「ハリー・ポッター」シリーズ最新作の「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」を観た。

「ハリー・ポッターと賢者の石」の日本公開は2001/12/01、
「ハリー・ポッターと秘密の部屋」の日本公開は2002/11/23、
1年半振りにハリーが、ロンが、ハーマイオニーが帰ってきたのだ。

とは言うものの、監督がクリス・コロンバスからアルフォンソ・キュアロンに変わったせいで、キャラクターに思い入れが無いのか、1年半待ち続けていたファンの気持ちがわからないのか、主要キャストの登場シーンにはガッカリさせられた。

ハリー(ダニエル・ラドクリフ)はともかく、ロン(ルパート・グリント)とハーマイオニー(エマ・ワトソン)の登場シーンに至っては、何の思い入れも無い脚本と演出に悲しい思いがする。
例えばこれが毎週放映されているテレビシリーズならともかく、1年半もの間、本作を待ち続けていたファンの皆さんには大変失礼な印象を受けた。

少なくても、彼等主要キャラクター、世界中が愛するキャラクターの登場に敬意をはらって欲しいものである。

映画のファースト・カットやキャラクターの初登場のカットに、監督の映画人としては無神経な印象を受けたのだ。
ハリー登場のファースト・カットにしても、映画の冒頭としては非常に弱いつまらないカットとなっている。

さらに、ハリーのライバルであるマルフォイ(トム・フェルトン)の描き方にも問題があるのではないだろうか。
勿論、ハリーのおそらく壮大な人生の中では、マルフォイの存在は小さなものかも知れないが、ホグワーツ魔法学校内でのハリーの学校生活においては、マルフォイの影響力は決して小さなものではないはずなのだから。
シリーズとしての一貫性の欠如にも繋がる大きな問題かもしれない。

マルフォイは、ハリーのライバルでどうしようもないいじめっ子だが、実は二人はお互いに認め合っている、という方向性に持っていって欲しいものである。

また、冒頭から中盤までの脚本もおざなりで退屈である。
映像はそこそこ面白いので目は退屈することはないが、脚本は一本調子で頭は退屈してしまう。

とは言うものの、後半、この物語の根本となるシークエンスの脚本はよく出来ている。というか、こういった話が個人的に好きだ、という理由から来ているのかも知れないが、わたし個人としては非常に楽しめたのだ。

しかし、ラストが良ければ全て良し、という訳にはいかないのではないだろうか。
確かに中盤からラストまでの脚本は面白いし、感動的であるが、それで良いのか、誤魔化されてしまって良いのか、と思ってしまう。

また脚本には遊びが無く、−−つまり行間が無いということ−−、物語を語る上で重要なシークエンスしかない。
キャラクター造型に必要なシークエンスが少ない、ということである。

季節が変わる表現が、伏線となる柳の木というのも、どうだろうか。
手抜きではないのかな、と思ってしまう。

とは言うものの、よく出来た伏線はいくつかある。
特に物語の大きな伏線である、ルーピン先生(デヴィッド・シューリス)の「恐いもの」を描いたのは秀逸であろうし、よく見ないと気付かない程度の顔の傷も良い、鋭い観客にはネタがその時点で割れているだろう。
というか、スネイプ先生(アラン・リックマン)の授業といい、もしかすると伏線がわかり安すぎる、ということだろうか。これは児童文学の映画化という所以だろうか。残念である。

やはり物語を描くシークエンスとキャラクターを描くシークエンスのバランスが上手く無い、ということだろうか。

クリス・コロンバンス監督時代は、大人も充分楽しめる作品になっていたような気がするのだが、アルフォンソ・キュアロンになって以前の作風は薄れ、子ども向けの映画になってしまったのだろうか。

キャストについては、何と言っても、シリウス・ブラックを演じたゲイリー・オールドマンと、リーマス・ルーピン先生を演じたデヴィッド・シューリスに尽きるだろう。

特に、デヴィッド・シューリスは良い味を出していた。
ゲイリー・オールドマンの参加が鳴り物入りで喧伝されていたこともあり、結果的には、ゲイリー・オールドマンをデヴィッド・シューリスが喰ってしまった感がある。

ハリーの人生に大きな影響を与え、我々の思い出の中でも大きな位置を占める愛すべき悲しいキャラクターになっている。

リチャード・ハリス亡き後のダンブルドア校長を引き継いだマイケル・ガンボンは可も無く不可も無く、というところだが、やはりリチャード・ハリスにはかなわないのではないだろうか。

主役三人組は良かった。
冒頭のシークエンスでハリーの声が変な感じだったので、ちょっと不安を感じたが、特に問題は無かった。
ハリー(ダニエル・ラドクリフ)はともかく、ロン(ルパート・グリント)は将来、器用で何でも出来る良い俳優になるんじゃないかな、という気がした。
ハーマイオニー(エマ・ワトソン)は、ちょっと大人っぽくなりすぎの感がある。

脚本上の問題点として、ハーマイオニーの中盤の神出鬼没振りは、後半の注意事項と矛盾があるね。

余談だが、エンド・クレジットは面白かった。
ひとつひとつの足跡が細かく演出されており、ジャンプしたり、フラフラしたり、またはルーピン先生らしき足跡とかが楽しかった。
シリウス・ブラックと死を免れた相棒の足跡も出てくると思ったのだが、出てこなかったようである。

今日はこの辺で・・・・。
つづくかも。
tkr

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