MTB(マウンテンバイク)の企画で「さがみ湖ピクニックランド」に行って来た。

関東圏でMTBの常設コースを設置している場所はそれほど多くないが、この「さがみ湖ピクニックランド」の常設MTBコースは規模も比較的大きく、上級者でも結構楽しめる良いコースである。
また、公園内にあるコースということもあり、周回距離が短く、また分岐も多く、レベルに合わせたコース選択が可能なコースとなっている。
今回の企画には初心者が多数いた関係で、長距離のツーリングを行なうわけにもいかず、「さがみ湖ピクニックランド」を利用することにしたのだ。

しかし、久しぶりに行ってみると、以前と比べて料金体系が変更になり、従来は徴収されていなかった「入園料」が徴収されるようになってしまった。

その気になる料金体系は、
1,400円 入園料(一人あたり)
1,000円 駐車場(一台あたり)
1,000円 MTBコース使用料(一人あたり)
となり、コースの割に高額な遊びとなってしまっている。

おそらく、この料金だと今後の利用頻度は低くなるのではないだろうか。

「ぼんち」

2004年2月10日 映画
池袋「新文芸坐」の「山崎豊子全映画」で、「白い巨塔」と「ぼんち」を観た。

で「ぼんち」であるが、いきなり余談だが、1970〜80年代に一世を風靡した「ザ・ぼんち」の「ぼんち」は、映画「ぼんち」と同じ意味だったのかと思ったりしています。

「ぼんち」とは、若だんな。坊ちゃん。ぼんぼん等の意で、主に関西地方で用いる語だそうである。
が、しかし本来の意味では「ぼんち」の意味は表面上の「ぼんぼん」ではなく、人一倍放蕩はするが、結局はその放蕩がビジネス上の帳尻を合わせる「ぼんぼん」なのだ。

物語は、四代続いた船場の足袋問屋河内屋の一人息子喜久治(市川雷蔵)の放蕩人生を老いた喜久治が振り返る、という形態を持っている。
その喜久治の放蕩人生を彩るのは、若尾文子(ぽん太)、中村玉緒(弘子)、草笛光子(幾子)、越路吹雪(比佐子)、山田五十鈴(勢以)という豪華女優陣。

スタッフは撮影に宮川一夫、音楽は芥川也寸志、そして監督は世界の市川崑である。

市川雷蔵と言えばなんと言っても時代劇俳優としての出演作が多く、またその時代劇俳優として評価されているのだが、本作「ぼんち」の喜久治役はそういった役柄ではなく、船場の足袋問屋河内屋の一人息子訳が新境地というか、意表をついているというか、良い役を楽しげに演じている。
こういった時代劇というコスチューム・プレイや眠狂四郎のような極端なキャラクターではなく、普通の役の市川雷蔵に興味津々津々浦々なのだ。

また、婿養子続きの河内屋の最後の婿養子である喜久治の父を演じる船越英二も良い仕事をしている。

女優陣は皆魅力的で素晴らしい。
後年の市川崑の金田一耕介シリーズの女優の使い方は、かつてのこんな作品の影響なのかと思ってしまう。
「ぼんち」の翌年の「黒い十人の女」でもそうですが、市川崑の映画は女優陣が凄いです。正にオールスター・キャストなのです。

市川崑の秀作で、市川雷蔵の意欲作でもある本作。機会があれば是非観ていただきたい作品である。

「白い巨塔」

2004年2月9日 映画
池袋「新文芸坐」による、「山崎豊子全集」の刊行を記念した『【シリーズ 作家と作品 Vol.1】山崎豊子全映画』という山崎豊子の原作小説の映画化作品全9作品を連続上映する企画で、「白い巨塔」と「ぼんち」を観た。

現在フジテレビ系で絶賛放映中の、『フジテレビ開局45周年記念ドラマ「白い巨塔」』の影響で、原作(新潮文庫版全5冊)を読み、噂に聞く田宮二郎主演の劇場版「白い巨塔」を観る事ができたのである。

しかし、『フジテレビ開局45周年記念ドラマ「白い巨塔」』の影響と言っても、わたしは実際2〜3回しか、唐沢寿明主演「白い巨塔」の放映を見ていない。

その乏しい経験からでも、唐沢寿明主演「白い巨塔」は、従来のテレビドラマの枠を超えた高水準のテレビドラマだと思ってはいるのだが、今回劇場版「白い巨塔」を観て感じたのは、唐沢寿明主演「白い巨塔」は、器は立派だが内容はチープだ、ということである。
派手な演出や、極端なキャラクターに惑わされてしまうが、本来ドラマに必要な「何か」がかけているような気がするのだ。

しかし、この劇場版「白い巨塔」より一般的に評価が高い、田宮二郎版テレビドラマ「白い巨塔」は、どれほど凄いのであろうか。機会があれば是非見たいものだ、といわざるを得ない。
因みに現在、田宮二郎版テレビドラマ「白い巨塔」のDVD−BOXは結構売れているらしい。

さて、劇場版「白い巨塔」であるが、当時「白い巨塔」として出版されていたのは、現在新潮文庫から出版されている第一巻〜第三巻部分で、「続・白い巨塔」として出版された部分(同新潮文庫第四巻〜第五巻)はまだ出版されておらず、この劇場版は新潮文庫で言うと第一巻〜第三巻部分の映画化、ということになる。

物語の骨子は、浪速大学第一外科教授選と誤診裁判第一審であり、ラストがそうなっていることもあり、正に田宮二郎(財前五郎)を主役としたピカレスク・ロマンの様相を呈している。
これは1970〜80年代に角川映画として製作された大藪春彦原作作品、松田優作主演作品のピカレスク・ロマンに通じるものを感じるのだ。

この劇場版「白い巨塔」の脚本の優れている点は、浪速大学第一外科教授選と誤診裁判第一審を同時進行させている点であろう。

これは劇場版の尺の問題もあるのだろうが、原作やテレビ・ドラマでは、教授選が一段落したところで、患者が死亡し誤診裁判へと続くのであるが、劇場版では教授選と誤診裁判を同時進行させることにより、物語の勢いを損なわずに、一気にエンディングまで持っていくパワーを感じる。

仮に、教授選と誤診裁判を映画の前半と後半に配置した場合、ラストまで緊張感が保てるかどうか、という不安が否めない。
今でこそ2時間超の尺を持つ映画は山ほどあるが、当時としては、観客に緊張感を持続させたまま、2時間30分という尺をこなすのは、大変な事だったのではないだろうか。
それを考えると、教授選と誤診裁判とが同時進行する脚本には、ある種敬服の念を持ってしまうのだ。

キャストとしては、田宮二郎の財前五郎は言うに及ばないが、脇を固める役者の鬼気迫る演技合戦は映画ファン冥利に尽きるのだ。

例えば石坂浩二が演じている東第一外科教授はなんと「水戸黄門」の東野英治郎があくの強い憎々しげな東教授を演じているし、江口洋介演じる里見第一内科助教授は、田村高廣が演じている、という具合に大御所役者が脇を固めているのだ。

東野英治郎は黒澤明の「用心棒」でも大きな役を演じているが、「水戸黄門」というより「用心棒」系の印象を受ける。
テレビドラマでは石坂浩二が演じる神経質で押しが弱いキャラクターであるが、東野英治郎演じる東第一外科教授は、教授選において最早黒幕というかフィクサーというか、恐ろしいほどに暗躍し、石坂浩二とは全く違った東第一外科教授を見せてくれる。

また、田村高廣演じる里見第一内科助教授はテレビドラマと比較すると役柄は小さいが、人々が実践できないが理想的名人物と考えるであろう人物を正面から演じている。現代人からすると時代錯誤的な役柄かもしれないが、本来人間が持っている正直で真面目で高邁で孤高な部分のエッセンスたる人物なのである。

更に特筆すべき印象を与えるのは、なんと言っても財前又一であろう。不勉強なもので、劇場版財前又一の役者の名前はわからないが、テレビドラマでは西田敏行がオーバーアクト気味で演じているのだが、劇場版では西田敏行の演技がかすむほどの強烈な印象を与えている。
※ 後日、財前又一を演じたのは、石山健二郎だと判明。

女優陣としては、財前五郎の愛人役の小川真由美は、テレビドラマの黒木瞳との格の違いを見せつけるし、東佐枝子役の藤村志保も矢田亜希子とは雲泥の差である。

思うに、テレビドラマ版「白い巨塔」は一部の俳優を除いて、俳優ではなくタレントであるのが問題なのではないだろうか。

まあ、わたしの言いたいのは、機会があったら是非劇場版「白い巨塔」を観てくれ、ということである。
今シーズンのべ8日目のスキーは「ハンターマウンテン塩原スキー場」だった。

もともとの計画では関越自動車道方面のスキー場に行く予定だったのだが、7日未明、関越自動車道において11重衝突の自動車事故があり、渋滞が20キロ程伸びていた為、川越で関越自動車道を降り、急遽東北自動車道方面へ計画を変更、東北自動車道方面の近場で、ある程度の規模を持つ「ハンターマウンテン塩原スキー場」へ行く事になったのだ。
※ 8日の報道では4台の玉突き衝突で、そのうち1台が爆発炎上した、ということであるが、7日当日のラジオでは、11台の自動車が玉突き衝突した、という報道がなされていた。

で、「ハンターマウンテン塩原スキー場」であるが、まず客をさばくシステムがあまり良くないスキー場だった。

肝心のリフト兼売り場の案内が無いだけではなく、一般のスキー場のようにリフト乗り場近辺にリフト券売り場を設置するのではなく、屋内の一箇所に一極集中型のリフト券売り場を設置していた。
おそらく一見の客はリフト券売り場を発見できないのではないだろうか。
また駐車場からゲレンデへのアクセスの案内も無いため、どこに行けば良いのかわからない状況だったし、第5〜第8駐車場等からのゲレンデへのアクセスも良くない印象を受けた。

もし、スキー場において非常識的、非一般的なシステムを持っているならば、客にそれを案内し、告知する努力と方策が必要ではないかと考えるのだ。

また、ゲレンデの大半が初心者向けで、これもいまいちの感想を持った。
初心者のボーダー等にとっては、大変良いスキー場なのかも知れないが、周辺のスキー場の中では大規模なスキー場である以上、ある程度のレベル以上の客も満足できるようなゲレンデのレイアウトを期待するのだ。

結構厳しい事を言っている訳だが、わたし個人としてはスキーを楽しんだ事は否めない事実なのだ。
池袋「新文芸坐」の企画上映「魅惑のシネマクラシックス Vol.4」でスタンリー・キューブリック監督作品「現金に体を張れ」と同じく「2001年宇宙の旅<新世紀特別版>」を観た。

今回の企画上映「魅惑のシネマクラシックス Vol.4」のトリをつとめる作品である。

「2001年宇宙の旅」については、現在東京では年に2回ほどリバイバル上映があり、また個人的にはキューブリック・ファンなので、劇場で50回ほどは観ていると思うので、いまさら語るべき言葉は無い。

※ フィルム自体は前奏、休憩、後奏付きの所謂完全版だが、初期の<新世紀特別版>についていた冒頭のG指定の表記は無かった。
また、休憩時にはフィルムを物理的に止め、本当に休憩を入れていた。

しかし「現金に体を張れ」については状況が違うのだ。
実際、この映画のリバイバル上映はほとんど行われないため、今回の企画のおかげでわたしは劇場で本作「現金に体を張れ」を初めて観ることが出来たのである。
まあ、そういった意味で、感慨も一入なのである。

内容は、タランティーノの「レザボアドッグス」や「パルプ・フィクション」、または「メメント」、「アレックス」等多くの時系列を再構築した構成の作品等に多大なる影響を与え続けるクライム・サスペンスの傑作である。

物語は、刑務所から出所したばかりの主人公ジョニーは、競馬場の売上金強奪を企み、数名の仲間を集めはじめる。
周到な計画をたて、いよいよ売上金強奪決行の時が来、ジョニーの計画が成功したと思った瞬間、思わぬ展開がジョニーたちを待っていた・・・・。

そして構成は、仲間がアクションを起こした瞬間に、他の仲間の行動を時間を巻き戻し描写する、という構成を持っている。
これはタランティーノの「ジャッキー・ブラウン」と比較すると興味深いのだね。

映画としては、やはり脚本が良く出来ているし、撮影も良い、画面構成も良いし、俳優も良いし、ラストの幕切れも拍手喝采である。
ラストのふたりが、美味しいところを持って行ってしまうのも良い。

しかし何度も見直している内に気になってくるのは、とある仲間の悪妻の扱いである。
あまりにも周到な計画だと言うのに、はたしてジョニーがああいった凡ミスを犯すのかな、という点が物語のリアリティを少しだけ払拭してしまうような印象を受けるのだ。
あまりにも出来すぎている脚本のアラを探してしまうわたしなのである。

しかし、悪妻のシークエンスには、本当にイライラさせられてしまう。
つまり逆に言うと、悪妻のシークエンスは大成功だ、と言うことでもある。
2004年1月31日をもって、「銀座シネ・ラ・セット」が有楽町地区再開発計画に伴い閉館した。

「銀座シネ・ラ・セット」は配給会社シネカノンの(おそらく)直営の劇場で、内外の「良い映画」を多く上映していた。
ところで、シネカノンはご存知のように、新旧の意欲作・傑作・カルトムービーの配給に力を入れる孤高の配給会社である。

「銀座シネ・ラ・セット」劇場自体は定員159名と小さいながらに、邦画・洋画問わず秀作や意欲作を中心に上映し、また様々なカルト系のレイト・ショー等を行なうスピリッツ溢れる劇場だった。

特に「さようなら 銀座シネ・ラ・セット」と銘打った企画上映のラインナップは、燃え尽きる蝋燭の最後の輝き的怒涛の勢いを感じた。

そのラインナップを紹介すると、
「シュリ」
「アメリ」
「白い船」
「ウォレスとグルミット」
「ビリケン」
「太陽の誘い」
「ベルリン・天使の詩」
「風花」
「遠雷」
「マイ・スウィート・シェフィールド」
「逆噴射家族」
「すけべてんこもり/痴漢電車・下着検札」
「ボウリング・フォー・コロンバイン」
「未来世紀ブラジル」
「マイ・ネーム・イズ・ジョー」
「地雷を踏んだらサヨウナラ」
「ロッキー・ホラー・ショー」
「さよなら、クロ」
「ブラス!」
いかがであろうか。

「銀座シネ・ラ・セット」の閉館は、有楽町地区再開発計画に伴うもので、一時的な閉館と言うことらしい。早期の復活を期待したい。

北海道旅行

2004年2月4日 日常
2004年2月2日〜4日、2泊3日で北海道へ行ってきた。

札幌市内は翌2月5日からはじまる「第55回さっぽろ雪まつり」の準備で大童である。

イラクへの自衛隊派遣問題を受け、自衛隊の雪まつりへの協力の拒否の可能性もあり、またテロへの厳戒態勢をしく、「第55回さっぽろ雪まつり」である。

「雪まつり」のメイン会場となる「大通公園」では既に雪像が出来上がり、警備員の「現在入場禁止です。」というアナウンスが流れていた。

一方「すすきの」では、氷像の準備で大童である。
雪像より賞味期間(?)が短い氷像は、前日の2月4日の深夜作業が重要なのである。

旅行自体は宴会に継ぐ宴会で、摂取カロリーオーバーなのである。
話題の「ジョゼと虎と魚たち」を観た。

雀荘でアルバイトをする大学生の恒夫は、乳母車を押す謎の老婆の噂を耳にする。その乳母車の中身を知る者は誰もいないというのだ。
そんなある朝、恒夫は雀荘の店長に頼まれ、犬の散歩に出掛けると、坂道を転がり落ちてくる例の乳母車と遭遇する。
そして、恒夫が乳母車の中を覗くと、そこには包丁を持った少女ジョゼがいた。
脚が不自由で歩けないジョゼは、老婆に乳母車を押してもらい散歩をしていたのだ。
ジョゼと老婆に朝食を振舞われた恒夫は、彼女の不思議な魅力に次第に惹かれていく・・・・。

物語は、ジョゼという存在に感化され、成長する二人の男女(ここでは恒夫と香苗)を描いている。

勿論異論はあると思うが、ジョゼという存在は、この物語では言わば触媒として作用し、ジョゼにとっては、物語の前後で何ら変わったことは無い、と言えるのだ。
ジョゼの身辺に起きた幾つかの出来事は、ジョゼに変化をもたらす、というよりは、恒夫と香苗の成長とでも言うべき変化の要因となっているのだ。
そしてジョゼは普遍的で超然的な達観した存在として描かれている。

本作の監督は犬童一心。
学生時代から自主制作映画を撮り、ぴあフィルムフェスティバルに入選、その後CM制作、脚本家を経て商業映画の監督となっている、言わば自主制作映画あがりの王道を行っている監督であり、自主制作映画を志す若者の現実的なひとつの目標と言える監督である。

出演は恒夫に妻夫木聡、ジョゼに池脇千鶴。
香苗には上野樹里、ジョゼの祖母に新屋英子。

しかしなんと言っても池脇千鶴である。
勿論弱い部分は見せるものの普遍的、超然的で達観した存在の強烈な印象を観客に与えている。
特に印象的なのは「帰れって言われて、帰るようなヤツは、はよ帰れ!」のシークエンスと、ラストの電動車椅子からエンディングにかけては大変素晴らしい。
このラストが全てなのだろう。
何があっても変わらないジョゼが素晴らしい。

見るべきところが多い作品です。
機会がありましたら、是非観て見てください。
池袋「新文芸坐」の企画上映「魅惑のシネマクラシックス Vol.4」で「十二人の怒れる男」と「情婦」を観た。

「十二人の怒れる男」は言わずと知れた法廷モノの傑作で、最早法廷モノの代名詞とも言われており、その優れた脚本は数々の脚本教室の教材ともなっているのだ。

脚本は素晴らしいし、舞台を限定した本作の中で、観客を飽きさせない変化に富んだ画面構成も良い、勿論演技合戦も楽しい。

しかし、苦言を言うならば、本作の前提条件である「弁護士がヘボである」という点が釈然としないのも事実だろう。

しかしながら、映画史に燦然と輝く法廷モノの傑作で、後年「12人の優しい日本人」(東京サンシャインボーイズの舞台劇と中原俊監督作品)という作品もあるので、比較して見ると面白いと思います。

「情婦」は、アガサ・クリスティの傑作戯曲の映画化作品。
これも法廷モノの傑作で、ビリー・ワイルダーの傑作。

この映画のラストは、ある意味映画史に残るラストなのかも知れないのだ。

両作とも古い映画(1957年)ですが、どちらもオススメ作品なので機会があれば是非観て下さい。
さて、早速ですが2004年の目標の中間発表その1です。

とりあえず目標の再確認を・・・・

目標第一弾 「映画を300本観るぞ!!」(DVD等含む)
目標第二弾 「本を100冊読むぞ!!」

1.映画

#001 「東京ゴッドファーザーズ」テアトル池袋 2004/01/07
#002 「インファナル・アフェア」新文芸坐 2004/01/14
#003 「HERO」新文芸坐 2004/01/14
#004 「タイムライン」日劇1 2004/01/23

2.DVD、CATV等

#001 「機動戦士ガンダムII 哀戦士編」CATV 2004/01/01
#002 「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」CATV 2004/01/01
#003 「マクロスプラス」HDD 2004/01/04
#004 「ドリームキャッチャー」DVD 2004/01/05
#005 「世にも奇妙な物語 映画の特別編<特別版>」CATV 2004/01/16
#006 「Dolls」CATV 2004/01/18
#007 「デルス・ウザーラ」CATV 2004/01/19
#008 「バッファロー’66」DVD 2004/01/20
#009 「ガンヘッド」CATV 2004/01/21
#010 「私は二歳」CATV 2004/01/25
#011 「ファーゴ」DVD 2004/01/26
#012 「実録ブルース・リー/ドラゴンと呼ばれた男」CATV 2004/01/27
#013 「トロン」CATV 2004/01/28
#014 「無法松の一生」CATV 2004/01/29

3.読書

#001 「白い巨塔(四)」山崎豊子著 新潮文庫 2004/01/08
#002 「白い巨塔(五)」山崎豊子著 新潮文庫 2004/01/13
#003 「光と影の誘惑」貫井徳郎著 集英社文庫 2004/01/19
#004 「職業欄はエスパー」森達也著 角川文庫 2004/01/24
#005 「四日間の奇跡」浅倉卓弥著 宝島社文庫 2004/01/27

映画は、劇場4本、DVD等14本で、計18本。
このままのペースで、年間216本(劇場48本)です。

読書は5冊で、このままのペースでは、年間60冊です。

1月はスキー三昧で時間がなかなか取れないので、「2004年の目標」的には正にスロー・スタートです。
スロー・スタートとは言うものの、実際は先が思いやられる状況で、不安で一杯です。

まあ、先は長いですが頑張ります。
1月31日、友人の結婚式があった。
前々からビデオ撮影と編集を頼まれていたので当日は撮影を行なった。
とは言っても、業者的な撮影ではなく、パーティに参加しつつ、つまり飲み食いしながらの撮影である。

新郎新婦サイドからは同時録音の要望は無く、どちらかというと撮影した映像にCD音源等の音楽をかぶせ、所謂プロモーション・ビデオ風にコンパクトにまとめて欲しい旨の要望があった。

従って、カメラ以外の別メディアでの同時録音は行なわず、音源の録音はカメラのマイクのみとした。

撮影するイベントは、
1.チャペルでの挙式
2.披露宴(二次会〜スイートでのパーティ)

で、飲み食いしながらの撮影なので、挙式〜披露宴まではminiDVカメラを5台用意し、固定カメラ2台で要所要所を押さえつつ、3名の撮影班が遊撃的に撮影を行なうことにした。

夕方から深夜まで5時間ほどの撮影だったが、miniDVテープを結果的に15本(15時間)程回した。

テープ自体はとりあえず新郎新婦サイドに一旦渡し、後日、全ての素材を再び預かり、編集することになる。
まあ1時間程度の作品を作ることになると思うのだが、正に地獄の編集作業が待っているのである。

構成や企画、編集のコンセプト案はいろいろ面白い発想が浮かんでは消えている。
良いものが出来ると良いなと思っているわたしである。

結婚式ビデオ編集 その2 
http://diarynote.jp/d/29346/20040227.html

結婚式ビデオ編集 その1
http://diary.note.ne.jp/d/29346/20040223.html

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「タイムライン」

2004年1月24日
マイケル・クライトンの作品を比較的多数(おそらく20冊程)読んでおり、本作「タイムライン」翻訳時はクライトンがタイム・トラベルにどんな理論付けをするのかが楽しみであり、映画化決定についても大きな期待をしていたわたしである。

フランス南西部の修道院遺跡の発掘現場で、考古学者ジョンストン教授をリーダーとする発掘調査が進められていた。
ある日、ジョンストン教授が発掘調査のスポンサー企業ITCを訪ねていた際、教授の教え子たちは14世紀の地層から現代の製品と思われるメガネのレンズとジョンストン教授の筆跡で“Help Me”と書かれた不可解な古文書を発見する。
教授の安否を気遣う息子クリスと発掘調査チームは、ITCの社長から、教授はITCが極秘に開発した時空間転送装置で14世紀フランスに転送され、現地で消息を絶ってしまったという事実を告げられた。
つまり、発掘された古文書とメガネのレンズはジョンストン教授から教え子である学生たちへのSOSだったのである。
そこでクリスは、発掘調査チームとITCチームとともに教授の行方を追って中世フランスへと向かうのだった・・・・。

第一印象としては、展開が単調で退屈な映画だ、と言わざるを得ない。

本作「タイムライン」のもともとのプロットや着想は素晴らしいのだが、脚本に魅力が感じられない。

勿論2時間という枠で「タイムライン」を料理しなければならない事は理解しているが、脚本の骨子が弱いのだ。

教授を救出するのは良いのだが、クリスや発掘チームが14世紀フランスへ赴くのであるが、彼らが行かなければならない理由が本編内で、いちいち述べられるのであるが、全くと言って良い程説得力が無い。
彼らが行く位だったら、特殊部隊を中心としたメンバー構成にすべき印象しか与えられない脚本なのである。

クリスや発掘チームが14世紀に行かなければ物語は始まらない訳であるから、それなりの説得力のある理由と、彼らの一層の葛藤を詳細に描くべきだと思うのだ。

例えば、フランス語が堪能なばかりに、殺される為に14世紀に行ったフランソワはこんな脚本では全く浮かばれない。
なにしろフランソワが活躍しなくとも、発掘チームは現地の人々とコミュニケーションできているのだから。

また、尺の問題だと思うが、発掘チームとITCチームのキャラクター背景が乏しく、ドラマに重みが無い。

発掘チームの特技をもうすこし伏線として入れるべきであったと思う。
例えば、マレクが14世紀の武器を扱えるのは伏線で明らかであるが、ケイトがフリー・クライミングを趣味にしているのが描かれていないし、フランソワがフランス語に堪能だ、というのもよくわからないし、発掘チームの専門分野もよくわからない感じである。

また、海兵隊あがりのITCチームの一人も、ハンド・グレネードを現代に持ち込む事だけを目的としてキャラクターが描かれているのも釈然としない。

勿論、こういった娯楽作品に緻密な脚本を求めるのは酷かも知れないが、タイム・トラベルものについては、過去と現在のシンクロニシティが重要な構成要素となるわけであるから、ある程度は細かい点にも心を配って欲しいのだ。

あとは、主人公たちを苦境に立たせるために考えられたと思われる、様々な仕掛けがリアリティを払拭し、逆に興ざめな印象を与る。
例えば制限時間付のマーカーしかり、ITCチームが持ち込んだハンドグレネードしかりなのだ。これらの存在は脚本の論理的な齟齬になっているのだ。

タイム・パラドックス的プロットは良かった。
"It’s me!"というセリフが二度登場するが、二度とも笑えるシークエンスに仕上がっている。

結構厳しい事を言っているが、本作は少なくとも娯楽映画の中では水準的な作品だと言えるし、血沸き肉踊る冒険映画を期待するむきにはオススメの楽しい映画に仕上がっている。

残念ながら、客を呼べるスターがいない、ノン・スター・ムービーであるのは仕方が無いのだがね。

余談だが、音楽について一言。
本作のメイン・タイトルは「ロード・オブ・ザ・リング」三部作のエルフのテーマがジャカジャカ鳴らされているように聞こえるのはわたしだけであろうか。
2004/01/17

今シーズンのべ7日目のスキーは「富士見パノラマリゾート」でした。

この日は全国的に雪模様。
関東圏もご多分に漏れず平野部でも雪が振りました。

中央自動車道も大雪の為、チェーン規制が行われ、17日1日だけで10件ほどの自動車事故(事後処理)を目撃しました。
恐ろしい事です。

さて、スキーの方ですが、ゲレンデ上は大雪の為、新雪フリークなわたし達にとっては、大変楽しいものでした。

個人的には、先日お話したように板を90センチのものから、118センチのものに変更した関係で、どんどん積もる新雪やパウダースノー
の吹き溜まりもものともせず、縦横無尽にすべる事が出来ました。

スキー後は、温泉に入り、夕食は東京に戻り、最近はまっている「ラーメン二郎」に行きました。
わたしの見逃した映画の最後の砦的劇場である池袋「新文芸坐」で、「インファナル・アフェア」と「HERO/英雄」の二本立てを観ました。

「HERO/英雄」は既に観ていたのですが、「インファナル・アフェア」は11月1日の映画の日に観る予定だったのですが、時間の関係で他の映画を観てしまったため見逃していたものです。

「インファナル・アフェア」は各方面で高い評価を受けている作品であり、またブラッド・ピットを主役に据えてハリウッドでリメイク(史上最高額のリメイク権)が決定している作品としても有名な映画です。

一言で言うならば、「大変うらやましい映画」でした。
残念な部分が無いわけではありませんが、脚本、俳優、撮影、編集、音楽等どれをとっても勢いがあり、映画に対する真摯な態度が感じられます。
日本映画界の現状や、ハリウッドの娯楽映画の状況を考えると、こういった素晴らしいオリジナル映画を作ることが出来る香港に羨望を禁じえません。

物語は、マフィア組員のラウは、香港警察へ入隊し、内部情報を流す潜入員となる。同じ頃、警察学校に通うヤンは、マフィアの潜入捜査官となるため、警察学校を去る。
10年後、ラウは内部調査課長に昇進し、恋人との結婚を控えていた。
一方ヤンは、長年の潜入捜査に疲れきっている。ある夜、大きな麻薬取引の際、組織と警察は互いに情報漏れに気付き、警察はラウに、組織はヤンに、それぞれ内通者を探すよう命じる。やがて2人の距離
は、少しづつ縮まっていく・・・・。

それでは、最も残念な点を紹介しておくと・・・・、

1時間42分と本編の時間が短いためか、前半部分と比較して後半部分が駆け足で、急転直下的結末である。

これにより、本来描かれるべき、二人の心の動きや葛藤が比較的単純なものになってしまっている。
ともすれば、二人の主人公はケビン・コスナーの「追いつめられて」のように、「保身」のみをはかっているような印象を受ける。

例えば、ヤンとサムとの心温まるエピソードや、ラウとウォン警視との心温まるエピソードがひとつずつでもあれば、彼らの心の葛藤が深みを増し、脚本の深みが増すのではないか、と思いました。

二人の行方がどっちに転ぶかわからない状況をもう少し増やして欲しかったのである。

とは言うものの、本作は大変素晴らしい映画である。繰り返しになるが、「羨望の映画」なのである。

俳優は4人の男たちが素晴らしい。
4人はそれぞれ素晴らしいのだが、サム・ホンやアンソニー・ウォンと言った熟年層の男たちが格好良いのだ。
サム・ホンは「ジェネックス・コップ」のコメディ・リリーフ的印象が強かったのだが、冒頭のシークエンスから、悪人を憎々しげに演じている。
アンソニー・ウォンは「風雲 ストームライダース」の後久しぶりにみたが、黒社会的な警視といういい役である。

主人公2人は役柄的にトニー・レオンに共感的人気が集まっているが、アンディ・ラウも自らの厳しい状況を見事に演じている。特にアンディ・ラウには婚約者との兼ね合いもあり、より厳しい状況だったのではないかと思うのだ。

一方トニー・レオンについては、かつての恋人とのシークエンスが憂いがあってよろしいのだ。

脚本は一進一退が繰り返され、ともすればやりすぎの感が否定できないが、これは仕方が無いことだと思うし、そこが面白い点でもあるのは否定できない事実なのだ。

余談ですが、原題の「無間道」は無間地獄を指し、これはスティーヴン・キングの「グリーン・マイル」そのものにもにも通じているのだ。

☆☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

「インファナル・アフェア 無間序曲」
http://diarynote.jp/d/29346/20041007.html
「インファナル・アフェアIII/終極無間」
http://diarynote.jp/d/29346/20050407.html

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今シーズンのべ4〜6日目のスキーは、

のべ4日目 アルツ磐梯スキー場 2004/01/10
のべ5日目 猪苗代スキー場 2004/01/11
のべ6日目 猪苗代スキー場 2004/01/12

でした。


わたしは、先日まで90センチの板を使用していたのですが、100センチ以上で出来るだけ短い板が欲しかったのです。
で、結果として今回118センチの板を購入し、運用を開始しました。

118センチと言えば、一般のスキーと比較して全然短いのですが、90センチの板と比較すると、一気に28センチも長くなったことによる若干の不安がありましたが、何度か滑るうちに問題なく滑る事が出来るようになりました。

また、スキーが楽しくなってしまいました。
観たのは、昨年末池袋「新文芸坐」の「シネマ・カーテンコール2003」である。

1923年、ロンドン。作家ヴァージニア・ウルフは病気療養のためこの地に移り住み、「ダロウェイ夫人」を執筆していた。午後にはティー・パーティが控えている・・・・。
1951年、ロサンジェルス。「ダロウェイ夫人」を愛読する妊娠中の主婦ローラ・ブラウンは、夫の望む理想の妻を演じることに疲れながらも、夫の誕生パーティを開くためケーキを作り始める・・・・。
2001年、ニューヨーク。「ダロウェイ夫人」の主人公と同じ名前の編集者クラリッサ・ヴォーンは、親しい友人でエイズ患者の作家リチャードが栄えある賞を受賞したことを祝うパーティの準備に取りかかっていた・・・・。

一言で言うと傑作である。

まず、脚本が凄い。
というか、脚本が持つミス・デレクションの構成が凄いのだ。
具体的にはネタバレになるので言えないが、ラスト部分のウルトラC的着地(ミッシング・リンクが繋がった感じ)のようなエピローグ的結末のつけ方は、もう拍手喝采モノなのである。

この脚本により、この映画は○の物語だと思っていたが、実は○の物語だったのだ。という衝撃の事実が体験できるのだ。

実際は、途中のニコール・キッドマン演じるヴァージニア・ウルフの「作家を殺すことにした」の台詞から派生するシークエンスについて、シンクロニシティ部分の不一致に疑問は湧いたのだが、観客は見事にミス・デレクションされているのだ。


俳優は、エド・ハリスとジョン・C・ライリーという曲者男性陣は居るものの、基本的にはニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープ等女性陣の映画である。

エド・ハリスは良かったし、ジョン・C・ライリーも良かった。最近出ずっぱりのライリーだが、「シカゴ」のセロファン・マンにも似た印象を受けた。
エド・ハリスはトム・ハンクスの「フィラデルフィア」と比較すると面白いかもしれない。

わたし的にはメリル・ストリープが良かったのだ。
どちらかと言うと好きな女優では無いのだが、とても良い印象を受けたのだ。彼女の映画の中で一番だと思いますね。素晴らしい生き様を体現しているのだ。

ジュリアン・ムーアは普通の女性を普通に演じているのが良かった。あたりまえをあたりまえに見せるところが良い。「ファム・ファタール」のレベッカ・ローミン=ステイモスや「シカゴ」のレニー・ゼルウィガーっぽい印象も受けた。

ニコール・キッドマンはエキセントリックだった。破滅的、刹那的な作家人生を感じる。「アイリス」と比較すると面白いかも知れない。

監督は「リトル・ダンサー」のスティーヴン・ダルドリー。
晩成型の作家ではあるが、先が楽しみな作家である。

ところで、この映画の構成は前提として、1923年の小説執筆が、1951年、2001年に影響を与える構成を持っている。
その状況の中、「作家を殺すことにした」のシークエンスに若干の疑問を感じるのだ。

この辺の議論はスティーヴン・キングの「骨の袋」が詳しいが、曰く物語を面白くするために、「いくらフイクションといえども、観客や読者に感情移入をさせたキャクターを簡単に死なせるのはどうか」、という議論がある。

その観点から言うと、ニコール・キッドマン演じるヴァージニア・ウルフは自らの作品「ダロウェイ夫人」の着想中、恣意的に、あくまでも恣意的に「作家を殺すことにするのである」そしてその結果、この映画の構成上、2001年の出来事に大きな影響を与えることになるのだ。
その時点で既に観客に取っては、最早かけがえの無い存在となっているキャラクターに。
そしてそのキャラクターを愛するものの悲嘆は観客と完全に一致するのである。

前述の議論を考えると、この作品「めぐりあう時間たち」では、「いくらフイクションといえども、観客や読者に感情移入をさせたキャクターを簡単に死なせるのはどうか」、これを如実に表現しているのだ。

とは言うものの、「作家を殺すことにした」のシークエンスは別の観点から見ると、予定調和的な美しい印象を観客に与えていることも否定できない事実なのである。
話題の「東京ゴッドファーザーズ」を観た。
はっきり言って傑作だった。

もし、この時期、アニメーション繋がりで、「ファインディング・ニモ」を観ようと思っているのならば、出来れば「東京ゴッドファーザーズ」を観ろ!なのだ。

何故かというと、どうせ「ファインディング・ニモ」クラスだったらDVDでまた観る事になるし、何度も観る機会は訪れると思う、それだったら、今後おそらく観る機会が乏しいと思われるこの「東京ゴッドファーザーズ」を劇場で観て欲しい、と思うのだ。

舞台は東京新宿。
自称元競輪選手のギンちゃん、元ドラッグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキのホームレス3人組は、クリスマスの夜、ゴミ置き場の中で赤ん坊を見つける。
ギンちゃんは、警察に届けるべきだと主張するが、赤ん坊を欲しがっていたオカマのハナちゃんは、赤ん坊に「清子」と勝手に命名する。
そして、3人は自分たちで清子の親探しをすることにする・・・・。

まず、美術(背景)が素晴らしい。
近年の所謂ジャパニメーションの特徴としては、背景の描き込みが常軌を逸している程凄い事が多々あるのだが、キャラクターをその背景に乗せてみるとなんとなく微妙な違和感を感じる事が多い。
背景やキャラクターの描き方としてはそれぞれ良い仕事をしているのだが、残念ながら背景とキャラクターの有機的な融合が果たされていないのだ。
もしかしたら背景やキャラクター等各部門の製作上のベクトルの統一が上手く行っていないのではないだろうか。
または色彩設定や、物理法則を踏まえていない動画の問題かもしれない。

しかし本作「東京ゴッドファーザーズ」は、実写と言って良いほどの写実的な背景と、時に写実的、時にマンガチックなキャラクターとの乖離が全くと言って言いほど感じられないのである。
本作「東京ゴッドファーザーズ」はある種、アニメーション作品の表現手法のひとつの完成形と言っても言いのではなかろうか。
そして、もうひとつ言えるのは、東京は美しい街なのかも知れない。ということである。

そしてレイアウト。
本作では、背景だけでもう美術作品となりうる質感を持っているのだ。
まるで東京の風景写真展の写真を背景にしているような印象を受ける。
例えばリドリー・スコットが現実世界から切り取る画のような美しい背景が全てのカットに存在しているのである。
何しろ街並みが美しく、一枚の画として感じられるのである。

余談だが、最近予告編をよく見る押井守の「イノセンス」も背景とキャラクター、CGIに違和感バリバリなのが興味深い。特にコンビニの商品が銃撃により飛び散る様が酷いですね。

その点スタジオジブリの作品は背景とキャラクターが見事に融和している。
ここは色彩設計がしっかりしているせいかもしれない。

そしてキャラクターである。
先ほどお話したように本作のキャラクターは写実的でありながら、従来のマンガ的な表現を共存させている。
そして彼等はセリフだけではなく、身体全体で演技をしているのだ。
その全身を使った演技を観るだけでも楽しいのである。
特に後半部分のハナちゃんの長台詞は、アニメ史上に残るワンカットなのかも知れない。
同時に、アニメの手法としてあたりまえのクチパク等の繰り返しが全くと言って良いほど無い作画も凄いのだ。時に冒頭付近の赤ちゃんの不規則な動きの再現も凄い。
その辺の動画や、声優達の演技合戦、そして脚本の冴えもあり、そんなキャラクター達が見事に魅力的に見えるのだ。

脚本は若干都合が良いとも言える。
しかしながら、そもそも本作は「ファンタジー映画」と割り切っているせいもあり、また偶然や奇跡を描く映画でもあるため、都合の良さはそれほど気にならない。
というか、宗教的なニュアンスから、ある意味予定調和的な普遍的な印象さえ観客に与えるのである。

何しろ本作「東京ゴッドファーザーズ」の最大のモチーフはタイトルも示しており、また冒頭のシークエンスでも明らかなように、イエス・キリストの誕生を発見した東方の3博士の物語なのであるから。


あと気になった点を何点か。

1.ギンちゃんの口の中には十字架がある。
  上下の真中の歯が無いので、口を軽く開くと十字架に見える。
  また、ラストの病院のロング・ショットの中央部分にも勿論十字架がある。

2.12/25
  タクシーのナンバープレートは「12−25」
  タクシー料金は「12,250円」
  廃屋で止まったデジタル時計は「12:25」
  転居先の住所は「1−2−25」


おまけ「パーフェクトブルー」
・1998年の1月頃だったか、渋谷で「大友克洋とデジタル展」みたいなタイトルの展覧会に行った。その際に、鳴り物入りで宣伝していたのが、この「パーフェクトブルー」と「スチーム・ボーイ」である。大友が絡んでいる。というだけで見たくなってしまう私だが、この映画を見るのに、1年程の時間を要してしまった。しかも、はじめて見るのにLDである。この映画を劇場で見なかったことを猛烈に後悔してしまう結果になった。
・内容は、アイドル・グループを卒業した主人公:未麻がその後、出演したサイコホラーもののテレビドラマの関係者に起こる連続殺人事件とストーカー行為。現実と虚構と幻想と妄想が入り混じる複雑な「入れ子構造」的な良質のサイコホラーである。一見すると複雑で不可解なストーリーであるが、オチを知ると全てがピタリとはまる素晴らしい脚本であった。若干齟齬はあるものの見事な脚本である。映像も大変素晴らしく、一体感があり、「鏡」的なものへのしつこい程の映り込みの描写や、幻想の描き方、幻想の現実への移行等の効果が素晴らしい。演出的にも非常に素晴らしい印象を受けた。
・日本映画の特徴として、例によって日本国内では特に話題にならなかったが、海外の様々なファンタスティック系の映画祭で高い評価を得た作品である。日本映画界が誇るサイコホラーの傑作であろう。
・「驚異的で、パワフルな作品だ。もし、アルフレッド・ヒッチコックがウォルト・ディズニーと共同で映画を作ったならば、きっとこのような作品ができただろう。」ロジャー・コーマン
・機会があったら是非見て欲しい映画である。言い忘れたがこの映画はアニメーション映画である。アニメーションが嫌いな人に是非見ていただきたいと感じた。全てが演出で作られるアニメーションという手法には無限の可能性があるのだ。
・アニメーションの語源となった「アニメート」という言葉には「命を与える」という意味がある。神でも無いのになんと凄いことだ。
2004年を迎え、「わたし的2003年映画ベストテン」を考えてみようと思います。

先ずは「わたし的2003年映画ベストテン」の対象作品は、次の通りです。

1.2003年劇場公開作品のうち
2.2003年に劇場で観た作品
※ 02−03正月映画及びロングラン作品含む

そして、「わたし的2003年映画ベストテン」の選出観点は、次の通りです。

1.20年後でも評価され得る作品
2.劇場で公開されたら再度観たい作品


「2003年わたし的映画ベストテン」

#01 「アレックス」
#02 「トーク・トゥ・ハー」
#03 「めぐりあう時間たち」
#04 「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」
#05 「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」
#06 「ロスト・イン・ラ・マンチャ」
#07 「ボウリング・フォー・コロンバイン」
#08 「キリクと魔女」
#09 「ファインディング・ニモ」
#10 「ファム・ファタール」

次点(順不同)
「猟奇的な彼女」
「シカゴ」
「アイリス」
「アバウト・シュミット」
「ジョニー・イングリッシュ」

傾向としては、ドキュメンタリーをはじめとして社会派系の作品が並びましたね。
アニメーションが2本入っていたり、邦画が全く入っていませんね。

賛否両論の「アレックス」のベストワンはどうかと思いますが、ベストワンたるべき作品がありませんでしたので、繰り上げ1位みたいな感じです。

「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」は三部作の中編で結末がついていないので、ベストテンからはずした方が良いのかも知れませんが、「指輪物語」好きなので入れてしまいました。

「キリクと魔女」は期待していなかったのですが、嬉しい大誤算です。

「ファム・ファタール」はデ・パルマへのご祝儀ベストテン入りですかね。

劇場では邦画をあまり見ないので、CATVでは勉強のためもあり「日本映画専門チャンネル」をよく観てます。
2004年の課題は邦画ですね。


「2003年わたし的映画ワーストテン」

#01 「ダイ アナザー デイ」
#02 「アウトライブ」
#03 「マトリックス・リローデッド」
#04 「ハルク」
#05 「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」
#06 「過去のない男」
#07 「ケミカル51」
#08 「レッド・ドラゴン」
#09 「少女の髪どめ」
#10 「キル・ビル」

大作映画が何本か並んでいますね。

「ダイ アナザー デイ」のワーストワンは007ファンとしての厳しい採点です。

各界で評価の高い「過去のない男」は理解できませんでした。

「少女の髪どめ」は良い映画なんですけどね。
ワースト作品がそんなになかったので繰り上げワースト入りになってしまいました。

「キル・ビル」はつまらない、つまらない、と言いながら4回ほど観ています。


さて、2004年はどんな楽しい映画があるのか非常に楽しみです。
「古畑任三郎 すべて閣下の仕業」を観た。

わたしは古畑任三郎シリーズが好きである。
元々は刑事コロンボシリーズが好きである。

三谷幸喜が倒叙形式のミステリーの脚本を書く事に大きな関心を持っていたのだ。

今回の「すべて閣下の仕業」の設定の話を聞いて、「上手いな」と思ったのは、舞台が中南米某国の大使館である、ということで、古畑がたまたま旅行で中南米某国に滞在していた、という点である。

つまり、中南米某国の日本大使館は中南米某国にとっての治外法権であり、日本国内での刑事警察権を持っている古畑が捜査をすることが合法的なのだ。

しかし、残念ながら脚本はそこまで踏み込んでおらず、というか逆に、治外法権に関わらず、中南米某国の警察が日本大使館内で捜査を行なうシークエンスまであるのだ。

三谷幸喜よ!
頑張ってくれよ!!
なのだ。

岩原

2004年1月2日
今シーズン3度目のスキーは、湯沢町「岩原(いわっぱら)」。

標高が低く(1,000m未満)天候が良かったため、気分は春スキーなのだ。

朝から夕方まで滑り通しでクタクタなのだ。

温泉は越後湯沢駅内の日本酒が入っている「ぽんしゅの湯」。

謎の言葉「じょんのび」がまた出てきた。
多分新潟の方言で「ゆっくり」とか「気持ち良い」とか言う意味なのだと思うのだ。

ついでに帰りは帰省ラッシュに巻き込まれて大渋滞なのだ。

2004/01/02

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tkr

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