界の重鎮淀川長治を訪ねた。

水野晴郎は、「日本アカデミー賞」の設立について、かの淀川長治の協力をとりつける腹積もりだったのだ。
因みにこの「日本アカデミー賞」は水野晴郎等の発案の下、日本テレビ等が協力して設立された賞である。
 
それに対して淀川長治は「日本独自の賞を設立するのなら協力は惜しまないが、アメリカの賞の名前を借りたモノマネの賞を設立するのならば一切協力できない」と突っぱねたそうである。

淀川さん、あんた最高に格好良いぜ!

そもそも「アカデミー賞」とは何ぞや、と言う話なのだが、「アカデミー賞」とは現在のアメリカで最も権威があるとされる映画賞で、「映画芸術科学アカデミー協会("The Academy of Motion Picture Arts and Sciences")」の所属会員の投票により、毎年1回決定される賞のことなのだ。

つまり、勿論あたり前のことなのだが、「アカデミー賞」は、「映画芸術科学アカデミー協会」ありきの賞なのだ。

ところが、日本では、「日本アカデミー賞」と言う名称の賞をつくるために「日本アカデミー賞協会」が出来ちゃった訳なのだ。

なお、この「日本アカデミー賞協会」の目的は次の通り。

「 日本アカデミー賞協会の目的」
当協会は、わが国の映画芸術、技術、科学の向上発展のために日本アカデミー賞を設け、その年度の該当者に栄誉を与えると共に、本会の行う諸事業を通じて、会員相互の親睦ならびに海外映画人との交流を計り、もってわが国映画界の振興に寄与することを目的とする。
(「日本アカデミー賞」オフィシャル・サイトより引用)

正に本末転倒なのだ。
 
 
さて、本題の「文春きいちご賞」だが、先ずは「きいちご」とは何ぞや、と言う話だが、「大辞林 第二版(三省堂)」によると次の通りである。

きいちご【木苺/木莓】
(1)バラ科の落葉低木。やや乾いた山野に自生し、全体にとげがある。葉は広卵形で掌状に五裂。花は白色の五弁花。果実は球形の集合果で、初夏、黄色に熟す。モミジイチゴ。アワイチゴ。[季]夏。〔「木苺の花」は [季]春〕

(2)バラ科キイチゴ属の植物の総称。果実は黄色ないし紅色に熟し、生食のほかジャムなどにする。キイチゴ・ベニバナイチゴ・カジイチゴ・ラズベリーなど。

でこの「きいちご」を英訳すると"raspberry"になってしまう、と言う訳なのである。

ついでにこの"raspberry"だが、俗語ではこんな意味を持っている。

〔俗〕 唇の間で舌を震わせて出す音, ブー, ベー ((異議・軽べつなどを示す))

所謂ブーイング、と言う奴である。
余談だが、日本人はブーイングと言うと「ブー」とか言う言葉を発声しているが、本来のブーイングは舌を震わせて音を出す、言わば吹奏楽的な音なのだ。

ここで考えなければならないのは、「ゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)」の存在である。

じゃあ、その「ゴールデン・ラズベリー賞」とは一体何だろう。

「ゴールデン・ラズベリー賞」
毎年「アカデミー賞」の行方で盛り上がっている「アカデミー賞授賞式」前夜、ハリウッドのルーズヴェルト・ホテルで開催される、その年最低の映画を決めるという冗談半分に設定された映画賞。
同賞はハリウッドで映画の宣伝、広告を行っていたジョン・ウィルソンが考案したもので、世界8ヶ国の評論家やジャーナリストなど、ゴールデンラズベリー賞財団の500人ものメンバーによって決定される。受賞者には8mmフィルム缶の上に金色のラズベリーをかたどったトロフィー(手製で時価、約4ドル27セント)が授与されるが、受け取りに来る人は滅多にいない(「ショーガール」でポール・ヴァーホーヴェンが受け取りに現れて大絶賛を浴びたという異例もあった)。
(allcinema ONLINE より引用)

ポール・ヴァーホーヴェンさんよ、あんた、わかってるね!

「ゴールデン・ラズベリー賞」
『「ラズベリー」の名称は、英語で、舌を唇の間に置いて吹いて鳴らすことで人を侮辱する音であることに由来する。またニックネーム、ショートネームでもある「ラジー」は、「ラズベリー」と、アメリカの言葉で、からかう、侮辱する、無礼を働くという意味を持つ俗語の「razz」の両方に由来する。そして「RAZZIE」の語尾は「E」音を伴い、その他の各種賞(エミー賞、グラミー賞、トニー賞など)に似ているため。』
(はてなダイアリー より引用)

まあ、説明する必要もないと思うのだが、「文春きいちご賞」は「日本アカデミー賞」と同様に、アメリカ映画界の著名な賞である「ゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)」のモノマネで、程度の低いパロディなのだ。

とは言うものの、「文春きいちご賞」の意義は、日本映画界の現状と将来を考えた場合、孤高でかつ崇高、大変意義のあるものなのだと言える。
しかしながら、いくろ孤高で真摯な精神を持っているとは言え、日本文化の中で、何の意味もない「きいちご」を賞の名称に使ってしまったところで、その崇高な精神は地に落ちてしまうのだ。
正にこれは物事を面白半分にちゃかし、真摯に対応しようともしなし、日本のマスコミの悪い癖だと思うのだ。

わたしは「日本アカデミー賞」にしろ「文春きいちご賞」にしろ、故淀川長治がかつて言ったように「日本独自の賞」の設立を切に願うのだ。

余談だが、今回の「文春きいちご賞」だが、ただの「きいちご賞」ではなく、「文春きいちご賞」と「文春」を付けたことは評価できると思う。


※ 相互リンク先の
「ほぼ日本映画専門サイト『キネマの星座』〜血煙映画街道〜」
http://diarynote.jp/d/28556/
のまぐれさんより、「日本アカデミー賞」設立について、情報をいただきました。

「日本アカデミー賞」の起案者は東映の岡田茂で、それに日本テレビがのった、というかたちになっているそうです。

なお、水野晴郎のオフィシャル・サイトの水野晴郎の略歴には、次の表記があります。

(水野晴郎は)日本アカデミー賞、ゴールデン・グロス賞、日本映画批評家大賞の発案者であり、また実行者でもあって、日本映画の発展に全力をあげている。


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2005/02/05 今シーズンのべ7日目のスキーは「車山高原SKY PARK」だった。

今回のスキーの企画は、先シーズンに購入した車用のスタッドレスを、1月に購入したわたしの、とりあえず雪道を走りたい、と言うコンセプトを基に企画したものでだった。そして、とある事情で中央自動車道で行き先を決める必要があり、中央自動車道で比較的近場で道路に雪があるスキー場を選んだ訳である。

諏訪ICで中央自動車道を降りたわたし達は、スキー場まで「ビーナスライン」と言う道路を通ったのだが、この「ビーナスライン」は、霧ケ峰や車山を通る道路で、景色が素晴らしい。
当日は天候もよく、絶景を楽しみつつ、スタッドレスの性能を試しているうちに「車山高原SKY PARK」に到着するが、客が多くわたしの車は第四駐車場にとめることになった。

スキー場は比較的大きいのだが、コースが比較的短く、リフトを間引きし、しかもゆっくり運行していたため、ゲレンデの人の数と比較してリフト待ちが長い印象を受けた。

天候は晴れ、しかしスキー場の天辺付近は強風が吹き、天候のわりに体感気温は非常に低かった。

ゲレンデは、比較的フラットなコースが多く、カービングの練習に最適なスキー場だった。

またボーダークロスやスキークロスが楽しめる「車山クロスコース」を一般に開放していたため、非常に楽しめた。

そんな「車山クロスコース」だが、被写体と同時に滑りながらビデオ撮影ができるわたし的には、ビデオ作品の製作意欲をかきたてられる素晴らしいコースであった。機会があれば、4〜5人でスキークロスさながらに追いかけっこをする人たちを撮影してみたいものなのだ。

白樺湖の日帰り温泉により、帰途についたわたし達は「赤羽二郎」で食事をして、お開きだったのだ。
 
 
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週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)2005/02/05号
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■「映画レビュー・インデックス」
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■公開中
2005/01/29公開作品
「Ray/レイ」http://diarynote.jp/d/29346/20050126.html
「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」
http://diarynote.jp/d/29346/20050128.html

2005/01/22公開作品
「パッチギ」http://diarynote.jp/d/29346/20050113.html

2005/01/15公開作品
「北の零年」http://diarynote.jp/d/29346/20050105.html
「ネバーランド」http://diarynote.jp/d/29346/20041206.html
 
 
■週末興収ベストテン
2005/01/29-30 興収ベストテン
1.「オーシャンズ12」(ワーナー)
2.「オペラ座の怪人」(ギャガ=ヒューマックス)
3.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
4.「北の零年」(東映)http://diarynote.jp/d/29346/20050105.html
5.「東京タワー」(東宝)
6.「テニスの王子様 二人のサムライ The First Game」(松竹)
7.「ターミナル」(UIP)http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
8.「Mr.インクレディブル」(ブエナビスタ)
http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
9.「ネバーランド」(東芝エンタテインメント)
http://diarynote.jp/d/29346/20041206.html
10.「カンフーハッスル」(ソニー)http://diarynote.jp/d/29346/20041124.html
 
■公開間近
2005/02/11公開作品
「ボーン・スプレマシー」http://diarynote.jp/d/29346/20050119.html
「THE JUON / 呪怨」http://diarynote.jp/d/29346/20050202.html

2005/02/19公開作品
「アイ・アム・デビッド」http://diarynote.jp/d/29346/20050118.html

「鉄人28号」http://diarynote.jp/d/29346/20041019.html
「カナリア」http://diarynote.jp/d/29346/20041123.html
 
来週からは、「東京国際映画祭2004」でチケットが取れなかった「大統領の理髪師」なんかも公開されますが、ここしばらく、2004年秋の各映画祭で上映された作品の公開ラッシュが続いています。
考ええるに、映画祭での上映は公開に2〜4ケ月位先駆けた上映だったのだなぁと思う反面、映画祭で上映されたものの、公開の噂すら聞かない作品が多々あります。
世界中から素晴らしい作品を集めたハズの国際映画祭なんですから、上映作品の多くを日本国内で公開できる時代になって欲しいな、と思う次第です。
 
言い訳ですが、冬季間はスキー中心のスケジュールが立ってしまうため、映画に割ける時間が少なく、映画が観れないと言う困った状況が続いています。

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話題のクイーン+ポール・ロジャースのライヴとインタビューの映像がリアルガイドで独占公開された。

http://realguide.jp.real.com/ram/realnews/135/135_2_hi.ram

ライヴは「ウィ・ウィル・ロック・ユー」、「伝説のチャンピオン」等を演奏する映像で、マイクスタンドをもてあそぶポール・ロジャースとブライアン・メイ、ロジャー・テイラーが楽しげに演奏している。

インタビュー映像も同様にポール・ロジャースとブライアン・メイ、ロジャー・テイラーが今回のセッションとツアーについて語っている。

ところで、ジョン・ディーコンはどうしたんだ?

ペプシのCF(CM)にもジョン・ディーコンは出てこなかったし、クイーンと名乗りつつ、実際はブライアン・メイとロジャー・テイラーだけなのかな。

関心がある方は見て損はないと思うが、往年のクイーンファンにはオススメできないかも。

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2005/01/31 東京京橋「映画美学校試写室」で「THE JUON / 呪怨」の試写を観た。

東京の国際大学で福祉を学ぶカレン(サラ・ミシェル・ゲラー)は、同じ大学に通う恋人ダグ(ジェイソン・ベア)とともに、目にするものすべてが新鮮な日本での暮らしを楽しんでいた。

ビジネスマンのマシュー(ウィリアム・メイポーザー)は妻のジェニファー(クレア・デュヴァル)、軽度の痴呆がある母親エマ(グレイス・ザブリスキー)を連れて日本の企業に赴任してくる。彼らは郊外に日本建築の一軒家を借りて新生活をスタートするが、ジェニファーは右も左もわからない日本での暮らしと慣れない介護に悩みを抱えている。

ある日、カレンは授業の一環としてマシューの家にエマの状態を看に行くことになる。たった一人で介護に行く事に不安を感じたが、英語ができる人間が他にいない、と言われ、しぶしぶ承諾して地図を片手に電車に乗り込む。道に迷いながらもなんとか郊外の一軒家に辿り着いたが、声をかけても誰の返事もない。カレンが恐る恐る中に入っていくと・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:清水崇
出演:サラ・ミシェル・ゲラー(カレン)、ジェイソン・ベア(ダグ)、ウィリアム・メイポーザー(マシュー)、クレア・デュヴァル(ジェニファー)、ケイディー・ストリックランド(スーザン)、グレイス・ザブリスキー(エマ)、ビル・プルマン(ピーター)、ローザ・ブラシ(マリア)、テッド・ライミ(アレックス)、石橋凌(中川刑事)、真木よう子(洋子)、尾関優哉(佐伯俊雄)、藤貴子(佐伯伽椰子)、松山鷹志(佐伯剛雄)、松永博史(五十嵐刑事)、おかやまはじめ(不動産屋鈴木)、森下能幸(警備員)

わたしは所謂ジャパニーズ・ホラーと呼ばれる作品をあまり熱心には観ていない。なぜかと言うとジャパニーズ・ホラーは怖いからである。ホラー映画の肝は怖い事なのだから、怖いから観ない、と言うこと自体おかしな話なのだが、実際そういう状況なのだから仕方がないのだ。

わたしはそんな状況の中、ハリウッド産ジャパニーズ・ホラー「THE JUON / 呪怨」を観た訳である。

はっきり言って「THE JUON / 呪怨」は大変興味深いホラー映画に仕上がっていた。勿論怖いし面白いのだ。

とは言うものの、本作はジャパニーズ・ホラーの文法に見事に従っているため、本作をひとつの作品として考えると、「THE JUON / 呪怨」はジャパニーズ・ホラー作品と言うよりは、メタ・ジャパニーズ・ホラー作品と言う印象を受ける。

そんなジャパニーズ・ホラー文法に従った本作は、日本人観客の想像通りに物語が運び、本来ならば観客を戦慄させるべくツボを押さえて登場する俊雄(尾関優哉)や伽椰子(藤貴子)の期待通りの登場に笑いが起きることもしばしばである。
これは感覚的に歌舞伎の見得を楽しむ感覚に近いかも知れない。

とは言っても満を持して登場する俊雄や伽椰子には戦慄を覚えるし、はっきり言って怖い。

脚本は、セリフで全てを語ってしまうような陳腐なものではなく、行間が楽しめる、いわば脳内で補完が必要な楽しい脚本に仕上がっているし、本作の特徴にもなっている時制をほぐした構成は見事だと思う。
方向性は異なるが時制がジャンプする瞬間はスタンリー・キューブリックの「現金に体を張れ」を髣髴とさせるし、その時制がジャンプしたそれぞれのシークエンスの重なり具合はクエンティン・タランティーノの「ジャッキー・ブラウン」のシークエンスの重なり具合にも似ている。

またオープニング・クレジットも黒髪をフィーチャーしたおどろおどろしいものに仕上がっており、これから起こる出来事を暗喩する素晴らしいものだった。

キャストは先ず、主人公カレンを演じたサラ・ミシェル・ゲラーだが、従来からのティーンのアイドルというスタンスからの脱却を図る上でも本作は意味がある作品だったような気がする。
彼女はキュートでセクシーなアイドル女優からの脱却を図る時期をむかえていたのにも関わらず、最近は「スクービー・ドゥー」シリーズにしか出番がない状況だったのだが、本作「THE JUON / 呪怨」を経て、アイドル女優からの脱却を図り、新たなフィールドでの活躍を期待してしまう。

また、印象的なのは、軽度の痴呆があるエマを演じたグレイス・ザブリスキーである。ホラー映画においての痴呆の描き方としては本作のエマは大変素晴らしい。ある種人間の持つ恐怖心を痴呆を持って超越した素晴らしいキャラクターと言えるだろう。
表情や仕草が大変素晴らしいのだ。

あとは中川刑事役の石橋凌も含みがあって良いキャラクターを演じている。極限状態の中で、組織ではなく自らの意志で行動を起こす孤高な存在なのだ。

あとはなんと言っても尾関優哉(俊雄)と藤貴子(伽椰子)だろう。本作の成功はこの二人の俳優の存在感や表情に由る部分が多いだろう。

美術(斎藤岩男)は日本の文化を正確に海外に発信することに成功しているし、撮影( 山本英夫、ルーカス・エトリン)も陰鬱な日本の風土を見事に表現し、ハリウッド・ホラーと一味違う雰囲気を醸し出す事に成功している。

演出はさすがに「呪怨」シリーズを5本も製作している清水崇だけに全く危なげはなく、観客の期待通りの順当な演出が行われている。
しかしジャパニーズ・ホラーの文法を解する日本人にとっては、最早手垢のついた演出スタイルであることは否めないような印象を受けるが、その辺はワールド・ワイドな戦略と考え不問としたい。

とにかく、本作「THE JUON / 呪怨」は「ザ・リング」と異なり日本人監督がメガホンを取った、記憶すべきハリウッド産ジャパニーズ・ホラーだと言えるし、作品自体も評価できるホラーの傑作と言えるのだ。
この冬、ホラーを見るならば最高にオススメの一本なのだ。
 
 
☆☆☆★ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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さて、早速ですが2005年の目標の中間発表その1です。

とりあえず目標の再確認を・・・・

目標第一弾 「映画を300本観るぞ!!」(DVD等含む)
目標第二弾 「本を100冊読むぞ!!」
 
 
1.映画

#001「ポーラー・エクスプレス<3Dバージョン>」メルシャン品川アイマックスシアター 2005/01/01
#002「北の零年」東映試写室 2005/01/05
#003「パッチギ!」一ツ橋ホール 2005/01/13
#004「アイ・アム・デビッド」東商ホール 2005/01/17
#005「ボーン・スプレマシー」東商ホール 2005/01/19
#006「Ray<レイ>」九段会館 2005/01/24
#007「THE JUON/呪怨」映画美学校試写室 2005/01/31
 
 
2.DVD、CATV等

#001「ライブイン茅ヶ崎」HDD 2005/01/06
#002「映画」HDD 2005/01/06
#003「12人の優しい日本人」CATV 2005/01/12
#004「1980」CATV 2005/01/13
#005「コルドロン」CATV 2005/01/14
#006「ラヂオの時間」CATV 2005/01/14
#007「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 SEE」DVD 2005/01/23
#008「遠近術」HDD 2005/01/25
#009「キル・ビル」DVD 2005/01/26
#010「キル・ビル Vol.2」DVD 2005/01/27
#011「シュレック」DVD 2005/01/28
#012「シュレック2」DVD 2005/01/29
#013「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」CATV 2005/01/30
#014「シャレード(2002年版)」CATV 2005/01/30
 
 
3.読書

#001「松本清張傑作短篇コレクション(上)」松本清張著 文春文庫 2005/01/05
#002「共犯者」松本清張著 新潮文庫 2005/01/15
#003「トリポッド 1襲来」ジョン・クリストファー著 中原尚哉訳 ハヤカワ文庫 2005/01/19
#004「トリポッド 2脱出」ジョン・クリストファー著 中原尚哉訳 ハヤカワ文庫 2005/01/24

映画は、劇場7本、DVD等14本で、計21本。
このままのペースで、年間252本(劇場84本)です。

読書は4冊で、このままのペースでは、年間48冊です。

1月はスキー三昧で休日は劇場に行けない、と言う状況が続き、「2005年の目標」的には厳しい状況です。
厳しい状況とは言え、映画についてはおそらく問題ないと思うのですが、読書については、先が思いやられる状況で、不安が一杯です。

まあ、先は長いですが頑張ります。

参考)昨年同時期の状況
映画18本(うち劇場4本)
読書05冊

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2005/01/29 群馬県吾妻郡嬬恋村「パルコール嬬恋スキーリゾート」に行って来た。

「雪遊びがしたい」と言うMTB(マウンテンバイク)仲間の一言でスキーに行く事になった。

わたしは今シーズンのべ6日目のスキーだったのだが、今回の企画には、今シーズンの初滑りのメンバーや、新しいスキーの初滑りのメンバーもいた関係で、テクニカルなカキー場ではなく、素直なゲレンデ・レイアウトが楽しめる「パルコール嬬恋スキーリゾート」に行く事になった。

このスキー場は、関東近県では比較的標高が高いスキー場で、今シーズンからはなんと二つのスキー場が合併し関東圏では大型のスキー場に生まれ変わった訳なのだ。

因みに標高が高いと言う事は、勿論雪が降りやすいのだが、遮る山々がない関係で風が吹きやすいスキー場とも言え、ちょっと強い風が吹くと簡単にゴンドラやリフトが止まってしまうという難点を持っているのだが、反面コースは比較的素直なロング・コースが楽しめ、カービングの練習にはもってこいな感じのスキー場なのだ。

と言うわけでわたしは終日カービングの練習を行った。
風が強く一時的にゴンドラやリフトの運転が止まったりしたが、トータル的には非常に楽しいスキーだったのだ。
 
 
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週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)2005/01/29号
をお届けします。
 
 
■「映画レビュー・インデックス」
http://homepage3.nifty.com/~tkr/ture/openindex.htm
 
 
■公開中
2005/01/29公開作品
「Ray/レイ」http://diarynote.jp/d/29346/20050126.html
「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」
http://diarynote.jp/d/29346/20050128.html

2005/01/22公開作品
「パッチギ」http://diarynote.jp/d/29346/20050113.html

2005/01/15公開作品
「北の零年」http://diarynote.jp/d/29346/20050105.html
「ネバーランド」http://diarynote.jp/d/29346/20041206.html
 
 
■週末興収ベストテン
2005/01/22-23 興収ベストテン
1.「オーシャンズ12」(ワーナー)
2.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
3.「北の零年」(東映)http://diarynote.jp/d/29346/20050105.html
4.「東京タワー」(東宝)
5.「カンフーハッスル」(ソニー)http://diarynote.jp/d/29346/20041124.html
6.「ターミナル」(UIP)http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
7.「Mr.インクレディブル」(ブエナビスタ)
http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
8.「ネバーランド」(東芝エンタテインメント)
http://diarynote.jp/d/29346/20041206.html
9.「パッチギ!」(シネカノン)http://diarynote.jp/d/29346/20050113.html
10.「エイリアンVS.プレデター」(FOX)
 
 
■公開間近
「ボーン・スプレマシー」http://diarynote.jp/d/29346/20050119.html
「鉄人28号」http://diarynote.jp/d/29346/20041019.html
「カナリア」http://diarynote.jp/d/29346/20041123.html
 
 
冬季間はスキー中心のスケジュールが立ってしまうため、映画に割ける時間が少なく、映画が観れないと言う困った状況が続いています。

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2004/10/24 東京六本木「VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ SCREEN 7」
「第17回東京国際映画祭」特別招待作品「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」を観た。

1950年代初頭のロンドン。BBCラジオのコメディ番組「グーン・ショー」は世相を風刺する過激なスタイルで人気を集めていた。番組を支える役者のピーター・セラーズ(ジェフリー・ラッシュ)は現状に満足せず映画界への進出を考えているが、オーディションでは「ハンサムじゃない」「ラジオに専念すべき」と言われ続ける毎日。私生活では妻アン(エミリー・ワトソン)と二人の子供、父ビル(ピーター・ヴォーン)、そしてピーターを溺愛する母ペグ(ミリアム・マーゴリーズ)とささやかに暮らしている。自分も舞台芸人だったペグは「チャンスは自分の手でもぎ取るのよ」と励まし、ピーターは老人に扮装して映画のオーディションに望むが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:スティーヴン・ホプキンス
出演:ジェフリー・ラッシュ(ピーター・セラーズ)、シャーリーズ・セロン(ブリット・エクランド)、エミリー・ワトソン(アン・セラーズ)、ジョン・リスゴー(ブレイク・エドワーズ)、ミリアム・マーゴリーズ(ペグ・セラーズ)、スティーヴン・フライ(モーリス・ウッドラフ/占い師)、スタンリー・トゥッチ(スタンリー・キューブリック)、ピーター・ヴォーン(ビル・セラーズ)、ソニア・アキーノ(ソフィア・ローレン)

本作「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」は、イギリスの天才的喜劇俳優ピーター・セラーズの波乱に満ちた生涯を描いた伝記映画である。

先ずはピーター・セラーズを演じたジェフリー・ラッシュの芸達者振りに驚愕である。
先日レビューした「Ray/レイ」のジェイミー・フォックスにも驚かされたが、ジェフリー・ラッシュは確実にその上を行っているのではないだろうか。
と言うのも、ジェフリー・ラッシュはピーター・セラーズを演じるだけではなく、ピーター・セラーズが演じた映画史に残る様々な役柄をも演じているのである。

例えば「ピンクパンサー」シリーズのジャック・クルーゾー警部をはじめとして、「博士の異常な愛情」の3+1役(驚いた事に、本作には本編でスリム・ピケンズが演じたコング大佐の姿でも登場する)や、「007/カジノ・ロワイヤル」のイヴリン・トレンブル、「チャンス」のチャンスまで、様々な役柄をそれぞれの映画そっくりに演じきっている。
また、作品の演出上構成上の理由で、他のキャストが演じたいくつもの役柄の演技まで披露するサービス振りには、本当に驚かされる。それを含めると本作でジェフリー・ラッシュは都合15役以上の役柄を演じていてるのだ。

本作の演出上の構成は、
1.ピーター・セラーズ本人の家族との生活の描写
2.ピーター・セラーズが映画で演じた役柄の再現
3.ピーター・セラーズが演じた役柄と家族との生活の描写
4.家族らの心の声を家族らの姿で演じるジェフリー・ラッシュ
これらの部分の積み重ねによる。

3と4を描く事が本作の意欲的な部分だと理解は出来るのだが、この手法は映画の持つ魔法の力を減衰させ、また楽屋オチ的な印象をも観客に与えてしまうきらいが否定できない。

勿論、この部分がピーター・セラーズの俳優としての百面相振りを描きつつ、実際のところは「百の顔を持ってはいるが、実際は自分の顔がない男」を描写している訳だが、前述のような問題点が感じられ、手法としては釈然としない気分である。

脚本としては、邦題に「ピーター・セラーズの愛し方」と銘打っているにも関わらず、家庭をかえりみず芸に打ち込む人物としてピーター・セラーズが描かれている。
ピーター・セラーズの良い部分も悪い部分も平等に描く、と言うスタンスは評価できるのだが、邦題から得られる印象とベクトルが異なる内容には、釈然としない部分を感じる。

他のキャストとしては、話題性から言うと シャーリーズ・セロン(ブリット・エクランド)がなのだが、エミリー・ワトソン(アン・セラーズ)やジョン・リスゴー(ブレイク・エドワーズ)、ミリアム・マーゴリーズ(ペグ・セラーズ)等が良い味を出していた。

特に私生活ではエミリー・ワトソンとの、俳優としての生活ではジョン・リスゴーとのからみが、本作の根底をなしている関係で、エミリー・ワトソンにしろジョン・リスゴーにしろ、美味しい役柄だったのではないか、と思える。
またミリアム・マーゴリーズは観客に強烈な印象を与える事に成功している。

本作自体は、コンセプトはともかく、演出手法において意欲的な作品だとは思うのだが、その手法がコメディとシリアスなドラマとの微妙なバランスを保っているのだが、ともすれば悪ふざけが過ぎる印象を観客に与えてしまう可能性を否定できない。

とにかく、本作は天才喜劇俳優ピーター・セラーズが乗り移ったようなジェフリー・ラッシュの怪演が十二分に楽しめる上に、ピーター・セラーズの波乱に満ちた人生を追体験出来、更にかつてのピーター・セラーズ作品への郷愁と新たな観客層の獲得を約束できる素晴らしい作品に仕上がっている。

本作「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」は、この冬「Ray/レイ」と共に俳優の名人芸を楽しめる伝映画なのだ。

☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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「Ray/レイ」

2005年1月26日 映画
2005/01/24 東京九段下「九段会館」で「Ray/レイ」の試写を観た。

監督:テイラー・ハックフォード
出演:ジェイミー・フォックス(レイ・チャールズ)、ケリー・ワシントン(デラ・ビー・ロビンソン)、クリフトン・パウエル(ジェフ・ブラウン)、ハリー・レニックス(ジョー・アダムス)、リチャード・シフ(ジェリー・ウェクスラー)、アーンジャニュー・エリス(メアリー・アン・フィッシャー)、シャロン・ウォーレン(アレサ・ロビンソン)、カーティス・アームストロング(アーメット・アーティガン)、レジーナ・キング(マージー・ヘンドリックス)
 
 
本作「Ray/レイ」は、2004年急逝した実在のミュージシャンであるレイ・チャールズの所謂伝記映画である。
実在のミュージシャンを描いた伝記映画は何本もあるが、わたし的にはオリバー・ストーンの「ドアーズ」にも匹敵する素晴らしい音楽映画に仕上がっている、と感じた。

先ずは、レイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスのそっくりさ加減に驚きである。まるで若き日のレイ・チャールズがそのまま演じているかのような印象を受ける。
前述の「ドアーズ」でジム・モリソンを演じたヴァル・キルマーのそっくり加減にも驚いたが、本作のジェイミー・フォックスのレイ・チャールズは、ヴァル・キルマーに勝るとも劣らない素晴らしい出来である。

わたしは、映画に関する情報を出来るだけシャットアウトした状態で映画を観るようにしているし、パンフレット等も買わないし読まないので、ジェイミー・フォックスが実際に演奏したり歌っているかどうかは知らないのだが、エンド・クレジットを読む限り、ジェイミー・フォックス自身が演奏し、歌っている曲が何曲もあったようである。
この辺も含めてヴァル・キルマーも吃驚と言える所以であろう。

また、音楽映画ならば当然といえば当然なのだが、本作に挿入される珠玉の名曲も言うまでも無く素晴らしく、印象的な楽曲をモチーフとしたシークエンスの目白押しである。
例えばファースト・カットならぬファースト・ノートひとつでわたし達音楽ファンは、唸らされてしまうと同時に、映画にのめり込んでしまうし、レイ・チャールズとマージー・ヘンドリックス(レジーナ・キング)がヴォーカルの応酬をする「ヒット・ザ・ロード・ジャック」なんかは感涙ものである。
また、「ホワッド・アイ・セイ」が生まれる歴史的瞬間にも立ち会える。これは「ドアーズ」で描かれた「ハートに火をつけて」が生まれる瞬間を描いたシークエンスをも髣髴とさせる。

本作はなんと、152分と言う長尺の作品だが、レイ・チャールズの音楽を聴き、そしてレイ・チャールズの波乱に満ちた人生を再体験しているだけで、あっと言う間に時が過ぎてしまう印象を受け、長尺も気にならない作品に仕上がっている点も素晴らしい。

ところで、伝記的音楽映画の弱点は、その時代毎のエピソードを語る際、必然的に散文的にならざるを得ない、と言う点が挙げられる。

例えば、
「19XX年 地名」
と言う字幕の登場頻度が高ければ、作品はより散文的になり、否応無く観客は、夢の世界から現実世界へと近づいてしまう。
本作でもやはり、特に駆け足で語られる後半部分にその傾向が強く、残念な印象を受けた。

とは言うものの、レイ・チャールズの現在と過去(少年時代)を行き来する本作の構成は見事で、過去のある事件が現在のレイ・チャールズの人格形成に大きな影響を与えてる点が非常に興味深かった。
また、レイ・チャールズの波乱に満ちた生涯を良い所も悪い所も等しく描くスタンスに好感を感じる。

ジェイミー・フォックス以外のキャストとしては、女優陣の活躍に目を瞠るものがある。

レイ・チャールズの母アレサ・ロビンソンを演じたシャロン・ウォーレンは恐ろしく強靭で厳しい、ある意味理想的な母親像を厳格に演じている。
彼女はレイ・チャールズがミュージシャンとして成功する根本を創った存在として描かれている。彼女の教育方針がなければレイ・チャールズは生まれなかったのだ。

レイ・チャールズの妻デラ・ビー・ロビンソンを演じたケリー・ワシントンも良かった。
豪奢な暮らしではなく、レイとその子供たちと暮らしたい、と言う小さな、そして難しい望みを体現するキャラクターで、非常に大きく包容力がある女性を見事に演じている。
ケリー・ワシントンはシャロン・ウォーレンと同様、本作の良心的役割を担っているのだ。

レイのバンドの初代女性コーラスを担当したメアリー・アン・フィッシャーを演じたアーンジャニュー・エリスも素晴らしく、当時のショウ・ビジネス界の有体を見事に体現している。

またレイの女性コーラス・ユニット「レイ・レッツ」のトップをつとめるマージー・ヘンドリックスを演じたレジーナ・キングも前述通り凄い。演技も凄いがヴォーカルも凄い。
彼女もアーンジャニュー・エリス同様、レイを暗黒面に引き込む役柄を振られているのだが、彼女等とケリー・ワシントン(デラ・ビー)との対比が非常に興味深い。

脚本は前述の通り散文的なきらいが否定できないが、レイの少年時代のシークエンスを現代のレイのシークエンスに挟み込む事で、行間が感じられ含みがある脚本に仕上がっている。
また挿入される楽曲のイメージにあったシークエンスの描写につとめた脚本は、楽曲のイメージを最大限抽出し、観客に伝える事に成功している。

また音楽映画の肝である演奏シーンは全く言う事がない程の素晴らしい出来である。
音楽映画史上に残る素晴らしい演奏シーンの釣瓶打ちなのだ。

とにかく、本作「Ray/レイ」は音楽ファン必見の作品だと思うし、ジェイミー・フォックスの演技を見ると、「コラテラル」なんかを見て喜んでいる場合ではない、と思える作品なのだ。

様々な賞を受賞しているのも頷ける、素晴らしい作品なのだ。

☆☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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「ロード・オブ・ザ・リング」三部作のDVDには「スペシャル・エクステンデッド・エディション(SEE版)」という、劇場公開版より1時間程長いバージョンが存在する。
そして、三部作それぞれのSEE版には、5000セット限定の「コレクターズDVDギフトセット」という、フィギュアが同梱された豪華版DVDが存在するのだ。

この「コレクターズDVDギフトセット」の国内版は、ポニーキャニオンの独占通信販売で、「王の帰還」の「コレクターズDVDギフトセット」は、2004/11/25にWEB及び電話で予約が始まった。

一般的に考えた場合、5000セットという限定数は経験上ではあるが、日本全国の欲しい人に商品が大体行き渡る数である。
事実、「旅の仲間」や「二つの塔」の「コレクターズDVDギフトセット」の予約については、5000セットの限定数に達するまで1週間位の余裕があったと記憶している。

しかし何故か「王の帰還」についてはそれが当てはまらず、当日はWEB、電話共になかなか繋がらず、予約出来ない人々が溢れていた。

オフィシャル・サイトでは、2004/11/25夕方時点で、注文数が5000部の限定数に達した旨の告知を行い、WEB上での予約は完全に締め切られ、2004/11/26以降は電話によるキャンセル待ちの受付が始まった。しかしこれもわずか数日で締切となってしまった。

わたしは、「旅の仲間」、「二つの塔」共に「コレクターズDVDギフトセット」を一切苦労せず、簡単に予約出来、難なく入手している。
しかし、「王の帰還」については、WEBでも電話でも繋がらず、予約開始日当日、予約する事が出来なかった。
必然的に、わたしは翌日26日に、キャンセル待ちの予約を入れた。
わたしのキャンセル待ちの予約番号は、400番台だった。
 
 
一方、同様の商品は北米では既に発売しており、フィギュア欲しさに北米版の「コレクターズDVDギフトセット」を購入する日本人が急増した。

この「コレクターズDVDギフトセット」は、パッケージとフィギュア共に北米版と全く同じ仕様であり、彼らは北米版の「コレクターズDVDギフトセット」を購入し、国内版の「王の帰還(SEE版)」を購入、北米版と国内版を差し替えるつもりなのだ。
 
 
それから、2ケ月。
海外のショッピング・サイトでも「王の帰還/コレクターズDVDギフトセット」の販売が収束しはじめ、大手ショッピング・サイトでの取り扱いも終了した。
危機感を感じたわたしは案の定、北米版の「コレクターズDVDギフトセット」を注文してしまった訳だ。

待つ事一週間。
とうとうわが下に「王の帰還/コレクターズDVDギフトセット」が到着した。

当日未明には、虫の知らせか、友人と電話をしながら、届いたパッケージを開ける夢まで見た。
夢の中のわたしは、パッケージを開ける様を、電話先の友人に逐一中継し、パッケージの中から出てきた「王の帰還」と全く違うDVDボックス(それは「ワイルド・コボルト」と言う見たことも聞いた事も無いアニメーション・テレビ・シリーズのDVDボックスだった)に激怒しながら、海外のシヨッピング・サイトに電話で猛クレームする夢まで見てしまったのだ。

現在、日本国内のオークション・サイトでは、転売目的で「王の帰還/コレクターズDVDギフトセット」を予約した人々の出品が見られる。

オークションの入札価格で現在一番安いものは、25,500円である。因みに、メーカー希望小売価格は13,440円である。
 
 
参考)『「二つの塔/スペシャル・エクステンデッド・エディション」国内版DVDの発売に寄せて』
http://diarynote.jp/d/29346/20031210.html

■おまけ)夢の会話

登場人物、わたしT、友人O。
わたしが到着したパッケージを開けていると、友人Oから電話がかかってくる。

O「『王の帰還』届いたか?」
T「あぁ、今あけてるとこ、なんだか箱がちいさいんだよね」
O「ただのSEE版が入ってんじゃねーの」
T「いや、それにしては、箱が少し大きい」
O「何か変なもの入ってんじゃねーの」

パッケージを開けるわたし。
内容物を確認し、ひとつため息をつく。

T「DVDだけだ、ミナス・ティリスが無い、しかも全然知らないタイトルだ」
O「何が入ってた?」
T「『Wild Kobolt』っていうアニメのDVDボックスだ」
O「『ワイルド・コボルト』って何だ?」
T「ファンタジー系のアニメーション・テレビ・シリーズみたいだ。絵柄はアラン・リーっぽい」
O「アラン・リーはアラン・リーでも『ワイルド・コボルト』かよ」
T「激怒だな」
O「激怒だ。何か面白い出来事が起こったら、教えてくれ、じゃあな」
T「ああ」

受話器を置き、大きなため息をつくわたし。(了)
 
 
 
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■公開中
2005/01/22公開作品
「パッチギ」http://diarynote.jp/d/29346/20050113.html

2005/01/15公開作品
「北の零年」http://diarynote.jp/d/29346/20050105.html
「ネバーランド」http://diarynote.jp/d/29346/20041206.html

2005/01/01公開作品
「カンフーハッスル」http://diarynote.jp/d/29346/20041124.html
 
 
■週末興収ベストテン
2005/01/15-16 興収ベストテン
1.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2.「北の零年」(東映)http://diarynote.jp/d/29346/20050105.html
3.「東京タワー」(東宝)
4.「ターミナル」(UIP)http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
5.「カンフーハッスル」(ソニー)http://diarynote.jp/d/29346/20041124.html
6.「ネバーランド」(東芝エンタテインメント)
http://diarynote.jp/d/29346/20041206.html
7.「Mr.インクレディブル」(ブエナビスタ)
http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
8.「僕の彼女を紹介します」(ワーナー)
http://diarynote.jp/d/29346/20041130.html
9.「犬夜叉 紅蓮の蓬莱島」(東宝)
10.「エイリアンVS.プレデター」(FOX)
 
 
■公開直前
「ライフ・イズ・コメディ!/ピーター・セラーズの愛し方」(未レビュー)
「Ray<レイ>」(未レビュー)

冬季間はスキー中心のスケジュールが立ってしまうため、映画に割ける時間が少なく、映画が観れないと言う困った状況が続いています。

2005/01/22公開作品の目玉は、良くも悪くも「オーシャンズ12」だと思いますが、わたしのオススメは何と言っても「パッチギ!」です。
今週映画を観るなら是非「パッチギ!」を!
 
 
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「ボーン・スプレマシー」のレビューは、
http://diarynote.jp/d/29346/20050119.html
です。

■当ブログの仕様で、トラックバックURLの日時がずれる事があります。
当コメントは、そのずれた日時の修正のためのコメントです。
トラックバック先からリンクされて来た方は、
http://diarynote.jp/d/29346/20050119.html
をご覧ください。
2005/01/19 東京二重橋「東商ホール」で「ボーン・スプレマシー」の試写を観た。

「ボーン・アイデンティティー」事件から2年。

ベルリンでは、CIAの女性諜報員パメラ・ランディ(ジョアン・アレン)率いるチームが、組織内の不祥事の調査に当たり、チームはCIA内部の公金横領に関する資料を入手するため情報屋との取引に応じる事を決断する。
しかし、厳重な警戒にもかかわらず、何物かが取引現場を襲撃、交渉役のCIAエージェントと情報屋は殺され、取引材料である資料ともども多額の現金も奪われてしまう。犯人の手がかりは爆弾に残された指紋だけだった。

2年前の壮絶な死闘から生き延びたジェイソン・ボーン(マット・デイモン)は、その時に出会った恋人マリー(フランカ・ポテンテ)と人目を避けて暮らし、インドのゴアで新しい人生を歩んでいた。しかし、ボーンは未だ夢にまで出るほど過去の記憶に苛まれている。
そんなボーンをつけ狙う一人の男(カール・アーバン)。

同じ頃、CIA本部ではベルリンの事件で採取した指紋を照合し犯人を特定、そこにはボーンの名が浮上するのだが・・・・。
(オフィシャル・サイトより若干引用)

監督:ポール・グリーングラス
原作:ロバート・ラドラム 『殺戮のオデッセイ』(角川文庫刊)
脚本:トニー・ギルロイ、ブライアン・ヘルゲランド
キャスト:マット・デイモン(ジェイソン・ボーン)、フランカ・ポテンテ(マリー)、ジョアン・アレン(パメラ・ランディ)、ブライアン・コックス(アボット)、ジュリア・スタイルズ(ニッキー)、カール・アーバン(キリル)、クリス・クーパー(コンクリン/ノン・クレジット)
 
 
本作「ボーン・スプレマシー」は非常に良く出来たリアルなスパイ・アクションである。
スパイ・アクションと言えば勿論大御所「007」シリーズを筆頭に挙げることが出来るが、本作は「007」シリーズのような荒唐無稽で、ある意味ファンタジックなスパイ・アクションが展開する物語ではなく、わたし達の身の回りを舞台にした等身大のスパイが活躍すると言うリアリティ溢れる本格スパイ・アクションなのだ。

更に本作は、「007」シリーズのような世界を救うスパイ・アクションではなく、保身を図りつつ組織の腐敗を暴く、と言う、どこにでも転がっているようなリアルな題材が現代社会にマッチしているのではないか、と思えるのだ。

余談だが、現代の「007」シリーズは最早観客を吸引する魅力に乏しく、残念ながら観客離れが進み、シリーズとしても失速途上にあり、過去の栄光にすがりシリーズを継続している状況を見ると、最早パロディの素材としてしか機能しない状況に陥っている。

そして現在のスパイを取巻く環境は、ジョン・ル・カレやブライアン・フリーマントルが描いた「007」シリーズとは対極的で地味なスパイが活躍する物語と、トム・クランシー等が創出した新たなスパイ・アクションとして評価されるポリティカル・サスペンスという系統を産んでおり、「007」シリーズなくとも、楽しいスパイ・アクションを楽しめる環境となっている。

そんな環境において、本作「ボーン・スプレマシー」はスパイ映画のひとつのベクトルとして十二分に評価できる素晴らしい作品に仕上がっているのだ。

特にマット・デイモン演じるジェイソン・ボーンや、ジョアン・アレン演じるパメラ・ランディといった凄腕の諜報員たちのちょっとした行動と即断的判断が面白く、それらの行動は素晴らしいアクションにも繋がっているのだ。

しかし、ハリウッド特有のアクション・シークエンスになるとカメラが被写体に寄り、細かいカットと編集でごまかしつつ曖昧に格好良く見せる手法は健在で、特にクライマックス付近のトンネルでのカー・アクションは、何が起きているか観客には伝わらず、やっていることは凄いだけに非常に残念な気がする。
カメラはひきで、正々堂々とアクションを捉えて欲しいのだ。

キャストは、ジョアン・アレン(パメラ・ランディ役)が良かったのではないだろうか。本作の中では、一番の役得的役柄だと思う。CIAの凄腕エージェントと言うとジョディ・フォスターが念頭に浮かぶが、ジョディ・フォスター以上の魅力的なキャラクターの創出に成功している。

あとは、ノン・クレジットながら前作の悪役コンクリンを演じたクリス・クーパーを起用している点に好感が持てる。「スパイダーマン2」の際、クリフ・ロバートソンやウィレム・デフォーが登場した際にも言及したが、1作目で(例えば)死んだ(ような)キャラを2作目で同じキャストで新たに撮影するのは、簡単に出来そうなことなのだが、なかなか出来ないことなのだよ。特にハリウッドでは。

同様に、前作にも登場したジュリア・スタイルズや、ガブリエル・マン、ブライアン・コックス、フランカ・ポテンテの起用もシリーズ構成を考えた場合、非常に嬉しい。

マット・デイモンは頑張ってはいるのだが、まだまだ一枚看板で客を呼べるところまでは行っていないと個人的には思う。これからの活躍に期待である。

一方、アボットを演じたブライアン・コックスはいい味を出していた。こういったスパイものには、保身を図るキャラの登場は外せないと個人的には思うのだが、見事に期待に答えてくれている。「追いつめられて」のケヴィン・コスナーも吃驚なのだ。

脚本は若干気になるところがあるが、スパイ・アクションと考えた場合、概ねOKの楽しい脚本に仕上がっている。
トニー・ギルロイとブライアン・ヘルゲランドのどちらがメインなのかわからないが、折角ブライアン・ヘルゲランドが関わっているので、もう少し奥深いプロットが欲しかったと思う。

あと、特筆すべき点は、世界各国を回ったロケーション効果が素晴らしい。勿論個別のアクションは違うところで撮影しているのだろうが、要所要所で挿入される各国の特徴的建物や風景に感心する。
また、カー・アクションひとつ取っても、アメリカの広いアスファルト道路でのカー・アクションより、ヨーロッパの狭い石畳の道路を舞台としたカー・アクションの方が面白いしスリリングだと思う。

とにかく本作「ボーン・スプレマシー」は、「007」シリーズとはベクトルが異なる格好良いリアルなスパイ・アクションで、この冬、アクションを見たいのなら一番にオススメの作品なのだ。

☆☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
 
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2005/01/17 東京二重橋「東商ホール」で「アイ・アム・デビッド」の試写を観た。
上映前のトーク・ショーのゲストは、国際ジャーナリスト:蟹瀬誠一、女優:柊瑠美。司会はアナウンサー:関谷亜矢子。

第二次大戦直後のブルガリア。
戦争が終結したにもかかわらず、依然として共産主義国が周辺諸国に軋轢をかけている時代であり、罪のない人々が強制収容所に隔離されていた。
ある夜、12歳の少年、デビッドは看守たちの隙をつき、フェンスをよじのぼり収容所から逃げ出した。頭の中には、ある男の言葉が響いていた。「この手紙を持って、誰にもつかまらずにデンマークに行くのだ」。
デビッドの持ち物は、わずかな食料とひとかけらの石鹸、ナイフ、そしてコンパス(磁石)だけだったが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督・脚本:ポール・フェイグ
キャスト:ベン・ティバー(デビッド)、ジム・カヴィーゼル(ヨハン)、ジョーン・プロウライト(ソフィー)、フリスト・ショポフ(ザ・マン)、シルヴィア・ドゥ・サンティス(エルザ)

本作「アイ・アム・デビッド」の主な受賞歴
モナコ映画祭
最優秀女優賞受賞、最優秀新人賞受賞
サンディエゴ映画祭
最優秀作品賞受賞、最も有望な俳優賞受賞
カンザスシティ映画祭
最優秀作品賞受賞、最優秀監督賞受賞、最優秀俳優賞受賞、最優秀女優賞受賞
オースティン映画祭
観客賞受賞
 
 

今日は厳しい話です。

わたしは、「アイ・アム・デビッド」というタイトルと必要最低限の情報から、本作は、デビッド少年のアイデンティティーに関する映画であることは確実だろうと思いつつ、ゴリアテと対峙したダビデと関係があるのかな、とか、スティーヴン・スピルバーグの「A.I.」と関係があるのかな、とか、「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルを発掘したキャスティング・ディレクターがベン・ティバー少年を見出した、と言う事前情報から、本作はおそらくデビッド少年の収容所からの脱走とその後を情感たっぷりに描いたロード・ムービー的イギリス映画だろうと思っていた。

開巻直後、わたしは驚愕した。
こんなに重厚な題材を、こんなにチープに演出して良いのだろうか、まるで出来の悪いサスペンス映画みたいじゃないか、と言うかテレビ・ドラマみたいじゃないか、イギリス映画もハリウッドに毒されてしまったのかな、と。
(実際のところ、本作はイギリス映画ではなくアメリカ映画でした。)

題材とテーマ、俳優や脚本、プロットはともかく、チープでベタな演出とそのベタな演出を助長するかのような音楽にもわたしは仰け反ってしまった。

本作の題材は、ちょっと間違えれば「ソフィーの選択」に匹敵する素晴らしい作品に化け兼ねない題材だと思うのだが、凡庸な監督にあたかもサスペンス映画のように演出されてしまった事がこの作品の大いなる悲劇ではないか、と個人的に思ってしまう。

題材も役者も揃っているのに・・・・
と言う残念な気持ちでいっぱいである。

ところで、脚本は良く言えば行間が楽しめるもので、観客のイマジネーションに働きかける、または左右される脚本に仕上がっている。
本作の脚本は、脳で物語や出来事を補完する観客にとっては結構楽しめる楽しい脚本だと言える一方、画面で描かれたものだけを受け取るような観客にとっては、本作はすかすかで都合が良く、何を表現しているのか良くわからない印象を与えてしまう可能性が否定できない。

また、演出手法としてはフラッシュ・バックの多用が挙げられるのだが、その手法は、本作の物語を語る上で結構良い効果をあげている。

これがデビッド・リンチの映画や「メメント」や「アイデンティティー」、「ブラインド・ホライズン」のような「物語を探す」映画だったら、非常に楽しいひと時を過ごせるのだと思うのだが、本作「アイ・アム・デビッド」の物語の方向性とその描写手法が、いまいちしっくり合っていないような印象を受ける、言わば乖離しているような気がするのだ。

勿論本作は見方によっては「物語を探す」種類の映画にカテゴライズすることも可能で、そうした場合、その描かれる内容とその描写手法はマッチしているような印象を受けるのだが、本作が描くべきであった物語の方向性とその描写手法は、やはり一致していないような気がする。

収容所が出てきて、子供とソフィーと言う名の老婆が出てくれば「ソフィーの選択」を意識しない訳にはいかんでしょ、実際のところ。

そう考えると、キャストも残念ながら取り立てて良い仕事をしているような印象を受けない。環境ははっきり言ってハードなのだが、やはり語るべき物語が希薄で都合が良く、何度も登場するフラッシュ・バックの中でスローモーに動く俳優は、手法的には良いのだが、はたして演技と考えて良いのか疑問を感じるのだ。

本編よりフラッシュ・バックの部分の方が面白い、と感じさせるのは、映画としてまずいと思うぞ。

とは言うものの、主演のデビッドを演じたベン・ティバーは確かに上手いし、観客の感情を手玉に取って揺り動かしているし、デビッドの人生に強烈な印象を与えるヨハンを演じたジム・カヴィーゼルも憂いのある刹那的な美しさを醸し出している。
キャストは良いんだけどね・・・・。

結局のところ、わたしの個人的な意見を正直に言わせていただければ、年間50本以上の映画を劇場で観ているような人で無ければ手を出さないほうが良い作品ではないかな、と思う。

折角の月に一度の映画デートを楽しみたい方にはオススメできない作品なのだ。二人そろってポカンと口を開けて劇場を出る位だったら、もっと楽しめる映画は沢山あるのだ。

☆☆★ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
 
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=+=+=+=+=+=+=
「映画への異常な愛情 または私は如何にしてお金を払うのをやめて試写会を愛するようになったか」
 
これは、映画マスターを目指す一人の若者が、試写会常連という暗黒面に堕ちて行く物語である。(嘘)
 
遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・(勿論嘘)
=+=+=+=+=+=+=
「試写会をめぐる冒険 その1」
http://diarynote.jp/d/29346/20041221.html
「試写会をめぐる冒険 その2」
http://diarynote.jp/d/29346/20041222.html
=+=+=+=+=+=+=

■試写会からの魔の手

「スター・ウォーズ」プリクェール(新三部作)を思い出していただきたい。このプリクェールは、ご承知のように、正義感溢れ愛らしい少年だったアナキン・スカイウォーカーが、オビ=ワンの指導も虚しく、最終的に暗黒面に堕ち、ダース・ベイダー卿となってしまうまでを描く三部作になる。

その三部作の中で、アナキンの師オビ=ワンは自らの弟子アナキンに対し、やる事なす事全てを否定的に見、非常に厳しく指導しているのだ。
一方、パルパティーンはアナキンのやる事なす事全てを褒めに褒めまくっているのだ。

そう、暗黒面からの誘い(いざない)は甘美で心地好いものなのだ。
 

閑話休題。
わたしが試写会常連と言う暗黒面に堕ちた今、思い返せば暗黒面に堕ちる原因となるパルパティーンの甘言とも言える試写会がある。

1.「ア・ホーマンス(1986)」
ご幼少の砌から松田優作ファンを自負しているわたしにとっても、松田優作監督作品「ア・ホーマンス」には一抹の不安を否定できなかった。
とは言うものの、わたしは期待と不安を抱きつつ、試写状を握り締め、いそいそと試写会場へ向かった訳である。
驚くべき事に、その試写会にはなんと松田優作、石橋凌等の舞台挨拶があったのだ。
あぁ、なんと試写会とは素晴らしいものなのだろう。
暗黒面に堕ちかけた一瞬である。

2.「キリング・ミー・ソフトリー(2001)」
「ブギーナイツ」、「オースティン・パワーズ:デラックス」等でヘザー・グレアム(ヘザー・グラハム)のキュートな魅力にぞっこんラブ(死語)なわたしは、たまたま譲ってもらった試写状を手にチェン・カイコーのハリウッド進出第一作「キリング・ミー・ソフトリー」の試写会場へ向かった。
驚くべき事に、その試写会にはなんとチェン・カイコー、ヘザー・グレアム等の舞台挨拶があったのだ。
あぁ、なんと試写会とは素晴らしいものなのだろう。
暗黒面に再び堕ちかけた一瞬である。

3.「下妻物語(2004)」
深田恭子等の舞台挨拶があるからと言われて誘われた「下妻物語」の試写会だったが、深田恭子や土屋アンナの舞台挨拶には当初は関心は無かったのだが、やはり映像作家中島哲也の舞台挨拶には関心をおぼえてしまい、この「下妻物語」の試写会を通じ、スタッフ&キャストの舞台挨拶に対し沸々と関心が沸き上がってきてしまったのだ。
あぁ、なんと試写会とは素晴らしいものなのだろう。
暗黒面に再び堕ちかけた一瞬である。

以来、わたしは試写会や映画祭等で実施される舞台挨拶を楽しみにするようになってしまった訳だ。

堕ちるぞ堕ちるぞ、暗黒面に堕ちるぞ。
そうなのだ。
暗黒面からの誘い(いざない)は真に甘美で心地好いのだ。
 
 
参考)2004年 舞台挨拶付で観た作品。
#016 試「下妻物語」
#018 試「犬と歩けば チロリとタムラ」
#019 旧「転校生」
#029 試「トロイ」
#037 試「69 sixty nine」
#048 試「いかレスラー」
#050 試「MAIL」
#054 試「マッハ!」
#057 試「キング・アーサー」
#058 試「サンダーバード」
#061 試「LOVERS」
#062 試「ドリーマーズ・ハイ!」
#070 試「バイオハザードII アポカリプス」
#081 試「デビルマン」
#082 試「SURVIVE STYLE5+」
#085 試「アラモ」
#086 試「オーバードライヴ」
#091 試「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス デジタルリマスター版」
#092 祭「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス デジタルリマスター版(日本語吹替版)」
#093 祭「TUBE -チューブ-」
#094 祭「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」
#095 祭「ガルーダ」
#096 祭「リザレクション」
#097 祭「鉄人28号 インターナショナル・ヴァージョン」
#098 祭「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」
#100 祭「隠し剣 鬼の爪」
#101 祭「海猫」
#104 祭「青春愛人事件」
#105 祭「風のファイター(韓国公開バージョン)」
#107 試「爆裂都市」
#115 祭「カナリア」
#116 祭「雲の南へ」
#117 祭「おそいひと」
#118 祭「柔道龍虎榜」
#119 試「カンフーハッスル」
#123 新「血と骨」
#127 試「ULTRAMAN」
#130 試「ゴースト・シャウト」
#131 試「銀のエンゼル」

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2005/01/16 未明。
惰眠を貪っていたわたしのもとへ一本の電話がかかって来た。
電話先の緊迫した声が語る話は、信じられない話だった。
 
 
とりあえず信じられない写真を見ていただきたい。

「Star Wars Vanity Fair cover」
http://www.cinemaeye.com/index.php/gallery/image_full/74/
 
 
これは、わたしは未見なのだが、現在発売中の雑誌「Vanity Fair」の表紙なのだ。

一見すると「Star Wars Episode III - Revenge of the Sith」のスチール(ルーカス、ヘイデン、ユアン、ナタリー)を表紙に使ったように見えるのだが、その4つ折になっている表紙を開いていくと、なんと「スター・ウォーズ」サーガの主要キャストが一堂に会したスチールが顔を出すのだ。

正に「ありえない写真」、「スター・ウォーズ」ファン必見の「夢の写真」なのだ。

「スター・ウォーズ」のプリクェール(新三部作ね)の内容はともかく、こんな写真に驚愕し感激してしまう自分が情けない。

やっぱあんたは凄いぜ!
ジョージ・ルーカスさんよ!!
 
 
ここで「Vanity Fair」の表紙が拝めます。
「Lucas Reveals Vader’s True Side to Vanity Fair」
http://www.starwars.com/episode-iii/release/publicity/news20050104.html

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