週刊「映画レビュー・インデックス」2004/12/25
2004年12月25日 週刊「映画レビュー・インデックス」週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)2004/12/25号
をお届けします。
今後も継続する見込みが超濃厚です。
■「映画レビュー・インデックス」
http://homepage3.nifty.com/~tkr/ture/openindex.htm
■公開中
2004/12/18公開作品
「ULTRAMAN」http://diarynote.jp/d/29346/20041207.html
「銀のエンゼル」http://diarynote.jp/d/29346/20041215.html
「ゴーストシャウト」http://diarynote.jp/d/29346/20041214.html
「ターミナル」http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
「マイ・ボディガード」http://diarynote.jp/d/29346/20040903.html
「酔画仙」http://diarynote.jp/d/29346/20041220.html
2004/12/11公開作品
「僕の彼女を紹介します」http://diarynote.jp/d/29346/20041130.html
「戦争のはじめかた」http://diarynote.jp/d/29346/20041210.html
「ふたりにクギづけ」http://diarynote.jp/d/29346/20041129.html
「レディ・ウェポン」近日レビュー予定
2004/12/04公開作品
「Mr.インクレディブル」http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
「恋文日和」http://diarynote.jp/d/29346/20041203.html
「バッド・サンタ」近日レビュー予定
2004-2005正月映画も出揃いました。
残る大物は、2004/01/01公開の「カンフーハッスル」位でしょうか。
■週末興収ベストテン
2004/12/18-19 興収ベストテン
1.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2.「Mr.インクレディブル」(ブエナビスタ)
http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
3.「ターミナル」(UIP)http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
4.「エイリアンVS.プレデター」(FOX)
5.「僕の彼女を紹介します」(ワーナー)
http://diarynote.jp/d/29346/20041130.html
6.「ゴジラ FINAL WARS」(東宝)
7.「マイ・ボディガード」(松竹=日本ヘラルド映画)
http://diarynote.jp/d/29346/20040903.html
8.「いま、会いにゆきます」(東宝)
9.「ポーラー・エクスプレス」(ワーナー)
10.「ULTRAMAN」(松竹)http://diarynote.jp/d/29346/20041207.html
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2004/12/18公開作品
「ULTRAMAN」http://diarynote.jp/d/29346/20041207.html
「銀のエンゼル」http://diarynote.jp/d/29346/20041215.html
「ゴーストシャウト」http://diarynote.jp/d/29346/20041214.html
「ターミナル」http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
「マイ・ボディガード」http://diarynote.jp/d/29346/20040903.html
「酔画仙」http://diarynote.jp/d/29346/20041220.html
2004/12/11公開作品
「僕の彼女を紹介します」http://diarynote.jp/d/29346/20041130.html
「戦争のはじめかた」http://diarynote.jp/d/29346/20041210.html
「ふたりにクギづけ」http://diarynote.jp/d/29346/20041129.html
「レディ・ウェポン」近日レビュー予定
2004/12/04公開作品
「Mr.インクレディブル」http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
「恋文日和」http://diarynote.jp/d/29346/20041203.html
「バッド・サンタ」近日レビュー予定
2004-2005正月映画も出揃いました。
残る大物は、2004/01/01公開の「カンフーハッスル」位でしょうか。
■週末興収ベストテン
2004/12/18-19 興収ベストテン
1.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2.「Mr.インクレディブル」(ブエナビスタ)
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3.「ターミナル」(UIP)http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
4.「エイリアンVS.プレデター」(FOX)
5.「僕の彼女を紹介します」(ワーナー)
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6.「ゴジラ FINAL WARS」(東宝)
7.「マイ・ボディガード」(松竹=日本ヘラルド映画)
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8.「いま、会いにゆきます」(東宝)
9.「ポーラー・エクスプレス」(ワーナー)
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「ターミナル」に隠された意図 その2
2004年12月24日 映画
引き続き「ターミナル」に隠されたスティーヴン・スルバーグの意図を探ってみよう。
=+=+=+=+=
先ずは、こちらを読んで欲しい。
「ターミナル」☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
「ターミナル」に隠された意図 その1
■「JFK国際空港」が意味すること
http://diarynote.jp/d/29346/20041223.html
※ 今回のお題は前回のお題に絡みます。
=+=+=+=+=
それでは、
「ターミナル」に隠された意図 その2
をお送りします。
■「スタートレック」引用の理由
映画で描かれている全ての事柄には必ず意味がある。
当「徒然雑草」をいつもお読みいただいている方々にとっては、既に「耳にタコ状態」の事だと思うし、映画好きの方々にとっても「いまさら何言ってんだよ!あたり前じゃねーか」という印象を与えてしまうかも知れない。
しかし、繰り返しにはなってしまうが、その辺を明確にしておくのだ。
映画で描かれる全ての登場人物、全てのセリフ、全ての動作、全てのカット、全ての道具は、その映画に登場している以上、何らかの意味があり、製作者の意図の下、必然的に登場しており、それらの事柄は映画で描写される必要性があるのだ。
逆に考えると、映画と言うものは、撮影された全素材から、不必要なものを、これでもか、これでもかと言う具合に、全てそぎ落とした結果なのだ。
余談だが、一見意味がなさそうな事柄が、実は重要な事柄だったり、意味が無い登場人物だと思っていた人が、実は犯人だったりするのは、そういう事に因るのかも知れない。
それでは本作「ターミナル」における「スタートレック」の引用について考えてみよう。
本作「ターミナル」では、エンリケ(ディエゴ・ルナ)が恋する女性トーレス(ゾーイ・サルダナ)は、熱狂的な「スタートレック」ファンとして設定されている点が興味深い。
その根拠となる描写は、先ずエンリケがビクター(トム・ハンクス)を利用し、トーレスの休日の過ごし方を聞き出すシークエンスに顕著である。
ビクターはエンリケに対し、食べ物を頬ばりながらたどたどしい英語で「トーレスは休日に制服を着てコンベンションに行く」と告げる。
エンリケは何のことがわからず、しばらく考え、その後ガッツポーズを作り「彼女はトレッキーなんだ!」と叫ぶ。
「スタートレック」コンベンションとは、「スタートレック」のファンの集いで、キャストやスタッフ、ファンが集まるイベントである。(「ギャラクシー・クエスト」の冒頭参照)
また、トーレスがエンリケのプロポーズを受けるシークエンスにも顕著である。
待ち合わせ場所のテーブルに一人座っているエンリケ。
後ろからエンリケに近づくトーレス。
トーレスは左手をあげ、中指と薬指の間を開いた手のひらをエンリケに向ける。
エンリケの視線を受けたトーレスは、エンリケに向けた手のひらを反す。その薬指には指輪が輝いていた。
粋なシークエンスである。
何故、これが「スタートレック」への言及なのか、と言うと、「中指と薬指の間を開けた手のひらを相手に向ける」のは「スタートレック」に出てくるバルカン人の挨拶なのである。
そう考えると、トーレスがバルカン人のメタファーとして機能しているのではないか、またバルカン人のメタファーのトーレスと地球のマイノリティの代表のエンリケが恋に落ち、結婚するのは象徴的な意味を持つのかもしれない。
ところで、そのバルカン人とは何者だ?
と言う疑問が出てくると思うが、その辺の話は長くなるので割愛する事にするが、「スタートレック」世界におけるバルカン人の特徴と役割は、おおよそ次の通りだと言える。
特徴
1.感情を解さない。
2.論理を重んじる。
3.暴力で物事を解決するのは野蛮な事だと考えている。
4.長寿と繁栄を願っている。
5.無限の多様性との無限の協調を重んじている。
6.耳が尖っている。
7.ユーモアを解さない。
8.精神融合(テレパシー)能力がある。
役割
1.知の象徴
2.宇宙全体を良い方向へ導く存在
乱暴な例えだが、バルカン人とは「ロード・オブ・ザ・リング」のエルフのような存在かも知れない。
さて、それでは、スティーヴン・スピルバーグが「ターミナル」の中に「スタートレック」の引用、特にバルカン人の引用を行ったのは何故か?
何故わざわざ「スタートレック」に関する言及を「ターミナル」に挿入したのか?
勿論スピルバーグには明確な意図があったに違いない。
従来のスピルバーグ作品には、「ピノキオ」「ダンボ」「オズの魔法使い」「ピーター・パン」等の作品への言及は多々あるが、「スタートレック」のような作品への言及は特徴的な事だと言わざるを得ないし、珍しい事だと言える。
そして「スタートレック」の引用は、スピルバーグの何らかの意図を表しているハズだし、映画に残っている以上、それは必要な描写だと言えるのだ。
ひとつ言えるのは、「スタートレック」の製作者ジーン・ロッデンベリーの哲学であろう。
その哲学は「スタートレック」に明確に出ている。
1960年代、アメリカのドラマ史上初の白人と黒人のキスシーンをドラマに登場させた事や、エンタープライズ号のクルーには、白人、黒人、東洋人、そして当時アメリカの敵性国家ロシア人までいたのである。
この平等思考から、バルカン人の思想「無限の多様性との無限の協調(infinite diversity in infinite combinations/IDIC)」が生まれたとも言われているようである。
「ターミナル」という主要キャラクターの全てがマイノリティである作品には、ユダヤ人としてスティーヴン・スピルバーグが考える「IDIC/infinite diversity in infinite combinations」思想が含まれているのかも知れない。
そして、世界中で争いを繰り返す人類に対するスピルバーグの失望が「ターミナル」に含まれているのではないか、と思えるのだ。
そして、宇宙からの脅威や指導が無ければ、人類はダメなんじゃないか、という思想がバルカン人の引用に含まれているのではないか、エンリケとトーレスの結婚は非常に大きな意味を持っているのではないか、と思うのだ。
スピルバーグの次回作は「宇宙戦争」であり、かつての傑作「未知との遭遇」や「E.T.」がこの論理を肯定しているような気もする。
皆さん、ついてきてますか?
「ターミナル」に隠された意図 その3
http://diarynote.jp/d/29346/20041228.html
へつづく・・・・
参考になったらクリック!
http://blog.with2.net/link.php/29604
=+=+=+=+=
先ずは、こちらを読んで欲しい。
「ターミナル」☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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「ターミナル」に隠された意図 その1
■「JFK国際空港」が意味すること
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※ 今回のお題は前回のお題に絡みます。
=+=+=+=+=
それでは、
「ターミナル」に隠された意図 その2
をお送りします。
■「スタートレック」引用の理由
映画で描かれている全ての事柄には必ず意味がある。
当「徒然雑草」をいつもお読みいただいている方々にとっては、既に「耳にタコ状態」の事だと思うし、映画好きの方々にとっても「いまさら何言ってんだよ!あたり前じゃねーか」という印象を与えてしまうかも知れない。
しかし、繰り返しにはなってしまうが、その辺を明確にしておくのだ。
映画で描かれる全ての登場人物、全てのセリフ、全ての動作、全てのカット、全ての道具は、その映画に登場している以上、何らかの意味があり、製作者の意図の下、必然的に登場しており、それらの事柄は映画で描写される必要性があるのだ。
逆に考えると、映画と言うものは、撮影された全素材から、不必要なものを、これでもか、これでもかと言う具合に、全てそぎ落とした結果なのだ。
余談だが、一見意味がなさそうな事柄が、実は重要な事柄だったり、意味が無い登場人物だと思っていた人が、実は犯人だったりするのは、そういう事に因るのかも知れない。
それでは本作「ターミナル」における「スタートレック」の引用について考えてみよう。
本作「ターミナル」では、エンリケ(ディエゴ・ルナ)が恋する女性トーレス(ゾーイ・サルダナ)は、熱狂的な「スタートレック」ファンとして設定されている点が興味深い。
その根拠となる描写は、先ずエンリケがビクター(トム・ハンクス)を利用し、トーレスの休日の過ごし方を聞き出すシークエンスに顕著である。
ビクターはエンリケに対し、食べ物を頬ばりながらたどたどしい英語で「トーレスは休日に制服を着てコンベンションに行く」と告げる。
エンリケは何のことがわからず、しばらく考え、その後ガッツポーズを作り「彼女はトレッキーなんだ!」と叫ぶ。
「スタートレック」コンベンションとは、「スタートレック」のファンの集いで、キャストやスタッフ、ファンが集まるイベントである。(「ギャラクシー・クエスト」の冒頭参照)
また、トーレスがエンリケのプロポーズを受けるシークエンスにも顕著である。
待ち合わせ場所のテーブルに一人座っているエンリケ。
後ろからエンリケに近づくトーレス。
トーレスは左手をあげ、中指と薬指の間を開いた手のひらをエンリケに向ける。
エンリケの視線を受けたトーレスは、エンリケに向けた手のひらを反す。その薬指には指輪が輝いていた。
粋なシークエンスである。
何故、これが「スタートレック」への言及なのか、と言うと、「中指と薬指の間を開けた手のひらを相手に向ける」のは「スタートレック」に出てくるバルカン人の挨拶なのである。
そう考えると、トーレスがバルカン人のメタファーとして機能しているのではないか、またバルカン人のメタファーのトーレスと地球のマイノリティの代表のエンリケが恋に落ち、結婚するのは象徴的な意味を持つのかもしれない。
ところで、そのバルカン人とは何者だ?
と言う疑問が出てくると思うが、その辺の話は長くなるので割愛する事にするが、「スタートレック」世界におけるバルカン人の特徴と役割は、おおよそ次の通りだと言える。
特徴
1.感情を解さない。
2.論理を重んじる。
3.暴力で物事を解決するのは野蛮な事だと考えている。
4.長寿と繁栄を願っている。
5.無限の多様性との無限の協調を重んじている。
6.耳が尖っている。
7.ユーモアを解さない。
8.精神融合(テレパシー)能力がある。
役割
1.知の象徴
2.宇宙全体を良い方向へ導く存在
乱暴な例えだが、バルカン人とは「ロード・オブ・ザ・リング」のエルフのような存在かも知れない。
さて、それでは、スティーヴン・スピルバーグが「ターミナル」の中に「スタートレック」の引用、特にバルカン人の引用を行ったのは何故か?
何故わざわざ「スタートレック」に関する言及を「ターミナル」に挿入したのか?
勿論スピルバーグには明確な意図があったに違いない。
従来のスピルバーグ作品には、「ピノキオ」「ダンボ」「オズの魔法使い」「ピーター・パン」等の作品への言及は多々あるが、「スタートレック」のような作品への言及は特徴的な事だと言わざるを得ないし、珍しい事だと言える。
そして「スタートレック」の引用は、スピルバーグの何らかの意図を表しているハズだし、映画に残っている以上、それは必要な描写だと言えるのだ。
ひとつ言えるのは、「スタートレック」の製作者ジーン・ロッデンベリーの哲学であろう。
その哲学は「スタートレック」に明確に出ている。
1960年代、アメリカのドラマ史上初の白人と黒人のキスシーンをドラマに登場させた事や、エンタープライズ号のクルーには、白人、黒人、東洋人、そして当時アメリカの敵性国家ロシア人までいたのである。
この平等思考から、バルカン人の思想「無限の多様性との無限の協調(infinite diversity in infinite combinations/IDIC)」が生まれたとも言われているようである。
「ターミナル」という主要キャラクターの全てがマイノリティである作品には、ユダヤ人としてスティーヴン・スピルバーグが考える「IDIC/infinite diversity in infinite combinations」思想が含まれているのかも知れない。
そして、世界中で争いを繰り返す人類に対するスピルバーグの失望が「ターミナル」に含まれているのではないか、と思えるのだ。
そして、宇宙からの脅威や指導が無ければ、人類はダメなんじゃないか、という思想がバルカン人の引用に含まれているのではないか、エンリケとトーレスの結婚は非常に大きな意味を持っているのではないか、と思うのだ。
スピルバーグの次回作は「宇宙戦争」であり、かつての傑作「未知との遭遇」や「E.T.」がこの論理を肯定しているような気もする。
皆さん、ついてきてますか?
「ターミナル」に隠された意図 その3
http://diarynote.jp/d/29346/20041228.html
へつづく・・・・
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「ターミナル」に隠された意図 その1
2004年12月23日 映画
先ずはこちらを読んで欲しい。
「ターミナル」☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
このレビューの中でわたしは、
『「ターミナル」は、面白おかしく、ちょっぴり涙がこぼれちゃう、万人にオススメの娯楽作品なのだ。
とは言うものの、作品自体は凡庸で、取り立てて見るべきところは無い。』
と断じてしまっている。
しかし「ターミナル」は本当に見るべきところが無い作品なのだろうか。
そこで「徒然雑草」では、いくつかの観点から「ターミナル」でスティーヴン・スピルバーグが表現しようとした隠された意図を考えていきたい、と思うのだ。
■「JFK国際空港」が意味すること
「ターミナル」の舞台は、皆さんご承知のように「JFK国際空港」である。そしてその「JFK国際空港」がニューヨークにあるのも、皆さんご承知の事だと思う。
ニューヨークと言えば、昔から「人種の坩堝(るつぼ)」と呼ばれているように、様々な人種、様々な民族がひしめき合っているアメリカ最大級の大都市である。
先ず考えなければならないのは、本作「ターミナル」では「空港」は当然の如く「都市」のメタファーとして描かれている、と言うことである。
事実、本作では衣食住の全てが賄える「空間」として「空港」が描かれているし、また様々な人種、様々な民族が共存する「空間」としても「空港」が描かれてもいる。
そして同時に「空港」は「移民の受け入れ先」としても描かれているのだ。話がそれるが、「空港」を空間的に閉鎖された「移民の受け入れ先」と捉えた場合、かつて、ニューヨークのマンハッタン島が多くの移民を受け入れていた事が連想される。(「ギャング・オブ・ニューヨーク」参照)
「空港」を「都市」であり「移民先」と考えると、トム・ハンクス演じるビクター・ナボルスキーは、言葉の通じない「移民先」である「空港」に一人降り立ち、苦労しながらも仕事を見つけ、住むところを見つけ、友人を見つけ、恋人を見つけ、「空港」で働く多くの人々とコミュニケーションをとりながら、なんとか生活していく姿が見てとれるのである。
これは新天地である「移民先」に降り立った人々のシミュレーションにも思える。
そして興味深いのは、ビクターを取巻く「空港」で働く人々は所謂マイノリティであり、「空港」と言う名の新天地で新たな生活を営もうとしている「移民たち」のメタファーとして描かれている点である。
「空港」内で働くマイノリティたちは、ビクターを受け入れ、身を寄せ合い、日々の些細な楽しみを享受しながら細々と生活しているのだ。
一方、「空港」を警備する側は、スタンリー・トゥッチ演じるフランク・ディクソンは、バリー・シャバカ・ヘンリー演じるレイを通じて、ビクター等マイノリティたちを迫害する行動を起こしている。
ここでは、興味深い事に白人(フランク)の指示の下、黒人(レイ)が他のマイノリティたちを迫害する、と言う構図が見て取れるのである。
そしてこれは、白人指導者が最前線で働く黒人に指示を出し、他のマイノリティたちを迫害している行為を暗喩しているのである。
ここまで論を進めれば自ずと答えは出るだろう。
「ターミナル」の舞台となっている「JFK国際空港」は、「都市」以上の存在である「世界(地球)」の縮図でありメタファーなのだ。
多くの民族が共存しているわれわれの「世界」。
その「世界」のどこかで、何か問題が起これば、世界の警察「アメリカ」が出動する。
「アメリカ」によって、平和維持、調停、統治、侵略される「諸国」。
実はハート・ウォーミング・コメディ「ターミナル」には、こんな隠された意味があるのだ。
そしてユダヤ人スティーヴン・スピルバーグの「ターミナル」における現代社会とのアメリカの関わり方に対する批判的意図は巧妙に隠されている訳なのである。
余談だが、ニューヨークの「JFK国際空港」を「ターミナル」の舞台と選んだ理由としては、勿論「911テロ」への言及と、ダラスで暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領の名を冠した「空港」である、という点に因るものだと考えられる。
更に余談だが、フランクの指示に従わず、ビクターにコートを与えるレイの行動も非常に象徴的な印象を与えている。
白人に対する黒人の反乱なのである。
「ターミナル」に隠された意図 その2
http://diarynote.jp/d/29346/20041224.html
へつづく・・・・
参考になったらクリック!
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「ターミナル」☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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このレビューの中でわたしは、
『「ターミナル」は、面白おかしく、ちょっぴり涙がこぼれちゃう、万人にオススメの娯楽作品なのだ。
とは言うものの、作品自体は凡庸で、取り立てて見るべきところは無い。』
と断じてしまっている。
しかし「ターミナル」は本当に見るべきところが無い作品なのだろうか。
そこで「徒然雑草」では、いくつかの観点から「ターミナル」でスティーヴン・スピルバーグが表現しようとした隠された意図を考えていきたい、と思うのだ。
■「JFK国際空港」が意味すること
「ターミナル」の舞台は、皆さんご承知のように「JFK国際空港」である。そしてその「JFK国際空港」がニューヨークにあるのも、皆さんご承知の事だと思う。
ニューヨークと言えば、昔から「人種の坩堝(るつぼ)」と呼ばれているように、様々な人種、様々な民族がひしめき合っているアメリカ最大級の大都市である。
先ず考えなければならないのは、本作「ターミナル」では「空港」は当然の如く「都市」のメタファーとして描かれている、と言うことである。
事実、本作では衣食住の全てが賄える「空間」として「空港」が描かれているし、また様々な人種、様々な民族が共存する「空間」としても「空港」が描かれてもいる。
そして同時に「空港」は「移民の受け入れ先」としても描かれているのだ。話がそれるが、「空港」を空間的に閉鎖された「移民の受け入れ先」と捉えた場合、かつて、ニューヨークのマンハッタン島が多くの移民を受け入れていた事が連想される。(「ギャング・オブ・ニューヨーク」参照)
「空港」を「都市」であり「移民先」と考えると、トム・ハンクス演じるビクター・ナボルスキーは、言葉の通じない「移民先」である「空港」に一人降り立ち、苦労しながらも仕事を見つけ、住むところを見つけ、友人を見つけ、恋人を見つけ、「空港」で働く多くの人々とコミュニケーションをとりながら、なんとか生活していく姿が見てとれるのである。
これは新天地である「移民先」に降り立った人々のシミュレーションにも思える。
そして興味深いのは、ビクターを取巻く「空港」で働く人々は所謂マイノリティであり、「空港」と言う名の新天地で新たな生活を営もうとしている「移民たち」のメタファーとして描かれている点である。
「空港」内で働くマイノリティたちは、ビクターを受け入れ、身を寄せ合い、日々の些細な楽しみを享受しながら細々と生活しているのだ。
一方、「空港」を警備する側は、スタンリー・トゥッチ演じるフランク・ディクソンは、バリー・シャバカ・ヘンリー演じるレイを通じて、ビクター等マイノリティたちを迫害する行動を起こしている。
ここでは、興味深い事に白人(フランク)の指示の下、黒人(レイ)が他のマイノリティたちを迫害する、と言う構図が見て取れるのである。
そしてこれは、白人指導者が最前線で働く黒人に指示を出し、他のマイノリティたちを迫害している行為を暗喩しているのである。
ここまで論を進めれば自ずと答えは出るだろう。
「ターミナル」の舞台となっている「JFK国際空港」は、「都市」以上の存在である「世界(地球)」の縮図でありメタファーなのだ。
多くの民族が共存しているわれわれの「世界」。
その「世界」のどこかで、何か問題が起これば、世界の警察「アメリカ」が出動する。
「アメリカ」によって、平和維持、調停、統治、侵略される「諸国」。
実はハート・ウォーミング・コメディ「ターミナル」には、こんな隠された意味があるのだ。
そしてユダヤ人スティーヴン・スピルバーグの「ターミナル」における現代社会とのアメリカの関わり方に対する批判的意図は巧妙に隠されている訳なのである。
余談だが、ニューヨークの「JFK国際空港」を「ターミナル」の舞台と選んだ理由としては、勿論「911テロ」への言及と、ダラスで暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領の名を冠した「空港」である、という点に因るものだと考えられる。
更に余談だが、フランクの指示に従わず、ビクターにコートを与えるレイの行動も非常に象徴的な印象を与えている。
白人に対する黒人の反乱なのである。
「ターミナル」に隠された意図 その2
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へつづく・・・・
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試写会をめぐる冒険 その2
2004年12月22日 エッセイ/コラム=+=+=+=+=+=+=
「映画への異常な愛情 または私は如何にしてお金を払うのをやめて試写会を愛するようになったか」
これは、映画マスターを目指す一人の若者が、試写会常連という暗黒面に堕ちて行く物語である。(嘘)
遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・(勿論嘘)
=+=+=+=+=+=+=
「試写会をめぐる冒険 その1」
http://diarynote.jp/d/29346/20041221.html
■幕間(2004年映画鑑賞状況)
前回お話したように、わたしは2004年4月頃から本格的に試写会を利用して映画を観るようになってしまったのだ。
そんなわたしが暗黒面でもがく姿を、つまり試写会を含めた2004年の映画鑑賞状況をお目にかけよう。
□2004年劇場鑑賞作品一覧
記号の意味は次の通り。
新:新作/封切作品/ロードショー作品
旧:旧作/名画座/リバイバル作品
試:試写会
祭:映画祭
#001 新「東京ゴッドファーザーズ」
#002 旧「インファナル・アフェア」
#003 旧「HERO」
#004 新「タイムライン」
#005 旧「十二人の怒れる男」
#006 旧「情婦」
#007 新「ジョゼと虎と魚たち」
#008 旧「2001年宇宙の旅<新世紀特別版>」
#009 旧「現金に体を張れ」
#010 旧「白い巨塔」
#011 旧「ぼんち」
#012 新「ラブストーリー」
#013 新「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」
#014 新「イノセンス」
#015 試「アップルシード」
#016 試「下妻物語」
#017 旧「家族ゲーム」
#018 試「犬と歩けば チロリとタムラ」
#019 旧「転校生」
#020 試「フォーチュン・クッキー」
#021 試「Re:プレイ」
#022 試「永遠のモータウン」
#023 試「スイミング・プール」
#024 新「キル・ビル Vol.2」
#025 新「スクール・オブ・ロック」
#026 新「ゴッド・ディーバ」
#027 試「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」
#028 新「CASSHERN」
#029 試「トロイ」
#030 試「カレンダー・ガールズ」
#031 試「21グラム」
#032 試「シルミド」
#033 試「天国の本屋〜恋火」
#034 新「ビッグ・フィッシュ」
#035 旧「シービスケット」
#036 旧「ラブ・アクチュアリー」
#037 試「69 sixty nine」
#038 新「ドーン・オブ・ザ・デッド」
#039 旧「スペース・カウボーイ」
#040 旧「ミスティック・リバー」
#041 試「ブラザーフッド」
#042 新「メダリオン」
#043 新「ハリー・ポッター/アズカバンの囚人」
#044 新「スターシップ・トゥルーパーズ2」
#045 新「セイブ・ザ・ワールド」
#046 試「スチーム・ボーイ」
#047 試「リディック」
#048 試「いかレスラー」
#049 試「バレエ・カンパニー」
#050 試「MAIL」
#051 試「丹下左膳/百万両の壷」
#052 試「機関車先生」
#053 試「堕天使のパスポート」
#054 試「マッハ!」
#055 旧「ラブストーリー」
#056 旧「殺人の追憶」
#057 試「キング・アーサー」
#058 試「サンダーバード」
#059 試「ヴァン・ヘルシング」
#060 試「モナリザ・スマイル」
#061 試「LOVERS」
#062 試「ドリーマーズ・ハイ!」
#063 試「スウィングガールズ」
#064 試「ヴァン・ヘルシング」
#065 新「スパイダーマン2」
#066 試「NIN・NIN忍者ハットリくんTHE MOVIE」
#067 新「ワー!マイキー リターンズ!」
#068 新「華氏911」
#069 試「ジーリ」
#070 試「バイオハザードII アポカリプス」
#071 試「コード46」
#072 試「愛の落日」
#073 試「テイキング・ライブス」
#074 試「シークレット・ウインドウ」
#075 試「アイ、ロボット」
#076 試「ターンレフト ターンライト」
#077 試「ニュースの天才」
#078 試「マイ・ボディガード」
#079 試「トゥー・ブラザーズ」
#080 試「オールド・ボーイ」
#081 試「デビルマン」
#082 試「SURVIVE STYLE5+」
#083 新「ヴィレッジ」
#084 試「ヘルボーイ」
#085 試「アラモ」
#086 試「オーバードライヴ」
#087 試「モーターサイクル・ダイアリーズ」
#088 新「インファナル・アフェア 無間序曲」
#089 試「モーターサイクル・ダイアリーズ」
#090 試「スクービー・ドゥー2 モンスターパニック」
#091 試「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス デジタルリマスター版」
#092 祭「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス デジタルリマスター版(日本語吹替版)」
#093 祭「TUBE -チューブ-」
#094 祭「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」
#095 祭「ガルーダ」
#096 祭「リザレクション」
#097 祭「鉄人28号 インターナショナル・ヴァージョン」
#098 祭「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」
#099 試「ブラインド・ホライズン」
#100 祭「隠し剣 鬼の爪」
#101 祭「海猫」
#102 祭「ライフ・イズ・コメディ!」
#103 祭「カガンボーイ クモおとこ対ゴキブリおとこ」
#104 祭「青春愛人事件」
#105 祭「風のファイター(韓国公開バージョン)」
#106 試「恋文日和」
#107 試「爆裂都市」
#108 試「パニッシャー」
#109 新「ソウ」
#110 試「Boundin’(原題/短編)」
#111 試「Mr.インクレディブル」
#112 試「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」
#113 試「ハウルの動く城」
#114 新「笑の大学」
#115 祭「カナリア」
#116 祭「雲の南へ」
#117 祭「おそいひと」
#118 祭「柔道龍虎榜」
#119 試「カンフーハッスル」
#120 新「2046」
#121 試「ふたりにクギづけ」
#122 試「僕の彼女を紹介します」
#123 新「血と骨」
#124 試「カンフーハッスル」
#125 試「ネバーランド」
#126 新「恋の門」
#127 試「ULTRAMAN」
#128 試「ターミナル」
#129 試「戦争のはじめかた」
#130 試「ゴースト・シャウト」
#131 試「銀のエンゼル」
#132 新「酔画仙」
#133 新「レディ・ウェポン」
#134 新「バッド・サンタ」
□集計
新 29本
旧 16本
試 72本
祭 17本
計 134本
どうだろう、わたしが暗黒面に堕ちてもがく姿が確認できただろうか。134本中72本が試写会とは酷いもんです。
※ 試写会作品は当然新作なので、試写会作品が増えると言う事は必然的に新作本数が減少することになります。
文字数を使いすぎたので、次回につづくのだ。
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「映画への異常な愛情 または私は如何にしてお金を払うのをやめて試写会を愛するようになったか」
これは、映画マスターを目指す一人の若者が、試写会常連という暗黒面に堕ちて行く物語である。(嘘)
遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・(勿論嘘)
=+=+=+=+=+=+=
「試写会をめぐる冒険 その1」
http://diarynote.jp/d/29346/20041221.html
■幕間(2004年映画鑑賞状況)
前回お話したように、わたしは2004年4月頃から本格的に試写会を利用して映画を観るようになってしまったのだ。
そんなわたしが暗黒面でもがく姿を、つまり試写会を含めた2004年の映画鑑賞状況をお目にかけよう。
□2004年劇場鑑賞作品一覧
記号の意味は次の通り。
新:新作/封切作品/ロードショー作品
旧:旧作/名画座/リバイバル作品
試:試写会
祭:映画祭
#001 新「東京ゴッドファーザーズ」
#002 旧「インファナル・アフェア」
#003 旧「HERO」
#004 新「タイムライン」
#005 旧「十二人の怒れる男」
#006 旧「情婦」
#007 新「ジョゼと虎と魚たち」
#008 旧「2001年宇宙の旅<新世紀特別版>」
#009 旧「現金に体を張れ」
#010 旧「白い巨塔」
#011 旧「ぼんち」
#012 新「ラブストーリー」
#013 新「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」
#014 新「イノセンス」
#015 試「アップルシード」
#016 試「下妻物語」
#017 旧「家族ゲーム」
#018 試「犬と歩けば チロリとタムラ」
#019 旧「転校生」
#020 試「フォーチュン・クッキー」
#021 試「Re:プレイ」
#022 試「永遠のモータウン」
#023 試「スイミング・プール」
#024 新「キル・ビル Vol.2」
#025 新「スクール・オブ・ロック」
#026 新「ゴッド・ディーバ」
#027 試「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」
#028 新「CASSHERN」
#029 試「トロイ」
#030 試「カレンダー・ガールズ」
#031 試「21グラム」
#032 試「シルミド」
#033 試「天国の本屋〜恋火」
#034 新「ビッグ・フィッシュ」
#035 旧「シービスケット」
#036 旧「ラブ・アクチュアリー」
#037 試「69 sixty nine」
#038 新「ドーン・オブ・ザ・デッド」
#039 旧「スペース・カウボーイ」
#040 旧「ミスティック・リバー」
#041 試「ブラザーフッド」
#042 新「メダリオン」
#043 新「ハリー・ポッター/アズカバンの囚人」
#044 新「スターシップ・トゥルーパーズ2」
#045 新「セイブ・ザ・ワールド」
#046 試「スチーム・ボーイ」
#047 試「リディック」
#048 試「いかレスラー」
#049 試「バレエ・カンパニー」
#050 試「MAIL」
#051 試「丹下左膳/百万両の壷」
#052 試「機関車先生」
#053 試「堕天使のパスポート」
#054 試「マッハ!」
#055 旧「ラブストーリー」
#056 旧「殺人の追憶」
#057 試「キング・アーサー」
#058 試「サンダーバード」
#059 試「ヴァン・ヘルシング」
#060 試「モナリザ・スマイル」
#061 試「LOVERS」
#062 試「ドリーマーズ・ハイ!」
#063 試「スウィングガールズ」
#064 試「ヴァン・ヘルシング」
#065 新「スパイダーマン2」
#066 試「NIN・NIN忍者ハットリくんTHE MOVIE」
#067 新「ワー!マイキー リターンズ!」
#068 新「華氏911」
#069 試「ジーリ」
#070 試「バイオハザードII アポカリプス」
#071 試「コード46」
#072 試「愛の落日」
#073 試「テイキング・ライブス」
#074 試「シークレット・ウインドウ」
#075 試「アイ、ロボット」
#076 試「ターンレフト ターンライト」
#077 試「ニュースの天才」
#078 試「マイ・ボディガード」
#079 試「トゥー・ブラザーズ」
#080 試「オールド・ボーイ」
#081 試「デビルマン」
#082 試「SURVIVE STYLE5+」
#083 新「ヴィレッジ」
#084 試「ヘルボーイ」
#085 試「アラモ」
#086 試「オーバードライヴ」
#087 試「モーターサイクル・ダイアリーズ」
#088 新「インファナル・アフェア 無間序曲」
#089 試「モーターサイクル・ダイアリーズ」
#090 試「スクービー・ドゥー2 モンスターパニック」
#091 試「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス デジタルリマスター版」
#092 祭「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス デジタルリマスター版(日本語吹替版)」
#093 祭「TUBE -チューブ-」
#094 祭「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」
#095 祭「ガルーダ」
#096 祭「リザレクション」
#097 祭「鉄人28号 インターナショナル・ヴァージョン」
#098 祭「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」
#099 試「ブラインド・ホライズン」
#100 祭「隠し剣 鬼の爪」
#101 祭「海猫」
#102 祭「ライフ・イズ・コメディ!」
#103 祭「カガンボーイ クモおとこ対ゴキブリおとこ」
#104 祭「青春愛人事件」
#105 祭「風のファイター(韓国公開バージョン)」
#106 試「恋文日和」
#107 試「爆裂都市」
#108 試「パニッシャー」
#109 新「ソウ」
#110 試「Boundin’(原題/短編)」
#111 試「Mr.インクレディブル」
#112 試「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」
#113 試「ハウルの動く城」
#114 新「笑の大学」
#115 祭「カナリア」
#116 祭「雲の南へ」
#117 祭「おそいひと」
#118 祭「柔道龍虎榜」
#119 試「カンフーハッスル」
#120 新「2046」
#121 試「ふたりにクギづけ」
#122 試「僕の彼女を紹介します」
#123 新「血と骨」
#124 試「カンフーハッスル」
#125 試「ネバーランド」
#126 新「恋の門」
#127 試「ULTRAMAN」
#128 試「ターミナル」
#129 試「戦争のはじめかた」
#130 試「ゴースト・シャウト」
#131 試「銀のエンゼル」
#132 新「酔画仙」
#133 新「レディ・ウェポン」
#134 新「バッド・サンタ」
□集計
新 29本
旧 16本
試 72本
祭 17本
計 134本
どうだろう、わたしが暗黒面に堕ちてもがく姿が確認できただろうか。134本中72本が試写会とは酷いもんです。
※ 試写会作品は当然新作なので、試写会作品が増えると言う事は必然的に新作本数が減少することになります。
文字数を使いすぎたので、次回につづくのだ。
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試写会をめぐる冒険 その1
2004年12月21日 エッセイ/コラムわたしは2004年4月頃から、本格的に試写会を利用するようになった。しかし、それまでのわたしは、毎日毎日試写会に赴き、試写会場から会場へと渡歩く試写会常連の人々を批判的な目で見ていた。
「金も払わないで映画ばかり観やがって、何様のつもりだ!」
「お前ら、もっと映画業界に貢献しろ!」
そのわたしの批判的思想の根底には、映画はお金を払って観るものだ、そして、お金を払ってはじめて映画の批評ができるのだ、という考えと、試写会とは一般大衆の口コミを利用した配給会社の戦略的プロモーションであるから、試写会で映画を観た以上、プロモーションに協力しなければならない、つまり映画の内容や質はともかく、試写会でただで映画を観た以上、映画を褒めなければならない、という考えがあったからかも知れない。
そう、わたしはどこかの映画評論家のように、配給会社に迎合し、つまらない映画を褒めまくる行為が嫌だったのかも知れない。
前置きが長くなったが、本編のはじまりなのだ。
=+=+=+=+=+=+=
「映画への異常な愛情 または私は如何にしてお金を払うのをやめて試写会を愛するようになったか」
これは、映画マスターを目指す一人の若者が、試写会常連という暗黒面に堕ちて行く物語である。(嘘)
遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・(勿論嘘)
=+=+=+=+=+=+=
■映画は劇場で観るものなのだ
「DVD全盛の時代に、何言ってんだよ!ボケ!」
「うちの近所じゃ、話題作しか演らねえんだよ!タコ!」
映画は劇場で観るものなのだ、という考えは、DVD全盛の時代である現代においては時代錯誤的な考えかもしれないし、大小さまざまな劇場がひしめきあう都会に住んでいる人のエゴかも知れない。
しかし、「映画は劇場で観るものであって、テレビのブラウン管や液晶・プラズマパネル越しに見る映画みたいな奴は、映画に似てるけど、決して映画ではない」とわたしは思うのだ。
勿論「映画」はメディアの名称であるから、テレビで見る奴は定義からして映画ではないのだ。
えいが[映画]
一秒間一六または二四コマの速度で連続的に撮影されたフィルムを、映写機によって投影し、一連の物語や映像などを写し出すもの。一九世紀末に発明されて以来、トーキー・カラー・ワイド・立体などその表現技術はめざましく発展した。活動写真。キネマ。シネマ。ムービー。(三省堂「大辞林」より)
ここで当然ながらこんな疑問が湧いてくる、
「DLP上映等、デジタル上映作品は映画ではないのか?」
「ビデオ撮影・フィルム上映作品は映画ではないのか?」
と。しかし、この疑問については、また別の機会にお話しする事にする。
とにかく、「映画」というのはメディアの名前なんだから、テレビで放映されている奴は「映画」ではなく「テレビ番組」、ビデオやDVDビデオに収録されている奴は「映画」ではなく「ビデオ・プログラム」、「DVDビデオ・プログラム」なのだ。
従って、「映画」という奴は「劇場」で上映される奴のことなのだ。
よって、「映画は劇場で観るものなのだ」と言う考えには、合点していただけたでしょうか。
■金を払ってはじめて映画の批評ができるのだ
至極当然のことである。
消費者はその正当な対価を払う事により、「映画」というサービスを享受し、そのサービスに対する評価を下す事ができる訳である。
従って、彼氏におごってもらった映画の悪口を言ってはいけないのだ。
「おごってもらったくせに『つまんない映画』とか『ごはんまずー』とか言うな!」
と言うことなのだ。
つまり映画を批評するつもりなら、最初から金を払え、ということなのだ。
金を払ってはじめて、映画を批評する正当な権利が生まれるのである。
=+=+=+=+=+=+=
さあ、堕ちるぞ堕ちるぞ、暗黒面に堕ちるぞ。
次回、乞ご期待かも。
=+=+=+=+=+=+=
今後のエヒソード予定
■試写会からの魔の手
■試写会人生のはじまりなのだ
■わたしはネタバレを憎むのだ
■少しでも早く観たいのだ
=+=+=+=+=+=+=
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「金も払わないで映画ばかり観やがって、何様のつもりだ!」
「お前ら、もっと映画業界に貢献しろ!」
そのわたしの批判的思想の根底には、映画はお金を払って観るものだ、そして、お金を払ってはじめて映画の批評ができるのだ、という考えと、試写会とは一般大衆の口コミを利用した配給会社の戦略的プロモーションであるから、試写会で映画を観た以上、プロモーションに協力しなければならない、つまり映画の内容や質はともかく、試写会でただで映画を観た以上、映画を褒めなければならない、という考えがあったからかも知れない。
そう、わたしはどこかの映画評論家のように、配給会社に迎合し、つまらない映画を褒めまくる行為が嫌だったのかも知れない。
前置きが長くなったが、本編のはじまりなのだ。
=+=+=+=+=+=+=
「映画への異常な愛情 または私は如何にしてお金を払うのをやめて試写会を愛するようになったか」
これは、映画マスターを目指す一人の若者が、試写会常連という暗黒面に堕ちて行く物語である。(嘘)
遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・(勿論嘘)
=+=+=+=+=+=+=
■映画は劇場で観るものなのだ
「DVD全盛の時代に、何言ってんだよ!ボケ!」
「うちの近所じゃ、話題作しか演らねえんだよ!タコ!」
映画は劇場で観るものなのだ、という考えは、DVD全盛の時代である現代においては時代錯誤的な考えかもしれないし、大小さまざまな劇場がひしめきあう都会に住んでいる人のエゴかも知れない。
しかし、「映画は劇場で観るものであって、テレビのブラウン管や液晶・プラズマパネル越しに見る映画みたいな奴は、映画に似てるけど、決して映画ではない」とわたしは思うのだ。
勿論「映画」はメディアの名称であるから、テレビで見る奴は定義からして映画ではないのだ。
えいが[映画]
一秒間一六または二四コマの速度で連続的に撮影されたフィルムを、映写機によって投影し、一連の物語や映像などを写し出すもの。一九世紀末に発明されて以来、トーキー・カラー・ワイド・立体などその表現技術はめざましく発展した。活動写真。キネマ。シネマ。ムービー。(三省堂「大辞林」より)
ここで当然ながらこんな疑問が湧いてくる、
「DLP上映等、デジタル上映作品は映画ではないのか?」
「ビデオ撮影・フィルム上映作品は映画ではないのか?」
と。しかし、この疑問については、また別の機会にお話しする事にする。
とにかく、「映画」というのはメディアの名前なんだから、テレビで放映されている奴は「映画」ではなく「テレビ番組」、ビデオやDVDビデオに収録されている奴は「映画」ではなく「ビデオ・プログラム」、「DVDビデオ・プログラム」なのだ。
従って、「映画」という奴は「劇場」で上映される奴のことなのだ。
よって、「映画は劇場で観るものなのだ」と言う考えには、合点していただけたでしょうか。
■金を払ってはじめて映画の批評ができるのだ
至極当然のことである。
消費者はその正当な対価を払う事により、「映画」というサービスを享受し、そのサービスに対する評価を下す事ができる訳である。
従って、彼氏におごってもらった映画の悪口を言ってはいけないのだ。
「おごってもらったくせに『つまんない映画』とか『ごはんまずー』とか言うな!」
と言うことなのだ。
つまり映画を批評するつもりなら、最初から金を払え、ということなのだ。
金を払ってはじめて、映画を批評する正当な権利が生まれるのである。
=+=+=+=+=+=+=
さあ、堕ちるぞ堕ちるぞ、暗黒面に堕ちるぞ。
次回、乞ご期待かも。
=+=+=+=+=+=+=
今後のエヒソード予定
■試写会からの魔の手
■試写会人生のはじまりなのだ
■わたしはネタバレを憎むのだ
■少しでも早く観たいのだ
=+=+=+=+=+=+=
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2004/12/19 東京神保町「岩波ホール」で「酔画仙」を観た。
酒に酔い、女を愛し、興が乗ると神業のような筆使いで見事な絵を描き上げたという伝説の天才画家・張承業(チャン・スンオプ)。彼はその破天荒で謎の多い人生から「酔画仙」と呼ばれた。
朝鮮時代末期、開明派の学者であるキム・ビョンムン(アン・ソンギ[安聖基])は、街で子供達に殴られている貧しい子供チャン・スンオプ[張承業](チェ・ジョンソン/子役)を助ける。
数年後二人は再会し、スンオプ(チェ・ミンシク[崔岷植])の絵の才能に驚いたキムは彼を通訳官イ・ウンホン(ハン・ミョング)の家へ預けた。スンオプは、イ・ウンホンの家で下働きとして働きながら、スンオプは絵の修行を積むことになる。そんな中、スンオプはイ・ウンホンの妹ソウン(ソン・イェジン[孫芸珍])に一目惚れするが、ソウンはまもなく結婚してしまう。
通訳官の家で働きながら、絵の修行をつみ、スンオプは絵の非凡なる実力を発揮し始めた。酒に酔って興がわいたときにスンオプがとる筆からは神業のような絵が生まれ、スンオプは画家として名をなすようになった。
しかし周りの人々は彼の絵を名誉のために利用しようとするだけで、スンオプの心は満たされることは無かった。そんな彼を支えたのが没落貴族・両班(ヤンパン)の娘で妓生(キーセン)となったメヒャン(ユ・ホジョン[柳好貞])だった。
しかし時代の流れに翻弄され二人は何度もの別れと再会を強いられた。
ついに彼は宮廷画家にまでのぼりつめたが、生来の性癖を改めることなく束縛を嫌い、酒に酩酊し、女を愛し、逃亡と放浪を繰り返していた。
そんな彼にキムは「本物の芸術家になれ」と厳しく諭すのだった。スンオプの本当の苦悩の旅が始まった・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
「2002年カンヌ国際映画祭監督賞受賞」
監督:イム・グォンテク
出演:チェ・ミンシク[崔岷植](チャン・スンオプ[張承業])、アン・ソンギ[安聖基](キム・ビョンムン)、ユ・ホジョン[柳好貞](メヒャン)、ソン・イェジン[孫芸珍](ソウン)、キム・ヨジン[金汝眞](ジノン)
こういった時代考証的に美術や衣装がしっかりしたリアリティ溢れる映画を観ると、アジアと日本との文化(映画)の描き方の差異に愕然としてしまう。
あぁ、日本の時代劇はなんてリアリティが無いのだろう、と。
そもそも日本の時代劇の根本には、多くの日本文化、例えば歌舞伎や俳句がそうであるように省略と見立て、そして様式美にあふれている。
そして、その様式美を重視した世界観の下構築された所謂時代劇と言うものでは、全ての登場人物は買ったばかりのような綺麗な衣装を身に着けているし、武士の月代(さかやき)は今朝剃ったばかりのように青々としているのだ。
そう、日本の時代劇はリアリティを重視した作品ではなく、様式美を楽しむファンタジーなのである。
尤も、黒澤明の時代劇や、最近では山田洋次の「隠し剣 鬼の爪」のような作品の美術や衣装には生活観があふており、武士や農民そして市井の人々の生活に、生活感あふれる見事なリアリティを付与している。
一方アジアの巨匠チャン・イーモウの「HERO/英雄」あたりでは、日本の時代劇同様の様式美に力点を置き、リアリティとかけ離れたファンタジックな世界を描いているのだ。
わたしは使い込まれた衣装や道具、生活感溢れる舞台背景が描かれた作品が観たいのだ。
「HERO/英雄」なんかより「酔画仙」の世界観に、使い込まれた道具や衣装が醸し出すリアルな生活感溢れる作品に惹かれるのである。
例えばこれは「サンダーバード」の油で汚れた救助メカや、徹夜をすると顎が青くなる人形に、「スター・ウォーズ」のオンボロ宇宙船に、そしてそれらの使い込まれた生活感あふれる様々な道具が醸し出す圧倒的な世界観に惹かれてしまうのである。
なんだか前置きが長くなってしまったが、本作「酔画仙」は一言で言うと、大変素晴らしい作品である。
その物語は、大日本帝国と清国とが朝鮮半島の利権をめぐる争いを続ける中、「酔画仙」と呼ばれた伝説の天才画家・張承業(チャン・スンオプ)の生涯を描いたもので、波乱に満ちた歴史背景を縦軸に、張承業と絵、そして張承業を巡る女達や男達のドラマを横軸に織り成す、歴史絵巻物なのである。
最近の作品で言うと物語の構成上は「血と骨」に似た作品かもしれない。
キャストは何と言っても破天荒な天才画家・張承業を演じたチェ・ミンシク[崔岷植]に尽きる。現在公開中の「オールド・ボーイ」も素晴らしいが、本作でも存在感あふれる素晴らしい演技を見せてくれている。
そして本作の肝である、絵を描く張承業の姿も素晴らしく、本当にチェ・ミンシク[崔岷植]が、あれら素晴らしい絵を描いているかのように思えるのだ。「美しき諍い女」もビックリなのだ。
また、本作がデビュー作となる「ラブ・ストーリー」のヒロイン役ソン・イェジン[孫芸珍]も印象的な輝きを見せている。
開明派の学者キム・ビョンムンを演じたアン・ソンギ[安聖基]は名優の名に恥じない演技を見せ、陰になり日向になり張承業を見守る確固とした人物を創出している。
また、メヒャンを演じたユ・ホジョン[柳好貞]の生き様も非常に印象に残る。
脚本は、長い時代を描いている点を考えると、一般的には焦点がボケた脚本になり易いのだが、本作の時代のうねりをあまり描かずに張承業の生き様を中心に据えた脚本に好感を覚える。
しかし、歴史背景をあまり描かない、と言うことは、観客には19世紀末の朝鮮半島を取り巻く政治的歴史的背景の知識が必要である、ということも言えるのだ。
また撮影は、大草原の中を歩く張承業を、紙と筆になぞらえたようなカットが、正に絵画のように美しく、非常に印象的である。
美術や衣装は前段で書いたように素晴らしく。圧倒的な筆致で素晴らしい世界観を構築している。
美術や衣装は本当に見事である。使い込まれた衣装、薄汚れた衣装、生活感溢れるセットや道具。
映画の魔法から醒めない、素晴らしい効果を感じるのだ。
そして名匠イム・グォンテクの演出は危なげが無く、安心感に溢れている。細かい演出も楽しいしウイットにも富んでいる。
本作「酔画仙」は、物語はスローモーだし、娯楽大作のような大きな出来事は起きないが、一幅の絵画を愛でるように楽しむ作品なのだ。
そして、本作は人には教えたくない、自分だけで楽しみたい種類の作品のような気がするのだ。
☆☆☆★ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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酒に酔い、女を愛し、興が乗ると神業のような筆使いで見事な絵を描き上げたという伝説の天才画家・張承業(チャン・スンオプ)。彼はその破天荒で謎の多い人生から「酔画仙」と呼ばれた。
朝鮮時代末期、開明派の学者であるキム・ビョンムン(アン・ソンギ[安聖基])は、街で子供達に殴られている貧しい子供チャン・スンオプ[張承業](チェ・ジョンソン/子役)を助ける。
数年後二人は再会し、スンオプ(チェ・ミンシク[崔岷植])の絵の才能に驚いたキムは彼を通訳官イ・ウンホン(ハン・ミョング)の家へ預けた。スンオプは、イ・ウンホンの家で下働きとして働きながら、スンオプは絵の修行を積むことになる。そんな中、スンオプはイ・ウンホンの妹ソウン(ソン・イェジン[孫芸珍])に一目惚れするが、ソウンはまもなく結婚してしまう。
通訳官の家で働きながら、絵の修行をつみ、スンオプは絵の非凡なる実力を発揮し始めた。酒に酔って興がわいたときにスンオプがとる筆からは神業のような絵が生まれ、スンオプは画家として名をなすようになった。
しかし周りの人々は彼の絵を名誉のために利用しようとするだけで、スンオプの心は満たされることは無かった。そんな彼を支えたのが没落貴族・両班(ヤンパン)の娘で妓生(キーセン)となったメヒャン(ユ・ホジョン[柳好貞])だった。
しかし時代の流れに翻弄され二人は何度もの別れと再会を強いられた。
ついに彼は宮廷画家にまでのぼりつめたが、生来の性癖を改めることなく束縛を嫌い、酒に酩酊し、女を愛し、逃亡と放浪を繰り返していた。
そんな彼にキムは「本物の芸術家になれ」と厳しく諭すのだった。スンオプの本当の苦悩の旅が始まった・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
「2002年カンヌ国際映画祭監督賞受賞」
監督:イム・グォンテク
出演:チェ・ミンシク[崔岷植](チャン・スンオプ[張承業])、アン・ソンギ[安聖基](キム・ビョンムン)、ユ・ホジョン[柳好貞](メヒャン)、ソン・イェジン[孫芸珍](ソウン)、キム・ヨジン[金汝眞](ジノン)
こういった時代考証的に美術や衣装がしっかりしたリアリティ溢れる映画を観ると、アジアと日本との文化(映画)の描き方の差異に愕然としてしまう。
あぁ、日本の時代劇はなんてリアリティが無いのだろう、と。
そもそも日本の時代劇の根本には、多くの日本文化、例えば歌舞伎や俳句がそうであるように省略と見立て、そして様式美にあふれている。
そして、その様式美を重視した世界観の下構築された所謂時代劇と言うものでは、全ての登場人物は買ったばかりのような綺麗な衣装を身に着けているし、武士の月代(さかやき)は今朝剃ったばかりのように青々としているのだ。
そう、日本の時代劇はリアリティを重視した作品ではなく、様式美を楽しむファンタジーなのである。
尤も、黒澤明の時代劇や、最近では山田洋次の「隠し剣 鬼の爪」のような作品の美術や衣装には生活観があふており、武士や農民そして市井の人々の生活に、生活感あふれる見事なリアリティを付与している。
一方アジアの巨匠チャン・イーモウの「HERO/英雄」あたりでは、日本の時代劇同様の様式美に力点を置き、リアリティとかけ離れたファンタジックな世界を描いているのだ。
わたしは使い込まれた衣装や道具、生活感溢れる舞台背景が描かれた作品が観たいのだ。
「HERO/英雄」なんかより「酔画仙」の世界観に、使い込まれた道具や衣装が醸し出すリアルな生活感溢れる作品に惹かれるのである。
例えばこれは「サンダーバード」の油で汚れた救助メカや、徹夜をすると顎が青くなる人形に、「スター・ウォーズ」のオンボロ宇宙船に、そしてそれらの使い込まれた生活感あふれる様々な道具が醸し出す圧倒的な世界観に惹かれてしまうのである。
なんだか前置きが長くなってしまったが、本作「酔画仙」は一言で言うと、大変素晴らしい作品である。
その物語は、大日本帝国と清国とが朝鮮半島の利権をめぐる争いを続ける中、「酔画仙」と呼ばれた伝説の天才画家・張承業(チャン・スンオプ)の生涯を描いたもので、波乱に満ちた歴史背景を縦軸に、張承業と絵、そして張承業を巡る女達や男達のドラマを横軸に織り成す、歴史絵巻物なのである。
最近の作品で言うと物語の構成上は「血と骨」に似た作品かもしれない。
キャストは何と言っても破天荒な天才画家・張承業を演じたチェ・ミンシク[崔岷植]に尽きる。現在公開中の「オールド・ボーイ」も素晴らしいが、本作でも存在感あふれる素晴らしい演技を見せてくれている。
そして本作の肝である、絵を描く張承業の姿も素晴らしく、本当にチェ・ミンシク[崔岷植]が、あれら素晴らしい絵を描いているかのように思えるのだ。「美しき諍い女」もビックリなのだ。
また、本作がデビュー作となる「ラブ・ストーリー」のヒロイン役ソン・イェジン[孫芸珍]も印象的な輝きを見せている。
開明派の学者キム・ビョンムンを演じたアン・ソンギ[安聖基]は名優の名に恥じない演技を見せ、陰になり日向になり張承業を見守る確固とした人物を創出している。
また、メヒャンを演じたユ・ホジョン[柳好貞]の生き様も非常に印象に残る。
脚本は、長い時代を描いている点を考えると、一般的には焦点がボケた脚本になり易いのだが、本作の時代のうねりをあまり描かずに張承業の生き様を中心に据えた脚本に好感を覚える。
しかし、歴史背景をあまり描かない、と言うことは、観客には19世紀末の朝鮮半島を取り巻く政治的歴史的背景の知識が必要である、ということも言えるのだ。
また撮影は、大草原の中を歩く張承業を、紙と筆になぞらえたようなカットが、正に絵画のように美しく、非常に印象的である。
美術や衣装は前段で書いたように素晴らしく。圧倒的な筆致で素晴らしい世界観を構築している。
美術や衣装は本当に見事である。使い込まれた衣装、薄汚れた衣装、生活感溢れるセットや道具。
映画の魔法から醒めない、素晴らしい効果を感じるのだ。
そして名匠イム・グォンテクの演出は危なげが無く、安心感に溢れている。細かい演出も楽しいしウイットにも富んでいる。
本作「酔画仙」は、物語はスローモーだし、娯楽大作のような大きな出来事は起きないが、一幅の絵画を愛でるように楽しむ作品なのだ。
そして、本作は人には教えたくない、自分だけで楽しみたい種類の作品のような気がするのだ。
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週刊「映画レビュー・インデックス」2004/12/18
2004年12月18日 週刊「映画レビュー・インデックス」週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)2004/12/18号
をお届けします。
今後も継続する見込みが超濃厚です。
■「映画レビュー・インデックス」
http://homepage3.nifty.com/~tkr/ture/openindex.htm
■公開中
2004/12/18公開作品
「ULTRAMAN」http://diarynote.jp/d/29346/20041207.html
「銀のエンゼル」http://diarynote.jp/d/29346/20041215.html
「ゴーストシャウト」http://diarynote.jp/d/29346/20041214.html
「ターミナル」http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
「マイ・ボディガード」http://diarynote.jp/d/29346/20040903.html
2004/12/11公開作品
「僕の彼女を紹介します」http://diarynote.jp/d/29346/20041130.html
「戦争のはじめかた」http://diarynote.jp/d/29346/20041210.html
「ふたりにクギづけ」http://diarynote.jp/d/29346/20041129.html
2004/12/04公開作品
「Mr.インクレディブル」http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
「恋文日和」http://diarynote.jp/d/29346/20041203.html
2004/11/27公開作品
「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」
http://diarynote.jp/d/29346/20041115.html
「ニュースの天才」http://diarynote.jp/d/29346/20040830.html
2004/12/18公開作品の目玉は何と言っても「ターミナル」でしょう。スピルバーグとトム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズという最強の正に「鬼に金棒」の作品です。
対抗するは、デンゼル・ワシントン、ダコタ・ファニングの「マイ・ボディガード」(トニー・スコット監督)。
邦画では「約三十の嘘」と「銀のエンゼル」に注目ですね。「ゴーストシャウト」も面白いけど・・・・。大林宣彦の「理由」も公開になりますが、長いのが最大の弱点でしょう。
■週末興収ベストテン
2004/12/11-12 興収ベストテン
1.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2.「Mr.インクレディブル」(ブエナビスタ)
http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
3.「僕の彼女を紹介します」(ワーナー)
http://diarynote.jp/d/29346/20041130.html
4.「いま、会いにゆきます」(東宝)
5.「ゴジラ FINAL WARS」(東宝)
6.「ポーラー・エクスプレス」(ワーナー)
7.「レディ・ジョーカー」(東映)
8.「誰にでも秘密がある」(東芝エンタテインメント)
9.「コラテラル」(UIP)
10.「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」(ギャガ=ヒューマックス)
http://diarynote.jp/d/29346/20041115.html
東宝の牙城に、一本東映が入ってきました。
年末正月に向けて、アニメーション、ファミリー・ムービーが目白押しですね。今秋からは松竹の「ULTRAMAN」が参入します。
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2004/12/18公開作品の目玉は何と言っても「ターミナル」でしょう。スピルバーグとトム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズという最強の正に「鬼に金棒」の作品です。
対抗するは、デンゼル・ワシントン、ダコタ・ファニングの「マイ・ボディガード」(トニー・スコット監督)。
邦画では「約三十の嘘」と「銀のエンゼル」に注目ですね。「ゴーストシャウト」も面白いけど・・・・。大林宣彦の「理由」も公開になりますが、長いのが最大の弱点でしょう。
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2004/12/11-12 興収ベストテン
1.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2.「Mr.インクレディブル」(ブエナビスタ)
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5.「ゴジラ FINAL WARS」(東宝)
6.「ポーラー・エクスプレス」(ワーナー)
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9.「コラテラル」(UIP)
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東宝の牙城に、一本東映が入ってきました。
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2004/12/15 東京半蔵門「TOKYO FMホール」で行われた「銀のエンゼル」の「新潟中越地震チャリティ試写会」に行ってきた。
上映前に行われた「募金のお願い」と「トーク・ショー」のゲストは浅田美代子と佐藤めぐみ。
北海道の田舎町。
国道沿いのコンビニエンスストア。
オーナーの北島昇一(小日向文世)は、妻で店長の佐和子(浅田美代子)に店を任せて、気ままな毎日を送っていた。だがそんなある日のこと、佐和子が突然の交通事故で入院。妻の代わりに深夜の勤務に就く羽目になった昇一の毎日はガラリと変わり始める。おまけに会話が途絶えがちな娘の由希(佐藤めぐみ)と向き合わなくてはならないのだ。
頼りになるがどこか訳ありの店員・佐藤(西島秀俊)。
配送の六月(ロッキー/大泉洋)は由希に恋していた。
コンピニの灯りを頼りにダンスの練習に励む高校生・中川(辻本祐樹)。
毎晩チョコボールを一箱買って帰るバツイチ子持ちの美女・明美(山口もえ)。
夜のコンビニに広がる未知の世界に翻弄される昇一だったが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:鈴井貴之
脚本:木田紀生
出演:小日向文世(北島昇一)、佐藤めぐみ(北島由希)、浅田美代子(北島佐和子)、西島秀俊(佐藤耕輔)、大泉洋(ロッキー/六月)、山口もえ(小林明美)、嶋田久作(白下巡査)、辻本祐樹(中川武)、安田顕(担任)、佐藤重幸(バナナの客)、森崎博之(スナックの若い男)、村上ショージ(杉山登)、輪島功一(小暮達也)、小橋亜樹(看護婦)、有安杏果(小林かおり)
本作「銀のエンゼル」は、陳腐な表現だが、心の琴線に触れる素晴らしくノスタルジックな作品である。
地元の高校卒業後の進路の悩み。
町を捨て都会に出て行くのか、それとも夢をあきらめてその町に埋没していくのか。
現代、フリーターやニートと呼ばれる人々が増加する時代に、そのフリーターやニートとして生きていく若者の悩みを本作は代弁している。
そして、町から出たは良いが、夢破れて町に帰ってくる人々、町に埋没せざるを得ない環境、親子の断絶、恋の悩み等々、他から見れば些細な問題かもしれないが、当人にとっては重大な問題を抱えた人々が、町のオアシス・コンビニエンスストアに集っている。そして彼らは、そのコンビニを起点として、悩み、そして解決策を見出していく訳なのだ。
先ず、現代社会の中、深夜のオアシスとして機能しているコンビニを舞台に、様々な人間模様を織りなすという、物語の根本となるプロットは良い発想だと思う。
脚本を見てみると、登場人物のセリフでは多くを語らない脚本になっているのだが、画面を通じて登場人物の過去と現在、そして未来を雄弁に描写する形態を持つ脚本に仕上がっている。
そして、脚本に驚かされたのは、物語に本当に必要な部分は描かれてはいるのだが、物語の焦点をぼかすと思われる周辺のエピソードの描写を著しく割愛しているのである。
そのため、本作は見方によっては、本筋ではない周辺のエピソードはあまりにも説明不足であり、周りの登場人物が一体何をしていたのかが想像力がない観客には、理解できない構造を持っているのだ。
しかし、その割愛された部分が逆に物語に素晴らしい余韻と観客が自由に遊ぶ空間(行間)を与えているのも事実なのである。
本作の割愛されたエヒソードは、想像という翼により、観客それぞれの人生経験から物語をつむぎだす事が可能な構造を持つ、ある意味余裕が感じられる作品に仕上がっている、とも取れるのである。
演出は北海道に似つかわしい、ゆったりとした時間が流れるものでありながらも、確実で素晴らしい演出がされている。
例えば、冒頭、深夜放送をバックに配送トラックが道路を走っているだけでも泣けてくるし、エピローグなど号泣ものである。
またロケーション効果や舞台設定も素晴らしく、由希(佐藤めぐみ)と中川(辻本祐樹)の会話シークエンスの舞台となる雪に覆われたテニスコートや、由希がスケッチをする鉄骨の骨組み、昇一(小日向文世)と杉山(村上ショージ)が話をするガソリンスタンドの屋根等、印象的な舞台設定が楽しい。
キャストは、小日向文世(北島昇一)、佐藤めぐみ(北島由希)、西島秀俊(佐藤耕輔)、大泉洋(ロッキー/六月)、山口もえ(小林明美)あたりが印象的であった。
先ず、小日向文世だが、彼の表情と微妙な仕草、自信なさげなセリフが素晴らしい。本作はおそらく「非・バランス」に次ぐ彼の代表作として記憶されるのではないか、と思うのだ。
また、西島秀俊は非常に良い味を出している。物語のオブザーバー敵存在にも取れ、観客と一体化する外部の視点を体現している。彼のキャラクターは、来年公開の「カナリア」で西島秀俊が演じたキャラクターと比較すると興味深い。
そして、大泉洋は想像通りと言うか期待通りのキャラクターであった。泣きに笑いに大活躍である。
冒頭の配送トラックのシークエンスは感動的であり、中盤の見せ場も楽しい。
更に山口もえだが、彼女が演じたキャラクターは、実は本作の大きなテーマを体現している非常に重要なものであり、彼女の生き様がひとつの田舎町の生活の例なのだ。
そして、佐藤めぐみだが、彼女は本作の主演とも言えるキャラクターとも言える高校三年生の葛藤を体現した複雑な役柄を見事に演じきっていた。将来に期待である。
ちよっと褒めすぎかも知れないが、関心と機会があるのなら、是非観ておいて欲しい作品である。
展開はスローモーで、娯楽大作が好きな人には退屈かもしれないが、北海道のローカル深夜番組「水曜どうでしょう」で大ブレイクしたコンビを見る、と言う話題性だけではない、何か(something)が確かに存在する映画なのだ。
=+=+=+=+=+=+=
余談だが、本作は自主制作映画的なキャスティングも楽しめる作品とも言えるのだ。
とある大学の演劇研究会出身の役者たちが何人か出演しているのだ。
更に余談だが、わたしは大学時代、彼らが所属していた演劇研究会の隣に部室があった映画研究会に属していた。
更に余談だが、北国ではコンビニのおにぎりをレンジで温めるのだが、この冬おにぎりを温める事が全国で流行るに違いないのだ。
=+=+=+=+=+=+=
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北海道の田舎町。
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オーナーの北島昇一(小日向文世)は、妻で店長の佐和子(浅田美代子)に店を任せて、気ままな毎日を送っていた。だがそんなある日のこと、佐和子が突然の交通事故で入院。妻の代わりに深夜の勤務に就く羽目になった昇一の毎日はガラリと変わり始める。おまけに会話が途絶えがちな娘の由希(佐藤めぐみ)と向き合わなくてはならないのだ。
頼りになるがどこか訳ありの店員・佐藤(西島秀俊)。
配送の六月(ロッキー/大泉洋)は由希に恋していた。
コンピニの灯りを頼りにダンスの練習に励む高校生・中川(辻本祐樹)。
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出演:小日向文世(北島昇一)、佐藤めぐみ(北島由希)、浅田美代子(北島佐和子)、西島秀俊(佐藤耕輔)、大泉洋(ロッキー/六月)、山口もえ(小林明美)、嶋田久作(白下巡査)、辻本祐樹(中川武)、安田顕(担任)、佐藤重幸(バナナの客)、森崎博之(スナックの若い男)、村上ショージ(杉山登)、輪島功一(小暮達也)、小橋亜樹(看護婦)、有安杏果(小林かおり)
本作「銀のエンゼル」は、陳腐な表現だが、心の琴線に触れる素晴らしくノスタルジックな作品である。
地元の高校卒業後の進路の悩み。
町を捨て都会に出て行くのか、それとも夢をあきらめてその町に埋没していくのか。
現代、フリーターやニートと呼ばれる人々が増加する時代に、そのフリーターやニートとして生きていく若者の悩みを本作は代弁している。
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そして、脚本に驚かされたのは、物語に本当に必要な部分は描かれてはいるのだが、物語の焦点をぼかすと思われる周辺のエピソードの描写を著しく割愛しているのである。
そのため、本作は見方によっては、本筋ではない周辺のエピソードはあまりにも説明不足であり、周りの登場人物が一体何をしていたのかが想像力がない観客には、理解できない構造を持っているのだ。
しかし、その割愛された部分が逆に物語に素晴らしい余韻と観客が自由に遊ぶ空間(行間)を与えているのも事実なのである。
本作の割愛されたエヒソードは、想像という翼により、観客それぞれの人生経験から物語をつむぎだす事が可能な構造を持つ、ある意味余裕が感じられる作品に仕上がっている、とも取れるのである。
演出は北海道に似つかわしい、ゆったりとした時間が流れるものでありながらも、確実で素晴らしい演出がされている。
例えば、冒頭、深夜放送をバックに配送トラックが道路を走っているだけでも泣けてくるし、エピローグなど号泣ものである。
またロケーション効果や舞台設定も素晴らしく、由希(佐藤めぐみ)と中川(辻本祐樹)の会話シークエンスの舞台となる雪に覆われたテニスコートや、由希がスケッチをする鉄骨の骨組み、昇一(小日向文世)と杉山(村上ショージ)が話をするガソリンスタンドの屋根等、印象的な舞台設定が楽しい。
キャストは、小日向文世(北島昇一)、佐藤めぐみ(北島由希)、西島秀俊(佐藤耕輔)、大泉洋(ロッキー/六月)、山口もえ(小林明美)あたりが印象的であった。
先ず、小日向文世だが、彼の表情と微妙な仕草、自信なさげなセリフが素晴らしい。本作はおそらく「非・バランス」に次ぐ彼の代表作として記憶されるのではないか、と思うのだ。
また、西島秀俊は非常に良い味を出している。物語のオブザーバー敵存在にも取れ、観客と一体化する外部の視点を体現している。彼のキャラクターは、来年公開の「カナリア」で西島秀俊が演じたキャラクターと比較すると興味深い。
そして、大泉洋は想像通りと言うか期待通りのキャラクターであった。泣きに笑いに大活躍である。
冒頭の配送トラックのシークエンスは感動的であり、中盤の見せ場も楽しい。
更に山口もえだが、彼女が演じたキャラクターは、実は本作の大きなテーマを体現している非常に重要なものであり、彼女の生き様がひとつの田舎町の生活の例なのだ。
そして、佐藤めぐみだが、彼女は本作の主演とも言えるキャラクターとも言える高校三年生の葛藤を体現した複雑な役柄を見事に演じきっていた。将来に期待である。
ちよっと褒めすぎかも知れないが、関心と機会があるのなら、是非観ておいて欲しい作品である。
展開はスローモーで、娯楽大作が好きな人には退屈かもしれないが、北海道のローカル深夜番組「水曜どうでしょう」で大ブレイクしたコンビを見る、と言う話題性だけではない、何か(something)が確かに存在する映画なのだ。
=+=+=+=+=+=+=
余談だが、本作は自主制作映画的なキャスティングも楽しめる作品とも言えるのだ。
とある大学の演劇研究会出身の役者たちが何人か出演しているのだ。
更に余談だが、わたしは大学時代、彼らが所属していた演劇研究会の隣に部室があった映画研究会に属していた。
更に余談だが、北国ではコンビニのおにぎりをレンジで温めるのだが、この冬おにぎりを温める事が全国で流行るに違いないのだ。
=+=+=+=+=+=+=
☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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「ゴーストシャウト」
2004年12月14日 映画
2004/12/14 東京新宿「テアトル池袋」で「ゴースト・ネゴシエイター」改め「ゴーストシャウト」の改名披露試写会に行ってきた。
舞台挨拶は、出演の滝沢沙織、南野陽子、野田社長と、細木数子のおかげで改名した繋がりのモンキッキ。
榊ヨウコ(滝沢沙織)の職業はゴーストネゴシエイター。
それは下界に現われた幽霊と交渉し無事に成仏させるというもの。
しかし、普通の生活に憧れていたヨウコは、今日を限りにこの因果な商売から足を洗うつもりでいた。そしてとある新婚夫婦(高橋克典/三浦理恵子)の家でなんとか幽霊を成仏させたヨウコは、恋人の元木俊雄(永井大)とのデートに出かける。ヨウコはこのデートで俊雄の母親(川島なお美)と会う事になっていたのだ。
その直後、ヨウコの事務所に緊急の依頼が舞い込む。
それは八王子にある星陵音楽大学のチャペルに、幽霊が現われ、歌を歌っていると言うのだ。
借金に苦しむ事務所の社長・外古葉雄一(菅田俊)は、お化け屋敷でスカウトしたばかりの柳田浩司(井澤健)をヨウコのデート場所に向かわせ、2人で現場に急行するよう指示を出す。恋人には本当の職業をひた隠しにしているヨウコは、俊雄を残したまま、渋々現場へ向かうのだが・・・・。
監督:塚本連平
脚本:EN(榎本憲男)、佐々木充郭
出演:滝沢沙織(榊ヨウコ)、井澤健(柳田浩司)、永井大(元木俊雄)、高樹マリア(美空つぐみ)、高橋克典(若夫婦/夫)、三浦理恵子(若夫婦/妻)、南野陽子(矢田部愛子)、はなわ(時田君)、川島なお美(元木の母)、玉木宏(健太の孫)、中山仁 (響学)、赤座美代子(響澄子)、藤村俊二(坂口健太)、小倉一郎(市川学部長)、ムッシュかまやつ(お化け屋敷館主)、菅田俊(外古葉雄一)、阿南健治(横島事務局長)、雛形あきこ(マリコ)
はいはい、仰る通りですよ。
どうせ、つまらない映画だと思ってましたよ。
細木数子のお告げに従って、映画タイトルを安易に変更しちゃう話題性重視のダメ映画だろうと思ってましたよ。
そんなわたしが莫迦でした。
本作「ゴーストシャウト」は、プロットと伏線がカチっと決まった素晴らしい脚本を備えた良質の作品に仕上がっていたのだ。
その優れた脚本は(勿論褒めすぎの感は否定できないが)、まるで脚本の「お手本」とも言えるクオリティを持っているのだ。
何も足さない、何も引かない、それで充分なのだ。
本作の脚本は、全てのセリフ、全てのカット、全ての登場人物に、きちんと意味を持たせた素晴らしい脚本だった。
勿論、全てのセリフやカット、登場人物に意味を持たせるのは、本来映画としては当たり前の事なのだが、そんな正しい映画は結構少ないと思うのだ。
強いて例えるならば、「バック・トゥー・ザ・フューチャー」シリーズの脚本の仕上がりに匹敵するのではないかな、と思う訳だ。
演出はベタで順当である。
悪く言えばベタでお約束通りのありきたりなもので、独創的な演出や、光る演出はそれほどないのだが、その予定調和的で順当なあたり前の演出は、所謂映画文法に則った、誰もが納得できる、安心感が感じられる仕上がりを見せている。
美術は世界観を全く損なわず、そしてでしゃばらず、縁の下で作品を見事に支えている点に好感を感じた。イメージとして特筆すべき点があるとすると、やはり「天国の階段」を実写化したのは評価に値すると思う。その辺りの世界観は秀逸である。
また、撮影は広角レンズの多用が非常に印象的であった。
編集は、見事な脚本と相まって、シーンのつなぎ部分に素晴らしい効果を与えている。複数の舞台で起きている事象を関連性で引っ張りながら繋ぐ手腕に舌を巻いてしまう。勿論これはシーンの変わり目を当初から意識した素晴らしい脚本のおかげなのだがね。
キャストはバラエティ的には豪華である。
比較的キャッチーな旬のタレントの起用には好感が持てる。
物語の進行を著しく停滞させてしまう悪い意味でのカメオではなく、旬のタレントを物語に溶け込ませる手腕は見事である。
主演の榊ヨウコを演じた滝沢沙織は初主演に関わらず素晴らしかった。2面性のあるキャラクターを危なげなく演じきっている。
特に、相棒となる井澤健(柳田浩司役)とのコンビネーションは抜群である。
また、恋人元木俊雄役の永井大との息もピッタリで、もしかすると大化けする、今後が楽しみな女優さんになっていくかも知れない。
また、矢田部愛子を演じた南野陽子も素晴らしかった。多分この作品が成功しているのは、元アイドル南野陽子をキャスティングできたことに因るのではないか、と思えるほどの怪演振りである。
また、藤村俊二や阿南健治のキャスティングがツボを押さえており、物語を語る上で素晴らしい見せ場をそれぞれ演じている。
とにかく、本作「ゴーストシャウト」は、お子様からお年寄りまで、全ての観客が楽しめる一流のエンターテイメント作品に仕上がっているし、物語も笑いながら最後にちょっぴり涙が出ちゃう感動作品にも仕上がっている。
そして、過去と現在を結ぶ伏線が見事で、プロットと伏線がジグソー・パズルのようにピタっとはまる上、演出もお約束的に楽しめる作品なのだ。
個人的には、是非ヒットしていただきたいと思うのだ。
=+=+=+=+=+=+=
本作「ゴーストシャウト」は、東京テアトルが発起人となっているガリンペイロ・レーベルの作品である。
これは、新しい日本映画の才能を単館系エンターテイメントから発信する事を目的としたプロジェクトであり、本作はその高い志の下に製作された4本目の作品なのである。
このような孤高で良質なエンターテイメント作品は、きちんとプロモーションされ、きちんとヒットさせる必要があるのだ。
そして、このような真摯で良心的な作品がヒットするかどうか。それが今後の日本映画のあり方のひとつのカギになるのではないか、と思うのだ。
=+=+=+=+=+=+=
舞台挨拶は、前述のようにいろんな人が登場したが、個人的には南野陽子が興味深かった。
アイドル時代の営業の経験からか、挨拶やお辞儀の仕方から、トークでのアドリブの飛ばし方、割って入るタイミング、観客の視線の集め方等々、舞台慣れが感じられ、やはり普通の女優と違って、元アイドルは生に強いな、と思ってしまうのだ。
何と言っても滝沢沙織と南野陽子のお辞儀の角度が完全に違っていたのだ。
=+=+=+=+=+=+=
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舞台挨拶は、出演の滝沢沙織、南野陽子、野田社長と、細木数子のおかげで改名した繋がりのモンキッキ。
榊ヨウコ(滝沢沙織)の職業はゴーストネゴシエイター。
それは下界に現われた幽霊と交渉し無事に成仏させるというもの。
しかし、普通の生活に憧れていたヨウコは、今日を限りにこの因果な商売から足を洗うつもりでいた。そしてとある新婚夫婦(高橋克典/三浦理恵子)の家でなんとか幽霊を成仏させたヨウコは、恋人の元木俊雄(永井大)とのデートに出かける。ヨウコはこのデートで俊雄の母親(川島なお美)と会う事になっていたのだ。
その直後、ヨウコの事務所に緊急の依頼が舞い込む。
それは八王子にある星陵音楽大学のチャペルに、幽霊が現われ、歌を歌っていると言うのだ。
借金に苦しむ事務所の社長・外古葉雄一(菅田俊)は、お化け屋敷でスカウトしたばかりの柳田浩司(井澤健)をヨウコのデート場所に向かわせ、2人で現場に急行するよう指示を出す。恋人には本当の職業をひた隠しにしているヨウコは、俊雄を残したまま、渋々現場へ向かうのだが・・・・。
監督:塚本連平
脚本:EN(榎本憲男)、佐々木充郭
出演:滝沢沙織(榊ヨウコ)、井澤健(柳田浩司)、永井大(元木俊雄)、高樹マリア(美空つぐみ)、高橋克典(若夫婦/夫)、三浦理恵子(若夫婦/妻)、南野陽子(矢田部愛子)、はなわ(時田君)、川島なお美(元木の母)、玉木宏(健太の孫)、中山仁 (響学)、赤座美代子(響澄子)、藤村俊二(坂口健太)、小倉一郎(市川学部長)、ムッシュかまやつ(お化け屋敷館主)、菅田俊(外古葉雄一)、阿南健治(横島事務局長)、雛形あきこ(マリコ)
はいはい、仰る通りですよ。
どうせ、つまらない映画だと思ってましたよ。
細木数子のお告げに従って、映画タイトルを安易に変更しちゃう話題性重視のダメ映画だろうと思ってましたよ。
そんなわたしが莫迦でした。
本作「ゴーストシャウト」は、プロットと伏線がカチっと決まった素晴らしい脚本を備えた良質の作品に仕上がっていたのだ。
その優れた脚本は(勿論褒めすぎの感は否定できないが)、まるで脚本の「お手本」とも言えるクオリティを持っているのだ。
何も足さない、何も引かない、それで充分なのだ。
本作の脚本は、全てのセリフ、全てのカット、全ての登場人物に、きちんと意味を持たせた素晴らしい脚本だった。
勿論、全てのセリフやカット、登場人物に意味を持たせるのは、本来映画としては当たり前の事なのだが、そんな正しい映画は結構少ないと思うのだ。
強いて例えるならば、「バック・トゥー・ザ・フューチャー」シリーズの脚本の仕上がりに匹敵するのではないかな、と思う訳だ。
演出はベタで順当である。
悪く言えばベタでお約束通りのありきたりなもので、独創的な演出や、光る演出はそれほどないのだが、その予定調和的で順当なあたり前の演出は、所謂映画文法に則った、誰もが納得できる、安心感が感じられる仕上がりを見せている。
美術は世界観を全く損なわず、そしてでしゃばらず、縁の下で作品を見事に支えている点に好感を感じた。イメージとして特筆すべき点があるとすると、やはり「天国の階段」を実写化したのは評価に値すると思う。その辺りの世界観は秀逸である。
また、撮影は広角レンズの多用が非常に印象的であった。
編集は、見事な脚本と相まって、シーンのつなぎ部分に素晴らしい効果を与えている。複数の舞台で起きている事象を関連性で引っ張りながら繋ぐ手腕に舌を巻いてしまう。勿論これはシーンの変わり目を当初から意識した素晴らしい脚本のおかげなのだがね。
キャストはバラエティ的には豪華である。
比較的キャッチーな旬のタレントの起用には好感が持てる。
物語の進行を著しく停滞させてしまう悪い意味でのカメオではなく、旬のタレントを物語に溶け込ませる手腕は見事である。
主演の榊ヨウコを演じた滝沢沙織は初主演に関わらず素晴らしかった。2面性のあるキャラクターを危なげなく演じきっている。
特に、相棒となる井澤健(柳田浩司役)とのコンビネーションは抜群である。
また、恋人元木俊雄役の永井大との息もピッタリで、もしかすると大化けする、今後が楽しみな女優さんになっていくかも知れない。
また、矢田部愛子を演じた南野陽子も素晴らしかった。多分この作品が成功しているのは、元アイドル南野陽子をキャスティングできたことに因るのではないか、と思えるほどの怪演振りである。
また、藤村俊二や阿南健治のキャスティングがツボを押さえており、物語を語る上で素晴らしい見せ場をそれぞれ演じている。
とにかく、本作「ゴーストシャウト」は、お子様からお年寄りまで、全ての観客が楽しめる一流のエンターテイメント作品に仕上がっているし、物語も笑いながら最後にちょっぴり涙が出ちゃう感動作品にも仕上がっている。
そして、過去と現在を結ぶ伏線が見事で、プロットと伏線がジグソー・パズルのようにピタっとはまる上、演出もお約束的に楽しめる作品なのだ。
個人的には、是非ヒットしていただきたいと思うのだ。
=+=+=+=+=+=+=
本作「ゴーストシャウト」は、東京テアトルが発起人となっているガリンペイロ・レーベルの作品である。
これは、新しい日本映画の才能を単館系エンターテイメントから発信する事を目的としたプロジェクトであり、本作はその高い志の下に製作された4本目の作品なのである。
このような孤高で良質なエンターテイメント作品は、きちんとプロモーションされ、きちんとヒットさせる必要があるのだ。
そして、このような真摯で良心的な作品がヒットするかどうか。それが今後の日本映画のあり方のひとつのカギになるのではないか、と思うのだ。
=+=+=+=+=+=+=
舞台挨拶は、前述のようにいろんな人が登場したが、個人的には南野陽子が興味深かった。
アイドル時代の営業の経験からか、挨拶やお辞儀の仕方から、トークでのアドリブの飛ばし方、割って入るタイミング、観客の視線の集め方等々、舞台慣れが感じられ、やはり普通の女優と違って、元アイドルは生に強いな、と思ってしまうのだ。
何と言っても滝沢沙織と南野陽子のお辞儀の角度が完全に違っていたのだ。
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「ロード・オブ・ザ・リング・シンフォニー」
2004年12月12日 音楽2004/12/11 東京有楽町「東京国際フォーラムAホール」で行われた「ロード・オブ・ザ・リング・シンフォニー」に行ってきた。
作曲・指揮:ハワード・ショア
ソリスト:ケイティ・ヌーナン
演奏:ロシア・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:LOTR混声合唱団、TOKYO FM 少年合唱団
豊潤の一時である。
本コンサート「ロード・オブ・ザ・リング・シンフォニー」は、現役映画音楽作曲家の中で、最高の作曲家の一人に数えられるハワード・ショアが自らの作品である「ロード・オブ・ザ・リング」三部作のサウンドトラックを再構成し、2時間6楽章にまとめた楽曲を、指揮するという素晴らしいコンサートなのだ。
ところで、わたしは今回のチケットを「チケットぴあ」のプレリザーブで押さえたのだが、いざ蓋を開けてみると、わたしの席はなんと最前列。位置はステージに向かって中央から右よりだった。
勿論、一般的に考えて最前列よりは後の席の方が音響も良いし、今回のコンサートの特徴として、オーケストラ後部のスクリーンに様々な映像を上映するのだが、その関係もあり、後の席の方が良い訳だが、わたしの席は前述のようになんと一番前。
しかも、今回のオーケストラは合唱付きで、通常のオーケストラと編成も異なり、かつその編成も大きく、当然の如くオーケストラ・ピットを完全に上げた状態、ステージをいっぱいに使い演奏が行われるのだ。
そんな状況であるから、わたしがいる最前列の席からの眺望は、ステージ上の演奏者が大半を占めるため、スクリーンの大部分は見えない、というものだった。
とは言っても、スクリーンに投影される映像のほとんどは、アラン・リーやジョン・ハウのイラストであり、ほとんどがDVDに収録されているものらしいのだ。
その結果、わたしは潔くスクリーンを見るのをやめ、ステージ上、ハワード・ショアの指揮とオーケストラの演奏に集中することにした。
楽曲自体は、再編集しているとは言え、映画やサントラで聞ける楽曲なのだが、今回はオーケストラの生演奏で、しかも合唱付きと言う素晴らしい演奏形態での演奏なのだ。
ゆえに今回のコンサートは、最高の音楽演奏形態であるオーケストラの威力を遺憾なく発揮する素晴らしいコンサートなのだ。
ついでに、ただでさえ「ロード・オブ・ザ・リング」の楽曲は素晴らしいのに、その作曲者であるハワード・ショア自らがオーケストラを指導し、指揮する訳であるから、それだけでも号泣必須のコンサートになる訳なのだが、たまたま最前列のわたしのほぼ正面には、要所要所で素晴らしい演奏を聴かせるソリストの席があった。
そのソリストのヴァイオリンはわたし達観客の心の琴線を鷲掴みにし、ぐらんぐらん揺り動かす程エモーショナルな演奏を行っていた。
また、わたしの前方及び右側には、例のソリスト以外にも、要所要所で特徴的な演奏を行う、ギターやマンドリン、アコーディオン等、一般のオーケストラ編成には含まれない楽器の演奏者がいたため、その微妙な音質を一般の観客より楽しめたのだ。
そういった環境もあり、わたしはスクリーン上に投影された映像はあまり楽しめなかったが、指揮者の一挙手一投足に注視し、また演奏者の演奏や動き、特に目前のソリストや特別な楽器を演奏する演奏者に注目していた。
やはり、最高のひと時は、前述のソリストの心の琴線を鷲掴みにするエモーショナルな演奏が素晴らしかった。
またソリスト(ソプラノ)のケイティ・ヌーナンをはじめとする合唱の皆さんも素晴らしかった。
チケットはS席で12,000円だった。チケット代は高いと言えば高いのだが、お金などでは換算できない素晴らしい経験だった。
=+=+=+=+=+=+=+=
余談だが、先日友人と最近の映画サウンド・トラック(サントラ)について話をした。
その結果、わたしとわたしの友人は最近のサントラに危惧を感じたのだ。
映画のサントラと言うものは、映画の追体験をするために非常な重要なメディアだと思うのだが、最近その重要なサントラの中に記憶の残るような、心の琴線に触れるようなメロディが無いのだ。
現代の作曲家はメロディをかけないのではないだろうか。
例えば、あんなにヒットした作品「スパイダーマン2」のメイン・タイトル(テーマ曲)をあなたは口ずさむことが出来るだろうか。
恥ずかしいことに、わたしは出来ない。
ところで、歴史に残るエバー・グリーンな映画作品には、全て素晴らしいメイン・タイトルが付き物である。
サントラは映画の顔であり、記憶に残るサントラは映画の宝である。サントラと映画は相乗効果により、映画の寿命を永遠にまで延長することが出来るのだ。
例えば「風と共に去りぬ」の「タラのテーマ」を作曲したマックス・スタイナーや、「ベン・ハー」のミクロス・ローザ、「スパルタカス」のアレックス・ノース等の史劇作品のテーマ、「スター・ウォーズ」、「レイダース」等、一連のジョン・ウィリアムズの楽曲や、「スタートレック」や「オーメン」等のジェリー・ゴールドスミス、「サイコ」、「北北西に進路を取れ」、「タクシー・ドライバー」のバーナード・ハーマン、「ウエストサイド物語」のレナード・バーンスタイン等、そして「ロード・オブ・ザ・リング」三部作をはじめとするハワード・シュア。
綺羅星のような作曲家達が、天使の歌声のようなメロディ・ラインを持った素晴らしい楽曲を作曲しているのだ。
しかしながら、最近の映画作品の中に印象に残るサントラを持つ作品が少ないのだ。
もしかすると、現代の作曲家の多くは、印象に残る素晴らしいメロディ・ラインを持つ楽曲を作曲できていのではないだろうか。
勿論楽曲の形式はある程度の品質を保っている。しかしだと言っても、オーケストレーションや和声、アレンジが素晴らしいからと言って、印象に残るメロディ・ラインを持つ楽曲を作曲できない、と言うことは映画界にとって致命的なことではないだろうか。
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作曲・指揮:ハワード・ショア
ソリスト:ケイティ・ヌーナン
演奏:ロシア・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
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豊潤の一時である。
本コンサート「ロード・オブ・ザ・リング・シンフォニー」は、現役映画音楽作曲家の中で、最高の作曲家の一人に数えられるハワード・ショアが自らの作品である「ロード・オブ・ザ・リング」三部作のサウンドトラックを再構成し、2時間6楽章にまとめた楽曲を、指揮するという素晴らしいコンサートなのだ。
ところで、わたしは今回のチケットを「チケットぴあ」のプレリザーブで押さえたのだが、いざ蓋を開けてみると、わたしの席はなんと最前列。位置はステージに向かって中央から右よりだった。
勿論、一般的に考えて最前列よりは後の席の方が音響も良いし、今回のコンサートの特徴として、オーケストラ後部のスクリーンに様々な映像を上映するのだが、その関係もあり、後の席の方が良い訳だが、わたしの席は前述のようになんと一番前。
しかも、今回のオーケストラは合唱付きで、通常のオーケストラと編成も異なり、かつその編成も大きく、当然の如くオーケストラ・ピットを完全に上げた状態、ステージをいっぱいに使い演奏が行われるのだ。
そんな状況であるから、わたしがいる最前列の席からの眺望は、ステージ上の演奏者が大半を占めるため、スクリーンの大部分は見えない、というものだった。
とは言っても、スクリーンに投影される映像のほとんどは、アラン・リーやジョン・ハウのイラストであり、ほとんどがDVDに収録されているものらしいのだ。
その結果、わたしは潔くスクリーンを見るのをやめ、ステージ上、ハワード・ショアの指揮とオーケストラの演奏に集中することにした。
楽曲自体は、再編集しているとは言え、映画やサントラで聞ける楽曲なのだが、今回はオーケストラの生演奏で、しかも合唱付きと言う素晴らしい演奏形態での演奏なのだ。
ゆえに今回のコンサートは、最高の音楽演奏形態であるオーケストラの威力を遺憾なく発揮する素晴らしいコンサートなのだ。
ついでに、ただでさえ「ロード・オブ・ザ・リング」の楽曲は素晴らしいのに、その作曲者であるハワード・ショア自らがオーケストラを指導し、指揮する訳であるから、それだけでも号泣必須のコンサートになる訳なのだが、たまたま最前列のわたしのほぼ正面には、要所要所で素晴らしい演奏を聴かせるソリストの席があった。
そのソリストのヴァイオリンはわたし達観客の心の琴線を鷲掴みにし、ぐらんぐらん揺り動かす程エモーショナルな演奏を行っていた。
また、わたしの前方及び右側には、例のソリスト以外にも、要所要所で特徴的な演奏を行う、ギターやマンドリン、アコーディオン等、一般のオーケストラ編成には含まれない楽器の演奏者がいたため、その微妙な音質を一般の観客より楽しめたのだ。
そういった環境もあり、わたしはスクリーン上に投影された映像はあまり楽しめなかったが、指揮者の一挙手一投足に注視し、また演奏者の演奏や動き、特に目前のソリストや特別な楽器を演奏する演奏者に注目していた。
やはり、最高のひと時は、前述のソリストの心の琴線を鷲掴みにするエモーショナルな演奏が素晴らしかった。
またソリスト(ソプラノ)のケイティ・ヌーナンをはじめとする合唱の皆さんも素晴らしかった。
チケットはS席で12,000円だった。チケット代は高いと言えば高いのだが、お金などでは換算できない素晴らしい経験だった。
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余談だが、先日友人と最近の映画サウンド・トラック(サントラ)について話をした。
その結果、わたしとわたしの友人は最近のサントラに危惧を感じたのだ。
映画のサントラと言うものは、映画の追体験をするために非常な重要なメディアだと思うのだが、最近その重要なサントラの中に記憶の残るような、心の琴線に触れるようなメロディが無いのだ。
現代の作曲家はメロディをかけないのではないだろうか。
例えば、あんなにヒットした作品「スパイダーマン2」のメイン・タイトル(テーマ曲)をあなたは口ずさむことが出来るだろうか。
恥ずかしいことに、わたしは出来ない。
ところで、歴史に残るエバー・グリーンな映画作品には、全て素晴らしいメイン・タイトルが付き物である。
サントラは映画の顔であり、記憶に残るサントラは映画の宝である。サントラと映画は相乗効果により、映画の寿命を永遠にまで延長することが出来るのだ。
例えば「風と共に去りぬ」の「タラのテーマ」を作曲したマックス・スタイナーや、「ベン・ハー」のミクロス・ローザ、「スパルタカス」のアレックス・ノース等の史劇作品のテーマ、「スター・ウォーズ」、「レイダース」等、一連のジョン・ウィリアムズの楽曲や、「スタートレック」や「オーメン」等のジェリー・ゴールドスミス、「サイコ」、「北北西に進路を取れ」、「タクシー・ドライバー」のバーナード・ハーマン、「ウエストサイド物語」のレナード・バーンスタイン等、そして「ロード・オブ・ザ・リング」三部作をはじめとするハワード・シュア。
綺羅星のような作曲家達が、天使の歌声のようなメロディ・ラインを持った素晴らしい楽曲を作曲しているのだ。
しかしながら、最近の映画作品の中に印象に残るサントラを持つ作品が少ないのだ。
もしかすると、現代の作曲家の多くは、印象に残る素晴らしいメロディ・ラインを持つ楽曲を作曲できていのではないだろうか。
勿論楽曲の形式はある程度の品質を保っている。しかしだと言っても、オーケストレーションや和声、アレンジが素晴らしいからと言って、印象に残るメロディ・ラインを持つ楽曲を作曲できない、と言うことは映画界にとって致命的なことではないだろうか。
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週刊「映画レビュー・インデックス」2004/12/11
2004年12月11日 週刊「映画レビュー・インデックス」例によって、
週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)
をお届けします。
今後も継続する見込みが濃厚になってきました。
■「映画レビュー・インデックス」
http://homepage3.nifty.com/~tkr/ture/openindex.htm
■公開中
2004/12/11公開作品
「僕の彼女を紹介します」http://diarynote.jp/d/29346/20041130.html
「戦争のはじめかた」http://diarynote.jp/d/29346/20041210.html
「ふたりにクギづけ」http://diarynote.jp/d/29346/20041129.html
2004/12/04公開作品
「Mr.インクレディブル」http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
「恋文日和」http://diarynote.jp/d/29346/20041203.html
2004/11/27公開作品
「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」
http://diarynote.jp/d/29346/20041115.html
「ニュースの天才」http://diarynote.jp/d/29346/20040830.html
2004/11/20公開作品
「ハウルの動く城」http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2004/12/11公開作品の目玉は何と言っても「僕の彼女を紹介します」ではないかと思います。「猟奇的な彼女」http://diarynote.jp/d/29346/20030210.htmlの監督、主演コンビの協力タッグの感動の巨編、号泣映画をウリにしていますが、果たして・・・・。
■週末興収ベストテン
2004/12/04-05 興収ベストテン
1.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2.「Mr.インクレディブル」(ブエナビスタ)
http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
3.「ゴジラ FINAL WARS」(東宝)
4.「いま、会いにゆきます」(東宝)
5.「ポーラー・エクスプレス」(ワーナー)
6.「誰にでも秘密がある」(東芝エンタテインメント)
7.「コラテラル」(UIP)
8.「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」(ギャガ=ヒューマックス)
http://diarynote.jp/d/29346/20041115.html
9.「隠し剣 鬼の爪」(松竹)http://diarynote.jp/d/29346/20041024.html
10.「海猫」(東映)http://diarynote.jp/d/29346/20041025.html
ベストテンに3本も入っている東宝はウハウハですね。
年末正月に向けて、アニメーション、ファミリー・ムービーが出てきています。「僕の彼女を紹介します」がどこまで食い込むか、興味津々です。
■公開直前
2004/12/18公開作品
「ULTRAMAN」http://diarynote.jp/d/29346/20041207.html
「銀のエンゼル」2004/12/15鑑賞予定
「ターミナル」http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
「マイ・ボディガード」http://diarynote.jp/d/29346/20040903.html
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週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)
をお届けします。
今後も継続する見込みが濃厚になってきました。
■「映画レビュー・インデックス」
http://homepage3.nifty.com/~tkr/ture/openindex.htm
■公開中
2004/12/11公開作品
「僕の彼女を紹介します」http://diarynote.jp/d/29346/20041130.html
「戦争のはじめかた」http://diarynote.jp/d/29346/20041210.html
「ふたりにクギづけ」http://diarynote.jp/d/29346/20041129.html
2004/12/04公開作品
「Mr.インクレディブル」http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
「恋文日和」http://diarynote.jp/d/29346/20041203.html
2004/11/27公開作品
「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」
http://diarynote.jp/d/29346/20041115.html
「ニュースの天才」http://diarynote.jp/d/29346/20040830.html
2004/11/20公開作品
「ハウルの動く城」http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2004/12/11公開作品の目玉は何と言っても「僕の彼女を紹介します」ではないかと思います。「猟奇的な彼女」http://diarynote.jp/d/29346/20030210.htmlの監督、主演コンビの協力タッグの感動の巨編、号泣映画をウリにしていますが、果たして・・・・。
■週末興収ベストテン
2004/12/04-05 興収ベストテン
1.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2.「Mr.インクレディブル」(ブエナビスタ)
http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
3.「ゴジラ FINAL WARS」(東宝)
4.「いま、会いにゆきます」(東宝)
5.「ポーラー・エクスプレス」(ワーナー)
6.「誰にでも秘密がある」(東芝エンタテインメント)
7.「コラテラル」(UIP)
8.「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」(ギャガ=ヒューマックス)
http://diarynote.jp/d/29346/20041115.html
9.「隠し剣 鬼の爪」(松竹)http://diarynote.jp/d/29346/20041024.html
10.「海猫」(東映)http://diarynote.jp/d/29346/20041025.html
ベストテンに3本も入っている東宝はウハウハですね。
年末正月に向けて、アニメーション、ファミリー・ムービーが出てきています。「僕の彼女を紹介します」がどこまで食い込むか、興味津々です。
■公開直前
2004/12/18公開作品
「ULTRAMAN」http://diarynote.jp/d/29346/20041207.html
「銀のエンゼル」2004/12/15鑑賞予定
「ターミナル」http://diarynote.jp/d/29346/20041209.html
「マイ・ボディガード」http://diarynote.jp/d/29346/20040903.html
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「戦争のはじめかた」
2004年12月10日 映画2004/12/09 東京有楽町「シネカノン有楽町」で「戦争のはじめかた」の試写を観た。
ベルリンの壁崩壊を目前にした1989年西ドイツ。
米ソ冷戦の緊張緩和も続き、シュツットガルトの米陸軍基地は平和ボケ状態に陥っていた。
レイ・エルウッド(ホアキン・フェニックス)はバーマン大佐(エド・ハリス)率いる第317補給部隊の事務を一任されていた。
そのバーマン大佐は退役後はワイン農家を営む夢を持ち、その夢を確実なものにするため、妻(エリザベス・マクガヴァン)と共に、ランカスター将軍(ディーン・ストックウェル)に取り入り、退役までになんとか将官になろうとしていた。
一方、頭の切れるエルウッドは、出世の事しか眼中にないバーマン大佐の影で、その立場を利用し、軍の物資を横流しするのは当然、さらにヘロインの精製とその卸にも関わっていた。
そんな中、基地内部の浄化を掲げたリー曹長(スコット・グレン)が新たに着任し、早速エルウッドに目を付け、彼の居室を検分する。リー曹長は二人部屋を一人で優雅に使用していたエルウッドのルーム・メイトとして新兵ノール(ガブリエル・マン)を送り込んできた。
そんなエルウッドは、リー曹長の出方をうかがおうと、娘ロビン(アンナ・パキン)に近づくのだが・・・・。
監督:グレゴール・ジョーダン
原作:ロバート・オコナー 『バッファロー・ソルジャーズ』(ハワカワ文庫刊)
出演:ホアキン・フェニックス、アンナ・パキン、エド・ハリス、スコット・グレン、エリザベス・マクガヴァン、ディーン・ストックウェル、ガブリエル・マン
本作「戦争のはじめかた」は、2001年9月にカナダの「トロント国際映画祭」でワールド・プレミア上映され絶賛され、ミラマックス社が急遽全米配給権を獲得したのだが、その翌日に911テロ事件が発生、米国内ではナショナリズムが高まり、「戦争のはじめかた」の評価は絶賛から酷評へと急降下、全米公開時期も二転三転し、結局は五度も公開が延期されてしまった、といういわくつきの作品である。
本作「戦争のはじめかた」は、本来規律が支配すべき軍内部、という閉鎖された環境においても、われわれの一般社会同様に、悪が台頭している様を真っ向から描いた作品で、例えば警察が腐敗していたり、学校が荒廃していたりするような作品と同様の方向性を持った作品だと言えよう。
しかしながら、作品のベクトルは同様だとしても、その舞台が軍隊である、という点から、本作の過激さは他の作品と比較して群を抜いているのではないか、と思うのだ。
何しろ、いくら平時とは言え、銃器や兵器が身の回りにごろごろしている環境であるし、また上官に抑圧された兵士は沸騰寸前の状況であり、後は弁を開け沸騰を待つだけの危険な状況下にある訳なのだから。
キャストは、何と言ってもレイ・エルウッドを演じたホアキン・フェニックスだろう。
観客の感情移入を拒む悪漢役をシニカルに、そしてブラックに見事に演じている。また本作は、レイ・エルウッドを主人公としたピカレスク・ロマンの様相も呈している。ホアキン・フェニックスの悪漢振りも楽しめるのだ。
最近大作ついているホアキン・フェニックスだが、こんな小品も良いと思うのだ。
また、リー曹長を演じたスコット・グレンだが、ちよっと前ならクリント・イーストウッドあたりが演じたであろう鬼軍曹(実際は曹長)振りを見事に発揮している。「羊たちの沈黙」のクロフォード主任捜査官だとは思えない圧倒的な存在感を楽しめる。
また名優エド・ハリスは無能な部隊長バーマン大佐をやわに演じており、「ライトスタッフ」で共演したスコット・グレンとの再共演も楽しめるのだが、如何せんエド・ハリス演じるバーマン大佐は情けなさ過ぎで、演技合戦はスコット・グレンに分があったようだ。強いぞスコット・グレン。
また、エルウッドのルーム・メイトのノールを演じたガブリエル・マンも良い味を出している。因みにガブリエル・マンは、「フルメタル・ジャケット」のマシュー・モディーンを髣髴とさせるキャラクターになっている。と言うか多分意識しているだろう。
また、女優陣だが、アンナ・パキンは最近作品に恵まれないようだが、結構印象的なキャラクターであるロビン・リーを見事に演じており、彼女はおそらく本作の良心的な部分を担っているのだろうと思う。
バーマン大佐の妻を演じるエリザベス・マクガヴァンは典型的な悪女を好演している。本当にエド・ハリスがかわいそうに見えてしまう。
本作「戦争のはじめかた」は、五度も全米公開が延期されたいわくつきの話題性だ、と言っても、その話題性だけではヒットは望めないといわざるを得ない。ついでに、ホアキン・フェニックスじゃ充分な観客を呼べないと思うのだ。
社会派的に考えると本作は秀作の部類に入るので、映画を沢山観ている人にとっては、観て損はない作品だと思うのだが、超大作娯楽映画が好きな人、年に30本も映画を観ない人にはオススメできる作品ではない、と思う。
=+=+=+=+=+=+=+=
ところで、本作のオープニング・アクションに相当する前半部分の戦車の暴走のシークエンスは、アクション・ファンには結構オススメできると思う。やっぱ戦車の走破性は凄いぞ。わかっちゃいるけど、あそこまでなかなか描けないと思う。
また、本作のポスター等のアートワークはどう考えても1970年の「M★A★S★H マッシュ」へのオマージュに満ちているのだが、とは言っても実際のところ「M★A★S★H マッシュ」には遠く及ばない、といったところだろうか。
更に、冒頭のシークエンスはどう見ても「博士の異常な愛情」だと思えるし、その後の国旗の映像は「パットン大戦車軍団」を髣髴とさせるぞ。
☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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ベルリンの壁崩壊を目前にした1989年西ドイツ。
米ソ冷戦の緊張緩和も続き、シュツットガルトの米陸軍基地は平和ボケ状態に陥っていた。
レイ・エルウッド(ホアキン・フェニックス)はバーマン大佐(エド・ハリス)率いる第317補給部隊の事務を一任されていた。
そのバーマン大佐は退役後はワイン農家を営む夢を持ち、その夢を確実なものにするため、妻(エリザベス・マクガヴァン)と共に、ランカスター将軍(ディーン・ストックウェル)に取り入り、退役までになんとか将官になろうとしていた。
一方、頭の切れるエルウッドは、出世の事しか眼中にないバーマン大佐の影で、その立場を利用し、軍の物資を横流しするのは当然、さらにヘロインの精製とその卸にも関わっていた。
そんな中、基地内部の浄化を掲げたリー曹長(スコット・グレン)が新たに着任し、早速エルウッドに目を付け、彼の居室を検分する。リー曹長は二人部屋を一人で優雅に使用していたエルウッドのルーム・メイトとして新兵ノール(ガブリエル・マン)を送り込んできた。
そんなエルウッドは、リー曹長の出方をうかがおうと、娘ロビン(アンナ・パキン)に近づくのだが・・・・。
監督:グレゴール・ジョーダン
原作:ロバート・オコナー 『バッファロー・ソルジャーズ』(ハワカワ文庫刊)
出演:ホアキン・フェニックス、アンナ・パキン、エド・ハリス、スコット・グレン、エリザベス・マクガヴァン、ディーン・ストックウェル、ガブリエル・マン
本作「戦争のはじめかた」は、2001年9月にカナダの「トロント国際映画祭」でワールド・プレミア上映され絶賛され、ミラマックス社が急遽全米配給権を獲得したのだが、その翌日に911テロ事件が発生、米国内ではナショナリズムが高まり、「戦争のはじめかた」の評価は絶賛から酷評へと急降下、全米公開時期も二転三転し、結局は五度も公開が延期されてしまった、といういわくつきの作品である。
本作「戦争のはじめかた」は、本来規律が支配すべき軍内部、という閉鎖された環境においても、われわれの一般社会同様に、悪が台頭している様を真っ向から描いた作品で、例えば警察が腐敗していたり、学校が荒廃していたりするような作品と同様の方向性を持った作品だと言えよう。
しかしながら、作品のベクトルは同様だとしても、その舞台が軍隊である、という点から、本作の過激さは他の作品と比較して群を抜いているのではないか、と思うのだ。
何しろ、いくら平時とは言え、銃器や兵器が身の回りにごろごろしている環境であるし、また上官に抑圧された兵士は沸騰寸前の状況であり、後は弁を開け沸騰を待つだけの危険な状況下にある訳なのだから。
キャストは、何と言ってもレイ・エルウッドを演じたホアキン・フェニックスだろう。
観客の感情移入を拒む悪漢役をシニカルに、そしてブラックに見事に演じている。また本作は、レイ・エルウッドを主人公としたピカレスク・ロマンの様相も呈している。ホアキン・フェニックスの悪漢振りも楽しめるのだ。
最近大作ついているホアキン・フェニックスだが、こんな小品も良いと思うのだ。
また、リー曹長を演じたスコット・グレンだが、ちよっと前ならクリント・イーストウッドあたりが演じたであろう鬼軍曹(実際は曹長)振りを見事に発揮している。「羊たちの沈黙」のクロフォード主任捜査官だとは思えない圧倒的な存在感を楽しめる。
また名優エド・ハリスは無能な部隊長バーマン大佐をやわに演じており、「ライトスタッフ」で共演したスコット・グレンとの再共演も楽しめるのだが、如何せんエド・ハリス演じるバーマン大佐は情けなさ過ぎで、演技合戦はスコット・グレンに分があったようだ。強いぞスコット・グレン。
また、エルウッドのルーム・メイトのノールを演じたガブリエル・マンも良い味を出している。因みにガブリエル・マンは、「フルメタル・ジャケット」のマシュー・モディーンを髣髴とさせるキャラクターになっている。と言うか多分意識しているだろう。
また、女優陣だが、アンナ・パキンは最近作品に恵まれないようだが、結構印象的なキャラクターであるロビン・リーを見事に演じており、彼女はおそらく本作の良心的な部分を担っているのだろうと思う。
バーマン大佐の妻を演じるエリザベス・マクガヴァンは典型的な悪女を好演している。本当にエド・ハリスがかわいそうに見えてしまう。
本作「戦争のはじめかた」は、五度も全米公開が延期されたいわくつきの話題性だ、と言っても、その話題性だけではヒットは望めないといわざるを得ない。ついでに、ホアキン・フェニックスじゃ充分な観客を呼べないと思うのだ。
社会派的に考えると本作は秀作の部類に入るので、映画を沢山観ている人にとっては、観て損はない作品だと思うのだが、超大作娯楽映画が好きな人、年に30本も映画を観ない人にはオススメできる作品ではない、と思う。
=+=+=+=+=+=+=+=
ところで、本作のオープニング・アクションに相当する前半部分の戦車の暴走のシークエンスは、アクション・ファンには結構オススメできると思う。やっぱ戦車の走破性は凄いぞ。わかっちゃいるけど、あそこまでなかなか描けないと思う。
また、本作のポスター等のアートワークはどう考えても1970年の「M★A★S★H マッシュ」へのオマージュに満ちているのだが、とは言っても実際のところ「M★A★S★H マッシュ」には遠く及ばない、といったところだろうか。
更に、冒頭のシークエンスはどう見ても「博士の異常な愛情」だと思えるし、その後の国旗の映像は「パットン大戦車軍団」を髣髴とさせるぞ。
☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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2004/12/08 東京九段下「九段会館大ホール」で「ターミナル」の試写を観た。
ニューヨーク、JFK国際空港。
ビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)は、東欧の小国クラコウジアから、ある大事な約束を果たすため、JFK国際空港に降り立った。
しかし、彼がクラコウジアを飛び立った直後、クーデターが発生、事実上国家が消滅してしまう。これによりパスポートが無効となったビクターは、アメリカへの入国を拒否されてしまう。
しかも情勢が安定するまでは帰国することもできず、空港内(インターナショナル・トランジット)に完全に足止めされてしまう。
英語も分からず通貨も持っていない彼は、やむを得ずこのターミナルの中で寝起きしながら事態の改善を待つのだったが・・・・。
監督:スティーヴン・スピルバーグ
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:トム・ハンクス(ビクター・ナボルスキー)、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(アメリア・ウォーレン)、スタンリー・トゥッチ(フランク・ディクソン)、チー・マクブライド(ジョー・マルロイ)、ディエゴ・ルナ(エンリケ・クルズ)、バリー・シャバカ・ヘンリー(レイ)、ゾーイ・サルダナ(トーレス)、クマール・パラーナ(グプタ)
本作「ターミナル」は、面白おかしく、ちょっぴり涙がこぼれちゃう、万人にオススメの娯楽作品なのだ。
とは言うものの、作品自体は凡庸で、取り立てて見るべきところは無い。
勿論、本作「ターミナル」では、オスカー俳優たちの素晴らしい演技、小粋な脚本や展開、素敵な演出や音楽が楽しめるのだが、ただそれだけの作品なのである。
本当にこれで良いのかよ。とわたしは思う訳だ。
わたしの映画ファンとしてのキャリアは、スティーヴン・スピルバーグ監督作品との出会いから始まった、と言っても差支えは無いだろう。
それ以来わたしは、多くのスピルバーグ作品を追いかけながら大人になってきた訳である。
かつてのそんなスピルバーグ作品は、ドキドキ感ワクワク感に満ちていたし、作品自体も、リスクを恐れない孤高な映像作家の冒険心に輝いていた。
しかし残念ながら、近年のスビルバーグ作品には、その孤高さは影を潜め、商業主義がさの多くを占めているような印象を否定できない。
現在のわたしは、そんな最近のスピルバーグ監督作品に対して、「何としてでも観たい!」という欲求が湧かないのである。
何のために、こんな題材を映画にするんだ。
何のために、アカデミー賞受賞俳優なんかをキャスティングするんだ。
一体何のためにおまえはこんな映画を撮っているんだ。
こんなの誰にでも撮れるじゃないか。
おれ達は、おまえにしか撮れないような、スピリッツ溢れる映画が観たいんだよ。
「JAWS/ジョーズ」や「未知との遭遇」、「1941」や「フック」。そんなリスクを恐れない背筋の伸びた孤高で独創的で、作家性が十二分に感じられる作品が観たいのだ。
まあ、そんな状況ではあるが、本作「ターミナル」について考えてみよう。
基本プロットは面白いのだが、映画向きのプロットではなく、テレビ・シリーズ向きのプロットだと言えよう。
舞台を空港内に限定した所謂「シットコム」形式でテレビ・シリーズ化して、トム・ハンクスが出た日にゃー大ヒット間違いなしの長寿テレビ・シリーズになるのではないだろうか。
そして、映画として考えてみても、残念ながらフランス映画「パリ空港の人々」(1995)の影響が否定できない。
脚本は、セリフも粋だしキャラクター設定も明確、遊びの部分も含めて良く出来た脚本だと思う。
政治的問題で空港内に足止めされたビクターと、空港内で働く人々が仕事のためにある意味空港内に足止めされていると思わせる部分と、それらの人々とビクターとの対比が興味深く、空港から合法的に出て行こうとするビクターが、空港から出られない多くの人々の希望になっていくあたりが素晴らしいと思う。
また、空港を人種の坩堝(るつぼ)のメタファーとして機能させている点、更にアメリカ人を悪人に、マイノリティを善人に描いているのも興味深い。
また脚本上、同じシークエンスの繰り返しやバリエーションが、または明示的な伏線が興味深かった。
キャラクター設定は、ビクターを助ける3人の労働者たち、チー・マクブライド演じるジョー・マルロイ、ディエゴ・ルナ演じるエンリケ・クルズ、クマール・パラーナ演じるグプタが一番だと思うが、エンリケが恋するゾーイ・サルダナ演じるトーレスがトレッキーだという設定には仰け反った。スピルバーグ作品にトレッキーが登場するだけではなく、トレッキーのためのお笑いシークエンスを入れているあたりは、わたし的には驚愕だった。
また観客の視点となり、観客の良心として機能するバリー・シャバカ・ヘンリー演じるレイの設定も秀逸である。一本筋は通っているものの、悪く言えば「事勿れ主義者」的なキャラクターは、多くの一般市民のメタファーであり、それ故に、事勿れ主義者だったレイのラストの行動が観客に対して、自分たちもレイのように行動したいな、と思わせる素晴らしい効果を付与している。
とは言うものの、スタンリー・トゥッチ演じるフランク・ディクソンは、脚本上の、悪役を登場させる必要性のため、設定されたキャラクターである印象が拭いきれず、無理のあるキャラクター設定だと思う。この役柄は非常に損な役回りであり、スタンリー・トゥッチが好演しているだけに、残念な気がする。
音楽は印象に残る明確なテーマ性は無いものの、ジョン・ウィリアムズ節が楽しめる。
クライマックスでビクターがエスカレーターを降り、空港のドアに向かうシークエンスでかかる曲のオーケストレーションが、「JAWS/ジョーズ」で3人の男たちが鮫退治に向かう明るい曲を髣髴とさせていた。
まあ、とにかく本作「ターミナル」は、誰にでもオススメできる面白くてちょっぴり泣ける作品ではあるが、スピルバーグがわざわざ撮る必要がある種類の作品ではない、と言わざるを得ないのだ。
=+=+=+=+=+=+=+=
最近のスピルバーグのフィルモグラフィーを見て欲しい。
スタンリー・キューブリック企画の「A.I.」はともかく、ほとんどが名前で客が呼べるスター俳優が主演している。
「ターミナル」(2004)
「マイノリティ・リポート」(2002)
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(2002)
「A.I.」(2000)
「プライベート・ライアン」(1998)
誰が撮ってもヒットするような映画ばかり撮ってどうするんだよ。
鬼が金棒持ってどうするつもりだ。と思う訳なのだ。
=+=+=+=+=+=+=+=
余談だが、「スタートレック」ファン爆笑のシークエンスが「ターミナル」に出てくるのだが、試写場でば笑ったのは、わたしだけだった。スピルバーグ作品に「スタートレック」ネタが出てきたのには驚かされた。
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ニューヨーク、JFK国際空港。
ビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)は、東欧の小国クラコウジアから、ある大事な約束を果たすため、JFK国際空港に降り立った。
しかし、彼がクラコウジアを飛び立った直後、クーデターが発生、事実上国家が消滅してしまう。これによりパスポートが無効となったビクターは、アメリカへの入国を拒否されてしまう。
しかも情勢が安定するまでは帰国することもできず、空港内(インターナショナル・トランジット)に完全に足止めされてしまう。
英語も分からず通貨も持っていない彼は、やむを得ずこのターミナルの中で寝起きしながら事態の改善を待つのだったが・・・・。
監督:スティーヴン・スピルバーグ
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:トム・ハンクス(ビクター・ナボルスキー)、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(アメリア・ウォーレン)、スタンリー・トゥッチ(フランク・ディクソン)、チー・マクブライド(ジョー・マルロイ)、ディエゴ・ルナ(エンリケ・クルズ)、バリー・シャバカ・ヘンリー(レイ)、ゾーイ・サルダナ(トーレス)、クマール・パラーナ(グプタ)
本作「ターミナル」は、面白おかしく、ちょっぴり涙がこぼれちゃう、万人にオススメの娯楽作品なのだ。
とは言うものの、作品自体は凡庸で、取り立てて見るべきところは無い。
勿論、本作「ターミナル」では、オスカー俳優たちの素晴らしい演技、小粋な脚本や展開、素敵な演出や音楽が楽しめるのだが、ただそれだけの作品なのである。
本当にこれで良いのかよ。とわたしは思う訳だ。
わたしの映画ファンとしてのキャリアは、スティーヴン・スピルバーグ監督作品との出会いから始まった、と言っても差支えは無いだろう。
それ以来わたしは、多くのスピルバーグ作品を追いかけながら大人になってきた訳である。
かつてのそんなスピルバーグ作品は、ドキドキ感ワクワク感に満ちていたし、作品自体も、リスクを恐れない孤高な映像作家の冒険心に輝いていた。
しかし残念ながら、近年のスビルバーグ作品には、その孤高さは影を潜め、商業主義がさの多くを占めているような印象を否定できない。
現在のわたしは、そんな最近のスピルバーグ監督作品に対して、「何としてでも観たい!」という欲求が湧かないのである。
何のために、こんな題材を映画にするんだ。
何のために、アカデミー賞受賞俳優なんかをキャスティングするんだ。
一体何のためにおまえはこんな映画を撮っているんだ。
こんなの誰にでも撮れるじゃないか。
おれ達は、おまえにしか撮れないような、スピリッツ溢れる映画が観たいんだよ。
「JAWS/ジョーズ」や「未知との遭遇」、「1941」や「フック」。そんなリスクを恐れない背筋の伸びた孤高で独創的で、作家性が十二分に感じられる作品が観たいのだ。
まあ、そんな状況ではあるが、本作「ターミナル」について考えてみよう。
基本プロットは面白いのだが、映画向きのプロットではなく、テレビ・シリーズ向きのプロットだと言えよう。
舞台を空港内に限定した所謂「シットコム」形式でテレビ・シリーズ化して、トム・ハンクスが出た日にゃー大ヒット間違いなしの長寿テレビ・シリーズになるのではないだろうか。
そして、映画として考えてみても、残念ながらフランス映画「パリ空港の人々」(1995)の影響が否定できない。
脚本は、セリフも粋だしキャラクター設定も明確、遊びの部分も含めて良く出来た脚本だと思う。
政治的問題で空港内に足止めされたビクターと、空港内で働く人々が仕事のためにある意味空港内に足止めされていると思わせる部分と、それらの人々とビクターとの対比が興味深く、空港から合法的に出て行こうとするビクターが、空港から出られない多くの人々の希望になっていくあたりが素晴らしいと思う。
また、空港を人種の坩堝(るつぼ)のメタファーとして機能させている点、更にアメリカ人を悪人に、マイノリティを善人に描いているのも興味深い。
また脚本上、同じシークエンスの繰り返しやバリエーションが、または明示的な伏線が興味深かった。
キャラクター設定は、ビクターを助ける3人の労働者たち、チー・マクブライド演じるジョー・マルロイ、ディエゴ・ルナ演じるエンリケ・クルズ、クマール・パラーナ演じるグプタが一番だと思うが、エンリケが恋するゾーイ・サルダナ演じるトーレスがトレッキーだという設定には仰け反った。スピルバーグ作品にトレッキーが登場するだけではなく、トレッキーのためのお笑いシークエンスを入れているあたりは、わたし的には驚愕だった。
また観客の視点となり、観客の良心として機能するバリー・シャバカ・ヘンリー演じるレイの設定も秀逸である。一本筋は通っているものの、悪く言えば「事勿れ主義者」的なキャラクターは、多くの一般市民のメタファーであり、それ故に、事勿れ主義者だったレイのラストの行動が観客に対して、自分たちもレイのように行動したいな、と思わせる素晴らしい効果を付与している。
とは言うものの、スタンリー・トゥッチ演じるフランク・ディクソンは、脚本上の、悪役を登場させる必要性のため、設定されたキャラクターである印象が拭いきれず、無理のあるキャラクター設定だと思う。この役柄は非常に損な役回りであり、スタンリー・トゥッチが好演しているだけに、残念な気がする。
音楽は印象に残る明確なテーマ性は無いものの、ジョン・ウィリアムズ節が楽しめる。
クライマックスでビクターがエスカレーターを降り、空港のドアに向かうシークエンスでかかる曲のオーケストレーションが、「JAWS/ジョーズ」で3人の男たちが鮫退治に向かう明るい曲を髣髴とさせていた。
まあ、とにかく本作「ターミナル」は、誰にでもオススメできる面白くてちょっぴり泣ける作品ではあるが、スピルバーグがわざわざ撮る必要がある種類の作品ではない、と言わざるを得ないのだ。
=+=+=+=+=+=+=+=
最近のスピルバーグのフィルモグラフィーを見て欲しい。
スタンリー・キューブリック企画の「A.I.」はともかく、ほとんどが名前で客が呼べるスター俳優が主演している。
「ターミナル」(2004)
「マイノリティ・リポート」(2002)
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(2002)
「A.I.」(2000)
「プライベート・ライアン」(1998)
誰が撮ってもヒットするような映画ばかり撮ってどうするんだよ。
鬼が金棒持ってどうするつもりだ。と思う訳なのだ。
=+=+=+=+=+=+=+=
余談だが、「スタートレック」ファン爆笑のシークエンスが「ターミナル」に出てくるのだが、試写場でば笑ったのは、わたしだけだった。スピルバーグ作品に「スタートレック」ネタが出てきたのには驚かされた。
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「FORD MUSTANG / CORNFIELD」
2004年12月8日 CF(CM)/PVとにかくこれを見ろ!
そして泣け!
世界最高のCF(CM)がここにある。
http://www.fordvehicles.com/cars/mustang/launch/
ここから入って、GALLERY / VIDEO GALLERY を選択しろ!
そうだ、中央のビデオだ。
真中のタコメーターのアップの画像をクリックするんだ!
「CORNFIELD」と言うタイトルのCF(CM)を再生しろ!
If you build it, he will come.
これが本物の「フィールド・オブ・ドリームス」
夢のサーキットなのだ!
あぁ、できる事なら、淀川長治に見せたかった・・・・。
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そして泣け!
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そうだ、中央のビデオだ。
真中のタコメーターのアップの画像をクリックするんだ!
「CORNFIELD」と言うタイトルのCF(CM)を再生しろ!
If you build it, he will come.
これが本物の「フィールド・オブ・ドリームス」
夢のサーキットなのだ!
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「ULTRAMAN」
2004年12月7日 映画
2004/12/07 東京神保町「日本教育会館一ツ橋ホール」で「ULTRAMAN」の試写を観た。
太平洋沖に墜落した未確認飛行物体を調査していた海上自衛隊二尉・有働貴文(大澄賢也)は、突如あらわれた「青い光」に遭遇。その発光体に接触した有働はその光の影響か、体質が変容してしまう。
自衛隊の特殊機関BCST(対バイオテロ研究機関)は秘密裏に有働を拘束し、水原沙羅(遠山景織子)を中心とした科学スタッフが有働の変容の経過観察を続けていた。
しかし、有働は遺伝子レベルの変質を遂げ、他の生物を取り込み、その能力を身に付け、凶悪なビースト「ザ・ワン」に変化し、BCSTの施設から脱走し行方をくらましてしまう。
3ケ月後。
航空自衛隊F15Jパイロットの真木舜一(別所哲也)は、先天性の疾患を持つ一人息子・継夢(広田亮平)と少しでも一緒の時間を持てるように、子供の頃からの夢であった戦闘機パイロットをやめ、自衛官を退官することを決意する。その最後の日、スクランブル出動した真木は「赤い発光体」と空中衝突してしまう。その発光体は・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:小中和哉
監修:円谷一夫
音楽監修:TAK MATSUMOTO(B’z)
撮影・VFXスーパーバイザー:大岡新一
フライングシーケンスディレクター:板野一郎
特技監督:菊地雄一
出演:別所哲也(真木舜一)、遠山景織子(水原沙羅)、大澄賢也(有働貴文)、裕木奈江(真木蓉子)、広田亮平(真木継夢)、永澤俊矢、隆大介、草刈正雄(万城目)
松竹のロゴに続く円谷プロのロゴだけで感涙モノなのだ。
本作「ULTRAMAN」は脚本も演技も凡庸だし、演出も単調でスローモー。物語自体も主要ターゲットである子供たちには難しすぎるだろうし、大人にとっても演技の間を取らせる演出と俳優の演技が上手く機能しておらず、展開がのんびりしているような印象を与える。
しかし、ここには怪獣映画文法に則った、背筋の伸びた素晴らしい怪獣映画が存在していた。
これは、ウルトラマンへの、怪獣への、そして何よりもウルトラマンを愛した多くの観客への熱い思いと愛情に満ちた素晴らしい作品なのだ。
先ずは、「初代ウルトラマン」の基本プロット(逃亡する怪獣を追いかけ、ウルトラマンが地球にやってくる)を踏襲したのが良い判断だったと思う。その単純で力強い運命的なプロットが作品を普遍的で神話的、そして観客の記憶に訴えかける印象的なものに昇華する事に成功している。
そして、最大の英断は、東映の「デビルマン」のように、何から何まで自社内で全部やるのではなく、それぞれ部分部分の製作を優秀な人材に外注している点である。
クレジットによると、航空機のCGIはこの会社、新宿副都心のビル街のCGIはこの会社、と言うように、その分野の技術と高いスキルを持った会社に、部分部分の製作を外注しているようなのだ。
そして何と言っても素晴らしいのは、フライングシーケンスディレクターとして板野一郎が参加している点だろう。
板野一郎と言えば、アニメの世界では、板野サーカスと呼ばれた戦闘機やミサイルが縦横無尽に空を舞う作画テクニックで一世を風靡したのだが、今回はなんと実写作品の製作に板野一郎が協力している訳だ。
ハリウッドでも、かつての手工業的な技術で一世を風靡した特撮クリエイターが後年CGIのクリエイターとして復活することが多々あるのだが、かの板野サーカスを実写で見られるとは、本当に素晴らしい時代になったものだ。
その気になる板野サーカスのシークエンスは、本作「ULTRAMAN」のキャッチ・コピー「高度3万フィート!6.5G!極限の一戦!!」が示すとおり、本作の最大の見せ場となっている。下手をすると映画史に残り、語り継がれるような素晴らしい空中戦に仕上がっているかも知れないのだ。本作の板野一郎をフィーチャーした空中戦は、確実に「平成ガメラ」シリーズを超えた、と思うのだ。
また新宿副都心を舞台にしたアクション・シークエンスも結構納得の行くものになっているし、「ザ・ワン」と「ザ・ネクスト」の着ぐるみ同士の格闘は面白いことに、なんだか「バーチャ・ファイター」の結城晶のような動き(八極拳?)の格闘が楽しめるのだ。
街並みと怪獣の描き方は、従来の手法であるビル街や建物のミニチュアの街並みで怪獣が暴れる、と言う手法から、CGIで作られた街並みや、実際の街並みの実写映像を背景に怪獣が暴れる、と言う手法への転換期が来ているようで、来年公開の「鉄人28号」で実現したような実際の街並みでロボットが大暴れするようなクオリティの高いシークエンスが楽しめる。
しかし、特撮の手法やアクション・シークエンスが良くても、本作の基本プロットや、脚本に沢山出てくる言葉は、怪獣映画の主要ターゲットである子供たちには難しいだろうし、真木一家の物語は「ウルトラマン」の物語の背景として、勿論必要なのは理解できるのだが、実際問題としては物語のスピードを著しく殺ぎ、退屈な印象を子供たちに与えてしまっている。
本作を子供向けの怪獣映画と捉えた場合、劇場に集まった子供等は退屈して、通路を走り回ってしまいそうな印象を受けたのだ。
勿論、子供以外のもうひとつのターゲット層として、かつての「ウルトラマン」に熱狂していた世代の存在は無視できず、製作サイドとしては、子供向けと言うよりは、大人向けとして製作されたような印象が否定できない。
果たして、それは怪獣映画にとって、良いことなのだろうか。
ところで、本作はお金の使い方も良いと思った。
ギャラが高そうなキャストを避け、中堅どころで手堅くまとめたキャストもそうだが、製作サイドが見せたい映像、ファンが見たい映像を具現化するためにのみ、お金を割いているのだ。
また航空自衛隊の協力を得たロケーション効果も素晴らしいし、
新宿副都心を封鎖した(ように見える)個々のカットも頑張っているし、自衛隊の車両や、戦闘機の実機を画面の端に映しているのも、お金をかけずにちょっとした知恵で雰囲気を醸し出す手法に好印象である。
また、広角レンズを多用した撮影も印象的であるし、また夕焼けをバックにして怪獣のシルエットや、対象物のアップ等、実相寺昭雄へのオマージュ的名カットも楽しい。
キャストは、別所哲也にしろ遠山景織子にしろ大澄賢也も裕木奈江も頑張っているのだが、やはりイマイチである。言い過ぎかも知れないが、キャストにはあまり見るべきところは無いと思う。
個人的にはイメージはともかく、役所広司クラスの俳優に「ウルトラマン」を演じて欲しかったと思うのだ。(その場合予算的に他の部分にしわ寄せが出てしまうだろうが・・・・)
とにかく本作「ULTRAMAN」は、東映の「デビルマン」の50倍くらい爽快だし、アクション・シーンも素晴らしい。悪魔的なデザインの「ザ・ワン」との空中戦も素晴らしい。打倒東映の気概が見え隠れする。
脚本や演技は残念ながらしょぼいが、基本プロットと展開、アクションが素晴らしい怪獣映画に仕上がっているのだ。
☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
参考になったらクリック!
http://blog.with2.net/link.php/29604
太平洋沖に墜落した未確認飛行物体を調査していた海上自衛隊二尉・有働貴文(大澄賢也)は、突如あらわれた「青い光」に遭遇。その発光体に接触した有働はその光の影響か、体質が変容してしまう。
自衛隊の特殊機関BCST(対バイオテロ研究機関)は秘密裏に有働を拘束し、水原沙羅(遠山景織子)を中心とした科学スタッフが有働の変容の経過観察を続けていた。
しかし、有働は遺伝子レベルの変質を遂げ、他の生物を取り込み、その能力を身に付け、凶悪なビースト「ザ・ワン」に変化し、BCSTの施設から脱走し行方をくらましてしまう。
3ケ月後。
航空自衛隊F15Jパイロットの真木舜一(別所哲也)は、先天性の疾患を持つ一人息子・継夢(広田亮平)と少しでも一緒の時間を持てるように、子供の頃からの夢であった戦闘機パイロットをやめ、自衛官を退官することを決意する。その最後の日、スクランブル出動した真木は「赤い発光体」と空中衝突してしまう。その発光体は・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:小中和哉
監修:円谷一夫
音楽監修:TAK MATSUMOTO(B’z)
撮影・VFXスーパーバイザー:大岡新一
フライングシーケンスディレクター:板野一郎
特技監督:菊地雄一
出演:別所哲也(真木舜一)、遠山景織子(水原沙羅)、大澄賢也(有働貴文)、裕木奈江(真木蓉子)、広田亮平(真木継夢)、永澤俊矢、隆大介、草刈正雄(万城目)
松竹のロゴに続く円谷プロのロゴだけで感涙モノなのだ。
本作「ULTRAMAN」は脚本も演技も凡庸だし、演出も単調でスローモー。物語自体も主要ターゲットである子供たちには難しすぎるだろうし、大人にとっても演技の間を取らせる演出と俳優の演技が上手く機能しておらず、展開がのんびりしているような印象を与える。
しかし、ここには怪獣映画文法に則った、背筋の伸びた素晴らしい怪獣映画が存在していた。
これは、ウルトラマンへの、怪獣への、そして何よりもウルトラマンを愛した多くの観客への熱い思いと愛情に満ちた素晴らしい作品なのだ。
先ずは、「初代ウルトラマン」の基本プロット(逃亡する怪獣を追いかけ、ウルトラマンが地球にやってくる)を踏襲したのが良い判断だったと思う。その単純で力強い運命的なプロットが作品を普遍的で神話的、そして観客の記憶に訴えかける印象的なものに昇華する事に成功している。
そして、最大の英断は、東映の「デビルマン」のように、何から何まで自社内で全部やるのではなく、それぞれ部分部分の製作を優秀な人材に外注している点である。
クレジットによると、航空機のCGIはこの会社、新宿副都心のビル街のCGIはこの会社、と言うように、その分野の技術と高いスキルを持った会社に、部分部分の製作を外注しているようなのだ。
そして何と言っても素晴らしいのは、フライングシーケンスディレクターとして板野一郎が参加している点だろう。
板野一郎と言えば、アニメの世界では、板野サーカスと呼ばれた戦闘機やミサイルが縦横無尽に空を舞う作画テクニックで一世を風靡したのだが、今回はなんと実写作品の製作に板野一郎が協力している訳だ。
ハリウッドでも、かつての手工業的な技術で一世を風靡した特撮クリエイターが後年CGIのクリエイターとして復活することが多々あるのだが、かの板野サーカスを実写で見られるとは、本当に素晴らしい時代になったものだ。
その気になる板野サーカスのシークエンスは、本作「ULTRAMAN」のキャッチ・コピー「高度3万フィート!6.5G!極限の一戦!!」が示すとおり、本作の最大の見せ場となっている。下手をすると映画史に残り、語り継がれるような素晴らしい空中戦に仕上がっているかも知れないのだ。本作の板野一郎をフィーチャーした空中戦は、確実に「平成ガメラ」シリーズを超えた、と思うのだ。
また新宿副都心を舞台にしたアクション・シークエンスも結構納得の行くものになっているし、「ザ・ワン」と「ザ・ネクスト」の着ぐるみ同士の格闘は面白いことに、なんだか「バーチャ・ファイター」の結城晶のような動き(八極拳?)の格闘が楽しめるのだ。
街並みと怪獣の描き方は、従来の手法であるビル街や建物のミニチュアの街並みで怪獣が暴れる、と言う手法から、CGIで作られた街並みや、実際の街並みの実写映像を背景に怪獣が暴れる、と言う手法への転換期が来ているようで、来年公開の「鉄人28号」で実現したような実際の街並みでロボットが大暴れするようなクオリティの高いシークエンスが楽しめる。
しかし、特撮の手法やアクション・シークエンスが良くても、本作の基本プロットや、脚本に沢山出てくる言葉は、怪獣映画の主要ターゲットである子供たちには難しいだろうし、真木一家の物語は「ウルトラマン」の物語の背景として、勿論必要なのは理解できるのだが、実際問題としては物語のスピードを著しく殺ぎ、退屈な印象を子供たちに与えてしまっている。
本作を子供向けの怪獣映画と捉えた場合、劇場に集まった子供等は退屈して、通路を走り回ってしまいそうな印象を受けたのだ。
勿論、子供以外のもうひとつのターゲット層として、かつての「ウルトラマン」に熱狂していた世代の存在は無視できず、製作サイドとしては、子供向けと言うよりは、大人向けとして製作されたような印象が否定できない。
果たして、それは怪獣映画にとって、良いことなのだろうか。
ところで、本作はお金の使い方も良いと思った。
ギャラが高そうなキャストを避け、中堅どころで手堅くまとめたキャストもそうだが、製作サイドが見せたい映像、ファンが見たい映像を具現化するためにのみ、お金を割いているのだ。
また航空自衛隊の協力を得たロケーション効果も素晴らしいし、
新宿副都心を封鎖した(ように見える)個々のカットも頑張っているし、自衛隊の車両や、戦闘機の実機を画面の端に映しているのも、お金をかけずにちょっとした知恵で雰囲気を醸し出す手法に好印象である。
また、広角レンズを多用した撮影も印象的であるし、また夕焼けをバックにして怪獣のシルエットや、対象物のアップ等、実相寺昭雄へのオマージュ的名カットも楽しい。
キャストは、別所哲也にしろ遠山景織子にしろ大澄賢也も裕木奈江も頑張っているのだが、やはりイマイチである。言い過ぎかも知れないが、キャストにはあまり見るべきところは無いと思う。
個人的にはイメージはともかく、役所広司クラスの俳優に「ウルトラマン」を演じて欲しかったと思うのだ。(その場合予算的に他の部分にしわ寄せが出てしまうだろうが・・・・)
とにかく本作「ULTRAMAN」は、東映の「デビルマン」の50倍くらい爽快だし、アクション・シーンも素晴らしい。悪魔的なデザインの「ザ・ワン」との空中戦も素晴らしい。打倒東映の気概が見え隠れする。
脚本や演技は残念ながらしょぼいが、基本プロットと展開、アクションが素晴らしい怪獣映画に仕上がっているのだ。
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2004/12/03 東京新橋「ヤクルトホール」で「ネバーランド」の試写を観た。
1903年ロンドン。華やかに着飾った人々で埋め尽くされたデューク・オブ・ヨーク劇場の片隅で、劇作家のジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)は、居心地の悪い気分を味わっていた。初日を迎えた彼の新作「リトル・メアリー」に対する客席の反応は芳しくなかった。友人アーサー・コナン・ドイル卿(イアン・ハート)や、興行主チャールズ・フローマン(ダスティン・ホフマン)からも、あてこすりを言われる始末だ。
案の定、翌朝の新聞の劇評は最悪。失意のジェームズは、愛犬のポーソスを連れ、近くの公園へ日課の散歩に出かけた。そこで彼は、デイヴィス家の4人の兄弟とその母親との運命的な出会いを果たす。4人兄弟のうち、長男のジョージ(ニック・ラウド)、次男のジャック(ジョー・プロスペロ)、末っ子のマイケル(ルーク・スピル)は、母のシルヴィア(ケイト・ウィンスレット)に連れられて来たその公園で、無邪気に騎士ごっこに興じていた。が、人一倍繊細な三男のピーター(フレディ・ハイモア)は、空想の世界に遊ぶことを拒絶し、一人だけ兄弟の遊びの輪から外れていた。それを見たジェームズは、愛犬をサーカスの熊に見立ててダンスを踊り、少年たちの拍手喝采を浴びる。別れ際、一家との再会を約束したジェームズは、心弾む気分で自宅へ戻った。
早速夕食の席で、妻のメアリー(ラダ・ミッチェル)に公園での出来事を話すジェームズ。それを聞いたメアリーは、夫をガンで亡くしたシルヴィアが、社交界の名士である母のデュ・モーリエ夫人(ジュリー・クリスティ)の援助で暮らしていることを教える。野心家のメアリーは、この出会いがデュ・モーリエ夫人に近づくチャンスになると考え、ジェームズに一家を夕食に招待するようにすすめたが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:マーク・フォースター
出演:ジョニー・デップ(ジェームズ・マシュー・バリ)、フレディ・ハイモア(ピーター・ルウェリン・デイヴィス)、ニック・ラウド(ジョージ・ルウェリン・デイヴィス)、ジョー・プロスペロ(ジャック・ルウェリン・デイヴィス)、ルーク・スピル(マイケル・ルウェリン・デイヴィス)、ケイト・ウィンスレット(シルヴィア・ルウェリン・デイヴィス)、ジュリー・クリスティ(デュ・モーリエ夫人)、ダスティン・ホフマン(チャールズ・フローマン)、ラダ・ミッチェル(メアリー・アンセル・バリ)、イアン・ハート(アーサー・コナン・ドイル卿)、ケリー・マクドナルド(ピーター・パン)
一言で言うなれば、本作「ネバーランド」は、最高に素晴らしい大傑作である。
ついでに言うならば、号泣必須であり、滂沱状態であり、2004年正月映画最高の涙腺破壊兵器と言えるのだ。
特にクライマックスの、映画ならではの素晴らしい演出が凄すぎる。それは、舞台でも、テレビでも、小説でも真似が出来ない素晴らしい映像体験なのだ。
その映像体験が涙腺を破壊し滂沱の地平にぼくらを連れて行ってくれるのだ。
あぁ、映画とは何て素晴らしいんだろう。
映画と言うものが、本当に素晴らしいメディアである、と感じさせてくれる素晴らしい瞬間なのだ。
キャストは何と言ってもジョニー・デップだろう。
最近外見に特徴を持つキャラクターを演じ続けているジョニー・デップだが、内面は特徴的な性格を持っているのだが、外見的にはいたって普通の人物であるバリを見事に演じている。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」等でデップの俄ファンになったような人々にとっては、今回のデップはもしかすると退屈で、あまりにも普通の演技のように見えるかも知れないが、そんな静かで慈愛に満ち、夢見がちでいながら苦悩するバリの姿が嬉しくも悲しい。
そしてダスティン・ホフマンである。スティーヴン・スピルバーグの「フック」でフック船長を演じたダスティン・ホフマンをキャスティングするとは、何て素晴らしいのだろう。
物語上、ジェームズ・バリは当然の如く、永遠の少年ピーター・パンのメタファーとして機能すると同時に、デイヴィス家は勿論ダーリング家の暗喩なのだ。それではフック船長は?そう勿論、興行主のチャールズ・フローマンその人なのだ。
出来ることなら、一瞬登場するネバーランドのフック船長をダスティン・ホフマンに演じて欲しかったのだ。と思う。
希望的観測か気の迷いかわからないが、クレジット上は勿論異なるのだが、涙でスクリーンが歪んで見えていたわたしにとって、フック船長はダスティン・ホフマンだったのだ。
ところで物語は、劇作家として、壁にぶちあたってしまったジェームズ・バリが、ダーリング家のウェンディ、ジョン、マイケル、そしてネバーランドのピーター・パンを髣髴とさせるデイヴィス家の人々と(想像の力で)冒険した様子を描いた戯曲「ピーター・パン」を完成させ、初演を迎えるまでの物語である。
リアリストである少年ピーターと大人の癖に夢ばかり見ているバリの対比が興味深い。
ある意味、夢ばかり見ているダメな大人をリアリストの少年が悟らせるのか、ダメな大人が老成した少年に、夢を見る力を授けるのか、が興味深い訳だ。
そして前述のクライマックスのシークエンスにしろ何にしろ、バリらの夢(想像)を具現化しているシークエンスが最高に素晴らしいのだ。
また戯曲「ピーター・パン」を上演する舞台装置も単純だが非常に力強く、圧倒的な感動を与えてくれる。
例えばそれは、物語の中、舞台でピーター・パンを演じたケリー・マクドナルド等の素晴らしい演技に因るものだろう。そしてクライマックスのケリー・マクドナルドの演技は確実に「魔法の力」を持っているのだ。
脚本は一言で言えば素晴らしいのだが、ちょっと気になったのは、クライマックスに向けての、メアリーとジェームズのバリ夫婦の不和を描く描写や、シルヴィアの病気にはイライラさせられた。
勿論、その辺の描写のおかげでクライマックスのカタルシスが倍増するのだが、個人的には、「おいおいそんな細かい描写はいらないから、早く舞台を映せよ」と言う気持ちになったのは事実である。
出来ることなら、「ピーター・パン」の舞台全編を見たいと思ったわけだ。
舞台と言えば本作は「バロン」と比較しても面白いと思うし、ジョニー・デップとダスティン・ホフマンの競演と言うことから考えると監督のマーク・フォースターは、ティム・バートンとスティーヴン・スピルバーグの融合を果たそうとしていたのではないか、と勘ぐってしまう。
スピルバーグの嗜好は異常なほど、ディズニー・アニメへの傾倒が見え隠れするし、「ピーター・パン」については、「フック」や「A.I.」で言及しているし、ジョニー・デップのキャラクターは、ティム・バートンその人を描いているような印象を受けてしまうのだ。
そして、ジョニー・デップのキャラクターは「ビッグ・フィッシュ」をも髣髴とさせるような設定を感じてしまう。
本作「ネバーランド」は、はっきり言って最高の傑作である。
とりあえず、観ろ!なのだ。
☆☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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1903年ロンドン。華やかに着飾った人々で埋め尽くされたデューク・オブ・ヨーク劇場の片隅で、劇作家のジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)は、居心地の悪い気分を味わっていた。初日を迎えた彼の新作「リトル・メアリー」に対する客席の反応は芳しくなかった。友人アーサー・コナン・ドイル卿(イアン・ハート)や、興行主チャールズ・フローマン(ダスティン・ホフマン)からも、あてこすりを言われる始末だ。
案の定、翌朝の新聞の劇評は最悪。失意のジェームズは、愛犬のポーソスを連れ、近くの公園へ日課の散歩に出かけた。そこで彼は、デイヴィス家の4人の兄弟とその母親との運命的な出会いを果たす。4人兄弟のうち、長男のジョージ(ニック・ラウド)、次男のジャック(ジョー・プロスペロ)、末っ子のマイケル(ルーク・スピル)は、母のシルヴィア(ケイト・ウィンスレット)に連れられて来たその公園で、無邪気に騎士ごっこに興じていた。が、人一倍繊細な三男のピーター(フレディ・ハイモア)は、空想の世界に遊ぶことを拒絶し、一人だけ兄弟の遊びの輪から外れていた。それを見たジェームズは、愛犬をサーカスの熊に見立ててダンスを踊り、少年たちの拍手喝采を浴びる。別れ際、一家との再会を約束したジェームズは、心弾む気分で自宅へ戻った。
早速夕食の席で、妻のメアリー(ラダ・ミッチェル)に公園での出来事を話すジェームズ。それを聞いたメアリーは、夫をガンで亡くしたシルヴィアが、社交界の名士である母のデュ・モーリエ夫人(ジュリー・クリスティ)の援助で暮らしていることを教える。野心家のメアリーは、この出会いがデュ・モーリエ夫人に近づくチャンスになると考え、ジェームズに一家を夕食に招待するようにすすめたが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:マーク・フォースター
出演:ジョニー・デップ(ジェームズ・マシュー・バリ)、フレディ・ハイモア(ピーター・ルウェリン・デイヴィス)、ニック・ラウド(ジョージ・ルウェリン・デイヴィス)、ジョー・プロスペロ(ジャック・ルウェリン・デイヴィス)、ルーク・スピル(マイケル・ルウェリン・デイヴィス)、ケイト・ウィンスレット(シルヴィア・ルウェリン・デイヴィス)、ジュリー・クリスティ(デュ・モーリエ夫人)、ダスティン・ホフマン(チャールズ・フローマン)、ラダ・ミッチェル(メアリー・アンセル・バリ)、イアン・ハート(アーサー・コナン・ドイル卿)、ケリー・マクドナルド(ピーター・パン)
一言で言うなれば、本作「ネバーランド」は、最高に素晴らしい大傑作である。
ついでに言うならば、号泣必須であり、滂沱状態であり、2004年正月映画最高の涙腺破壊兵器と言えるのだ。
特にクライマックスの、映画ならではの素晴らしい演出が凄すぎる。それは、舞台でも、テレビでも、小説でも真似が出来ない素晴らしい映像体験なのだ。
その映像体験が涙腺を破壊し滂沱の地平にぼくらを連れて行ってくれるのだ。
あぁ、映画とは何て素晴らしいんだろう。
映画と言うものが、本当に素晴らしいメディアである、と感じさせてくれる素晴らしい瞬間なのだ。
キャストは何と言ってもジョニー・デップだろう。
最近外見に特徴を持つキャラクターを演じ続けているジョニー・デップだが、内面は特徴的な性格を持っているのだが、外見的にはいたって普通の人物であるバリを見事に演じている。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」等でデップの俄ファンになったような人々にとっては、今回のデップはもしかすると退屈で、あまりにも普通の演技のように見えるかも知れないが、そんな静かで慈愛に満ち、夢見がちでいながら苦悩するバリの姿が嬉しくも悲しい。
そしてダスティン・ホフマンである。スティーヴン・スピルバーグの「フック」でフック船長を演じたダスティン・ホフマンをキャスティングするとは、何て素晴らしいのだろう。
物語上、ジェームズ・バリは当然の如く、永遠の少年ピーター・パンのメタファーとして機能すると同時に、デイヴィス家は勿論ダーリング家の暗喩なのだ。それではフック船長は?そう勿論、興行主のチャールズ・フローマンその人なのだ。
出来ることなら、一瞬登場するネバーランドのフック船長をダスティン・ホフマンに演じて欲しかったのだ。と思う。
希望的観測か気の迷いかわからないが、クレジット上は勿論異なるのだが、涙でスクリーンが歪んで見えていたわたしにとって、フック船長はダスティン・ホフマンだったのだ。
ところで物語は、劇作家として、壁にぶちあたってしまったジェームズ・バリが、ダーリング家のウェンディ、ジョン、マイケル、そしてネバーランドのピーター・パンを髣髴とさせるデイヴィス家の人々と(想像の力で)冒険した様子を描いた戯曲「ピーター・パン」を完成させ、初演を迎えるまでの物語である。
リアリストである少年ピーターと大人の癖に夢ばかり見ているバリの対比が興味深い。
ある意味、夢ばかり見ているダメな大人をリアリストの少年が悟らせるのか、ダメな大人が老成した少年に、夢を見る力を授けるのか、が興味深い訳だ。
そして前述のクライマックスのシークエンスにしろ何にしろ、バリらの夢(想像)を具現化しているシークエンスが最高に素晴らしいのだ。
また戯曲「ピーター・パン」を上演する舞台装置も単純だが非常に力強く、圧倒的な感動を与えてくれる。
例えばそれは、物語の中、舞台でピーター・パンを演じたケリー・マクドナルド等の素晴らしい演技に因るものだろう。そしてクライマックスのケリー・マクドナルドの演技は確実に「魔法の力」を持っているのだ。
脚本は一言で言えば素晴らしいのだが、ちょっと気になったのは、クライマックスに向けての、メアリーとジェームズのバリ夫婦の不和を描く描写や、シルヴィアの病気にはイライラさせられた。
勿論、その辺の描写のおかげでクライマックスのカタルシスが倍増するのだが、個人的には、「おいおいそんな細かい描写はいらないから、早く舞台を映せよ」と言う気持ちになったのは事実である。
出来ることなら、「ピーター・パン」の舞台全編を見たいと思ったわけだ。
舞台と言えば本作は「バロン」と比較しても面白いと思うし、ジョニー・デップとダスティン・ホフマンの競演と言うことから考えると監督のマーク・フォースターは、ティム・バートンとスティーヴン・スピルバーグの融合を果たそうとしていたのではないか、と勘ぐってしまう。
スピルバーグの嗜好は異常なほど、ディズニー・アニメへの傾倒が見え隠れするし、「ピーター・パン」については、「フック」や「A.I.」で言及しているし、ジョニー・デップのキャラクターは、ティム・バートンその人を描いているような印象を受けてしまうのだ。
そして、ジョニー・デップのキャラクターは「ビッグ・フィッシュ」をも髣髴とさせるような設定を感じてしまう。
本作「ネバーランド」は、はっきり言って最高の傑作である。
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2004/12/04 東京池袋「シネ・リーブル池袋」で「恋の門」を観た。
新しいアルバイト先「ウレシー商事」に向かう、蒼木門(あおきもん/松田龍平)は、道端で見つけたハート型の石を拾おうとした手を、証恋乃(あかしこいの/酒井若菜)に踏まれてしまう。会社に急ぐ恋乃は門に詫び、パンを門に渡し、行ってしまう。
そんな門は、石で漫画を描く自称「漫画芸術家」。石の漫画など当然売れる訳もなく、当然の如くアルバイトで生活費を稼いでいた。おまけに、ハタチを過ぎても門は童貞だった。
踏まれた手を手当し「ウレシー商事」に到着する門は、初日から遅刻するとは何事だ、と幹部(尾美としのり)に叱られる。なんとそこには恋乃も勤めていたのだ。
そんな恋乃は、昼は普通のOLだが帰宅後はコスプレを楽しみ、同人誌の売れっ子漫画家だった。
その夜、門は自分の歓迎会の最中、先輩社員と喧嘩しギタギタにされてしまう。引きずられるように恋乃の部屋に向かった門は、一晩を過ごしてしまう。
互いに惹かれ合う二人。だが「芸術」と「オタク」という、相反する感性同志がぶつかり合い、惹かれ合うと同時に二人は反発しあっていた。お互いを知るためにと、恋乃はある旅行の提案をする。それはアニメソング界の人気者・安部セイキ(皆川猿時)様のファンの集い一泊旅行だった。
お金が無い門は、ウインドウに飾られた石に惹かれ入った「漫画バー・ペン」でアルバイトをすることになる。バーのオーナー毬藻田(松尾スズキ)は、かつての売れっ子漫画家だった。そして・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督・脚本:松尾スズキ
原作:羽生生純 『恋の門』(エンターブレイン刊)
出演:松田龍平(蒼木門)、酒井若菜(証恋乃)、松尾スズキ(毬藻田)、忌野清志郎(浴衣)、小島聖(園決理/メジナ)、塚本晋也(野呂)、尾美としのり(「ウレシー商会」幹部)、大竹まこと(門の父)、筒井真理子(門の母)、平泉成(恋乃のパパ/証圭一郎)、大竹しのぶ(恋乃のママ/証泰子)、三池崇史(イメクラ店長)、庵野秀明(旅館の親父)、安野モヨコ(旅館の女将)、高橋征也(キンゴ)
本作「恋の門」はとっても楽しいコメディ映画に仕上がっている。一見、CMやPV業界あがりの監督作品に見られるような、展開が早くガチャガチャした印象の作品ではあるが、舞台あがりの監督の作品という事もあり、微妙な間と勿論演出が楽しめる、舞台テイストを含んだ作品だと言える。
先ずは脚本が面白い。
尤もセリフは、舞台のセリフのように、理屈っぽくて早口、噛みそうで噛まない、まるで登場人物同士のバトルのようなセリフの応酬なのだ。しかもそのセリフは「オタク文化」特有の、暗喩や婉曲話法に満ちた難解なセリフなのだ。
また一つの長セリフの中に、そのセリフのテンションやキャラクターの感情に変化を持たせた起伏あるセリフが印象的である。
まるで舞台の独白のようなセリフの中、登場人物はいきなり激昂し、または失意のどん底に叩き落され、それに対し他の登場人物が、突っ込んでいるのだ。これは口から出てしまった「心の声」に対し登場人物が反応、さらに反応しあっている、と言う感じなのだ。
つまり、物語内部にいる自分と、自らの行動を冷静に観察している自分が共に存在し、自らが自らの行動や言動にツッコミを入れているような印象を受けるように脚本が構成されているのだ。
これは「オタク文化」への批判的精神に因るものかも知れないし、自らを含んだ「オタク文化」に対する自虐的なスタンスに因るものなのかも知れない。
そして、そのあたりは「コスプレ」という仮面(ペルソナ)を物語の導入した点も興味深い。
「コスプレ」をすることにより恋乃は別の人格を創造しているのだ。恋乃の中には、「コスプレ」を演じる自分と、それを眺める素の自分が共存しているのだ。
また登場人物の多くが恋乃同様、二面性を持ったキャラクターとして設定されているのも興味深い。つまり、恋乃の「コスプレ」は、他のキャラクターの二面性を解りやすく表現するための一つの手法として機能しているのだ。
また「コスプレ」好きのキャククターを登場させる事は、他の二面性を持つキャラクターに対する観客の理解を助ける事に役立っている。
キャストだが、先ずは酒井若菜の熱演であろう。所謂巨乳アイドルの枠にくくれない、何か(something)の存在を感じるのだ。
濡れ場は濡れ場として考えると物足りない感は否めないが、現役アイドルにしては濃厚なキス・シーンが多く、結構頑張った、と評価したい。
松田龍平は、まあ良いのだが、浅野忠信の演技スタイルにどんどん似てくる印象が否定できない。セリフのボソボソ感は浅野にそっくりではないだろうか。
出番は少ないが大竹しのぶはやはり凄い。彼女の周りの空気が違う。あんな役柄(失礼)でも、周りを十分に感動させる力を見せてくれている。
また、豪華なキャストが一癖もふた癖もあるような人物を嬉々として演じているのが楽しい。わたしは従来からカメオを不必要だとするスタンスを取っているが、本作「恋の門」では、物語の進行を止め、観客を現実世界に戻してしまうようなカメオはなかった。全ての役者が与えられた役目を見事に果たしているのである。
結局のところ、本作「恋の門」は、ただ単にガチャガチャしたジェット・コースター・ムービーに留まらず、結構奥が深い作品に仕上がった松尾スズキの意欲作であり、是非多くの人に観ていただきたい作品だと思う。
酒井若菜は所謂体当り演技です。
=+=+=+=+=
今回わたしは「恋の門」を「シネ・リーブル池袋」のレイトで観たのだが、「恋の門」のプリントの状態が悪かった。もしかしたら映写機の光量の問題かもしれないが。
「シネ・リーブル池袋」に確認したところ、「恋の門」はデジタル上映ではなくフィルムで上映している、という事なので、おそらくキネコの時点でプリントが綺麗に仕上がっていないのだと思う。
症状としては画面が著しく暗く、コントラストが不足している。勿論映写機の光量や光量に対するスクリーン・サイズの問題もあるかも知れないのだが、実際問題として、本編中の非常に重要なシークエンスのひとつである漫画を描くシーンなのだが、ペン入れしているカットはともかく、鉛筆で絵を描くカットが、何を描いているのか判別できないのだ。これはこの作品の致命的な所だと思うぞ。
=+=+=+=+=
余談だが、本作で沢山登場した漫画「同人誌」についてだが、今回気付いたのは、「同人誌」と言うものは、インディーズ作品だという事である。
あたり前だと言われればそれまでなのだが、「同人誌」とは、例えばインディーズ・バンドのデモCDや、自主制作映像作品みたいなものなのだ、と言うことである。
「同人誌」を読んで喜んでいるのは、我々映画ファンが嬉々として、自主制作映像作品を観たり、新人映像作家の作品を観て、今後の可能性を論評したりしているのと、同じ事なのだと言う事である。わたしの中で、「同人誌」と言うものに対する理解が深まった瞬間である。
☆☆☆★ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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新しいアルバイト先「ウレシー商事」に向かう、蒼木門(あおきもん/松田龍平)は、道端で見つけたハート型の石を拾おうとした手を、証恋乃(あかしこいの/酒井若菜)に踏まれてしまう。会社に急ぐ恋乃は門に詫び、パンを門に渡し、行ってしまう。
そんな門は、石で漫画を描く自称「漫画芸術家」。石の漫画など当然売れる訳もなく、当然の如くアルバイトで生活費を稼いでいた。おまけに、ハタチを過ぎても門は童貞だった。
踏まれた手を手当し「ウレシー商事」に到着する門は、初日から遅刻するとは何事だ、と幹部(尾美としのり)に叱られる。なんとそこには恋乃も勤めていたのだ。
そんな恋乃は、昼は普通のOLだが帰宅後はコスプレを楽しみ、同人誌の売れっ子漫画家だった。
その夜、門は自分の歓迎会の最中、先輩社員と喧嘩しギタギタにされてしまう。引きずられるように恋乃の部屋に向かった門は、一晩を過ごしてしまう。
互いに惹かれ合う二人。だが「芸術」と「オタク」という、相反する感性同志がぶつかり合い、惹かれ合うと同時に二人は反発しあっていた。お互いを知るためにと、恋乃はある旅行の提案をする。それはアニメソング界の人気者・安部セイキ(皆川猿時)様のファンの集い一泊旅行だった。
お金が無い門は、ウインドウに飾られた石に惹かれ入った「漫画バー・ペン」でアルバイトをすることになる。バーのオーナー毬藻田(松尾スズキ)は、かつての売れっ子漫画家だった。そして・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督・脚本:松尾スズキ
原作:羽生生純 『恋の門』(エンターブレイン刊)
出演:松田龍平(蒼木門)、酒井若菜(証恋乃)、松尾スズキ(毬藻田)、忌野清志郎(浴衣)、小島聖(園決理/メジナ)、塚本晋也(野呂)、尾美としのり(「ウレシー商会」幹部)、大竹まこと(門の父)、筒井真理子(門の母)、平泉成(恋乃のパパ/証圭一郎)、大竹しのぶ(恋乃のママ/証泰子)、三池崇史(イメクラ店長)、庵野秀明(旅館の親父)、安野モヨコ(旅館の女将)、高橋征也(キンゴ)
本作「恋の門」はとっても楽しいコメディ映画に仕上がっている。一見、CMやPV業界あがりの監督作品に見られるような、展開が早くガチャガチャした印象の作品ではあるが、舞台あがりの監督の作品という事もあり、微妙な間と勿論演出が楽しめる、舞台テイストを含んだ作品だと言える。
先ずは脚本が面白い。
尤もセリフは、舞台のセリフのように、理屈っぽくて早口、噛みそうで噛まない、まるで登場人物同士のバトルのようなセリフの応酬なのだ。しかもそのセリフは「オタク文化」特有の、暗喩や婉曲話法に満ちた難解なセリフなのだ。
また一つの長セリフの中に、そのセリフのテンションやキャラクターの感情に変化を持たせた起伏あるセリフが印象的である。
まるで舞台の独白のようなセリフの中、登場人物はいきなり激昂し、または失意のどん底に叩き落され、それに対し他の登場人物が、突っ込んでいるのだ。これは口から出てしまった「心の声」に対し登場人物が反応、さらに反応しあっている、と言う感じなのだ。
つまり、物語内部にいる自分と、自らの行動を冷静に観察している自分が共に存在し、自らが自らの行動や言動にツッコミを入れているような印象を受けるように脚本が構成されているのだ。
これは「オタク文化」への批判的精神に因るものかも知れないし、自らを含んだ「オタク文化」に対する自虐的なスタンスに因るものなのかも知れない。
そして、そのあたりは「コスプレ」という仮面(ペルソナ)を物語の導入した点も興味深い。
「コスプレ」をすることにより恋乃は別の人格を創造しているのだ。恋乃の中には、「コスプレ」を演じる自分と、それを眺める素の自分が共存しているのだ。
また登場人物の多くが恋乃同様、二面性を持ったキャラクターとして設定されているのも興味深い。つまり、恋乃の「コスプレ」は、他のキャラクターの二面性を解りやすく表現するための一つの手法として機能しているのだ。
また「コスプレ」好きのキャククターを登場させる事は、他の二面性を持つキャラクターに対する観客の理解を助ける事に役立っている。
キャストだが、先ずは酒井若菜の熱演であろう。所謂巨乳アイドルの枠にくくれない、何か(something)の存在を感じるのだ。
濡れ場は濡れ場として考えると物足りない感は否めないが、現役アイドルにしては濃厚なキス・シーンが多く、結構頑張った、と評価したい。
松田龍平は、まあ良いのだが、浅野忠信の演技スタイルにどんどん似てくる印象が否定できない。セリフのボソボソ感は浅野にそっくりではないだろうか。
出番は少ないが大竹しのぶはやはり凄い。彼女の周りの空気が違う。あんな役柄(失礼)でも、周りを十分に感動させる力を見せてくれている。
また、豪華なキャストが一癖もふた癖もあるような人物を嬉々として演じているのが楽しい。わたしは従来からカメオを不必要だとするスタンスを取っているが、本作「恋の門」では、物語の進行を止め、観客を現実世界に戻してしまうようなカメオはなかった。全ての役者が与えられた役目を見事に果たしているのである。
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=+=+=+=+=
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「シネ・リーブル池袋」に確認したところ、「恋の門」はデジタル上映ではなくフィルムで上映している、という事なので、おそらくキネコの時点でプリントが綺麗に仕上がっていないのだと思う。
症状としては画面が著しく暗く、コントラストが不足している。勿論映写機の光量や光量に対するスクリーン・サイズの問題もあるかも知れないのだが、実際問題として、本編中の非常に重要なシークエンスのひとつである漫画を描くシーンなのだが、ペン入れしているカットはともかく、鉛筆で絵を描くカットが、何を描いているのか判別できないのだ。これはこの作品の致命的な所だと思うぞ。
=+=+=+=+=
余談だが、本作で沢山登場した漫画「同人誌」についてだが、今回気付いたのは、「同人誌」と言うものは、インディーズ作品だという事である。
あたり前だと言われればそれまでなのだが、「同人誌」とは、例えばインディーズ・バンドのデモCDや、自主制作映像作品みたいなものなのだ、と言うことである。
「同人誌」を読んで喜んでいるのは、我々映画ファンが嬉々として、自主制作映像作品を観たり、新人映像作家の作品を観て、今後の可能性を論評したりしているのと、同じ事なのだと言う事である。わたしの中で、「同人誌」と言うものに対する理解が深まった瞬間である。
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週刊「映画レビュー・インデックス」2004/12/04
2004年12月4日 週刊「映画レビュー・インデックス」先週同様、劇場公開時期に合わせてレビューを紹介する
週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)
を継続してみます。
また同様に、最新の国内興収ベストテン(国内興行成績)作品のレビュー・インデックスもつけてみることにしました。
更に先週同様、今後継続的するかどうかは未定です。
■公開中
2004/12/04公開作品
「Mr.インクレディブル」http://diarynote.jp/d/29346/20041114.html
「恋文日和」http://diarynote.jp/d/29346/20041203.html
2004/11/27公開作品
「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」
http://diarynote.jp/d/29346/20041115.html
「ニュースの天才」http://diarynote.jp/d/29346/20040830.html
2004/11/20公開作品
「ハウルの動く城」http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2004/11/13公開作品
「海猫」http://diarynote.jp/d/29346/20041025.html
「爆裂都市」http://diarynote.jp/d/29346/20041107.html
「パニッシャー」http://diarynote.jp/d/29346/20041103.html
■週末興収ベストテン
2004/11/27-28 興収ベストテン
1.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2.「いま、会いにゆきます」(東宝)
3.「ポーラー・エクスプレス」(ワーナー)
4.「誰にでも秘密がある」(東芝エンタテインメント)
5.「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」(ギャガ=ヒューマックス)
http://diarynote.jp/d/29346/20041115.html
6.「コラテラル」(UIP)
7.「海猫」(東映)http://diarynote.jp/d/29346/20041025.html
8.「隠し剣 鬼の爪」(松竹)http://diarynote.jp/d/29346/20041024.html
9.「笑の大学」(東宝) http://diarynote.jp/d/29346/20041119.html
10.「血と骨」(松竹=ザナドゥー) http://diarynote.jp/d/29346/20041202.html
先週に引き続き、現在日本映画(アニメーション映画含む)がベストテンに6本入る、という凄い状況となっています。
例によって、過去の興収ベストテンを常にフォローしている訳ではないので、なんとも言えませんが、興収ベストテンに6本の日本映画がランクインしているのは、異例の出来事ではないでしょうか。
■公開直前
2004/12/11公開作品
「ふたりにクギづけ」http://diarynote.jp/d/29346/20041129.html
「僕の彼女を紹介します」http://diarynote.jp/d/29346/20041130.html
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週刊「映画レビュー・インデックス」(仮称)
を継続してみます。
また同様に、最新の国内興収ベストテン(国内興行成績)作品のレビュー・インデックスもつけてみることにしました。
更に先週同様、今後継続的するかどうかは未定です。
■公開中
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「恋文日和」http://diarynote.jp/d/29346/20041203.html
2004/11/27公開作品
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2004/11/20公開作品
「ハウルの動く城」http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2004/11/13公開作品
「海猫」http://diarynote.jp/d/29346/20041025.html
「爆裂都市」http://diarynote.jp/d/29346/20041107.html
「パニッシャー」http://diarynote.jp/d/29346/20041103.html
■週末興収ベストテン
2004/11/27-28 興収ベストテン
1.「ハウルの動く城」(東宝)http://diarynote.jp/d/29346/20041117.html
2.「いま、会いにゆきます」(東宝)
3.「ポーラー・エクスプレス」(ワーナー)
4.「誰にでも秘密がある」(東芝エンタテインメント)
5.「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」(ギャガ=ヒューマックス)
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6.「コラテラル」(UIP)
7.「海猫」(東映)http://diarynote.jp/d/29346/20041025.html
8.「隠し剣 鬼の爪」(松竹)http://diarynote.jp/d/29346/20041024.html
9.「笑の大学」(東宝) http://diarynote.jp/d/29346/20041119.html
10.「血と骨」(松竹=ザナドゥー) http://diarynote.jp/d/29346/20041202.html
先週に引き続き、現在日本映画(アニメーション映画含む)がベストテンに6本入る、という凄い状況となっています。
例によって、過去の興収ベストテンを常にフォローしている訳ではないので、なんとも言えませんが、興収ベストテンに6本の日本映画がランクインしているのは、異例の出来事ではないでしょうか。
■公開直前
2004/12/11公開作品
「ふたりにクギづけ」http://diarynote.jp/d/29346/20041129.html
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2004/10/28 東京九段下「九段会館大ホール」にて「恋文日和」の試写を観た。
先ず本作「恋文日和」の構成なのだが、本作はラブレターをモチーフにしたジョージ朝倉の同名人気コミックの映画化作品であり、その原作コミックから人気が高い「あたしをしらないキミへ」「イカルスの恋人たち」「雪に咲く花」の3篇を映像化し、「便せん日和」と言うブリッジ・ストーリーで繋いだ形態のオムニバス作品集的構成を持った作品である。
都合4篇の監督とキャストがそれぞれ異なっており、4篇の独立した物語として楽しめると同時に今流行の群像劇としても楽しめる作品に構成されている。
しかしながらラブレターをモチーフとした作品であるため、題材や世界観は現代的ではあるが、何故か懐かしくもクラシックな印象を観客に与える作品に仕上がっている。
先ず驚いたのは、「便せん日和」の映像のクオリティである。
他の3篇のエピソードのクオリティはともかく、ブリッジ・ストーリーとして機能する、言わば作品全体を考えた場合、ファーストカットとラストカットを含む最重要なエピソードである「便せん日和」の映像のクオリティが著しく低いのである。
本作は全てビデオ撮りの作品なのだが、他の3篇はビスタサイズで映像のクオリティもそこそこである。
しかし「便せん日和」はスタンダード・サイズで画質は最悪、色も飛び、モアレが発生している。
おそらく民生用(下手をすると1CCD)のデジタルビデオカメラで撮影・編集した素材をキネカする際(ビデオをフィルムに焼く際)、工程が上手く行かなかったのではないかと勘ぐってしまう程、劇場公開作品としては近年まれに見る画質の悪さなのだ。
尤もこれは、試写で使用されたフィルムだけの問題かも知れないが、念の為、付記しておく事とした。
「あたしをしらないキミへ」
監督・脚本:大森美香
出演:村川絵梨(文子)、弓削智久(増村保志)、真木よう子(片瀬理乃)
オクテな文子(村川絵梨)と、全身タトゥーで近寄りがたい増村クン(弓削智久)。
文子は、ひとりきりになりたい時、こっそり入る立入禁止の学校の屋上で、卒業した先輩の片瀬さん(真木よう子)あてのラブ・レターを拾う。それはあの怖い増村クンが書いたものだった・・・・。
外見上は恐ろしい男が、実は繊細な心を持っており、おとなしいヒロインと結ばれる、と言う少女マンガ的には定番中の定番、多くの女性が夢見る物語なのだが、手紙のやり取りの方法が秀逸であり、かつラストのシークエンスの手紙が程よいカタルシスを観客に味合せている。理想的な物語である。
「雪に咲く花」
監督:須賀大観
脚本:佐藤善木
出演:小松彩夏(宮下千雪)、田中圭(神代陽司)、田中要次
「あたし、たぶん消えちゃうけど、覚えていて。・・・あなたにだけは、わずかな断片だけでいいから、覚えていてほしい」。差出人の名前が無い手紙を受け取った陽司(田中圭)は、もしかして同級生の宮下千雪(小松彩夏)からの手紙ではないかと考え・・・・。
500円で援助交際をする、という噂がある美少女の最後の冬の日々、薄幸な美少女と朴訥な少年の心の交流を見事に描いている。物語としては小松彩夏演じる可憐で儚げな少女がおじさん相手に援助交際をしているとなると、本作のコンセプトにそぐわないダークで陰惨な印象を観客に与えかねないのだが、脚本は微妙なバランスを保ち、土俵際で踏みとどまり、物語はラストの感動的な手紙に繋がっていく。少年期からの脱却(成長)とほのかで儚げな希望を感じさせてくれる秀作である。
おそらく、4篇のエピソードの中では、一番印象的なエピソードになっているのではないだろうか。
春になると消えてしまう、そんな「千雪」という役名が最高なのだ。その千雪を演じた小松彩夏が素晴らしい。
「イカルスの恋人たち」
監督:永田琴恵
脚本:松田裕子
出演:玉山鉄二(康一)、塚本高史(健二)、當山奈央(玉音)
堅物の兄・康一(玉山鉄二)とまったくそりが合わなかった弟・健二(塚本高史)。康一が死んだ後、健二は兄が残した手紙とビデオテープを遺品の中から見つける。
「恋人に渡してくれ」と書かれた手紙に書かれた場所を訪ねてみると、そこには中国人・玉音(ユーイン/當山奈央)が・・・・。ずっと堅物だと思っていた兄の、まったく知らなかった別の顔を健二は知らされたるが・・・・。
突然亡くなった兄貴が恋人に残したビデオレターを弟が渡しに行く、と言う設定だけで涙腺破壊兵器の資格は十分である。ついでに、兄弟の不和というスパイスが振りまかれているのだから、さあ大変。勿論想像通りの作品だと想うが、それは逆説的には普遍的で誰にでも受け入れられる物語だと言える訳だ。勿論感動です。
當山奈央が好演。
「便せん日和」
監督:高成麻畝子
脚本:岡本貴也
出演:中越典子(永野美子)、大倉孝二(鈴森一成)、森ほさち(杉原万里子)
レターセットショップの主任(大倉孝二)を想い、何通も何通も書いたラブレターを一通も投函できない店員・美子(中越典子)。
一方、鈴森(大倉孝二)は、毎週金曜日の同じ時間に、同じ商品を必ず買いに来る女性客(森ほさち)に恋心を抱いていた。
美子は自分の主任への気持ちを隠し、女性客にアタックするよう鈴森にけしかけるが・・・・。
前述のように画質はガタガタであるが、映画全体を引き締め、繋ぐブリッジ・ストーリーとして機能するエピソードである。
物語としては若干弱いかなと思うのだが、深刻にならず過度なユーモアとペーソスを散りばめながら進む物語は、せつない乙女心とせつない男心の両方を見事に描いている。
両性にアピールする素晴らしい脚本を持ったエピソードである
中越典子、大倉孝二が好演している。
(あらすじはオフィシャル・サイトよりほぼ引用)
本作「恋文日和」のコンセプトは、現代のIT社会において、最早旧時代の情報伝達方法である「手紙」の復権と、回顧を目的としているようで、「手紙」ならではの4篇のエピソードが織りなす瑞々しくも鮮烈なイメージは、観客の心情を十分揺り動かす力を持っている。
結局、本作「恋文日和」は、「手紙」など書いた事も、もらった事もないような世代の人達に是非見ていただきたい作品だと思う一方、「手紙」を普通にやり取りしていた世代の人々にも、ああ昔はこんなだったな、と昔を懐かしませる作品にも仕上がっている。
そして本作は、世の中が便利になればなるほど、人間という奴は確実にダメになっていっている。そんな事を再確認させてくれる良質の作品だとも言えるのだ。
この時代、携帯やメールを使わない人生も楽しいのかも知れないのだ。
☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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先ず本作「恋文日和」の構成なのだが、本作はラブレターをモチーフにしたジョージ朝倉の同名人気コミックの映画化作品であり、その原作コミックから人気が高い「あたしをしらないキミへ」「イカルスの恋人たち」「雪に咲く花」の3篇を映像化し、「便せん日和」と言うブリッジ・ストーリーで繋いだ形態のオムニバス作品集的構成を持った作品である。
都合4篇の監督とキャストがそれぞれ異なっており、4篇の独立した物語として楽しめると同時に今流行の群像劇としても楽しめる作品に構成されている。
しかしながらラブレターをモチーフとした作品であるため、題材や世界観は現代的ではあるが、何故か懐かしくもクラシックな印象を観客に与える作品に仕上がっている。
先ず驚いたのは、「便せん日和」の映像のクオリティである。
他の3篇のエピソードのクオリティはともかく、ブリッジ・ストーリーとして機能する、言わば作品全体を考えた場合、ファーストカットとラストカットを含む最重要なエピソードである「便せん日和」の映像のクオリティが著しく低いのである。
本作は全てビデオ撮りの作品なのだが、他の3篇はビスタサイズで映像のクオリティもそこそこである。
しかし「便せん日和」はスタンダード・サイズで画質は最悪、色も飛び、モアレが発生している。
おそらく民生用(下手をすると1CCD)のデジタルビデオカメラで撮影・編集した素材をキネカする際(ビデオをフィルムに焼く際)、工程が上手く行かなかったのではないかと勘ぐってしまう程、劇場公開作品としては近年まれに見る画質の悪さなのだ。
尤もこれは、試写で使用されたフィルムだけの問題かも知れないが、念の為、付記しておく事とした。
「あたしをしらないキミへ」
監督・脚本:大森美香
出演:村川絵梨(文子)、弓削智久(増村保志)、真木よう子(片瀬理乃)
オクテな文子(村川絵梨)と、全身タトゥーで近寄りがたい増村クン(弓削智久)。
文子は、ひとりきりになりたい時、こっそり入る立入禁止の学校の屋上で、卒業した先輩の片瀬さん(真木よう子)あてのラブ・レターを拾う。それはあの怖い増村クンが書いたものだった・・・・。
外見上は恐ろしい男が、実は繊細な心を持っており、おとなしいヒロインと結ばれる、と言う少女マンガ的には定番中の定番、多くの女性が夢見る物語なのだが、手紙のやり取りの方法が秀逸であり、かつラストのシークエンスの手紙が程よいカタルシスを観客に味合せている。理想的な物語である。
「雪に咲く花」
監督:須賀大観
脚本:佐藤善木
出演:小松彩夏(宮下千雪)、田中圭(神代陽司)、田中要次
「あたし、たぶん消えちゃうけど、覚えていて。・・・あなたにだけは、わずかな断片だけでいいから、覚えていてほしい」。差出人の名前が無い手紙を受け取った陽司(田中圭)は、もしかして同級生の宮下千雪(小松彩夏)からの手紙ではないかと考え・・・・。
500円で援助交際をする、という噂がある美少女の最後の冬の日々、薄幸な美少女と朴訥な少年の心の交流を見事に描いている。物語としては小松彩夏演じる可憐で儚げな少女がおじさん相手に援助交際をしているとなると、本作のコンセプトにそぐわないダークで陰惨な印象を観客に与えかねないのだが、脚本は微妙なバランスを保ち、土俵際で踏みとどまり、物語はラストの感動的な手紙に繋がっていく。少年期からの脱却(成長)とほのかで儚げな希望を感じさせてくれる秀作である。
おそらく、4篇のエピソードの中では、一番印象的なエピソードになっているのではないだろうか。
春になると消えてしまう、そんな「千雪」という役名が最高なのだ。その千雪を演じた小松彩夏が素晴らしい。
「イカルスの恋人たち」
監督:永田琴恵
脚本:松田裕子
出演:玉山鉄二(康一)、塚本高史(健二)、當山奈央(玉音)
堅物の兄・康一(玉山鉄二)とまったくそりが合わなかった弟・健二(塚本高史)。康一が死んだ後、健二は兄が残した手紙とビデオテープを遺品の中から見つける。
「恋人に渡してくれ」と書かれた手紙に書かれた場所を訪ねてみると、そこには中国人・玉音(ユーイン/當山奈央)が・・・・。ずっと堅物だと思っていた兄の、まったく知らなかった別の顔を健二は知らされたるが・・・・。
突然亡くなった兄貴が恋人に残したビデオレターを弟が渡しに行く、と言う設定だけで涙腺破壊兵器の資格は十分である。ついでに、兄弟の不和というスパイスが振りまかれているのだから、さあ大変。勿論想像通りの作品だと想うが、それは逆説的には普遍的で誰にでも受け入れられる物語だと言える訳だ。勿論感動です。
當山奈央が好演。
「便せん日和」
監督:高成麻畝子
脚本:岡本貴也
出演:中越典子(永野美子)、大倉孝二(鈴森一成)、森ほさち(杉原万里子)
レターセットショップの主任(大倉孝二)を想い、何通も何通も書いたラブレターを一通も投函できない店員・美子(中越典子)。
一方、鈴森(大倉孝二)は、毎週金曜日の同じ時間に、同じ商品を必ず買いに来る女性客(森ほさち)に恋心を抱いていた。
美子は自分の主任への気持ちを隠し、女性客にアタックするよう鈴森にけしかけるが・・・・。
前述のように画質はガタガタであるが、映画全体を引き締め、繋ぐブリッジ・ストーリーとして機能するエピソードである。
物語としては若干弱いかなと思うのだが、深刻にならず過度なユーモアとペーソスを散りばめながら進む物語は、せつない乙女心とせつない男心の両方を見事に描いている。
両性にアピールする素晴らしい脚本を持ったエピソードである
中越典子、大倉孝二が好演している。
(あらすじはオフィシャル・サイトよりほぼ引用)
本作「恋文日和」のコンセプトは、現代のIT社会において、最早旧時代の情報伝達方法である「手紙」の復権と、回顧を目的としているようで、「手紙」ならではの4篇のエピソードが織りなす瑞々しくも鮮烈なイメージは、観客の心情を十分揺り動かす力を持っている。
結局、本作「恋文日和」は、「手紙」など書いた事も、もらった事もないような世代の人達に是非見ていただきたい作品だと思う一方、「手紙」を普通にやり取りしていた世代の人々にも、ああ昔はこんなだったな、と昔を懐かしませる作品にも仕上がっている。
そして本作は、世の中が便利になればなるほど、人間という奴は確実にダメになっていっている。そんな事を再確認させてくれる良質の作品だとも言えるのだ。
この時代、携帯やメールを使わない人生も楽しいのかも知れないのだ。
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