チン・シウトンの作品で「テラコッタ・ウォリア/秦俑」(1989/中国・香港)という素晴らしい映画がある。

物語の主人公は、秦の始皇帝の側近だった将軍である。その将軍は始皇帝の寵愛を受けた冬児という名の女性と禁断の恋に落ち、それを知った始皇帝の怒りを買ってしまう。

始皇帝は冬児を殺した上、将軍を王墓に生き埋めにし、永遠の忠誠を誓わせてしまう。そう、将軍は王墓を守る兵馬俑になってしまうのだ。
しかし、来世での再会を誓う将軍と冬児の最後の瞬間、将軍は始皇帝が追い求めていた不老不死の秘薬を冬児から口移しで呑まされ、不老不死の存在となってしまう。

そして1930年代、将軍は兵馬俑から復活し、駆け出し映画女優となった冬児と瓜二つの女性と再会、しかしながら将軍は結局その女性をも失ってしまう。

そして1980年代、兵馬俑の遺跡で働くかつての将軍の前に、三度冬児の生まれ変わりが登場する。兵馬俑の発掘現場の見学に来た生徒を引率する教師の姿で・・・・。

この映画のスタイルは、伝奇ロマンから、コメディ、スペクタクルと変貌するのであるが、根底に流れるスピリッツは、永遠の命を持ってしまった1人の男と1人の女性とその女性の生まれ変わりとの悲しくも麗しい恋を描いている悲劇なのである。

残念ながら途中のコメディ部分の脚本と演出はいただけないが、輪廻転生を描いた映画の中では、非常に良質の作品だと思う。

さて、ここで問題です。
果たして、前世や別の世界で深い関係にあった者同士は、名前や姿かたちが変わってしまったとしても、お互いに認め合うことができるのでしょうか。
スタートレックの最新シリーズ「エンタープライズ」の国内での放映が2002年11月、スーパーチャンネルで始まった。

スタートレックと言えばかつての「宇宙大作戦」(全79話)から端を発する米国のSFテレビシリーズであるが、このシリーズは、オリジナルシリーズである「宇宙大作戦」の後、「新スタートレック」(全178話)、「ディープスペースナイン」(全176話)、「ヴォイジャー」(全172話)と数々のシリーズが制作されており、スタートレック世界全体を包括するのは、最早素人では不可能であり、新たなファンを獲得するのが困難というような状況になっている。

しかし今回放映が始まった「エンタープライズ」は、世界観が複雑に肥大した現在の物語から、オリジナルシリーズ同様「エンタープライズ号の探査飛行」に焦点を合わせ、様々な異星人との交流や数々の冒険を描いているのである。しかも時代設定はオリジナルシリーズより過去の話、つまり映画「ファーストコンタクト」と「宇宙大作戦」の間の物語なのである。
従って、スタートレックの物語世界全容を理解しなくても十分理解し楽しめるシリーズになっているのである。

とは言っても実のところ、日本国内で放映されたのは、2時間枠のパイロットエピソードを第1話、第2話と数えてもやっと第3話なのである。ここでこんな話をするのは正に早計なのではあるが、昨日放映された第3話の"Fight or Flight"までを見る限り、「エンタープライズ」は正に元祖「スタートレック」の流れをくむ物語だ、という印象を受けた。

また、シリーズ初の歌もののオープニングではあるが、そのオープニング映像が素晴らしいのだ。帆船から、気球、プロペラ機からジェット機、ロケットから月着陸船、スペースシャトル、宇宙ステーション、そしてエンタープライズへと続く映像。
これはかつてのエンタープライズという名のついた多くの乗り物の記憶であるとともに、かつての冒険者たちの記憶を描写している正に感涙ものののオープニングに仕上がっているのだ。

諸君!それでは、人類に残された最後の開拓地を冒険しようではないか。

ご参考
STAR TREK U.S.S.KYUSYU
http://www.usskyushu.com/trek.html

オープニングの静止画(次のリンクの下部)
http://hoshi.sa.to/

スーパーチャンネル
(海外テレビシリーズ専門チャンネル)
http://www.super-ch.com/

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