「バットマン ビギンズ」×「宇宙戦争」×「シスの復讐」
今年2005年の夏の超話題作と言えば、次の3作品だろう。

2005/06/18公開「バットマン ビギンズ」
2005/06/29公開「宇宙戦争」
2005/07/09公開「シスの復讐」

そんな3作の超話題作に関するわたしの期待度は、
「シスの復讐」>「宇宙戦争」>「バットマン ビギンズ」
である。

しかしながら、それぞれを映画として評価した場合は、
「バットマン ビギンズ」>「宇宙戦争」=「シスの復讐」
ではないか、と思うわけである。

「スター・ウォーズ」にしても「宇宙戦争」にしても、わたしの感覚的には、ダメな息子の発表会を見に行く感覚を覚えてしまうのだ。

多分、「シスの復讐」については、オープニング・タイトルで既に涙してしまうと思うし、ラストのアイリスからのエンディング・クレジットでも涙してしまうと思うし、終わり良ければ全て良しで、誤魔化されてしまい、ダメな映画でも良い映画だと思ってしまうかも知れない。
騙されちゃいけないと思いつつ「スター・ウォーズ」に騙されてしまいそうな気がするのだ。

「ウィロー」や「ハワード・ザ・ダック」を観た時の事を思い出してしまうのだ。

「宇宙戦争」についても実は不安がいっぱいである。全世界同時公開と言うのも、一般試写会が中止になったのも、ダメ映画ではないか、と言う不安を煽る要素に感じられるのだ。

一方「バットマン ビギンズ」については、少なくとも「バットマン・フォーエバー」と「バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲」をなかった事にするする事には成功しているだろうし、やもするとティム・バートンの「バットマン」と「バットマン・リターンズ」に対するアンチテーゼとして機能しているのではないか、と言う期待すら感じてしまう。

「バットマン ビギンズ」は、ティム・バートン好きのわたしにして、そう思わせる作品なのだ。
ティム・バートン好きにして、ティム・バートンの作品を超えるかも知れない作品に期待してしまう、不可思議な印象を受ける。

はたして・・・・

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2005/05/24 東京有楽町「よみうりホール」で「マイ・ブラザー」の試写を観た。

気丈な母親(キム・ヘスク)に女手ひとつで育てられてきた兄弟、ソンヒョン(シン・ハギュン)とジョンヒョン(ウォンビン)。
兄のソンヒョンはおとなしくて成績のいい優等生。一方、そんな兄を偏愛する母親に反発し、毎日ケンカばかりしている問題児の弟ジョンヒョン。
高校の同じクラスに通う2人だったが、学校でも互いに距離を置きできるだけ関わり合いを持たずに生活を送っていた。ある時2人は、同時に同じ女性ミリョン(イ・ボヨン)に恋してしまい、兄弟仲はますますギクシャクしてしまうが・・・・。
 
 
監督・脚本:アン・クォンテ
出演:ウォンビン(ジョンヒョン)、シン・ハギュン(ソンヒョン)、キム・ヘスク(母親)、イ・ボヨン(ミリョン)、キム・テウク(オクス)、チョン・ホビン(ヨンチュン)

本作「マイ・ブラザー」は一見すると非常にクラシカルな物語なのだが、逆に言うと、兄弟の確執と和解とを描いた全ての民族に受け入れられる普遍的な物語に仕上がっている、とも言える。

そして、その構成は、冒頭とラストの時制が現在で、登場人物が過去の出来事(本編部分)を回想する、的な構成を持っており、その現在の部分に強力な伏線を配した感動的な構成を持っている。

個人的には、こういった構成(冒頭とラストが現在で、登場人物が過去の出来事を回想する)は大好きである。例えばティム・バートンの傑作「シザーハンズ」なんかもこういった構成を持った作品だと言えるだろう。

脚本的には、二人の幼少期から高校時代にかけての部分を完全に前振り部分としており、ソンヒョン(シン・ハギュン)が大学に通い始め、母親(キム・ヘスク)が投資で失敗する辺りからが、本作の本題部分となっていると言えるだろう。
イ・ボヨン(ミリョン)の登場シークエンスを完全にただの1エピソードにしてしまうあたりが非常に潔い印象を受けた。

その幼少期から高校時代までの前振り部分を丹念に描く事により、ふたりを取巻く環境や出来事及び、ふたりの考えや行動が既に、われわれ観客の思い出として蓄積され、本題部分に向けて、非常に有効な伏線となっている、と言う見事な構成を持っているのだ。
この構成のおかげで、ふたりの兄弟や母子の確執、そしてそれを取巻く情感が非常にわかりやすく、効果的に描写されている、と言えるのだ。

また伏線も、ラスト近辺の大きな出来事に向け、効果的に配されており、最早運命的な印象を受ける物語に昇華されているような印象を受ける。
そしてその頂点は、ラスト近辺のジョンヒョン(ウォンビン)のセリフに結実しているのだ。

キャストは特に誰が、と言うこともなく、全てのキャストが与えられた役柄を好演している。

本作「マイ・ブラザー」は、今度公開される「マラソン」と一緒に観ると、非常に興味深い作品に仕上がっているような印象を受けた。
この夏、ちよっと泣きたいなら、絶対にオススメの一本だし、またウォンビンの兵役前の最後の作品でもある。

「マラソン」と合わせて是非劇場に足を運んでいただきたい。

☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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2005/06/02 東京有楽町「よみうりホール」で「オープン・ウォーター」の試写を観た。

ワーカホリックの夫婦、スーザン(ブランチャード・ライアン)とダニエル(ダニエル・トラヴィス)は、ようやく取れたバカンスで、カリブ海に向かう。ふたりはせっかくの休暇なのに、仕事を完全に忘れることができない。愛が冷めた訳ではないのだが、現実に追われる内に自然と距離が出来てしまい、それを埋めるきっかけを失っていた。

翌朝早く、ツアー客で満員のダイビングボートに乗り込んだふたり。水深18メートル、約35分間のダイビングへと意気揚々と海に飛び込んでいく。精神的に開放されたスーザンとダニエルは、この貴重なひとときを満喫する。しかし・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督・脚本・撮影・編集:クリス・ケンティス
製作・撮影:ローラ・ラウ
出演:ブランチャード・ライアン(スーザン)、ダニエル・トラヴィス(ダニエル)、ソウル・スタイン(セス)、エステル・ラウ(エステル)、マイケル・E・ウィリアムソン(デイビス)

本作「オープン・ウォーター」は、2004年1月のサンダンス映画祭で評判を呼び、全米公開に当たっては、低予算映画としては異例の大規模公開となり、予想外の大ヒットを記録し、全世界の話題を集めたサスペンス・スリラーである。

第一印象は、真っ当で順当な作品に仕上がっている、と言うもの。
わたしの先入観は、「ソウ」や「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のような、荒削りであろうが、勢いやインパクトがある作品だと思っていたのだが、驚くべき事に本作はわたしの想像を超え、見事なまでに普通の映画に仕上がっていた。
シーンの構成やつなぎ、カット割撮影、シークエンスの描き方、どれを取っても奇をてらった感は微塵もなく、素直で実直、言わば老成した作品のような印象すら受けた。

気になる演出も抑制が効いており、過剰なものはなく、物語は淡々と、言わばドキュメンタリー・タッチのような演出が続く。

しかしながら、本作を娯楽作品として考えた場合、残念ながら脚本に不満足な点はあるし、単調な映像で盛り上がりに欠けてはいるのだが、総合的にはどうしてどうして、その辺のメジャー作品と比較しても、それほど遜色がない作品に仕上がっていた。

物語はご存知のように、ダイビング中に、外洋に取り残されてしまった二人の恐怖を描いている訳だが、そんなコンセプトである以上、物語の構成は単調にならざるを得ないし、次から次へとドラマチックなイベントが起きるとは思えない。
そんな状況下において、ある程度は観客に支持される作品を製作した、クリス・ケンティス(監督・脚本・撮影・編集)とローラ・ラウ(製作・撮影)の二人(実は夫婦)にはやはり頭が下がる思いである。

作ろうと思えば、よりショッキングに、よりセンセーショナルに出来る題材だったわけだが、それを上品に、そして淡々と描いたセンスにも感服である。
おそらく、過激な映像を排除した作風を考えた場合、彼らはサンダンスではなく、その後のワールド・ワイドな展開を視野に入れていたのではないか、とも邪推してしまう勢いである。

あと気になったのは、日本配給サイドの問題なのだが、"based on a true event"をただ単に「これは実話である」と言うように翻訳するのはまずいと思うぞ。
日本人は活字になってると、何でも信じちゃう民族だから、その変を考えた上でプロモーションしないと、作品に対し変な誤解が生まれちゃうぞ。

とにかく本作「オープン・ウォーター」は、ハリウッド・メジャーの所謂娯楽大作と比較すると、地味でドラマが起きない作品かも知れないが、低予算ながら、観客を惹きつける力を持った作品であるし、そこそこ楽しめる作品でもある。
この夏、是非劇場で楽しんでいただきたい作品だと思うのだ。

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2005/05/09 東京竹橋「科学技術館サイエンスホール」で「戦国自衛隊1549」の試写を観た。

陸上自衛隊で極秘裏に行われていた人工磁場発生器の実験中、大規模な暴走事故が発生してしまった。
その事故の最中、的場1佐(鹿賀丈史)率いる実験部隊は時空の震動に呑み込まれ、消滅してしまった。

2年後。
かつて、的場1佐が創設した特殊部隊Fユニットに所属していた鹿島勇祐(江口洋介)は、現在は居酒屋の店長に甘んじていた。
ある晩、鹿島は突然店に訪れた神崎怜2尉(鈴木京香)と森彰彦3佐(生瀬勝久)等の口から、死んだと思っていた的場1佐に関する驚くべき話を聞かされるが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:手塚昌明
原作:福井晴敏『戦国自衛隊1549』(角川書店)
原案:半村良
出演:江口洋介(鹿島勇祐)、鈴木京香(神崎怜2尉)、鹿賀丈史(的場毅)、北村一輝(飯沼七兵衛)、綾瀬はるか(濃姫)、生瀬勝久(森彰彦3佐)、嶋大輔(三國陸曹長)、的場浩司(与田2尉)、宅麻伸(蜂須賀小六)、中尾明慶(藤介)、伊武雅刀(斉藤道三)

本作「戦国自衛隊1549」は、「ローレライ」に続く福井晴敏原作の映画化作品である。
尤も、原作と言っても、実際のところは「ローレライ」同様、映画の脚本と別々に小説が書かれたのだと思うのだが・・・・。

私見だが、本作「戦国自衛隊1549」は、「ローレライ」に続き、日本ダメ映画の系譜の新たな一ページとして記憶されてしまうような作品だった。

本作に対する「なんでこんな映画になっちゃうんだよ」と言う思いは、最早怒りを通り越し、呆れの境地に辿り着いてしまった。
本作の基本コンセプトは、かの失敗作「タイムライン」のそれと驚くべきほど酷似しているし、観客を脱力させてしまう力も酷似していると言う始末である。

キャストをそこそこ揃え、陸上自衛隊の全面協力を得、特撮や美術も比較的頑張っているのに、一体何故こんな映画になってしまうのか。

尤も、本作の脚本の根本となる「今の日本はダメだから、過去に戻ってやり直そう」と言うブロットは十分評価できる。
このプロットは、現代の日本社会へのアンチテーゼにもなっているし、特に政治家に対する強烈な批判や皮肉としても十分機能している、と言える。

しかし本作は、現代の日本社会が病んでいる事を糾そうとする的場(鹿賀丈史)の、ある意味真摯で孤高で崇高な意志を、鹿島(江口洋介)等がなんだかよくわからない子供の発想的浪花節論で食い止める、と言うベクトルを持っているように感じるのだ。

本作は言わば、国を憂う孤高な革命家を、何も考えない事なかれ主義の人々が叩き潰す物語になってしまっているのだ。
その辺りを考えると、本作はベクトルは逆だが、構造的には「CASSHERN」にも似た作品だとも言えるのかも知れない。
善悪問わず、全てがグタグタになってしまう「CASSHERN」の方が物語としては上を行っているのかも知れない。

疑問なのだが、本作の、どこかの国の誰かのように「臭いものに蓋」的な行動を取る鹿島(江口洋介)等に観客は感情移入することができるのだろうか。
これが、仮に高度経済成長社会の時代に製作された作品ならいざ知らず、病んだ現代に製作されている事がこの作品の不幸なのかも知れない。

と考えつつ、わたしは逆説的にひとつの着想を得た。
もしかすると、本作「戦国自衛隊1549」は、世界を革新的に変容させようとする孤高な指導者を、国家権力の指示の下、一般大衆が葬り去る事を描きつつ、付和雷同で群集心理的で保守的な日本国民に対する強烈な皮肉を描いているのかも知れない。

しかし、何かがおかしいのである。

余談だが、本作の広告宣伝はちょっとネタバレしすぎのような気がする。
いつ版気になるのは、的場が過去でどうなっているのかを広告でおもっいっきりネタバレしているのは、どうなんだろうか。
わたしとしては、鹿島等と一緒に観客を驚かせるべきだと思うのだ。

更に余談だが、「スタートレック2/カーンの逆襲」のパクリ的な設定があった。
「カーク以外にあのテストをクリアできる人物がいたとはな」

☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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2005/05/18 東京有楽町「よみうりホール」で「四日間の奇跡」の試写を観た。
舞台挨拶は、石田ゆり子(岩村真理子役)と中越典子(長谷川未来役)。

天才的なピアノの才能を持つ少女・楠本千織(尾高杏奈)とピアニストとして将来を嘱望されていた青年・如月敬輔(吉岡秀隆)は、日本各地の様々な施設を巡る慰問演奏の旅をしていた。

離婚の痛手を引きずりながら、とある島の療養センターで働く岩村真理子(石田ゆり子)は、2人の慰問演奏会を心待ちにしていた。彼女にとって敬輔は、12年ぶりに再会する初恋の人だったのだが・・・・。

監督:佐々部清
原作:浅倉卓弥『四日間の奇蹟』(宝島社刊)
出演:吉岡秀隆(如月敬輔)、石田ゆり子(岩村真理子)、尾高杏奈(楠本千織)、西田敏行(倉野順次)、松坂慶子(倉野和枝)、中越典子(長谷川未来)、鳥羽潤(萩原誠)、西村和彦(後藤則幸)、小林綾子(後藤小夜子)、平田満(長谷川隆)、石橋蓮司(藤本正造)

本作「四日間の奇蹟」は、浅倉卓弥の同名のベストセラー小説を映画化した作品である。
小説では、それほど気にならなかった強引でリアリティに欠けるいくつかのプロットは、今回の映画化により大きく拡大されてしまったような印象を受けた。
ロンドンでの出来事はともかく、本作のキーとなる、落雷による出来事を観客が受け入れられるかどうかで、本作の評価は著しく変わってしまうのではないか、と思う。

因みに、その物語のキーとなる基本プロットは、映画化されたとある有名小説のそれによく似ている。
小説を読んだ時点では、「おいおい、またこのプロットかよ」と思ったのだが、読みすすめて行くうちに、違った地平へ連れて行ってくれる浅倉卓弥の手腕には驚いたものだ。

しかし、小説と違い、事実上2時間に制約された映画と言うメディアでは、その辺りは難しいのかもしれない。

キャストは何と言っても、尾高杏奈(楠本千織)につきるだろう。この楠本千織と言うキャラクターは、役柄上、複数のキャラクターの演じ分けが必要な役柄なのだが、尾高杏奈は見事にそれを演じきっている。

セリフは勿論のこと、特に驚いたのは、身体の動きである。
何しろ、例えば歩く姿ひとつとっても、尾高杏奈の歩く姿が、石田ゆり子の歩く姿に見えてくるのである。
それは、石田ゆり子の従来の身体の演技パターン(例えば歩き方や些細な仕草)を尾高杏奈が抽出し、石田ゆり子の演技を再現している印象を受けるのだ。(石田ゆり子の身体の動きを真似ている、ということ)

一方、石田ゆり子のぶっきらぼうな演技も、岩村真理子のキャラクターに何故か見事にマッチし、素晴らしい効果を出していた。

一方、これら女優陣の頑張りに比較すると吉岡秀隆(如月敬輔役)には残念な思いがする。山田洋次の作品で時折見せるような輝きが、本作では見られなかったのが非常に残念である。

また、演出的には「隣人13号」で行われたような2人1役が行われており、その手法はある意味英断ではあると思うし、効果的ではあるのだが、実際問題としてその場面のスチールを本作の宣材として使用するのはどうか、と思ってしまう。
観客に対し、おかしな予断(ミス・デレクション)を与えてしまう危惧が極めて高いと思う訳だ。

あと気になったのは、勿論大人の事情があると思うのだが、本作に主題歌が存在するのはどうか、と思った。
本作の重要なモチーフとして「ピアノの力」があるのだから、出来る事ならば、ピアノ曲のみでエンド・クレジットを見せて欲しかった。

ついでに言うならば、その曲の左手のパートが若干もつれ気味の曲だったとしたら、号泣ものだったのではないか、と思うし、または、左手はもつれ気味ながら、それを優しく包み込むような連弾でテーマが演奏されていたとしたら、これこそ正に号泣必須だったのではないか、と思うのだ。

本作「四日間の奇蹟」は、前述のようにファンタジックな基本プロットを観客が甘受できるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの踏絵的な存在となっていると思う。
出来る事ならば、そのプロットを受け入れ、感動的な物語を楽しんでいただきたいと思うのだ。
その基本プロットから派生する様々な事象を強引であざとい、とは思わないでいただきたいのだ。

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2005/05/25 東京九段下「九段会館」で、「サハラ/死の砂漠を脱出せよ」の試写を観た。

米国特殊機関NUMA(国立海中海洋機関)のエージェント、ダーク・ピット(マシュー・マコノヒー)は、南北戦争時に莫大な財宝と共に姿を消した、と言われている甲鉄艦テキサスが実在していた事を信じていた。
彼は、ナイジェリアとマリの国境付近で発見された一枚の金貨が、甲鉄艦テキサスが実在した事を証明する手掛かりになると確信、NUMAのエージェント、アル・ジョルディーノ(スティーヴ・ザーン)等と共に金貨の発見現場へ向かう準備に取り掛かる。

一方、WHO(世界保健機関)の女性研究医エヴァ(ペネロペ・クルス)は、ナイジェリアで発生した謎の病原体の感染源がマリにあると推測、調査に向かおうとするが、内紛が勃発したマリでは、国境が閉鎖され、通常ルートでの入国は不可能だった。
そこでエヴァは、ピットたちがボートでマリを目指していると知り、一緒にマリ国境へと向かうのだったが・・・・。

監督:ブレック・アイズナー
原作:クライヴ・カッスラー 『死のサハラを脱出せよ』(新潮文庫)
出演:マシュー・マコノヒー(ダーク・ピット)、スティーヴ・ザーン(アル・ジョルディーノ)、ペネロペ・クルス(エヴァ・ロハス)、ランベール・ウィルソン(イヴ・マサード)、デルロイ・リンドー(カール)、レイン・ウィルソン(ルディ・ガン)、グリン・ターマン(フランク・ホッパー)、ウィリアム・H・メイシー(サンデッカー提督)

本作「サハラ/死の砂漠を脱出せよ」は、わたしの不安(ジェリー・ブラッカイマー系の娯楽作品になってしまっているのではないか)に反して、非常に面白い娯楽アクション作品に仕上がっていた。

また、読書ファンとしては、クライヴ・カッスラーのダーク・ピットシリーズの映画化第一作目(「レイズ・ザ・タイタニック」除く)としての方向性の構築にも関心があったし、また何故『死のサハラを脱出せよ』を原作に選んだのか、という疑問を担いつつの鑑賞ともなっていた。

脚本は、長編の原作を2時間にまとめる事もあり、物語の進行上やや強引な感は否めないし、気になる点が何点かあるのだが、ピット(マシュー・マコノヒー)とアル(スティーヴ・ザーン)の腐れ縁ぶりや、サンデッカー提督(ウィリアム・H・メイシー)との関係、またオープニング・クレジットでピットやアルが活躍した様々な事件の断片を見せることにより、NUMA(国立海中海洋機関)の長年の功績やアルとピットの関係を見事に語り出している。その背景を描く事により観客は既に、アルとピットのかつての大活躍をある程度知っていると思わせることに成功している。(因みに、原作シリーズでは、アルとピットは幼稚園からの腐れ縁らしい)

更に、細かいセリフがいちいちユーモアに溢れており、例えば字幕では再現されていないのだが、サンデッカー提督がピットにボートを貸す際、サンデッカー提督は、あのウィリアム・H・メイシーの顔で「(約束の時間に対し)ナノ秒単位の遅れも許さない」とか言ってたりしているのだ。あの苦みばしった顔でそんなジョークを飛ばすサンデッカー提督(ウィリアム・H・メイシー)のお茶目ぶりがたまらないのだ。
また、ピットとアルの関係に目を向けると、彼らの会話は既に漫才の領域にまで達している始末なのだ。

キャストはなんと言ってもスティーヴ・ザーン(アル・ジョルディーノ)だろう。私見ではマシュー・マコノヒーを完全に食っていると思うぞ。こんなに素晴らしい相棒がいるおかげで、ダーク・ピットの魅力も倍増、と言う訳なのだ。

余談だけど、アルが遮蔽物に隠れながら銃器を撃つシーンで、左に遮蔽物がある場合は、右手で引金を、右に遮蔽物がある場合は、左手で引金を引いていたのが印象的だった。外側の手で引金を引かないと、身体が遮蔽物の外に出ちゃうからね。

更に余談だけど、本作「サハラ/死の砂漠を脱出せよ」の日本国内のポスター等のアートワークは、マシュー・マコノヒーとペネロペ・クルスが2人並んで立っているデザインが使われているのだが、オリジナルでは、きちんとスティーヴ・ザーンも含めた3人の立ち姿が使われている。
アートワークを3人から2人にするのはどうかと思うぞ、はっきり言ってこの映画は、ピット(マシュー・マコノヒー)とアル(スティーヴ・ザーン)の映画であってエヴァ(ペネロペ・クルス)は単なるゲストに過ぎず、ボンド・ガール的な扱いに過ぎないと思うのだ。

2人
http://www.sahara-movie.jp/
3人
http://www.saharamovie.com/

さて、ダーク・ピットを演じたマシュー・マコノヒーだが、ヒーローものとして本作を考えた場合、やはりちよっと物足りない印象を受けた。
とは言うものの、ピットにアルを加えてはじめてヒーローである、と言う解釈をするのならば、マシュー・マコノヒーのキャスティングについては、それはそれでよかったと思う。
逆に1人で客を呼べるスター俳優がダーク・ピットを演じなくて、もしかすると良かったのかも知れない。

そして、サンデッカー提督を演じたウィリアム・H・メイシーだが、作品を引き締める俳優としては未だ役不足のような印象を受けるが、キャラクターとしては作品を引き締める担当を見事にこなしている。
テレビに映画に引っ張りだこのメイシーだが、今後は作品を引き締める役柄にも乞ご期待と言うところだろうか。

とにかく、本作「サハラ/死の砂漠を脱出せよ」は大変面白いアクション・アドヴェンチャー映画に仕上がっているのだ。出来る事なら是非劇場でアルとピットの冒険を堪能してほしい。

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「ホステージ」

2005年6月8日 映画
2005/06/03 東京有楽町「よみうりホール」で「ホステージ」の試写を観た。

ジェフ・タリー(ブルース・ウィリス)は一年前まで一度たりとも失敗したことのない、LAPDの人質交渉人だった。
しかし、ある立てこもり事件の人質救出に失敗したタリーはLAPDの交渉人という職を辞した。

一年後、ロスを去り小さな町の警察署長となったタリー。
しかし犯罪のないはずの町で大きな事件が進行しつつあった。
小高い丘の上に立つ会計士を営むウォルター・スミス(ケヴィン・ポラック)の豪邸にデニス(ジョナサン・タッカー)、ケヴィン(マーシャル・オールマン)、マース(ベン・フォスター)ら3人の若者たちが人質をとって立てこもったのだ。警報をキャッチした婦人警官が駆けつけると、犯人の銃が火を噴いた。
かくして若者たちは警官隊に囲まれ、父親のウォルター、娘のジェニファー(ミシェル・ホーン)、幼い息子のトミー(ジミー・ベネット)ら3人を人質としてスミス邸に立てこもることになった。
それは、タリーにとっての長い夜の始まりに過ぎなかった。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:フローラン・シリ
脚本:ダグ・リチャードソン
出演:ブルース・ウィリス(ジェフ・タリー)、ケヴィン・ポラック(ウォルター・スミス)、ジョナサン・タッカー(デニス・ケリー)、ベン・フォスター(マース)、ミシェル・ホーン(ジェニファー・スミス)、ジミー・ベネット(トミー・スミス)、マーシャル・オールマン(ケヴィン・ケリー)、セレナ・スコット・トーマス(ジェーン・タリー)、ルーマー・ウィリス(アマンダ・タリー)

本作「ホステージ」にはあまり期待していなかったのだが、その予想に反して非常に面白い作品に仕上がっていた。

先ず印象に残ったのは、オープニング・クレジットが良い点だ。そのクレジットは、冒頭の人質事件が起きている現場周辺の街並みをコミック調に取り込んだ映像のそこここにキャストやスタッフのクレジットをのせたもので、印象としては「北北西に進路を取れ」のソウル・バス(タイトル・デザイン)に影響を受けた「パニック・ルーム」のカイル・クーパー(タイトル・デザイン)の更に影響下にあるタイトル・デザインのような印象を受けた。

脚本は、複数の人質事件を絡めたところが面白く、そのブルース・ウィリス演じるジェフ・タリーが追い詰められ、進退窮まるところが、「追いつめられて」のケヴィン・コスナーにも似た印象を受けた。

あと脚本上、"HEAVEN CAN WAIT"のDVDの使い方が解せなかった。
あの書斎から考えると、スミス(ケヴィン・ポラック)はおそらく映画通としてキャラクター設定されているハズなのに、"HEAVEN CAN WAIT"と言う同名映画があるDVDのパッケージを取引に使用するとは到底思えない、のだ。
おそらくこれは、物語のラストの着地地点が確定していない時点での脚本上のプロットが残ったまま撮影が始まってしまったのではないか、と邪推してしまう。(複数の展開が可能なように同名映画があるDVDのパッケージを使用した)

勿論これは、ロスで失敗したタリー(ブルース・ウィリス)が「天国から来たチャンピオン("HEAVEN CAN WAIT")」のウォーレン・ビーティ同様、二度目の人生を送ることへのメタファーとなっているのだが、なんとも釈然としない印象が否めない。

更に、わたしの記憶では、冒頭で"HEAVEN CAN WAIT"のパッケージに入れたDVDの表面は白かったのに、パッケージを開けDVDの中身を確認するシークエンスではシルバーのDVDに変わっていたような気がする。
これも複数の解法が可能な脚本の名残として残ってしまったミスなのだろうか、と思ってしまう。

他の部分は概ね問題なく、勿論強引な部分は多々あるが、楽しいアクション娯楽作品として脚本が練られていた。

交渉人が暴力で事件を解決しちゃまずいだろうと思っていたのだが、タリーのキャラクター設定上、上手く誤魔化してあったのはご愛嬌だろうか。

また、「ダイ・ハード2」(「ダイ・ハード4.0」も)の脚本家であるダグ・リチャードソンとブルース・ウィリスとのコンビと言うこともあり、「ダイ・ハード」的な演出や、「ダイ・ハード」的な観客への目配せがあって楽しかった。

更にタリーの交渉人としての描き方は、電話等を通じてコミュニケートする事には長けているが、実際のコミュニケーションは苦手である、と言うところが面白かった。特に娘とのオヤジ・ギャグ的コミュニケーションとのギャップが良い効果を出していると思う。

またマース(ベン・フォスター)だが、非常に印象に残るキャラクターではあるのだが、若干やりすぎの感は否定できないだろう。
デニス(ジョナサン・タッカー)とケヴィン(マーシャル・オールマン)の兄弟の確執は小さなプロットではあるが効果的だった。

ウォルター・スミス(ケヴィン・ポラック)、ジェニファー(ミシェル・ホーン)、トミー(ジミー・ベネット)等はそれぞれ見せ場があって、美味しい役柄だった。特にケヴィン・ポラックの使い方は非常に好感が持てた。先ほどの「ダイ・ハード」的目配せの最大のモノは、ラスト近辺のスミスとタリーとの絡みなのだが、分かっている観客にとっては、アレが出てきたからには、こうなっているに違いない、と観客に分かる演出になっているのだ。

また、もう一つの人質事件の犯人達が一切顔を見せないのも好感が持てた。
一般のハリウッド映画だったら、覆面をとったら、知ってる奴だった、あぁあいつが黒幕だったのか、と思わせるプロットを入れるのだが、そういったこと一切を排除した脚本に感心する。

とにかく本作「ホステージ」は、この時期ちょっと複雑なアクション娯楽作品が観たいのなら、絶対にオススメの作品である。

ブルース・ウィリスの親子共演も楽しめるぞ。

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2005/05/13 東京九段下「千代田区公会堂」で「ミリオンダラー・ベイビー」の試写を観た。

ロサンジェルスのダウンタウンにある小さなボクシング・ジム”ヒット・ピット”を営む老トレーナー、フランキー・ダン(クリント・イーストウッド)。
フランキーの指導力はピカイチだったが、選手を大切に育てるあまり、成功を急ぐ優秀なボクサーたちはみんな彼のもとを去ってしまう。

そんなある日、31歳になる女性マギー・フィッツジェラルド(ヒラリー・スワンク)はフランキーに弟子入りを志願する。トレーラーで育ち不遇の人生を送ってきた彼女は、唯一誇れるボクシングの才能に最後の望みを託したのだった。ところが、そんなマギーの必死な思いにも、頑固なフランキーは、「女性ボクサーは取らない」のひと言ですげなく追い返してしまう。

それでも諦めずジムに通い、ひとり黙々と練習を続けるマギー。フランキーの唯一の親友エディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス(モーガン・フリーマン)はそんなマギーの素質と根性を見抜き、目をかける。やがてマギーの執念が勝ち、フランキーはついにトレーナーを引き受けるのだったが・・・・。

監督:クリント・イーストウッド
脚本:ポール・ハギス
音楽:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド(フランキー・ダン)、ヒラリー・スワンク(マギー・フィッツジェラルド)、モーガン・フリーマン(エディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス)、ジェイ・バルチェル(デンジャー・バーチ)、マイク・コルター(ビッグ・ウィリー)、ルシア・リッカー(ビリー・”ザ・ブルー・ベア”)、ブライアン・オバーン(ホルバック神父)、マーゴ・マーティンデイル(アーリーン・フィッツジェラルド)、リキ・リンドホーム(マーデル・フィッツジェラルド)、ブルース・マックヴィッティ(ミッキー・マック)、ベニート・マルティネス(ビリーのマネージャー)

本作「ミリオンダラー・ベイビー」は誰にでもおすすめできる娯楽作品とは言い難い。
そしてその感覚は、かつてのイーストウッド作品「許されざる者」を髣髴とさせるような種類の作品に仕上がっているような印象を受けた。両作から受ける印象の共通点は、ただ単純にイーストウッドとモーガン・フリーマンが共演している、と言う理由ではなく、イーストウッドがそれぞれの作品で演じたキャラクターとその行動に一貫性と言うか、共通項が見え隠れする、と言う訳である。

そのモーガン・フリーマンとクリント・イーストウッドの絡みなのだが、物語上20年以上の付き合いがある、と言う点の雰囲気と言うか空気感が見事に表現されていた。「許されざる者」の映画的記憶も相まって、ふたりの腐れ縁振りが描写されていた。

脚本、と言うか本作「ミリオンダラー・ベイビー」のメインのプロットは、映画に関する情報をシャットアウトして劇場に向うわたしにとっては驚くべきプロットだった。
物語の中盤以降、わたしはこの作品が、わたし達観客を一体どこに連れて行ってくれるのか、期待と勿論大きな不安を抱きつつ本作に見入った訳である。

キャストは先ずはなんと言ってもヒラリー・スワンク(マギー・フィッツジェラルド)だろう。彼女の頑張りなくしては本作はなかっただろうと思える頑張りようである。

モーガン・フリーマン(エディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス)はいつものモーガン・フリーマンで、取り立てて評価しようとは思わないのだが、作品の「語り手」としてのモーガン・フリーマンの声にはしびれてしまう。
「ショーシャンクの空に」でもモーガン・フリーマンは物語の「語り手」として登場するのだが、クリント・イーストウッド(フランキー・ダン)との腐れ縁と、物語のラストを知っている存在として「語り手」を務める構成には、尤も順当と言えば順当なのだが、舌を巻く思いである。
そして、その「語り手」が持つのは、あの「声」なのである。

あと印象的なのは、ヒラリー・スワンク(マギー・フィッツジェラルド)の家族を演じたマーゴ・マーティンデイル(アーリーン・フィッツジェラルド)とリキ・リンドホーム(マーデル・フィッツジェラルド)だろう。
彼女らの描き方には、日本人としては「渡る世間は鬼ばかり」以上の感慨を持つのではないかと思ってしまう。

個人的にはリキ・リンドホーム(マーデル・フィッツジェラルド)が良かったと思う。

また、ジェイ・バルチェル(デンジャー・バーチ)も良かった。一応は重い物語の中のコミック・リリーフ的な役回りなのだろうが、重い物語とコミック・リリーフとしての役柄を比較すると、圧倒的に重い物語に軍配が上がってしまうのだが、前半から中盤にかけては、一服の清涼剤として見事に機能していた。

さて、クリント・イーストウッド(フランキー・ダン)だが、これもいつものイーストウッドの印象である。
ただ、毎週毎週教会に通いブライアン・オバーン(ホルバック神父)に難題を吹っかけるイーストウッド(フランキー・ダン)なのだが、それらの伏線からラストの選択にいたる辺りが、この脚本の肝心な所だとは思うのだが、宗教的に考えると大きな問題を孕んでいるだろう。
まあその辺も「許されざる者」に似た印象を与えているのではないか、と思うのだ。

本作「ミリオンダラー・ベイビー」はボクシングを題材にしているが、「西部劇」のひとつのバリエーションと考えられない事も無い。ラストのネタバレになるので明確に書けないが、考え方によっては、本作はイーストウッドが描きたかったひとつの西部劇的エピソードだったのかも知れない。または厳しい比喩を使わせていただければ、「馬モノ」とか「鹿モノ」ね。

サントラについては、「ミスティック・リバー」同様、イーストウッドがピアノをポロポロ人差し指で弾いたメロディ・ラインを見事に膨らませたような印象を受けるが、メロディ自体はやはり、人差し指奏法の印象を拭いきれない。

本作「ミリオンダラー・ベイビー」は、「ロッキー」系の爽快なサクセスストーリーを期待する向きには手放しではオススメできないが、重厚なドラマとオスカー俳優の演技合戦を期待する観客には、素晴らしい作品に感じられるだろう。

☆☆☆★ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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さて、早速ですが2005年の目標の中間発表その5です。

とりあえず目標の再確認を・・・・

目標第一弾 「映画を300本観るぞ!!」(DVD等含む)
目標第二弾 「本を100冊読むぞ!!」
 
 
1.映画

#028「戦国自衛隊1549」科学技術館サイエンスホール 2005/05/09
#029「炎のメモリアル」日本教育会館一ツ橋ホール 2005/05/10
#030「ミリオンダラー・ベイビー」千代田区公会堂 2005/05/13
#031「ザ・インタープリター」日本教育会館一ツ橋ホール 2005/05/17
#032「四日間の奇跡」よみうりホール 2005/05/18
#033「マイ・ブラザー」よみうりホール 2005/05/24
#034「サハラ/死の砂漠を脱出せよ」九段会館 2005/05/25
#035「フォーガットン」科学技術館サイエンスホール 2005/05/26
#036「ライフ・イズ・ミラクル」よみうりホール 2005/05/31
 
 
2.DVD、CATV等

#049「ドラゴンヘッド」CATV 2005/05/01
#050「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」CATV 2005/05/01
#051「CASSHERN」CATV 2005/05/01
#052「APPLESEED/アップルシード」CATV 2005/05/01
#053「機動戦士ガンダムI」CATV 2005/05/02
#054「バッドボーイズ 2バッド」CATV 2005/05/03
#055「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」CATV 2005/05/03
#056「機動戦士ガンダムII 哀・戦士編」CATV 2005/05/03
#057「マトリックス・リローデッド」CATV 2005/05/04
#058「マトリックス・レボリューションズ」CATV 2005/05/04
#059「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」CATV 2005/05/04
#060「東京ゴッドファーザーズ」CATV 2005/05/05
#061「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル」CATV 2005/05/07
#062「恋する幼虫」HDD 2005/05/07
#063「ハロウィン」HDD 2005/05/08
#064「ブギーマン」HDD 2005/05/08
#065「世界の中心で、愛を叫ぶ」CATV 2005/05/08
#066「エアフォース・ワン」CATV 2005/05/12
#067「花とアリス」CATV 2005/05/12
#068「10ミニッツ・オールダー/イデアの森」HDD 2005/05/16
#069「キューティーハニー」CATV 2005/05/29
#070「10ミニッツ・オールダー/人生のメビウス」HDD 2005/05/30 
 
 
3.読書

#012「さむらいの巣」池波正太郎著 PHP文庫 2005/05/31 
 
 
映画は、劇場9本(累計36本)、DVD等22本(累計70本)で、計31本(累計106本)。
このままのペースで、年間254本(劇場86本)です。

読書は1冊(累計12本)で、このままのペースでは、年間29冊です。

例によって、仕事が忙しく、「2005年の目標」的には非常に厳しい状況となっています。
厳しい状況とは言え、映画についてはおそらく挽回できると思うので、問題はないと思うのですが、読書については、最悪な状況です。先が思いやられる状況で、不安が一杯です。

まあ、先は長いですが頑張ります。



参考)
本年の状況
映画106本(うち劇場36本)
読書12冊

昨年同時期の状況
映画115本(うち劇場32本)
読書18冊

一昨年同時期の状況
映画 126本(劇場37本)
読書 24冊

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2005/05/17 東京神保町「一ツ橋ホール」で「ザ・インタープリター」の試写を観た。

アフリカのマトボ共和国。
独裁的な大統領ズワーニ(アール・キャメロン)が治めるこの国では、民主化を目指す多くの活動家の命が無惨に奪われていた。

シルヴィア・ブルーム(ニコール・キッドマン)は、マトボ共和国の公用語クー語の通訳として5年前からニューヨークの国連本部で働いていた。
ある夜、シルヴィアは国連本部でズワーニ暗殺計画と思われる会話を偶然耳にする。すぐさま当局に通報したシルヴィアだったが、以来彼女の身辺では不穏な動きがつきまとう。
ズワーニ暗殺計画の真偽を確かめるため、シークレット・サービスはトビン・ケラー捜査官(ショーン・ペン)やトッド・ウッズ捜査官(キャサリン・キーナー)らのメンバーを送り込む。
しかしケラーはシルヴィアが何か嘘をついているのではないかと、彼女への疑念を強めていくのだが・・・・。

監督:シドニー・ポラック
出演:ニコール・キッドマン(シルヴィア・ブルーム)、ショーン・ペン(トビン・ケラー捜査官)、キャサリン・キーナー(トッド・ウッズ捜査官)、イェスパー・クリステンセン(ニルス・ラッド)、イヴァン・アタル(フィリップ)、アール・キャメロン(マトボ共和国大統領エドモンド・ズワーニ)、ジョージ・ハリス(クマン・クマン)、マイケル・ライト(マーカス)、ヒューゴ・スピアー(サイモン・ブルーム)

本作「ザ・インタープリター」は、最近俳優や製作としての仕事が多いシドニー・ポラックが満を持して監督したポリティカル・サスペンスの傑作である。
そしてその作風は、かつてのポラック監督作品である「コンドル」や「ザ・ファーム/法律事務所」をも髣髴とさせる、緊迫感と権謀術数に満ちている。
シドニー・ポラック健在と言う印象である。

また本作は、近年客離れが進む荒唐無稽な題材をモチーフにしたスパイ・アクション的な作品ではなく、実際に起こりうる可能性を秘めた、スパイは出てこないものの本格スパイ映画とも言える側面をも持ち合わせている、と言えるのだ。

そしてそのリアリティの付与には、先ずは国連本部で実際に撮影が行われた事による素晴らしいロケーション効果があげられる。

わたし達は国連本部内をニュース映像等で見る機会が多いのだが、その国連本部を実際に使用することにより、その国連本部が持つ緊迫感や抱える暗部、そして国家間の微妙な駆け引きが行われているその空気感を、国連本部の建物を使用することにより、観客に伝える事に成功している。

脚本(チャールズ・ランドルフ、スコット・フランク、スティーヴン・ザイリアン)は、意図的に五里霧中になるように練られており、観客はショーン・ペン演じるケラー捜査官同様、ニコール・キッドマン演じるシルヴィアの行動に疑念を抱く構成をとっている。
また、それに準じて演出も、観客がシルヴィアに疑念を与えるような演出手法がとられている。

あとは特筆すべき点は「ささやき声」を見事な伏線に昇華している点だろう。その伏線の回収には戦慄すら覚える気がした。

さてキャストだが、ショーン・ペンはいちもの通り確かに上手いのだが、ここで首を少し傾けて、ここで少し眉をしかめ、と言うような、演技に計算しつくしたようなモノが見え隠れするような印象を受けた。安心して見ていられるのだが、逆に言うとスリリングなライヴ感が無い、とでも言うのだろうか。

ニコール・キッドマンは勿論良いのだが、キッドマンが持つ「強い女性」のイメージが、今回のシルヴィアと言うキャラクターを考えた場合、脚本上マイナスの効果があるような印象を受けた。他のキャスティングもあったのではないか、と個人的には思えた。

シドニー・ポラックの登場は、予想していたのだが、ポラックの役者としてのキャリアも長い分、良いところを持っていった感がある。
勿論、この映画の背景には「アイズ ワイド シャット」におけるポラックとキッドマンとの共演が根底にあるのだろうと思うが、「アイズ ワイド シャット」そのままのシドニー・ポラックの登場はスタンリー・キューブリックファンとしては、嬉しいものである。

またイェスパー・クリステンセン(ニルス・ラッド役)も強烈な印象を観客に与えるし、アール・キャメロン(マトボ共和国大統領エドモンド・ズワーニ役)やジョージ・ハリス(クマン・クマン役)も国の指導者や革命家として、国連本部と言う舞台背景と比較しても、リアリティ溢れる説得力に満ちたキャラクターを創出している。

本作「ザ・インタープリター」は、普段娯楽大作ばかりを観ている観客には少し難しいかもしれないが、「スパイ・ゲーム」あたりが好きな観客の皆さんには是非オススメの硬派な作品だと言えるだろう。
国家間の様々な問題が紛糾する現代、是非観ておいて欲しい作品である。

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現在、劇場やWEBで公開されている「宇宙戦争」の予告編に関する余談です。
 
 
5月25日(水)
「マイ・ブラザー」の試写の際に上映された「宇宙戦争」の予告編には、火星人のトライポッド(仮称)の外観が判別できるカットが入っていました。
25日以前に劇場で観た予告編でも火星人のトライポッド(仮称)の外観が確認できるカットが入っていました。
そのカットは、おそらく8〜14フレーム程度のカットで、夕映えをバックにトライポッド(仮称)の外観がシルエットで判別できるものでした。

5月26日(木)
「フォーガットン」の試写の際に上映された「宇宙戦争」の予告編には、火星人のトライポッド(仮称)の外観が判別できるカットが入っていませんでした。

5月27日(金)
「宇宙戦争」の日本語版オフィシャル・サイトで公開されている「宇宙戦争」の予告編を確認したところ、火星人のトライポッド(仮称)の外観が判別できるカットは入っていませんでした。

また、apple.comの"MOVIE TRAILERS"で確認したところ、"War of the Worlds"のトレーラーにも、 火星人のトライポッド(仮称)の外観が判別できるカットが入っていませんでした。

因みに、apple.comの"MOVIE TRAILERS"では、5月26日に"War of the Worlds"のトレーラーが更新されていました。

やはり、火星人のトライポッド(仮称)の外観を映画本編公開前に公開するのはまずかったのでしょうか。
余計な事かも知れませんが、いろいろと勘ぐってしまうわたしでした。

因みに、現在の「宇宙戦争」の予告編では、火星人のトライポッド(仮称)の触手や足、頭部のディテイルがものによってはなんとなく判別できるカットが残っています。
 
 
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2005/05/17 東京神保町「一ツ橋ホール」で「炎のメモリアル」の試写を観た。

ジャック・モリソン(ホアキン・フェニックス)は、ボルティモアの消防署に勤務するベテランの消防士。ポンプ隊が放水を開始する前に燃えさかる建物に飛び込み、生存者を救出する事が、ラダー隊(ハシゴ車隊)に所属する彼の仕事だ。

穀物倉庫で発生した大規模な火災の現場に駆けつけたジャックは、12階に取り残された一人の男性を窓からロープで脱出させた直後、爆発に巻き込まれ、数階下のフロアに落下し、けがを負ってしまう。もはや自力での脱出は不可能。仲間の救援を待つあいだ、ジャックの脳裏には、人命救助の熱い志を抱いて消防の仕事に就いた、懐かしい日々の思い出が蘇ってきた。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:ジェイ・ラッセル
脚本:ルイス・コリック
出演:ホアキン・フェニックス(ジャック・モリソン)、ジョン・トラヴォルタ(マイク・ケネディ)、ジャシンダ・バレット(リンダ・モリソン)、ロバート・パトリック(レニー・リクター)、モリス・チェスナット(トミー・ドレイク)、ビリー・バーク(デニス・ゲクイン)、バルサザール・ゲティ(レイ・ゲクイン)、ジェイ・ヘルナンデス(キース・ペレス)

本作「炎のメモリアル」は消防士と言うヒーローを描いた作品ではなく、消防士と言う職業を選んだ普通の男たちと、そして消防士を夫としてしまった女たちを描いた物語なのだ。
登場する全ての消防士は、ハリウッド映画にありがちの常軌を逸した活躍をするヒーローではなく、我々と全く同じ、ただの人間として描かれている点が大変素晴らしい。

この一点で本作「炎のメモリアル」は、「バックドラフト」を凌ぎ「タワーリング・インフェルノ」の高みに近づいた作品だと言えるだろう。

勿論、ハリウッド的大活劇を望む多くの一般大衆にとっては、本作はその点で物足りない地味な印象を与えるのかも知れないが、本作で描かれる消防士は、あくまでも我々と同じように現実社会の中で生活する等身大の人間でしかないのだ。
超人的に大活躍するヒーローではなく、我々の周りにいる普通の人間を描くことが、「911同時多発テロ」以降のアメリカに必要だった訳なのだ。

この辺りは、監督を務めたジェイ・ラッセルのドキュメンタリー作品でのキャリアが活きたのではないか、と思える。
梶のシークエンスでの演出はあくまでもリアリティを追及し、余計な過剰演出は皆無、抑制の効いた孤高な演出が光っている。
普通の消防士が火災に対し普通に対処をしている姿が潔い。

そして、その消防士の後ろには、我々同様家族があるのである。
絶対に死なないヒーロー消防士ではなく、我々同様些細な原因で死んでしまう普通の消防士、そしてその消防士を支える家族。
普通の家族の普通の葛藤が素晴らしい効果をあげているのだ。

また、火災のシークエンスに対し、家庭や消防士の日常を描いたシークエンスの方が尺が長いと思うのだが、その事が人間を描き、観客にジャックの思い出を植え付ける事に成功している。
ジャック(ホアキン・フェニックス)の配属から、リンダ(ジャシンダ・バレット)との出会い、結婚、消防士仲間との楽しい日常、葛藤、そして仲間の死と、ジャックの生涯を描く事により、既に我々観客はジャックの同僚としての記憶を植えつけられてしまっているのだ。

些細な出来事や思い出の数々が、我々観客にカタルシスを感じさせる訳なのだ。

キャストは何と言ってもジョン・トラヴォルタ(マイク・ケネディ)だろう。消防士と言う殉職者が比較的多い職場であるから、葬式のシーンがいくつかあるのだが、後半の葬式シーンは、おそらく映画史に残る素晴らしい葬式シーンになっていると思うのだが、そのシークエンスでのトラヴォルタは最高である。
勿論、冒頭から中盤へとトラヴォルタの見せ場は多いのだが、前述の葬式シーンのトラヴォルタの姿は凄すぎる。

一方ホアキン・フェニックス(ジャック・モリソン)はヒーローではなく、普通の消防士が悩みながらも理想を貫く姿が潔かった。地味な風貌がより効果的だった、と言えるだろう。

あとは、ムード・メイカーであるビリー・バーク(デニス・ゲクイン)や、ある意味ヒール役となるロバート・パトリック(レニー・リクター)も良かったし、発電所で事故に遭うモリス・チェスナット(トミー・ドレイク)も良かった。

そしてジャックの妻を演じたジャシンダ・バレット(リンダ・モリソン)である。消防士の妻と言う、心労が絶えないであろう役柄を静かに、そして激しく演じている。彼女の好演が本作の成功の一因となっているだろう。

余談だが、本作「炎のメモリアル」の消防士の描き方のスタンスは「ライト・スタッフ」の宇宙飛行士の描き方に近い印象を受けた。
そう考えると、「炎のメモリアル」と「バックドラフト」は、「ライト・スタッフ」と「スペースカウボーイ」程の差があると思った。

とにかく本作「炎のメモリアル」は、等身大の消防士を真摯に描いた傑作である。
大活劇を期待する人には期待外れかも知れないが、人生の機微に感じ入る人には絶対のオススメ作品である。

観ろ! そして泣け! なのだ。

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「クローサー」

2005年5月24日 映画
2005/04/28 東京銀座「銀座ガスホール」で「クローサー」の試写を観た。

小説家志望のジャーナリスト、ダン(ジュード・ロウ)はロンドンの街角で、ニューヨークからやって来たばかりの若いストリッパー、アリス(ナタリー・ポートマン)と出会い、恋に落ちた2人は間もなく同棲を始める。
1年半後、処女小説の出版が決まったダンは、訪れた撮影スタジオでフォトグラファーのアンナ(ジュリア・ロバーツ)に一目惚れしてしまう。彼女もダンに惹かれていたが、アリスとの同棲を知って身を引くことに。
半年後、アンナになりすましチャットでいたずらをするダン。ニセのアンナにつられて、水族館のデートに現われた医師ラリー(クライヴ・オーウェン)だったが、彼は偶然そこで本物のアンナと出逢ってしまうが・・・・。

監督:マイク・ニコルズ
原作戯曲・脚本:パトリック・マーバー
出演:ジュリア・ロバーツ(アンナ)、ジュード・ロウ(ダン)、ナタリー・ポートマン(アリス)、クライヴ・オーウェン(ラリー)

本作「クローサー」は「鏡の国」に迷い込んだアリス(ナタリー・ポートマン)の冒険の物語である。
そしてその「鏡の国」では、人々は赤裸々に自分の思いや考えを語り、理性ではなく本能で、自分の思った通りの行動をとる。
そして、当然の如く、自動車は反対側から来る訳だ。

そうなのだ。「鏡の国」に来たばかりのアリスは、自分が「鏡の国」に来ていることに気付かず、いままでの世界にいた時と同じように、交差点で左側の道路を確認したため、反対側から来た自動車に轢かれてしまうのだ。

そしてこの「鏡の国」では、外と中がアベコベで、嘘は本当で、本当は嘘。そしてそこの住人は、隠すべきものをさらけ出し、さらけ出して構わないものを隠してしまうのだ。

この辺については、「鏡の国」に住む主要登場人物の職業が、自分や他者の内面をさらけ出す職業、写真家(アンナ)、小説家(ダン)、医師(ラリー)として設定されているのが強烈に興味深い。
一方、「鏡の国」にやって来たばかりのアリスは、内面をさらけ出す職業ではなく、外見をさらけ出す職業、ストリッパーとして設定されているのが、恐ろしく興味深い。
そして彼女の名前アリスすら、実は自分の内面からではなく、外から調達したものであった事が、狂おしいほどに興味深い。

本作は「アリスの鏡の国の冒険」である、そう考えて、本作「クローサー」を観た場合、従来の印象は一変する。

人のことを考えないで、自分の事だけを考えて行動するアンナ(ジュリア・ロバーツ)、ダン(ジュード・ロウ)、ラリー(クライヴ・オーウェン)等は、おそらく感情移入を拒むいやな人間として描かれ、傷つくアリス(ナタリー・ポートマン)には好意的な印象を受けるのではないだろうか。

しかし、ここ「鏡の国」では、アンナ、ダン、ラリーは最高に正直な人間で、アリスは不正直な人間に見えてしまう訳だ。
 
 
ところで、脚本はセリフの応酬が激しく、なんだか舞台劇を見ているみたいだな、と思ったら本作は本当にパトリック・マーバーの戯曲の映画化作品だった。
表面的には多分多くの観客が満足行く脚本に仕上がっていないような印象を受けるのだが、「鏡の国」の物語だと思った瞬間に、本作の脚本は輝いてくるような印象を受けた。

キャストは、4者とも素晴らしい。
特にナタリー・ポートマンの文字通り身体を張った頑張りは目を瞠るものがある。
またクライブ・オーウェンも良かった。「キング・アーサー」なんかに出てる場合じゃないぞ。

とにかく本作「クローサー」は、あぁ、なんて面白い構造と構成を持った物語なんだろうか。やはり映画って、面白いな、と思わせてくれる素晴らしい作品なのだ。

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2005/05/19 わたしの友人が日本国内にある、とある米軍基地内で「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」を観た。

料金は、たったの5ドルだったそうである。

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2005/04/19 東京九段下「九段会館」で「バタフライ・エフェクト」の試写を観た。

エヴァン(アシュトン・カッチャー)は、ごく普通の少年だった・・・・時折、記憶を喪失(ブラックアウト)してしまうことを除いて。精神科の医師はエヴァンに、治療のために毎日、日記をつけることをすすめる。
やがて時は過ぎ、記憶が失われることの多かった日々はすっかり過去のものとなっていた。
そんなある日、大学生になったエヴァンは、7歳の頃からつけていた日記を見つける。その日記を紐解いたとき、いつしか彼の意識は日記を書いた当日の陽光の中にあった。忘れていたある出来事が鮮明に蘇る。幼馴染みの少女ケイリー(エイミー・スマート)、そしてエヴァンとケイリーが引き裂かれることになった決定的な理由。「君を迎えに来る」・・・・かつてその約束を果たせなかったエヴァンは彼女への思いゆえ、ある選択をするが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督・脚本:エリック・ブレス、J・マッキー・グルーバー
出演:アシュトン・カッチャー(エヴァン)、エイミー・スマート(ケイリー)、ウィリアム・リー・スコット(トミー)、エルデン・ヘンソン(レニー)、メローラ・ウォルターズ(アンドレア)、エリック・ストルツ(ジョージ)

本作「バタフライ・エフェクト」はわたしの期待通りの大変面白い作品だった。何しろ、基本プロットの発想と脚本が面白いのだ。

その基本となるプロットは「現在の状況を変える為に、過去の出来事を変える」と言うもので、物語の方向とダークさは、もしかすると「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」に近いかも知れない。
この辺については、上記「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで主役のマーティ・マクフライ役を演じるところだったエリック・ストルツがキャスティングされているのが興味深い。

また、少年時代のエヴァンがケイリーと別れる際にガラス越しに見せる日記に書かれた言葉("I’ll come back for you.")が、かのタイム・トラベル映画の傑作「ある日どこかで」における、映画史に残るであろう名台詞("Come back to me.")を髣髴とさせる辺りが最高に格好良い。

そして、本作の構成は言ってみれば前述の「ある日どこかで」のプロットの裏返し的発想を基にしているような気もする。
「彼女の元へ戻っていく物語」か、「彼女を迎えに行く物語」か、と言うことなのだ。

そして、ラストのエヴァンの行動が、身悶えするほど恐ろしくも悲しい。

余談だが、邦画の話題作で、名作映画のプロットの表面的な引用(パクリ)をリスペクトである、オマージュであると臆面もなく言い放つ製作者に見て欲しいと思った。

リスペクトやオマージュは作品に対する敬意が表れた気持ちであり、決して作品のプロットや表層をいただく事ではないのだ。

キャストは、本作のコンセプトがそうである以上、複数の役柄を演じることを余儀なくされる訳で、アシュトン・カッチャー(エヴァン)、エイミー・スマート(ケイリー)、ウィリアム・リー・スコット(トミー)、エルデン・ヘンソン(レニー)等は、芸達者振りを見事に発揮している。
勿論、短い尺の中で複数の役柄を演じる訳であるから、彼らが演じるキャラクターはより記号的、よりステレオタイプ的にならざるを得ないとは思うのだが、そのキャラクターの背景にある過去をも見通せるところまで観客に感じさせてくれていた。

特にエイミー・スマートの変貌振りは目を瞠るものがあった。

また彼ら4人の少年時代を演じる子役も芸達者な子役が揃い、4人の背景となる部分を見事に補完していた。

脚本は前述のように大変面白く、転がり始めた小さな石ころがだんだんと大きくなり、物語は破滅へ向って邁進するのだが、その破滅を回避すべくエヴァンがとった真摯で孤高な行動が最高に悲しい。

この辺りは「エターナル・サンシャイン」と比較すると面白いかもしれない。

監督・脚本のコンビは、「デッド・コースター」の原案・脚本のエリック・ブレスとJ・マッキー・グルーバー。
本作は、彼らの情熱が見事に結実した良質の作品だと言えるだろう。

とにかく、本作「バタフライ・エフェクト」は、勿論複雑な物語ではあるのだが、小難しいタイムトラベルやタイムパラドックスの理屈なしに、運命とその運命に立ち向う姿を情感たっぷりに描いている。
観客を選ぶかもしれないが、多くの観客に是非劇場に足を運んでいただきたい素晴らしい作品に仕上がっているのだ。

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2005/04/25 東京新宿「東京厚生年金会館」で「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」の試写を観た。

ボードレール家の三姉弟妹、長女のヴァイオレット(エミリー・ブラウニング)は、並外れた知恵とひらめきで様々な発明をこなす14歳の天才発明家。長男のクラウス(リーアム・エイケン)は本の虫で、普通の人が一生かかっても読みきれない量の本をすでに読破している。末っ子のサニー(カラ・ホフマン、シェルビー・ホフマン/二人一役)は、どんなものでも噛みついたら離さない女の子。

ある日三姉弟妹が海辺で遊んでいたところ、自宅が原因不明の火事に遭い、両親は莫大な遺産と謎を残し、焼け死んでしまう。
身寄りのない三姉弟妹は、遠縁だがたまたま近くに住んでいた親戚のオラフ伯爵(ジム・キャリー)の元へ。
しかし、オラフ伯爵の目的は、自分たちに残された両親の遺産だった。

監督:ブラッド・シルバーリング
原作:レモニー・スニケット
出演:ジム・キャリー(オラフ伯爵)、メリル・ストリープ(ジョセフィーンおばさん)、エミリー・ブラウニング(ヴァイオレット・ボードレール)、リーアム・エイケン(クラウス・ボードレール)、カラ・ホフマン(サニー・ボードレール)、シェルビー・ホフマン(サニー・ボードレール)、ティモシー・スポール(ミスター・ポー)、ビリー・コノリー(モンティおじさん)、キャサリン・オハラ(ストラウス判事)、ダスティン・ホフマン(ノン・クレジット)
声の出演:ジュード・ロウ(レモニー・スニケット)

本作「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」は、卓越したビジュアル・イメージの下、見事に構築された素晴らしい世界観が楽しめるファンタジー作品である。
そして、その物語は世界中でベストセラーを続ける児童書「世にも不幸なできごと」シリーズ。

キャストだが、ヴァイオレットを演じたエミリー・ブラウニングは「ビートルジュース」のウィノナ・ライダーや、「アダムス・ファミリー」のクリスティーナ・リッチ等を髣髴とさせる存在感と趣と暗さを兼ね備え、わたし的、今後が楽しみな女優の一人にピックアップさせていただいた。
「ハリー・ポッターと賢者の石」シリーズのエマ・ワトソンとは対極的な印象を受け、ダークな感じに好印象を受けた。

クラウス役のリーアム・エイケンは、まだキャラクターの記号化があまり進んでいないキャラクターを静かに演じている。

サニー役のカラ・ホフマンとシェルビー・ホフマンは、噛みつくという特徴が今回の脚本ではあまり生かされていないような印象を受けるが、名前にふさわしい素晴らしい笑顔と、それに似つかわしくない高度なレトリックにより、つかみはバッチリだろう。
ところで、この双子、ダスティン・ホフマンのカメオを考えると、彼の孫とかなんかの血縁者なのだろうか。

そしてオラフ伯爵を演じたジム・キャリーだが、最近控えめな役柄が多いせいもあるのだろうが、従来のワンマン的なオーバーアクト振りは抑え目で、他の役者、例えばメリル・ストリープ等と同程度のオーバーアクトだった。
本作のジム・キャリーは、バランス感覚に富んだオーバーアクトだと言えるだろう。勿論、本作の物語を考えた場合、必然的にオーバーアクトが求められるし、オーバーアクトにならざるを得ないのだが、本作では他の役者の演技を視野に入れた、おとなしいオーバーアクトが楽しめる。
感覚的には、レトロ・フューチャー的な美術センスとも相まって「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのクリストファー・ロイドに近いような印象を受けた。

一方メリル・ストリープは、最近コメディ付いているようで、「ふたりにクギづけ」のラスト同様、楽しげに演じているのが見て取れる。ダスティン・ホフマンはともかく、メリル・ストリープともなれば、使いづらい女優の一人だと思うのだが、本作でそれが払拭されるのではないか、とも思える印象を受けた。
「永遠に美しく・・・」並みの怪演かも知れない。

そして特筆すべき点は、なんと言っても美術(リック・ハインリクス)と衣裳(コリーン・アトウッド)だろう。
卓越したデザインに基いた素晴らしい世界観の構築に成功している。デザインと言うか、発想が素晴らしい。

感覚的には「バロン」や「ジャイアント・ピーチ」的な印象を受けた。

脚本(ロバート・ゴードン)は、長大な物語からところどころをピックアップした感が否めず、章立てしている感があった。
いっその事、きっちりチャプターをつけた方が面白かったのではないか、と思った。

また、サニーのセリフには、日本語字幕と英語字幕が同時につくのだが、そのサニーの英語字幕のセリフはレトリックに富んだ非常に面白い表現の目白押しであった。
例えば、ボードレール家の三姉弟妹の庇護者となる人々、例えばモンティおじさん(ビリー・コノリー)やジョセフィーンおばさん(メリル・ストリープ)がちょっとイカレていることを、サニーはただ単に「あの人イカレているわよ」と言うのではなく「あの人、イカレた街の市長さんだわ」的な表現を使っているのである。こんなダークで、それでいてウィットに富んだセリフが楽しめる脚本に仕上がっているのである。

音楽(トーマス・ニューマン)は、冒頭のテーマが画面とマッチして最高である。冒頭のテーマは、最近テレビ番組のBGMとかジングルとかで使用されているが、非常に印象的である。

とにかく本作「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」は、卓越した素晴らしい世界観と、ジム・キャリーをはじめとした曲者のオーバーアクトを楽しむ作品であるのだろう。
観客を選ぶ作品であると思うのだが、将来の俳優の芽を確認する上でも、是非観ていただきたい作品ではある。

余談だが「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」の邦題はどうだろうかと思う。レモニー・スニケットと言うのは作者の名前な訳で、勿論作者が本編にも登場しているのだが、観客に対して不親切な印象を受けた。
観客の多くは、レモニー・スニケットが一体何物なのか不思議に思っているのではないだろうか。

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2005/05/08 WOWOWで「世界の中心で、愛をさけぶ」を観た。

基本的にわたしは、テレビやDVDで観た作品のレビューを書くつもりはないのだが、日本映画界の流れの中に「世界の中心で、愛をさけぶ」を置いた場合、いくつか気になる点が出てきてしまった。

と言うと、どう考えても批判的な内容になってしまうのですが、本作「世界の中心で、愛をさけぶ」は日本中の数多くの観客が涙し、そして多くの人々が愛した作品だという事を考えつつ、つらつらとお話したいと思う次第でございます。

監督:行定勲
脚本:坂元裕二、伊藤ちひろ、行定勲
出演:大沢たかお(松本朔太郎)、柴咲コウ(藤村律子)、長澤まさみ(広瀬亜紀)、森山未來(サク・高校時代の朔太郎)、山崎努(重蔵)、宮藤官九郎(大木龍之介)、津田寛治(ジョニー)、高橋一生(高校時代の龍之介)、菅野莉央(少女時代の律子)、杉本哲太(亜紀の父)、古畑勝隆(高校時代のジョニー)、天海祐希(朔太郎の上司)、木内みどり(朔太郎の母)、森田芳光(映画監督)、田中美里(少女・律子の母)

■柴咲コウの起用
原作は寡聞にして読んでいないのだが、聞くところによると、柴咲コウが演じたキャラクター藤村律子は原作には登場しないらしい。
原作の帯の紹介文を書いたのが柴咲コウと言うこともあり、小説のヒットと映画化への功労者的意味合いで、本作の映画化にあわせ、藤村律子と言うキャラクターが大人の事情で創出され、脚本に組み込まれたのではないか、とわたしは思う。

多分この辺りは製作サイド主導で、藤村律子と言うキャラクターの役柄の大きさが決まっていったのではないか、とわたしは思うのだ。

と言うのも、物語上、藤村律子と言うキャラクターの動きがおかしいのである。
これは深読みすると、行定勲の製作サイドへのささやかな反抗なのかも知れないのだが・・・・。



つづく・・・・。
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2005/04/13 東京九段下「九段会館」で「ドッジボール」の試写を観た。

ピーター・ラ・フルール(ヴィンス・ヴォーン)が経営する地域密着型零細スポーツジム「アベレージ・ジョー」は、最新設備を擁するフィットネスジム「グロボ・ジム」に客を奪われ経営難に陥っていた。

グロボ・ジムの強欲経営者ホワイト・グッドマン(ベン・スティラー)は、そこにつけ込み「アベレージ・ジョー」の買収に乗り出し、弁護士ケイト(クリスティーン・テイラー)をアベレージ・ジョーに送り込む。そしてついに、30日以内に滞納している5万ドルを支払わないとアベレージ・ジョーは潰され、グロボの駐車場に姿を変えてしまうことになってしまう。

途方に暮れるピーターは、ラスヴェガスで開催されるドッジボール大会の優勝賞金5万ドルに最後の望みを託し、冴えないジムの仲間たちとドッジボール・チームを結成、謎のカリスマ・コーチのパッチーズ・オフリーハン(リップ・トーン)指導の下、優勝目指して特訓を開始するが・・・・。

監督:ローソン・マーシャル・サーバー
製作:スチュアート・コーンフェルド、ベン・スティラー
出演:ヴィンス・ヴォーン(ピーター)、クリスティーン・テイラー(ケイト)、ベン・スティラー(ホワイト)、リップ・トーン(パッチーズ)、ジャスティン・ロング(ジャスティン)、スティーヴン・ルート(ゴードン)、ジョエル・デヴィッド・ムーア(オーウェン)、クリス・ウィリアムズ(ドゥワイト)、アラン・テュディック(スティーブ・ザ・パイレーツ)、ミッシー・パイル(フラン)、ゲイリー・コール(コットン・マックナイト/実況アナウンサー)、ジェイソン・ベイトマン(ペッパー・ブルックス/解説者)、ハンク・アザリア(パッチーズ/若い頃)、ランス・アームストロング(バーの男)、チャック・ノリス(審判員)、デヴィッド・ハッセルホフ(ドイツ・コーチ)、ウィリアム・シャトナー(大会委員長)、ジュリー・ゴンザロ(アンバー)、エイミー・スティラー(ウェイトレス)
 
 
全米No.1と言うのは伊達ではなく、本作「ドッジボール」は、はっきり言って最高に面白い。

先ずは、何につけてもプロデューサーをもつとめたベン・スティーラー(ホワイト)の怪演が凄すぎる。やりたい放題なのだが、それが全てツボにはまった怪演で、観客の期待を見事に受け止めている。
冒頭のCF(CM)から始まり、ラスト(クレジット後)の驚愕のカットまで、全く素晴らしい。

そして、達観し、飄々とした、ある意味得体の知れない役柄であるピーターを演じたヴィンス・ヴォーンとの対比が大変素晴らしい効果をあげている。

本作は、ベン・スティーラー製作作品なのだから、ホワイトとピーターの役柄を入れ替える手もあったと思うのだが、やはりこのキャスティングが良い効果をあげている。

ヴィンス・ヴォーンの得体の知れないキャラクターは、クライマックス直前の賄賂関連のシークエンスに顕著であろう。

しかし、そんなお莫迦なベン・スティーラーの奥さんが、本作でキュートなヒロインを演じたクリスティーン・テイラーだと言うのが、なんだか釈然としないのだ。

クリスティーン・テイラーについては、全編キュートな魅力全開なのだが、冒頭付近のホワイトとケイトのセクハラまがいのシークエンスも夫婦の演技だと考えると、また違った印象をも受けてしまう。

また、ホワイト・チームのロシア女性フランを演じたミッシー・パイルも良い味を出している。彼女は「ギャラクシー・クエスト」でも印象深いサーミアン人を演じており、濃いキャラクターが少しばかり多いような気がするのだが、本作のキャラクターははまり役だろう。

更に、アベレージ・ジョーのチームのメンバーは、ゴードン(スティーヴン・ルート)にしろスティーブ(アラン・テュディック)にしろ、オーウェン(ジョエル・デヴィッド・ムーア)にしろ、ドゥワイト(クリス・ウィリアムズ)にしろお約束どおりの濃いキャラクター設定が楽しいし、ジャスティン(ジャスティン・ロング)にいたっては、最早別の青春映画のような印象すら感じてしまう。

また、リップ・トーン(パッチーズ)の起用が嬉しいし、ベス・スティーラーに負けず劣らずの怪演が楽しい。

脚本はお約束通りの、観客の期待通りのものなのだが、クライマックス直前からの展開は所謂ハリウッド映画へのアンチテーゼ的なベクトルを持っているのが評価できる。

また、ウィリアム・シャトナーにしろ、チャック・ノリスにしろ、ランス・アームストロングにしろ素晴らしいカメオが楽しめる。特に自転車乗りとしてはランス・アームストロングの登場に驚愕なのだ。

とにかく、本作「ドッジボール」はコメディの王道的な作品であり、また所謂ハリウッド映画に対する反骨精神にも富んだ素晴らしい作品に仕上がっている。
この時期、是非劇場で観ていただきたい作品なのだ。

☆☆☆★ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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さて、早速ですが2005年の目標の中間発表その4です。

とりあえず目標の再確認を・・・・

目標第一弾 「映画を300本観るぞ!!」(DVD等含む)
目標第二弾 「本を100冊読むぞ!!」
 
 
1.映画

#021「スパイダー・フォレスト/懺悔」科学技術館サイエンスホール 2005/04/01
#022「インファナル・アフェアIII/終極無間」ヤクルトホール 2005/04/06
#023「ドッジボール」九段会館 2005/04/13
#024「コンスタンティン」九段会館 2005/04/14
#025「バタフライ・エフェクト」九段会館 2005/04/19
#026「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」東京厚生年金会館 2005/04/25
#027「クローサー」銀座ガスホール 2005/04/28
 
 
2.DVD、CATV等

#039「スター・ウォーズ/新たなる希望」DVD 2005/04/10
#040「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」DVD 2005/04/11
#041「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」DVD 2005/04/12
#042「未来世紀ブラジル」DVD 2005/04/16
#043「ジャイアンチ・ピーチ」DVD 2005/04/16
#044「地球の静止する日」DVD 2005/04/17
#045「グッバイ、レーニン!」CATV 2005/04/20
#046「愛と青春の旅立ち」CATV 2005/04/21
#047「ジョゼと虎と魚たち」CATV 2005/04/21
#048「水蒸気急行(短編)」HDD 2005/04/30 

 
3.読書

#010「最悪」奥田英朗著 講談社文庫 2005/04/11
#011「終戦のローレライII」福井晴敏著 講談社文庫 2005/04/29 
 
映画は、劇場7本(累計27本)、DVD等10本(累計48本)で、計17本(累計75本)。
このままのペースで、年間225本(劇場81本)です。

読書は2冊(累計11本)で、このままのペースでは、年間33冊です。

例によって、仕事が忙しく、「2005年の目標」的には非常に厳しい状況となっています。
厳しい状況とは言え、映画についてはおそらく挽回できると思うので、問題はないと思うのですが、読書については、最悪な状況です。先が思いやられる状況で、不安が一杯です。

まあ、先は長いですが頑張ります。

参考)昨年同時期の状況
映画87本(うち劇場23本)
読書16冊

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2005/03/31 東京丸の内「森ビルホール」で「Shall we Dance?<シャル・ウィ・ダンス?>」の試写を観た。

シカゴの弁護士、ジョン・クラーク(リチャード・ギア)は穏やかな人柄でオフィスの人気者。家庭には良き妻ビヴァリー(スーザン・サランドン)とジェナ(タマラ・ホープ)とエヴァン(スターク・サンズ)が待っている。すべてが満たされているはずの彼だが、心のどこかに空しさがつきまとっていた・・・。

そんなある日、通勤電車からぼんやりと外を眺めていたジョンは、ダンス教室の窓辺にたたずむ美しい女性ポリーナ(ジェニファー・ロペス)の姿に目を留める。彼女は何を憂い、何を探して窓の外をみつめているのか?

その答えが知りたい衝動を抑えきれなくなったジョンは、ついに電車を途中下車し、ダンス教室へと足を踏み入れるが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:ピーター・チェルソム
原作:周防正行
出演:リチャード・ギア(ジョン・クラーク)、ジェニファー・ロペス(ポリーナ)、スーザン・サランドン(ビヴァリー・クラーク)、スタンリー・トゥッチ(リンク・ピーターソン)、ボビー・カナヴェイル(チック)、リサ・アン・ウォルター(ボビー)、オマー・ミラー(ヴァーン)、アニタ・ジレット(ミス・ミッツィー)、リチャード・ジェンキンス(ディバイン探偵)、タマラ・ホープ(ジェナ・クラーク)、スターク・サンズ(エヴァン・クラーク)、ニック・キャノン(スコット)

本作「Shall we Dance?<シャル・ウィ・ダンス?>」は、周防正行の「Shall We ダンス?」の驚くべきほど忠実なリメイク版である。

しかしながら、同じ物語を物語っていながらも、日米の文化差異を考えた場合、例えば電車通勤が意味する事柄は違うだろうし、日米の元来の食文化と言うか民族性の差異(極端に言うと狩猟民族と農耕民族との差異)により観客に与えるであろう微妙なニュアンスが異なるのが興味深かった。

特にヒロイン役が草刈民代からジェニファー・ロペスになった事により、本作はやはり肉食文化の国の映画だな、と言う印象が否定できない。

キャストはなんと言っても周防正行版「Shall We ダンス?」で竹中直人が演じた役柄を担ったスタンリー・トゥッチだろう。
竹中直人が演じたコミック・リリーフ的な役柄をほぼそのまま演じているのだが、大きな違いとしては、スタンリー・トゥッチは何しろ格好良いのだ。

日本国内では竹中直人の演技は最早飽きが来ている状況だが、スタンリー・トゥッチはその演技スタイルを踏襲しつつも、ダンディに格好良く魅せてくれるあたりが大変素晴らしい。
仮に「シコふんじゃった。」をハリウッドがリメイクするような事態になった場合、竹中直人の役は是非スタンリー・トゥッチに演っていただきたいと切に願う次第なのだ。

あとはスーザン・サランドンの起用が効果的だった。
周防正行版では原日出子が演じた主人公の妻役なのだが、名女優スーザン・サランドンの起用により、役柄がふくらみ、リチャード・ギアの物語を旋律と捉えるならば、スーザン・サランドンのそれは見事な対旋律を醸し出している。

またスーザン・サランドンと絡むリチャード・ジェンキンスも良い味を出していた。周防正行版では柄本明がこの役柄を演じていたのだが、リチャード・ジェンキンスはある意味、この物語の影の功労者と言える役柄を見事に演じている。

本作の基本コンセプトは「電車から降りる事」つまり「敷かれたレールから自らの意志で逸脱する事」を描いているのだが、物語の登場人物それぞれが、自らが敷いたレールを結果的に自らの意志で逸脱する事を選択している。
周防正行版では「電車から降りる」と言う事を明確に描いていなかったような気がするのだが、本作では、しつこいほどに電車の描写(例えば電車の視点から線路を撮影するカット)を行う事により、敷かれたレールからの逸脱を明確に語っているのだ。

そのあたりから考えても、本作は良い意味のリメイク作品だと言えると思う。

また、リチャード・ギア演じる主人公の職業が、役所広司の経理課長から弁護士に変わっているところが興味深い。
これは、冴えない事務職から、ある意味アッパークラスである弁護士に主人公の職業が変わっており、周防正行版の小市民のささやかな楽しみであった社交ダンスが、ある程度の名声と幸せを得たリチャード・ギアが、それ以上の幸せを望む物語になっている点が興味深いのである。
この辺が、オリジナル版とリメイク版の最大の相違点ではないか、と個人的には思ってしまうのだ。

その辺に目をつぶれば本作「Shall we Dance?<シャル・ウィ・ダンス?>」は大人の鑑賞に堪えうる素晴らしいファンタジー作品に仕上がっていると言える。
周防正行版「Shall We ダンス?」を知っている人も知らない人も、是非劇場で観ていただきたい作品だと思うのだ。

そして、本作「Shall we Dance?<シャル・ウィ・ダンス?>」を、自分がひいたレールを逸脱するひとつの転機として活用していただければ幸いだったりするのだ。

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