ベストセラー本と図書館の死
2004年6月28日 読書注)この文章は、2002年11月7日にNHK総合で放映された「クローズアップ現代」にインスパイアされて書いた文章です。
その回の「クローズアップ現代」の内容は、現代の出版業界と図書館が抱えている問題点と改善策をまとめたもので、その中で最大の問題点として挙げられていたのは、「図書館によるベストセラー本の大量購入により、図書館の本来の使命が果たせない、また、出版会社が損失を被っている」というものでした。
次の文章は、それを前提にして、現代の図書館の問題点と、わたしたち読書好きに課せられた壮大な使命をまとめ、とあるメイリング・リストに投稿したものです。
また、「【ネタ】 高等教育の死」
http://www.we-blog.jp/sun/impressions/a0000097423.php
に対するアンサー・ブログにもなっています。
(次の文章は、直前のわたしの投稿に対し誤解した人に対する説明から始まっているため、わかりづらいかも知れません)
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
昨夜の「クローズアップ現代」で出版社やペンクラブサイドが問題視していたのは、図書館による「ベストセラー本」の大量購入についてです。
例えば、ひとつの図書館に「ハリー・ポッター/炎のゴブレット」が150セットあるような状況が図書館として異常ではないか。ということです。
別に上記のようなベストセラー本を2〜3セットくらい購入するのなら、図書館としても出版社としても問題としないと思いますが、実際にはベストセラー本は、ひとつの図書館に50〜150セットもあるような状況が一般的のようです。
そして、1年も経てば、それらのベストセラー本は使命を終え、図書館の倉庫に山積みになってしまい廃棄処分を待つ、と言う事態に陥っている訳です。
そもそも図書館には、「現代の知を集約し、次世代に知を継ぐ」という大きな使命がある訳ですが、最近のリクエスト制を導入している図書館の多くは、学術書や専門書という「知の集約的書籍」を購入せずに、1年もたてば廃棄処分になってしまうようなベストセラー本を大量に購入している。ということです。
この点については、勿論図書館の予算が少ない。というのが最大の問題なのだと思いますが、その少ない予算の有効利用が、短絡的にリクエストされているベストセラー本の大量購入になってしまっている、というのが実情なのです。
これは、読書好きとしては由々しき事態だと思います。
このままでは出版業界の淘汰は勿論、ベストセラー本しか出版されないような時代の到来も容易に想像できます。
または、良い意味でのオンデマンド出版への移行とか。
出版業界サイドの問題としては、数字ははっきり覚えていませんが、昨年(2001年)の図書館の貸出しベスト10書籍の総貸出し数はのべ600万部に相当し、売上げとしては、10億円規模の損害(?)を出版社は被り、著者の印税は・・・・円の損害。という試算が出ているようです。
わたしたちはただの読書好きですが、われわれにも、「未来の出版業界を支える」という大切な使命がある訳です。
われわれが本を買うことによって、ベストセラー本が生まれ、またマニアックな書籍の市場が生まれ、結果的に出版業界が、そして作家たちが生きながら得ている訳です。
勿論われわれには、某ブック・オフで「裁断寸前の、永遠に失われてしまう直前の貴重な書籍を救出する」という使命もありますがね。
なにしろ火は楽しいのですから。
ですから、皆さんの自宅による「未読の塔の建設」は未来の出版業界に取って、作家たちにとって、非常にすばらしい行為なのかもしれません。勿論死蔵もですが。
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その回の「クローズアップ現代」の内容は、現代の出版業界と図書館が抱えている問題点と改善策をまとめたもので、その中で最大の問題点として挙げられていたのは、「図書館によるベストセラー本の大量購入により、図書館の本来の使命が果たせない、また、出版会社が損失を被っている」というものでした。
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例えば、ひとつの図書館に「ハリー・ポッター/炎のゴブレット」が150セットあるような状況が図書館として異常ではないか。ということです。
別に上記のようなベストセラー本を2〜3セットくらい購入するのなら、図書館としても出版社としても問題としないと思いますが、実際にはベストセラー本は、ひとつの図書館に50〜150セットもあるような状況が一般的のようです。
そして、1年も経てば、それらのベストセラー本は使命を終え、図書館の倉庫に山積みになってしまい廃棄処分を待つ、と言う事態に陥っている訳です。
そもそも図書館には、「現代の知を集約し、次世代に知を継ぐ」という大きな使命がある訳ですが、最近のリクエスト制を導入している図書館の多くは、学術書や専門書という「知の集約的書籍」を購入せずに、1年もたてば廃棄処分になってしまうようなベストセラー本を大量に購入している。ということです。
この点については、勿論図書館の予算が少ない。というのが最大の問題なのだと思いますが、その少ない予算の有効利用が、短絡的にリクエストされているベストセラー本の大量購入になってしまっている、というのが実情なのです。
これは、読書好きとしては由々しき事態だと思います。
このままでは出版業界の淘汰は勿論、ベストセラー本しか出版されないような時代の到来も容易に想像できます。
または、良い意味でのオンデマンド出版への移行とか。
出版業界サイドの問題としては、数字ははっきり覚えていませんが、昨年(2001年)の図書館の貸出しベスト10書籍の総貸出し数はのべ600万部に相当し、売上げとしては、10億円規模の損害(?)を出版社は被り、著者の印税は・・・・円の損害。という試算が出ているようです。
わたしたちはただの読書好きですが、われわれにも、「未来の出版業界を支える」という大切な使命がある訳です。
われわれが本を買うことによって、ベストセラー本が生まれ、またマニアックな書籍の市場が生まれ、結果的に出版業界が、そして作家たちが生きながら得ている訳です。
勿論われわれには、某ブック・オフで「裁断寸前の、永遠に失われてしまう直前の貴重な書籍を救出する」という使命もありますがね。
なにしろ火は楽しいのですから。
ですから、皆さんの自宅による「未読の塔の建設」は未来の出版業界に取って、作家たちにとって、非常にすばらしい行為なのかもしれません。勿論死蔵もですが。
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