「さくらん」

2007年4月2日 映画
2007/04/01 東京池袋「シネ・リーブル池袋」で「さくらん」を観た。

真っ赤な金魚たちが宙を泳ぐ大門をくぐると、そこは華やかな吉原遊郭。
桜が満開の中、遊郭『玉菊屋』に連れてこられた8歳の少女は、きよ葉と名付けられた。

しかし、向こう意気が強いきよ葉は脱走を試みて捕まり折檻を受ける。そんなきよ葉に店番の清次は、決して咲くことのない吉原の桜の木に花が咲いたら俺が出してやるとなぐさめる。

やがてきよ葉は、美貌も知性も兼ね備えた完璧な花魁・粧ひが面倒を見ることに。それでも脱走をやめようとしないきよ葉だったが、粧ひの挑発に乗せられ、自分も花魁になってやると啖呵を切るのだった。

監督:蜷川実花
原作:安野モヨコ 「さくらん」(講談社刊)
脚本:タナダユキ     
撮影:石坂拓郎
美術:岩城南海子
出演:土屋アンナ(きよ葉・日暮)、椎名桔平(倉之助)、成宮寛貴(
惣次郎)、木村佳乃(高尾)、菅野美穂(粧ひ)、永瀬正敏(光信)、美波(若菊)、山本浩司(大工)、遠藤憲一(坂口)、小池彩夢(幼ききよ葉)、山口愛(しげじ)、小泉今日子(お蘭)、石橋蓮司(楼主)、夏木マリ(女将)、市川左團次(ご隠居)、安藤政信(清次)

先ず思ったのは、本作「さくらん」と「マリー・アントワネット」(2006)との共通点である。

1.コスチューム・プレイ(時代劇・歴史劇)である。
2.現代文化・現代音楽をフィーチャーしている。
3.美術・衣装が絢爛豪華である。

そして、本作「さくらん」の根底にあるのは、おそらく多くの観客が感じたように、シェークスピア悲劇「ロミオとジュリエット」である。
特に日暮と清次が月を眺めるシークエンスは「ロミオとジュリエット」のシークエンスそのものである。

と考えた場合、ラストのシークエンスの現実離れした風景は、果たして本当の事なのだろうか、と思えてならない。
感覚的には「未来世紀プラジル」(1985)のラストをも彷彿とさせる。

また、ラスト近くの猫が金魚を襲うシークエンスは、「ロミオとジュリエット」のラストのような悲劇性を観客に示唆するために存在するのだが、その伏線は既に語られており、蛇足ですらある。

絢爛豪華な衣装と美術、またそこに現れる色彩設計は非常に印象的で素晴らしい。

一方、何度か繰り返される花魁道中のシークエンスはあまりにもアップ過ぎて、非常に残念な印象を受けた。
余談だが、「日光江戸村」の花魁道中が、ショーとして大変素晴らしいだけに、映画がそのダイナミズムや繊細さを再現できていないのは、非常に残念な印象を受けた。

機会があれば、是非「日光江戸村」の花魁道中を観て欲しいと思う。

監督の蜷川実花は写真家と言う事もあり、画作りと色彩に長けているが、演出については順当で、真っ当な印象を受ける。

クセのある俳優の演技バトルは非常に面白いのだが、主演の土屋アンナは微妙である。何しろ声が出ていないのだ。また怒鳴り過ぎで声が潰れているような印象すら受ける。

あと驚いたのは、花魁役の3女優(菅野美穂、木村佳乃、土屋アンナ)の脱ぎっぷりと言うか濡れ場が印象的だった。

俳優陣は、椎名桔平、成宮寛貴、石橋蓮司が良かったが、安藤政信が特に良かった。良い俳優になってきたものである。

あと興味深かったのは、直接の共演は無いのだが、永瀬正敏と小泉今日子がキャスティングされている点や、庵野秀明や忌野清志郎のカメオである。

まあとにかく、観るべきものは多々ある作品だと思うので、是非劇場に足を運んでいただきたいと個人的には思う。     

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
キヤノンのハイビジョンデジタルビデオカメラ「iVIS HV20」の広告戦略が面白い。

と言うのも、キヤノン「iVIS HV20」以前のハイビジョンの画質クオリティの基準となっていたのは、垂直画素数(垂直方向の走査線数/縦の走査線の数)だったのだが、「iVIS HV20」の広告では、水平画素数(水平方向の走査線数/横の走査線の数)をフィーチャーしているのだ。

ソニーのフルハイビジョンデジタルビデオカメラ「HDR-HC7」の広告には「FULL HD 1080」と言う表記が見てとれる。
これは、垂直画素数が1080ある、と言う事である。

また、ハイビジョンテレビでも、垂直画素数が、ハイビジョンのクオリティを表す指標として一般的である。
皆さんも、720pとか、1080iとか言う表記を見た事があると思う。
これは全て垂直画素数の数を示しているのだ。

一方、キヤノンの「iVIS HV20」広告には、なんと「FULL HD CMOS 1920×1080」と言う表記が見て取れる。
ついでに、赤ちゃんが出てくるCF(CM)では、1920と言う数字が大画面で表示されてしまっている。

ここで考えなければならないのは、一般の視聴者が、キヤノンの「iVIS HV20」(「FULL HD CMOS 1920×1080」)とソニーの「HDR-HC7」(「FULL HD 1080」)の広告を見て、どう思うか、と言う事である。

そして、従来からのハイビジョンのクオリティを表していた基準である垂直画素数の土俵に、今までの基準との差を明確にせず、水平画素数を新たな基準として殴り込んできたのである。

単純に考える多くの視聴者は、ただ単純に違う基準である、1920と言う数字と、1080と言う数字を比較してしまうのではないか、と思えてならない。

余談だが、ソニーの「HDR-HC7」は、2848本×1602本の走査線情報をもとに1920×1080のハイビジョン映像を作り出している。

またキヤノンの「iVIS HV20」は、CMOSセンサーによって1920×1080で読み出した信号を1440×1080にリサイズしている。

何か、間違いがあったら、ご指摘お願いします。

2007/03/30追記
なんとVictor Everio GZ-HD7 も、Full Hi-Vosion 1920×1080 で広告をうっている。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
さて今日は「ロボコン」のお話。

「ロボコン」(2003)の長澤まさみちゃん(TM)が可愛いとか、「シコふんじゃった。」(1991)と構成が全く同じだとか、そんなお話ではなく、今日は「ロボコン」自体のお話。
 
 
わたしの記憶が正しければ・・・・

「ロボコン/ロボット・コンテスト」の前身と言うか発端は、日本国内では1980年にスタートした「マイクロマウス競技会」だったのではないかと思う。

マイクロマウス競技とは、ロボットによる競技で、迷路の四隅のいずれかに設定されたスタート地点から、迷路中央のゴール地点まで、いかに短い時間で走ることが出来るかを競う競技であり、ここで言うロボットとは、完全自立型知能ロボットなのである。

現在も協賛企業として名を連ねているナムコのマッピーとニャームコが、迷路の中をデッドヒートするデモンストレーションが行われていたような記憶もある。

そして当初の「ロボコン」(第一回大会は1988年)は「マイクロマウス競技会」に自立型知能ロボットの競技だった記憶があるのだが、どうだろうか。

と言うのも最近の「ロボコン」は「ロボットコンテスト」と言うより「ロボット・コントロール・コンテスト」の様相を呈しているような気がするのだ。

完全自立型知能ロボットと言えば、アトムとかドラえもんとかそんなロボットであり、自らが判断して行動するロボットである。

しかし「ロボコン」に出てくるロボットは、古くは鉄人28号とかマジンガーZだとか、ガンダムみたいなロボットで、自らは一切判断も行動もしない、人間がコントロールしないと全く動けないロボットなのだ。

わたしの記憶では、昔の「ロボコン」はスタートしたら一切人間が介入できない競技だった気がするのだ。

つまり人間が出来るのはロボットの製作とプログラムまでで、実際の競技はロボットが自分で考えて自分で行動する競技だったような気がするのだ。

もし、そうだった場合、最近の「ロボコン」は何だか違った方向へ進んでいるような気がする。

ロボットをコントロールする技術が重要な競技より、ロボットが自分で考えて行動するためのプログラムが重要な「ロボコン」の方が圧倒的に面白いんじゃないかな、と真剣に思う。

「ロボコン」(2003)で行われたような箱を積み上げる競技を、人間がコントロールするロボットではなく、自分で考えて自分で行動するロボットが行っていたとしたら、どんなに面白く、刺激的で、すばらしい大会になるのではないか、と思えてならない。

※ 多分そんなのできないよ、と思う人もいると思うのだが、問題はレギュレーションの問題であり、完全自立型知能ロボットが出来るギリギリのレギュレーションで大会を開催すれば良いのである。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php/29604
わたしの地元のスーパーでは、毎週土曜日に「ニンテンドーDS Lite」の、毎週日曜日に「Wii」の抽選販売が行われている。
余談だけど、毎週毎週抽選販売を行うことが出来ると言うことは、結構力を持ったスーパーなのだろうと思う。

ところで、先日の知り合いのホームパーティで、初「Wii」体験
http://diarynote.jp/d/29346/20070127.html
をはたしたわたしは「Wii」のコンセプトと楽しさに驚き、その後、任天堂の岩田社長の「2006/09/14 Wii Preview」のプレゼンテーション
http://www.nintendo.co.jp/wii/topics/wii_preview/index.html
を見て、なんだか知らないが気持ちが盛り上がったわたしは、「Wii」の抽選販売に挑戦することにした。

以前「ニンテンドーDS Lite」を購入した際
http://diarynote.jp/d/29346/20060503.html
にもお話したように、わたしはくじ運が強い方なので、抽選に外れるような事は一切想定していなかった。

ところで、「Wii」についてだが、現在でも金を積めば手に入れることは出来るし、都内でも例えば土日に量販店の前をうろうろしていれば、運がよければ緊急入荷の「Wii」を購入できる。

また、アジア方面への転売目的で多数の「Wii」が買い占められ、また、緊急発売の「Wii」狙いで、量販店で「Wii」を並んで購入するアルバイトまである、と言う始末なのだ。
 
 
さて、本題だが、前回の「DS Lite」の抽選販売同様、10:15抽選券配付締切、10:30抽選開始と言う情報が出ていたので、わたしは10:00頃に抽選券配付場所に到着した。

例によって当選確率を高めるべく家族連れはもちろん、おじいちゃんおばあちゃんまで連れた親子三代が並んでいるような家族や、生後間もない赤ん坊まで動員して確率を高めている家族が多々いた。

今回は10:15の時点で、180枚程度の抽選券が配付されたようだった。
で、「Wii」発売数は36台、つまり36/180に入れば購入できると言う計算である。(20.0%)

余談だが、前回わたしが「DS Lite」を購入した際は、101/380であった。(26.6%)

まあ、予想通りだが、結局のところわたしは当選した。
因みに、全体で8人目の当選だった。

腕を振り回しすぎて筋肉痛である。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php/29604
2007/01/23にリリースされた北米版の「フリクリ」DVD-BOX("FLCL - Ultimate Edition DVD Collection")を注文していたのだが、本日2007/02/02に到着した。

「フリクリ」の国内版DVD-BOXはDVDが3枚で19,950円もするのだが、北米版はDVDが4枚で送料込みで$54.97だった。

1USドル=121円として6,651円である。
やっぱ、日本のDVDは高いな、と思ってしまう。

北米版はいろいろおまけもついてくるしね。
 
 
さて、「フリクリ」についてだが、この作品については以前から複数の人に薦められていたこともあり、いずれ見たいな、と思っていたのだが、国内版のDVD-BOXは高いし、DVDをレンタルする習慣もないので、どうしようかな、と思っていたのだが、今回北米版DVD-BOXが、本体価格$48.99でAmazon.comで予約販売されていたので、試しに買って見ることにした訳だ。

6,000円程度だったら、もしつまらなければ、どこかに売り飛ばせば良いや、と言う気持ちもあった。
 
 
現在のところ、第4話までしか見ていないのだが、描写もさることながら、脚本が非常に面白い。
練りに練られている(と思われる)脚本がカッチリときまっているのだ。

もちろんアニメーションが持つ、イマジネーションの爆発的な描写は、クリエイティブなココロを刺激してやまない。

第五話、第六話に乞ご期待なのだ。
オマケDVDもあるしね。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php/29604
先ずお断りだがわたしは熱心な格闘技ファンではない。

テレビで格闘技番組をたまたま見かけると、ちょっと見入ってしまう程度で、わざわざあの試合を見たいだとか、この試合は見逃せない、とか言う気持ちはほとんどない。

とは言うものの、例えば大晦日に行われる格闘技番組なんかは、気が付いたらテレビの前で握りこぶしをつくってしまっているようなことが多々ある。
 
 
ところでわたしは格闘ゲーマーだった。

一番はまっていたのは「バーチャファイター」「バーチャファイター2」「バーチャファイター3」と「鉄拳2」「鉄拳3」あたりだと思う。

特に「バーチャファイター2」の時代(1994年)には、東京都内で行われていたロケテストを追っかけ、都内各地に出没していたりした。

「鉄拳」シリーズでは38連勝、「バーチャファイター」シリーズでは28連勝したのが最高だったと思う。
 
 
そんな経験の中で思うのは、多くの格闘ゲーマーには美意識がある、ということである。

例えば、ウルフだったらジャイアントスイングで、ジャッキーだったらサマーソルトキックで、晶だったら鉄山靠とか心意把で勝てということである。

へなちょこな技でしか勝てないのであれば、それは負けである。
「勝はなくても鉄山靠」なのだ。

とは言うものの世の中には、しゃがみ状態で、ローキックや下段パンチとかでちくちく攻めてくるプレイヤーが数多くいる。

そんな奴等は、立ったままお仕置きするのが正しい格闘ゲーマーの作法なのだ。
 
 
さて、話は2006年の大晦日に行われた格闘技イベントなのだが、そんな格闘ゲーマーにとってはらわたが煮えくり返るような試合がいくつかあった。
一番酷かったのは、魔裟斗VS鈴木悟の試合である。

「ボクサー相手にローキックなんか使うんじゃねーよ!」
 
 
余談だが、「バーチャファイター」の世界では、ローキックや下段パンチを多用し相手の体力をちくちく削るプレイヤーは、軽蔑をこめて「チキン野郎」と呼ばれる。
 
 
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

試合の話だが、魔裟斗のローキックでふらっとした鈴木を見て、わたしは「よし魔裟斗! あとは正々堂々と拳で勝負だ!」と思ったのだが、熱心な格闘技ファンはどう思ったのか知りたいと思うのだ。

重要なのは勝ち負けではなく、すばらしい試合だと思うのは甘いのかな。
 
■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
日本映画専門チャンネルは粋なことをする。

と言うのも、木村拓哉主演のテレビシリーズ『TBS開局55周年記念特別企画 日曜劇場「華麗なる一族」』第一話が放映された2007/01/14の21:00の直前(17:00〜20:50)に仲代達矢主演の映画「華麗なる一族」(1974)を放映したのだ。

この、映画「華麗なる一族」(1974)は、なんと211分にも及ぶ大長編でもあり、わたし的に一気に見る自信がなかったため、HDDレコーダー録画しつつ見ることにした。

しかし、結果的にはそれは杞憂に過ぎず、圧倒的な面白さに211分(3時間31分)の間、わたしはテレビに釘付け状態であった。

物語の内容については、木村拓哉版「華麗なる一族」を楽しみにしている方も多いと思うし、同作の折角の趣向を削ぐので割愛する。

ところで、山崎豊子原作、山本薩夫監督作品と言えば「白い巨塔」(1966)と「不毛地帯」(1976)があるが、「華麗なる一族」のテイストと言うか肌触りは「白い巨塔」のそれに近い印象を受けた。

わたしの乏しい経験から言わせていただければ、山崎豊子作品の魅力は「飽くなき欲望」なのだと思う。

「華麗なる一族」(1974)では、登場人物の多くが圧倒的な欲望を見せてくれる。
特に素晴らしいのは佐分利信(万俵大介)の欲望だろう。

テレビシリーズではこの万俵大介を演じているのは北大路欣也なのだが、佐分利信と比較すると残念ながら脂ぎったギラギラ感に乏しい。ギラギラ感あっての万俵大介だと思うぞ。

また万俵鉄平を演じるのは、仲代達矢と木村拓哉である。
比較するのは酷な気がするが、仲代達矢の存在感には圧倒させられる。

万俵銀平は、目黒祐樹と山本耕史。
山本耕史はなかなか良かったが、目黒祐樹のニヒルさはなんともたまらない。

これから木村拓哉版「華麗なる一族」もどんどん佳境に入ってくると思うが、期待と不安でいっぱいな感じだね。

余談だけど、こんな話もあるよ。(2006/12/30の再掲載だけど)

現在公開中の「武士の一分」の原作「盲目剣谺返し」が収録されている文春文庫の「隠し剣秋風抄」(藤沢周平著)と、2007年1月にTBS系で放映開始されるテレビドラマ「華麗なる一族」の原作である新潮文庫の「華麗なる一族」(山崎豊子著)の帯が興味深い。

と言うのも、「隠し剣秋風抄」(文春文庫)の帯は文字情報だけで木村拓哉の写真が掲載されていない。
一方「華麗なる一族」(新潮文庫)の帯には、文字情報以外に木村拓哉の写真が掲載されているのだ。

映画やテレビドラマと原作小説のプロモーションは一般的にタイアップによって行われることが多い。
映画配給会社と出版社の双方がそれぞれプロモーションすることにより、観客動員や書籍の販売に相乗効果が得られ、タレントの価値があがるのだ。

そのため、配給会社や出版社、タレントの所属事務所は、コピーや宣材写真、プレスキット等を共同で制作・使用することが一般的である。

例えば映画の原作の表紙が映画のビジュアルを使用したタイアップ版の表紙に変更になったり、原作小説が映画のタイトルに従って改題されたり、今回お話しするタイアップ版の帯が巻かれたりするのは非常に一般的である。

で、興味深いのは文春文庫版「隠し剣秋風抄」の帯には木村拓哉の写真が使用されていないのに、新潮文庫版「華麗なる一族」の帯には木村拓哉の写真が使用されているのだ。

同時期に書店に並んで平積みされる書籍なののに、取り扱いにこんなに差があるのは驚きである。

ところで、木村拓哉の今後の展開を考えた場合、日本国内でしか放映されないテレビドラマとのタイアップに軸足を置くより、世界中に配給されるであろう山田洋次の新作映画「武士の一分」とのタイアップに軸足を置いた方が良いに決まっている。

特に、一般大衆に木村拓哉の芸風が飽きられ、しかも本来木村拓哉が望んでいる方向ではない分野での仕事が続いている現在、他のSMAPのメンバーと比較して、映画部門では立ち遅れている状況を考えた場合、木村拓哉のプロモーションを考えた場合、どう考えても「武士の一分」のプロモーションに力を入れるべきだと考えられる。

しかし現状を見てみると、ジャニーズ事務所は文藝春秋社ではなく、新潮社とタイアップすることを望んでいるようなのだ。

ここには実はジャニーズ事務所と文藝春秋社の間に大きな溝があるようなのだ。

その溝については、ご存知の方はご存知だと思うので、明記しないが、上手く行けば、木村拓哉がグローバルな俳優になれるかもしれないこの時期、ジャニーズ事務所はくだらない面子に重きを置いてしまっているのかも知れない。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
2007/01/04 理由は何だか知らないが、テレビ東京で「酔拳」(1978)が放映されている。

で、ちょっと気になったのだが、今回の日本語吹替では、ジャッキー・チェン演じる主役の役名がフェイフォンになっていた。

確か「酔拳」の日本公開時の役名はジャッキーだったと思う。

で、「酔拳」の続編の「酔拳2」(1994)の公開時には、ジャッキー・チェンが演じたキャラクターの役名はウォン・フェイフォン(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズで取り上げられた実在の人物ですよね)で、「そうか! ジャッキーはフェイフォンだったんだ! で、フェイフォンの若い頃はジャッキー・チェンで、年をとったらリー・リンチェイになるんだ!」とか言う莫迦なことを考えたりしていました。

※ 実際のジャッキー・チェンは年をとっているけど、「酔拳2」のフェイフォンは若造の役柄だったので・・・・。

お話を戻しますと、いつから「酔拳」のジャッキーがフェイフォンになったのでしょうか。

ジェッキー・チェンの吹替えは例によって石丸博也でいつもとおんなじなのですが、ユエン・シャオティエンは以前、小松方正だったんですが、今回の吹替えは青野武がやってました。

あとセリフも現代風に変わっていましたね。
いつの吹替えなんでしょうか。

因みに、アクション監督/武術指導で有名なユエン・ウーピン(袁平和)はユエン・シャオティエン (袁小田)の長男ですね。
 
 
全くの余談ですが、「酔拳」と言えば「バーチャ・ファイター」の舜帝を思い出します。

舜帝と言えば、1994年にリリースされた「バーチャ・ファイター2」ではじめて登場したキャラクターだったのですが、当時格闘ゲーマーで「バーチャ・ファイター2」のロケテストを熱心に追いかけていたわたしは最初の頃舜帝をよく使っていた関係で、ロケテストが終了し「バーチャ・ファイター2」が日本中のゲームセンターで本格稼動した当時は地元のゲーセンで何も知らない素人さん相手に舜帝を使ってあこぎに連勝していたのを思い出します。

当時はまだまだインターネット全盛の時代ではなく、現在のように技表が即公開されておらず、いろいろなコマンドを自分で試し、自分たちで独自の技表を作っていた時代だったんです。

で、変わった技を出すと、ギャラリーの皆さんに囲まれて「今の技どうやって出すの?」的な和気藹々的な楽しいひと時があったな。
あの頃は良かったな・・・・(遠い目)。

まあ、そんな思い出話をしてみました。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php/29604
松本大洋の「鉄コン筋クリートall in one」を読んだ。

因みに、この「鉄コン筋クリートall in one」とは、全三巻の「鉄コン筋クリート」を一冊にまとめたもので、基本的にマイケル・アリアスの映画「鉄コン筋クリート」とのタイアップ出版だと思われる。(初版:2007/02/01)

ところでわたしは「鉄コン筋クリート」をきちんと読んだことが今までなかった。わたしの「鉄コン筋クリート」の体験はせいぜい書店で本誌をパラパラと眺める程度だった。

で、映画「鉄コン筋クリート」を観て、その素晴らしい作品の原点を追体験すべく、本誌を手に取った訳である。

当時の松本大洋に対するわたしの印象は、なんだか知らないが大友克洋に影響された作家が出てきたな、程度の印象しかなかった。
松本大洋の一体どこが大友克洋に影響されているのか、と言われると明確な答えは出せないが、松本大洋の名:大洋をひらくと大友克洋の名になるせいかも知れない。

松本大洋の名は、大友克洋の名を包括しているのだ。

さて、それでは「鉄コン筋クリートall in one」について、いくつかの観点から、お話してみようと思う。
内容には基本的に触れませんので、心配ご無用です。
 
 
■広角レンズを意識した構図
わたしは広角レンズで撮られる映像が大好きである。

で、本作「鉄コン筋クリート」には広角レンズを意識したであろう構図が多々登場する。

人間の目は基本的に広角レンズなので、それら広角レンズを意識した構図は、一人称的なカメラの存在を意識させることになり、物語の臨場感を高めることに成功している。

更に広角レンズを意識した歪んだ構図は、場面によって、登場人物の心象風景を巧みに描写することにも一役かっている。
 
 
■多元中継的な物語の構成

■詩人の感性
セリフ(ネーム)の感性に驚かされる。

と言うのも、本作「鉄コン筋クリート」は、様々な名ゼリフに彩られている。

それら登場人物が心情を吐露する数々のセリフの感性は圧倒的で、仮に松本大洋が意図せずこれらのセリフを書いているとしたら、松本大洋は詩人の感性を持つ天才マンガ家だと思う。

もちろん松本大洋にもセリフを生む苦しみはあるとは思うのだが、松本大洋が書いたセリフだけをまとめるだけで詩集が出来てしまうのではないか、とまで思えてしまう。

と言うのも、松本大洋の母親は詩人の工藤直子だと言うのだから、その母親の詩人の感性を引き継いでいるのかも知れないが、それにしても彼が書くセリフは強烈に胸に響く。
 
 
■扉絵の存在
扉絵の存在に驚いた。

本誌「鉄コン筋クリートall in one」には連載時の各話の扉絵が全話分挿入されている、と言うか扉絵を含めて単行本化されているのだ。
全三巻の「鉄コン筋クリート」の状況は知らないのでなんとも言えないのだが、おそらく全三巻版も同様なのだろう。

なぜこんな話をしているかと言うと、所謂ストーリーマンガを一冊にまとめた形態の本誌においては、物語と関連性が乏しい扉絵を挿入することは、物語の進行を止めてしまう、と言うリスクを伴うことが多いからである。

しかしながら、本作の形式は、一話完結の物語を複数集めることにより、全体的な物語を構成する、と言う形式を取っている。
その辺は、所謂ストーリーマンガの構成とは異なっている。

つづく・・・・
一時保存です。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
2005/10/25 東京六本木「VIRGIN TOHO CIMENAS 六本木ヒルズ」で開催されていた「第18回東京国際映画祭」の特別招待作品「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」を観た。

2006/12/22 東京池袋「新文芸座」の企画「シネマ カーテンコール2006<第二部>」で「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」を観た。

とりあえず、トラックバックのURL確定のための一時保存です。
すいません。

☆☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604

「パプリカ」

2006年12月21日 映画
2006/10/21 東京六本木「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」で開催されていた「第19回東京国際映画祭」で「パプリカ」を観た。

千葉敦子(林原めぐみ)は精神医療総合研究所に勤める若きサイコ・セラピスト。彼女が携わっているのは、最先端のテクノロジーを精神医療の臨床に応用する研究だ。クールな美貌と鋭い知性を兼ね備えた彼女は、セラピストとしての腕も優秀で、所長の島寅太郎(堀勝之祐)も彼女には厚い信頼を寄せている。

敦子は時折、島所長から極秘の依頼を受け、開発されたサイコセラピー機器を用いてクライアントの治療を行うことがある。そんな時、敦子は普段とは外見も性格もまったく別人のような少女”パプリカ”としてクライアントの夢の中に具象化する。それは他人の夢の中に入り込み、心の秘密を探り出す「夢探偵」のコードネームだ。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督・脚本:今敏
原作:筒井康隆
アニメーション制作:マッドハウス
声の出演:林原めぐみ(パプリカ/千葉敦子)、古谷徹(時田浩作)、江守徹(乾精次郎)、堀勝之祐(島寅太郎)、大塚明夫(粉川利美)、山寺宏一(小山内守雄)、田中秀幸(あいつ)、こおろぎさとみ(日本人形)、阪口大助(氷室啓)、岩田光央(津村保志)、愛河里花子(柿本信枝)、太田真一郎(レポーター)、ふくまつ進紗(奇術師)、川瀬晶子(ウェイトレス)、泉久実子(アナウンス)、勝杏里(研究員)、宮下栄治(所員)、三戸耕三(ピエロ)、筒井康隆(玖珂)

先ず、本作「パプリカ」は大変すばらしい作品に仕上がっていた。

微に入り細に入りきめ細かくきちんと演出されているアニメーション作品を観るのは大変気持ちがよく、かつ非常に有意義で、非常に感動的な経験である。

本編が描いている物語の内容ではなく、アニメーション作品が持つ、その特有の「動き」だけで、その「躍動感」だけで、その圧倒的な映像体験だけで泣けてしまう。

先ずは、冒頭からオープニング・クレジットにかけての演出と躍動感だけで泣けてしまう。

オープニング・クレジット、街並みの中を様々な媒体を利用して駆け抜けるパプリカ、その実体と虚像は街路に存在する様々な物体を巧みに利用し、その物体から物体へと渡り歩く姿にわたしは圧倒されてしまう。

その圧倒的なイメージの奔流に、わたしはなすすべがない。

ところで余談だが、今敏は結構不遇なアニメーション作家だと思う。
と言うのも、今敏は「PERFECT BLUE」(1998)、「千年女優」(2001)、「東京ゴッドファーザーズ」(2003)と、圧倒的なクオリティで全くハズレがない、言わばエポック・メイキング的な作品群をコンスタントに製作し続けているアニメーション作家なのだが、残念ながら一般の認知度は低いような印象を受ける。

今敏と言う映像作家は、もっともっと評価されるべき映像作家だと思うぞ。

彼の作品はアニメーション作品ならではの圧倒的な躍動感、緻密なレイアウト、すばらしい脚本、的確でいながら大胆かつ細心の意識が注ぎ込まれた強烈な演出が楽しめる。

そして、誤解を恐れず言うならば、彼の作品は、「アニメーション映画」と言うカテゴリーではなく、「映画」と言うカテゴリーで語るべきクオリティを持った作品だといえる、と思う。

巨大メディアとコラボレーションしたようなつまらないアニメーション作品なんかを見ている場合ではない、と言わざるを得ないのだ。

さて本作の物語だが、複雑なプロットと圧倒的な描写を取り除くと非常にシンプルで、働き過ぎでやり手のキャリア・ウーマンが本来の自分を取り戻すと言う非常にシンプルな物語である。

そしてその本来の自分を取り戻す女性が望んでいたものは、外見や周りの目に左右されない根本的、本質的なものなのだ。

言わば本作は中年女性を主人公としたラブ・ストーリーみたいなものだと言えるのではないだろうか。

そして物語の根本にあるコンセプトは「他人と一緒に同じ夢を観る」ことへの圧倒的な憧憬なのだ。そのピュアでたいした理由のない漠然とした思いは大変すばらしく、たとえるならば「カイロの紫のバラ」(1985)でウディ・アレンが描いた物語のような、寂寞とした憧憬のようなものが感じられる。

また、敦子(林原めぐみ)に治療を受ける粉川刑事(大塚明夫)の失われた過去の記憶、青年時代のひっかかり、が映画ファンとしてまた嬉しい。

そしてメインのプロットは、他人の夢の中に入ることが出来るサイコセラピー機器が盗まれてしまうことによるサスペンス仕立てでいながら、ちょっと個性的な人々の夢の中の圧倒的な描写と、過去の出来事によるなんらかのひっかかりと、抑制されてしまっている自我の解放を見事に描いている。

圧倒的な夢の中の描写のビジュアル・イメージは大友克洋の借用気味な部分があるが、その他は非常にすばらしく、日本アニメーション映画の2006年のトリを飾る作品だと、少しの間思っていた。

と言うのも「パプリカ」を観たのが2006/10/21(「第19回東京国際映画祭」)で、その後わたしは、2006/10/24に「鉄コン筋クリート」を観てしまっているのだ。

「パプリカ」は、正に三日天下だったのだ。
もちろん個人的にだけど。

とは言いながら、「パプリカ」は、最高にすばらしい日本映画の一本である。是非劇場で観て、体験していただきたい。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

当日は、監督:今敏、原作:筒井康隆、声の出演:古谷徹を迎えたジャパン・プレミアだった。
客席には、アニメーション作家の伊藤有壱が居た。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
2006/12/16 東京有楽町「有楽座」で「犬神家の一族」を観た。

信州の犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛(仲代達矢)が永眠した。
遺言状を管理する法律事務所の若林(嶋田豪)は、残された遺言状が一族の不吉な争いの元凶となることを予期し、私立探偵・金田一耕助(石坂浩二)に調査を依頼。しかし若林は、金田一と会う直前に、何者かに殺されてしまうが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:市川崑
プロデューサー:一瀬隆重
原作:横溝正史「犬神家の一族」(角川文庫刊)
脚本:市川崑、日高真也、長田紀生
音楽:谷川賢作
テーマ曲:大野雄二
出演:石坂浩二(金田一耕助)、松嶋菜々子(野々宮珠世)、尾上菊之助(犬神佐清)、富司純子(犬神松子)、松坂慶子(犬神竹子)、萬田久子(犬神梅子)、葛山信吾(犬神佐武)、池内万作(犬神佐智)、螢雪次朗(犬神幸吉)、永澤俊矢(猿蔵)、石倉三郎(藤崎鑑識課員)、尾藤イサオ(仙波刑事)、嶋田豪(若林久男)、三條美紀(お園)、松本美奈子(青沼菊乃)、林家木久蔵(柏屋の九平)、三谷幸喜(那須ホテルの主人)、深田恭子(はる)、奥菜恵(犬神小夜子)、岸部一徳(犬神寅之助)、大滝秀治(大山神官)、草笛光子(琴の師匠)、中村玉緒(柏屋の女房)、加藤武(等々力署長)、中村敦夫(古館弁護士)、仲代達矢(犬神佐兵衛)

本作「犬神家の一族」は言わずと知れた、市川崑の1976年版「犬神家の一族」のリメイクである。
リメイクと言ってもそんじょそこらのリメイクではなく、脚本もほぼ76年版と同じだし、カット割やアングルまで76年版を踏襲している。

噂では、市川崑は76年版のビデオをモニターでみながら演出していたと言う話だが、その辺の事情を仮に本当だとしたら、若干の疑問を感じてしまう。

と考えた場合、果たして本当にリメイクの必要性があったのか?
と言う大きな疑問が湧いてくる。
どうせなら、市川崑が昔からやりたがっていたと言う噂がある「本陣殺人事件」あたりを映画化して欲しかった、と言うのは贅沢だろうか。

とは言うものの、本作「犬神家の一族」は普通に面白い作品に仕上がっている。
しかし、作品として考えた場合、残念ながら76年版に及ばない、と言わざるを得ない。

石坂浩二の金田一耕助については、誰もが見たいと思っていただけに、若干の老け顔に目をつぶるとしても、松子役の富司純子は残念ながら力不足だと言わざるを得ない。

良い役者さんだけに、非常に残念である。
松子のキャラクターの持つ、異様でいて美しい「華」が感じられないのだ。

本作において、結果的に草笛光子をキャスティングすることができるのであれば、76年版で梅子を演じた草笛光子を松子にキャスティングしても面白かったのではないか、と思えてならない。
その場合、琴の師匠は岸田今日子でお願いします。

話は戻るが、76年版の高峰三枝子はあまりにも偉大だったのだ。

と言うのも、珠世役の松嶋菜々子や、はる役の深田恭子らは好演していると思うのだが、肝心の三姉妹の女優陣が貧弱に思えてならない、と言う印象を受ける。

俳優陣も概ね問題ないと思うのだが、76年版のあおい輝彦と比較して尾上菊之助はやはり微妙な印象を受ける。

ところで、本作のテーマ曲は大野雄二、音楽は谷川賢作なのだが、あいかわらず「ルパン三世」指数が高かった。
と言うか、実際には「犬神家の一族」の方が先で、「ルパン三世」が後なのだが、ジャ〜ンとか言う驚いたときのSEとか、サントラのアレンジが「ルパン三世」に酷似しているのだ。

そのせいなのかどうか、「犬神家の一族」はなんと「カリオストロの城」(1979)に見えてきてしまうのだ。

事実わたしは、金田一が去った後、等々力警部が珠世に「ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」とか言うんじゃないかと思ってヒヤヒヤしてしまった。

あと気になったのは、過去の因縁が76年版と比較して若干薄めに感じられた。そのため仲代達矢の出番が少なかったのではないか、と思った。折角のキャスティングなので、非常にもったいないと思った。まあ仲代の年齢的な問題もあるのかも知れないがね。

76年版「犬神家の一族」という作品は、わたしの映画人生の中で、タイトル・デザインのすばらしさと、編集(細かいカット割)の意味や、セリフの途中でカットを切り替える手法、静止画をつなぐ手法等に感動し、お子様ながら、市川崑ってすげえな、と思った作品で、作家性というものをはじめて知った作品の一本だと思う。

当時お子様だったわたしは、監督が誰であろうと、演出がどうだとか、描写がどうだではなく、ただ物語の筋だけを追うお子様だった訳だ。

そんな作品だっただけに、今回のリメイクには非常に期待していたのだが、途中聞こえてくるメイキング上のお話から、良くも悪くも一瀬隆重の意向が大きく影を落としているような印象を否定できない。

また印象的だったのは、俳優全ての台詞回しである。
セリフ回しがはっきりしすぎと言うか、全ての俳優のセリフが舞台調で、明確に発声されている。
あいまいな発声が存在しないのだ。こんな発声だと「獄門島」は撮れないぞ。

そのため、作品のテンポが非常にスローモーに感じてしまう。
雰囲気を出すためと言うよりは、セリフを明瞭に発声することに腐心しているような印象を受けてしまう。

あと撮影(五十畑幸勇)は76年版と比較してフィックスが多く、ハンディカメラのグラグラ映像が激減している。

美術(櫻木晶)は、VFXのせいかも知れないが、良い仕事をしていると思う。
この櫻木晶のフィルモグラフィーは、怪獣映画が多いだけに、若干の不安を感じてしまうのだが、非常に良い世界観の構築に成功している。
なぜか、照明(斉藤薫)も監督補佐(宮村敏正)も怪獣映画ばかりのフィルモグラフィだ。

編集(長田千鶴子)は76年版をはじめとして、多くの金田一作品を編集しているのだが、本作のセリフ回しはともかく、細かいカット割の編集は良かったと思う。

ぐだぐだとお話してしまったが、本作「犬神家の一族」は映画ファン必見の作品ではある。

本作は、本作を市川崑のはじめての作品として観る若い映画ファンにとって、市川崑のすばらしいフィルモグラフィや、かつての角川映画、そしてもちろん石坂浩二の金田一耕助作品への良い道しるべになることを切に願う。

出来ることならば、市川崑に金田一耕助作品の新作を再度監督して欲しいと思う次第なのだ。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
2006/11/23 東京新宿「新宿ミラノ1」で開催されていた「東京国際シネシティフェスティバル2006」のオープニング作品「007/カジノ・ロワイヤル」を観た。

殺しのライセンス“00(ダブル・オー)”を取得するため、昇格最後の条件である2件の殺害を実行したジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は見事ダブル・オーの称号を得る。

そして最初の任務は、世界中のテロリストを資金面で支える男、ル・シッフル(マッツ・ミケルセン)の資金を絶つことだったが・・・・。

監督:マーティン・キャンベル
原作:イアン・フレミング 「007/カジノ・ロワイヤル」(東京創元社刊)
脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ポール・ハギス
出演:ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)、エヴァ・グリーン(ヴェスパー・リンド)、マッツ・ミケルセン(ル・シッフル)、ジュディ・デンチ(M)、ジェフリー・ライト(フェリックス・レイター)、ジャンカルロ・ジャンニーニ(マティス)、サイモン・アブカリアン(アレックス・ディミトリオス)、カテリーナ・ムリーノ(ソランジュ)、イワナ・ミルセヴィッチ(ヴァレンカ)、セバスチャン・フォーカン(モロカ)、イェスパー・クリステンセン(ミスター・ホワイト)、クラウディオ・サンタマリア(カルロス)、イザック・ド・バンコレ(スティーヴン・オバーノ)

正直、非常に面白かった。
近年稀に見るすばらしい「007」ムービーだったと思う。

所謂スパイ映画には大きく2種類あって、ひとつは従来の(特にロジャー・ムーア時代の)「007」ムービーのように荒唐無稽でリアリティに乏しい娯楽作品。
もうひとつは、最近では「ナイロビの蜂」(2005/原作:ジョン・ル・カレ)や「スパイ・ゲーム」(2001)に代表されるような地味で骨太のポリティカル・サスペンスのような系統である。

わたしは基本的に後者の系統が好きなのだが、アクション好きでもあるので、前者の荒唐無稽なスパイ・アクション映画もよく見ている。

今回の「007」は、後者と前者の中間に位置する、と言うか、「007」ムービーが、荒唐無稽なリアリティが欠如した、いわばファンタジーとも言えるスパイ・アクションからの脱却をはかり、本来の意味でのスパイ映画を目指したのではないか、と思えてならない。
 
 
さて、本作「007/カジノ・ロワイヤル」についてだが、先ずは冒頭のモノクロームのシークエンスに驚かされる。

なんだよ、今度の「007」はオープニング・アクションなしかよ!

この冒頭のモノクロのシークエンスは、予告編でもおなじみであった。

ガッカリするのも束の間、オープニング・クレジットは、従来の「007」ムービーの定番のタイトル・デザインのテイストを感じさせながらも、奥行きのある空間的広がりを持たせた、また非常に綺麗なクレジットが楽しめる。

「ハートの7」のカードが銃撃され、「007」になるところには爆笑させていただいた。

またスート(ハートとかクラブだとかのトランプのマークのこと)から構成されているキャラクターの動きが非常にリアルな点にも関心を覚えた。(スート1枚を多角形として、キャラクターがポリゴンで処理されているように見える。)

で、建設現場、クレーン上のアクションである。
おそらく従来の「007」だったら、ここの建設現場のアクションをオープニング・アクションに持ってきたのではないか、と思った。
事実、わたしも、なんでこのアクションがオープニング・アクションじゃないのよ!
と思ったものである。

爆弾男の身体能力の高さが、若干気になるが、アクション・シークエンスとしては非常に楽しめる。
ただ、アクションの中には、どう考えてもタイのアクション映画に対する目配せだろ、と思えるアクションがあったのが興味深かった。

また、前編に貫かれるように、今回のボンド(ダニエル・クレイグ)は、従来のボンドと一味違い、痛がるし、血は出るし、失敗する、と言うコンセプトがここで顔を出している。

等身大の、リアリティ溢れるキャラクターの造形に感動すらしてしまう。

またヴェスパー(エヴァ・グリーン)との最初のシークエンスでは、ウィットに富んだ、と言うか非常にシニカルとも言えるセリフの応酬が楽しい。

つづく・・・・
一時保存です。


☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
2006/11/25 東京新宿「新宿ミラノ1」で開催されていた「東京国際シネシティフェスティバル2006」の企画「映画における表現の自由を考える夕べ」において「スキャナー・ダークリー」を観た。

カリフォルニア州オレンジ郡郊外。
近未来。

アメリカの終わることのない不毛な麻薬戦争は、テロへの戦いと似た様相を帯びてきた。覆面麻薬捜査官のボブ・アークター(キアヌ・リーヴス)は、「物質D」と呼ばれる強力なドラッグの供給源を探るため、自らジャンキーとなり潜入捜査を行っていた。

そんな中、ジャンキーとしてのボブが密告され、自分と友人のジム・バリス(ロバート・ダウニーJr.)、エリン・ルックマン(ウディ・ハレルソン)、ドナ・ホーソーン(ウィノナ・ライダー)そしてチャールズ・フレック(ロリー・コクレイン)の捜査を余儀なくされるが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督・脚本:リチャード・リンクレイター
原作:フィリップ・K・ディック 「暗闇のスキャナー」(東京創元社刊)
アニメーション:ボブ・サビストン
出演:キアヌ・リーヴス(ボブ・アークター)、ロバート・ダウニー・Jr(ジム・バリス)、ウディ・ハレルソン(アーニー・ラックマン)、ウィノナ・ライダー(ドナ・ホーソーン)、ロリー・コクレイン(チャールズ・フレック)

本作「スキャナー・ダークリー」は、フィリップ・K・ディック の「暗闇のスキャナー」をリチャード・リンクレイターが「ウェイキング・ライフ」(2001)で試みたデジタル・ペインティング手法を用いて映像化した作品。

この手法は、実際に俳優が演じた映像データを基に、アニメーターがデジタル・ペインティングを行い、見た目の感覚はアニメーション作品のようなものでありながら、実際は実写感もある、と言う摩訶不思議な印象を受ける。

このため非現実的な描写も、全体的な世界観が擬似アニメーションのように見えるため、物理的に不可能な動向についても非常にリアリティ溢れる印象を観客に与えることに成功している。

とは言うものの、その感覚は既に「ウェイキング・ライフ」で体験済みなので、その斬新な手法に対する驚きはそれほど感じられないのだが、その手法は「ウェイキング・ライフ」と比較して本作の方が題材と手法がマッチしているような印象を受けた。

物語は、誰にも、−上司にさえ−、顔と名前が知られていない潜入捜査官の潜入捜査により、強力なドラッグ「物質D」の供給源に迫る物語なのだが、実は物語の方向性と異なる、鮮烈な感動がラストに隠されていた。

わたしは、本作「スキャナー・ダークリー」の終映後、と言うかラストのセリフ(モノローグ)を聴いた瞬間、鳥肌が立つほどの強烈な感動がわたしに向かって押し寄せてくるのを感じた。

しかし、何故あれほど感動したのかがよくわからなかった。
が、あれから2週間、わたしは「スキャナー・ダークリー」が、一体何だったのか、についてふと気が付いてしまった。

つまり、「スキャナー・ダークリー(暗闇のスキャナー)」は、PKディックにとっての「アルジャーノンに花束を」だったのだ。

ところで、ダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」と言う小説は、ご承知の通り、文学史に燦然と輝く強力な涙腺破壊兵器とも言える小説である。

そして、PKディックの自伝的な、そしてメロウなハードボイルド小説でもある「暗闇のスキャナー」は、正に「アルジャーノンに花束を」のラストのセリフ(モノローグ)に対する明確なアンサーとなっている、−ようにわたしには思えてならない−、のだ。

とは言うものの、公開直後の作品である本作「スキャナー・ダークリー」のラストに触れる訳には行かないので明確な事をお話できないが、「スキャナー・ダークリー」を観る前に、「アルジャーノンに花束を」を読んでおくと、非常に興味深い体験が出来る、とわたしは確信している。

余談だが、コチラで、PKディックの「暗闇のスキャナー」の山形浩生訳が読める。
http://cruel.org/books/scanner/scanner.pdf
あとがき(作者付記)が強烈に感動的である。

とにかく、本作「スキャナー・ダークリー」は、是非、劇場で観て欲しい傑作であり、見方を変えると強烈な感動作として観客を打ちのめす作品とも言えるのだ。

文学ファンにもオススメなのだ。

☆☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
2006/12/07 東京池袋「新文芸座」で「ハチミツとクローバー」を観た。

手先は器用だが、人間関係は全く不器用な純朴青年・竹本(櫻井翔)。
クールで優しい真山(加瀬亮)。
そして天才的な才能を持ち、突然いなくなってはふらりと帰ってくる奇人・森田(伊勢谷友介)。
彼らは浜美大に籍を置き、貧乏だが楽しい学生生活を送っている。

ある日、花本先生(境雅人)の親戚のはぐみ(蒼井優)が入学してきた。
可憐な容姿に似合わずダイナミックな絵を描くはぐにひとめぼれをする竹本。
そして、久し振りに学校に帰ってきた森田も一発で恋に落ちる。

一方、真山はバイト先の建築デザイナー理花(西田尚美)に思いを寄せている。
亡き夫(田辺誠一)の影を追う理花への思いを止められない真山を見つめるのは、山田あゆみ(関めぐみ)。
勝気な山田もまた、報われない切ない思いを胸に秘めていた。

交差する5人の片思いだったが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:高田雅博
原作:羽海野チカ(集英社/月刊「YOUNG YOU」連載中)
脚本:河原雅彦・高田雅博
出演:櫻井翔(竹本祐太)、伊勢谷友介(森田忍)、蒼井優(花本はぐみ)、加瀬亮(真山巧)、関めぐみ(山田あゆみ)、堺雅人(花本修司)、西田尚美(原田理花)、堀部圭亮(藤原ルイジ)、宮崎吐夢(藤原マリオ)、銀粉蝶(幸田先生)、中村獅童(修復士)、田辺誠一(原田)

先ずは、本作「ハチミツトクローバー」は非常に面白かった。

何だか知らないが、非常にノスタルジックで、憧憬と羨望に溢れ、そして大切な何かがまだ残っているファンタジックな作品だとわたしは思った。

若い世代(ローティーン)にも、その上の世代(30〜40歳台)にも受け入れられる作品ではないか、と思えた。

もちろん本作は、大学生の恋愛模様を描いているのだが、その恋愛描写については、どう考えても大学生には思えず、誰が見てもせいぜい中学生レベルの恋愛だと思うのだが、そんなところにリアリティがあるとかないとか、別にそんなことはどーでも良いのだ。

本作「ハチミツとクローバー」は、美大と言う異世界での恋の物語を真っ当に描いた作品なのだ。

その描き方はやりたい事をやっている大学生の、一本筋が通っていながらも無軌道な青春を散文的ではありながら、情感たっぷりに描いている。

ところで、わたしは本作の原作を読んだこともないし、テレビ・アニメも1回だけ、−しかも最終回を−、たまたま見かけただけである。

つまり原作ファンでもなんでもないただの映画ファンとして観ても、本作は非常に魅力的な作品に思えたし、登場するキャラクターもそれぞれ魅力的に思えた。

先ずは、蒼井優(花本はぐみ)がすばらしかった。
セリフがあまりないキャラクターなのだが、絵を描いているだけで、画になっていた。

絵を描く映画と言えば「美しき諍い女」(1991)を思い出すが、あれと比較しても絵を描くシークエンスは大変面白く描かれている。
絵を描く姿は感動的ですらある。
はぐが音楽を聴きながら絵を描く、と言うか音楽を絵にトランスレイトする、と言う設定は非常に良いと思った。

本当かどうか知らないが、ロックをガンガンにヘッドホンで聴きながら演出をするといわれているデヴィッド・リンチを思い出した。

また、伊勢谷友介(森田忍)だが、相変わらず何言っているのかわからないのだが、本作では良い印象を受けた。
自己中の天才肌のキャラクターはいけるのではないかと思った。

あとは、堺雅人(花本修司)が良かった。
物語の中に登場する大人の中で、一番子どもに近いキャラクターを見事に演じている。

演出は順当で、編集は例えばはぐの制作風景と森田の制作風景のカットをつなぐシークエンスでは別に大したことをやっているわけではないのだが、感動してしまう。

また美術大と言う特異な世界が物語をリアリティから乖離させ、ファンタジックな方向へ持っていくことに成功しているような印象を受けた。

で興味深いのは、登場人物の専攻がバラバラであると言う点である。
油絵、建築、木彫、陶芸等々・・・・バラバラでいながらコミュニケーションが取られている点は、どうかと言われればリアリティの欠如だと思えてしまうが、美大の持つお祭り騒ぎ的な方向性を加味していけば、概ねOKというところだろうか。

ところで、わたしは大学時代に、映画ばっかり撮っていたりしていたのだが、やっていたことは本作とは違って美術ではないのだが、わたしたちの大学時代はなんだか本作と非常に近いことをやっていたような気がした。

大学時代にもどりたいと思った。
で、もっと真面目に映画を撮っていれば良かったと思った。

機会があれば、是非観ていただきたいと思う。

ところで、テレビアニメには、ハチミツとクローバーのサンドイッチが出てきたのだけど、原作のマンガには出てくるのかな。
映画には関係なかったようだけど・・・・。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
我が家には、シュリンクに包まれたままのDVDがたくさんある。

つまり、買ったは良いが、パッケージすら開けていないDVDがたくさんある、と言うことである。

こんなんじゃいけない、と常々思っているわたしは、時々、本当に時々、DVDのパッケージを開けて見ようかなと思うことがある。
と言うか、買ったらすぐ見るよーに。と言う話である。

で、一昨日は「カサンドラ・クロス」(1976)、昨日は「ヤング・フランケンシュタイン」(1974)、今日は「2001年宇宙の旅」(1968)を観た。
作品に関連性と言うか脈絡がないと自分でも思うのだが、見たいんだから仕方がない。

早速だけど「カサンド・クロス」はおもしれーですわ。やっぱ。
最高ですね。これ。
リチャード・ハリス好きにはたまらんし、O・J・シンプソンも良い味を出しているし、若かりし頃のマーティン・シーンが格好良いぞ。
そんな訳で「カサンドラ・クロス」を見ていたら、ピーター・ハイアムズの「カナディアン・エクスプレス」(1990)が見たくなっっちゃった。
が、LDしか持っていないので、ちょっと面倒くさいな、とか思ってもしまうのだ。

次に見た「ヤング・フランケンシュタイン」も最高ですが、広川太一郎の吹替で見たいと思うのは贅沢なのかな。
メイキングが非常に興味深いですね。

余談だけど、キューブリック好きのわたしの家には「2001年宇宙の旅」がたくさんある。
VHSが2本位、LDが3枚位、DVDが3枚位。
実際のところ、もっとたくさんあると思うのだが、ちらっと探したら、それぐらいあったということである。
35mmとか、70mmとか、ノートリミングだとか、なんだか知らない版とかいろいろあるのだな。

だからどうした、と言う話ではないのだが、同じ作品でたくさんの種類のDVDが出たりするのは困ったものであるし、特典が違っていたりするのも困ったものである。

余談だが、皆さんはきちんとDVDの全特典映像を見ているのかな。
わたしは見ていないぞ。
オーディオ・コメンタリーが何種類もあったり、日本語吹替音声や、dtsとか・・・・。
本編を何度も何度も見なきゃいけないじゃねーか。

あと気になるのは、削除されたシークエンスを本編につないで、全長版とかなんとか言うのは、どうよ。
わたしゃ、完全に否定的だよ。

監督がカットしたものを本編に入れるんじゃねーよ。
と思うぞ。

ぐだぐだですな。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604
2006/10/23 東京六本木「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」で開催されていた「第19回東京国際映画祭」の特別招待作品「虹の女神/Rainbow Song」を観た。

当日は、監督:熊澤尚人、製作:岩井俊二、出演:市原隼人、主題歌:種ともこ等の舞台挨拶及び種ともこのミニ・ライヴ付きの上映だった。

どこにでもいる普通の大学生、岸田智也(市原隼人)と佐藤あおい(上野樹里)。
その出会いは奇妙な縁だった。智也は、あおいの友達をストーカーのように追いかけまわしていたのだ。素直で、どこか憎めない智也を、あおいは自分が監督をする自主映画の制作に迎え入れるが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:熊澤尚人
製作:岩井俊二
原案・脚本:桜井亜美
出演:市原隼人(岸田智也)、上野樹里(佐藤あおい)、蒼井優(佐藤かな)、佐々木蔵之介(樋口慎祐)、相田翔子(森川千鶴)、酒井若菜(麻倉今日子)、小日向文世(佐藤安二郎)、鈴木亜美(久保サユミ)、尾上寛之(服部次郎)、田中圭(尾形学人)

先ずは本作「虹の女神/Rainbow Song」は大変すばらしい作品に仕上がっていた。
出来ることならば、本作のような良質の作品こそ、きちんとプロモーションを行い、きちんとヒットさせなければならないと切実に思う。

脚本は、生きているキャラクターを見事に描いていた。
登場人物の現在を詳細に描くことにより、その登場人物の過去を観客に感じさせることに成功しているのだ。

もちろん脚本は、智也(市原隼人)やあおい(上野樹里)の学生時代(過去)を描いてもいるのだが、例えば現在の時制にしか登場しない人物でさえ、過去を持った、生きたキャラクターとして描かれている。

それらの生きたキャラクターで物語を構築した時点で、彼等の過去の出来事はわたし達観客の共通の思い出として昇華されており、登場人物同様のエモーショナルな体験を、スクリーンを通してではあるが、感じることが出来るのだ。

本作の物語上の構成は、先ずある出来事が起き、その出来事の関係者の過去と現在をゆっくりと、まるでらせんを描くように描写しながら最終的には、そのらせんが狭まり、スピードを増すように、物語の核心に迫っていく、と言う構成を取っている。

その言わば散文的な些細なエピソードの積み重ねが、観客の脳内に断片的ではあるが、確固とした思い出を再構築させ、智也(市原隼人)とあおい(上野樹里)のエモーショナルな物語を描くことにより、ひとつのカタルシスを感じさせることに成功しているのだ。

キャストはなんと言っても上野樹里(あおい)が最高にすばらしい。キャリアとしてはまだまだの彼女だが、既に代表作と言っても良いような作品が出来てしまっている訳だ。

彼女が演じたあおいと言うキャラクターは何しろ血が通っており、非常に魅力的な人物だと思える。
その魅力的ですばらしいキャラクターを失うのは、圧倒的に悲しい。

また、あおいの妹:かなを演じた蒼井優も良かった。
あおいとかなの姉妹のやり取りが感動的である。

ところで、本作について考えなければならないのは、岩井俊二監督作品「花とアリス」(2004)と相似している点である。
脚本の問題なのか、製作の意向なのが釈然としない部分はあるが、本作「虹の女神/Rainbow Song」は、「花とアリス」で描かれた出来事を違う出来事に置き換えたような印象を受けるのだ。

だからどうだ、と言う話ではないのだが、本作はすばらしい、として監督である熊澤尚人を評価している以上、「花とアリス」との相似性は解せないのである。
果たして本作は本当に熊澤尚人の作品なのか、それとも岩井俊二の作品なのかと・・・・。

とは言うものの、作品の背景はともかく、本作「虹の女神/Rainbow Song」を独立した作品だと捉えた場合、最高にすばらしい作品に仕上がっていることは事実なので、作品の背景なんか知ったことではないのだ。

また、本作中で語られる、スーパーがどうだとかシングルがどうだとか色合いがどうだとか言う8mmフィルムに対する拘りや、8mmカメラ(ZC1000)に関する拘り、また8mm映画には金が掛かる、と言う部分は8mmフィルムで自主制作を行っている、または行っていた人々にとっては非常にノスタルジックで、かつリアリティに溢れる部分なのだが、一般の観客にとっては、理解しがたい部分かも知れないと思った。

更に、あおいが行っている8mm映画の自主制作の現場は、現代とは思えず、なんだか20年程前の自主制作の現場のような印象をも受けてしまう。

とにかく、「手紙」とか「ただ、君を愛してる」とか、感動系の日本映画がたくさん公開されている今、わたし的に是非観て欲しい一番のオススメは本作「虹の女神/Rainbow Song」である、という事である。その次は「手紙」ね。

☆☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604

「トニー滝谷」

2006年11月7日 映画
文学あれ!
こうして文学があった。

そう、先ずは文学があったのだ。
後年、映画が生まれるが、その映画は当然ながら文学に恋している。

そして、本作「トニー滝谷」(2004)は、完全に文学に恋した作品である。

「トニー滝谷」は、文学の映画化作品として、朗読を多用し、その朗読の途中、登場人物が朗読を引継ぎ、ひとつの文章をセリフとして発声する、と言う独特の手法を持っている。

これは完全に、映像で観る文学なのだ。
そう考えた場合、本作は、ある意味村上春樹文学の完全な映像化だと言える。
音楽の坂本龍一も、普遍的で運命的なサントラを創作し、世界観の構築を助けている。

キャストはなんと言ってもタイトル・ロールのイッセー尾形と宮沢りえがすばらしい。

脚本と演出は、省略が格別の効果を与えているし、部分部分のクローズアップショットがまた省略の美学に拍車をかけている。

また、巧みに構成されたセットがすばらしいし。

機会があったら是非観て欲しいすばらしい作品である。

監督・脚本:市川準
原作:村上春樹 「トニー滝谷」(文春文庫刊「レキシントンの幽霊」所収)
美術:市田喜一
音楽:坂本龍一
ナレーション:西島秀俊
出演:イッセー尾形(トニー滝谷/滝谷省三郎)、宮沢りえ(小沼英子/斉藤久子)

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php/29604
「シンシナティ・キッド」(1965)
監督:ノーマン・ジュイソン
原作:リチャード・ジェサップ
脚本:リング・ラードナー・Jr、テリー・サザーン
撮影:フィリップ・H・ラスロップ
編集:ハル・アシュビー
音楽:ラロ・シフリン
主題歌:レイ・チャールズ
出演:出演:スティーヴ・マックィーン(シンシナティ・キッド)、アン=マーグレット(メルバ)、カール・マルデン(シューター)、エドワード・G・ロビンソン(ランシー・ハワード)、チューズデイ・ウェルド(クリスチャン)、ジョーン・ブロンデル(レディ・フィンガーズ)、ジェフ・コーリイ(ホーバン)、リップ・トーン(スレイド)、ジャック・ウェストン(ピッグ)、キャブ・キャロウェイ(イェラ)

「シンシナティ・キッド」をはじめて見たのは多分高校生位の頃だったと思う。
当時のわたし達は「シンシナティ・キッド」に魅了され、仲間うちで映画と同じ5枚スタッドのハイポーカーのコミュニティを結成した。

わたし達は事ある毎にバイシクル印のカードとクッキーの缶に入ったポーカーチップを持って集まり、映画顔負けのトークを繰り広げながら、スタッドポーカーにはまって行った。

「アンティーをどうぞ」
「賭け親はクィーン」
「チェック」
「フラッシュの可能性」
「エースハイ」
「その上に2,000」・・・・

ところで、この映画でフィーチャーされているスタッドポーカーと言うゲームは、もちろん私見なのだが、最高に緊張するゲームのひとつだと思うし、最高に興奮し、そして最高に後悔する訳だ。

スタッドポーカーと比較すると、ドロウポーカー(所謂ポーカーのこと)なんて、子どもの遊びに思えてしまう。
 
 
その後、大学生になったわたし達は高校時代より時間に余裕が出来、不眠不休のまるで「シンシナティ・キッド」のラストのような数日続くポーカーの試合なんかをやったりもしていた。
 
 
全くの余談になってしまうが、大学時代自主制作映画を作っていたわたしは、カードゲームを題材とした作品を1本撮っている。

ある街に流れてきた若いカードゲームのギャンブラーが、その街の名人に一旦は敗れるのだが、既に引退し隠遁生活をおくっている老マスターの下で修行し、その名人との再戦を果たす、と言うプロットで、そのカードゲームを縦軸に、その若いギャンブラーと老マスターの孫娘の恋愛模様を織り込んだ作品だった。

どう贔屓目に見ても「シンシナティ・キッド」のパクリだと思えてしまうのだが、「シンシナティ・キッド」は何しろ1965年の作品だったので見ている人が少なかったせいもあるのか、手前味噌で恐縮だが、比較的よく出来た作品で、地元の大学の映画研究会の集まりの上映会でも、他大学の映研からの評価も高かったと記憶している。

あとは老マスターの下で若いギャンブラーが修行をすると言うヨーダとルークみたいな設定も今思えば入っているのだが、雰囲気は「ロッキー」(1976)等の特訓シーンのイメージ、または「 チーム★アメリカ/ワールドポリス」 (2004)のモンタージュ的なイメージね。

とかなんとか言うとコメディっぽい印象を与えてしまうかも知れないけど、意図する笑いは一切排除した演出をしています。

こぼれ話としては、カード(特に絵札の顔)のマクロ撮影に苦労したのを記憶している。マクロ撮影でのピントには苦労させられた。
絵札の顔はその作品としての必須の映像で、「シンシナティ・キッド」同様に、絵札の目の映像と俳優の目の映像を交互に編集したのを覚えている。

また、駅のホームの下にもぐりこんで、駅に到着する列車の車輪部分のアップを撮ったのを覚えている。
もちろんゲリラ撮影なのだが、まさしくシュート・アンド・ゴーという奴であった。

あとは、勝ち負けが決まるカットの後、衝撃を受けるキャストの映像としてヒッチコックの「めまい」(1958)でおなじみのトラックバックしながらのズームアップ(逆でも良いんだけど、被写体が動かないで背景が動くと言う不安定な映像)なんかも試した記憶がある。

あとは、ただの高いテーブルにおしゃれなランプひとつで、バーのカウンターのセットを作ったのも面白かった。
薄暗い照明でこれがバーに見えちゃうんだよね。

「シンシナティ・キッド」の話だったのだが、なんだか知らないけど、昔は良かった的な話になってしまったようですね。(遠い目・・・・)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php/29604
オオタケさんはいつも黄色い服を着ていますね。

そう、なぜなら黄色い色は、自転車乗りにとっては、特別な色だから。

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php/29604

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 >

 
tkr

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索