「シルミド/SILMIDO」
2004年5月25日 映画
2004/05/24、東京有楽町よみうりホールで行われた「シルミド/SILMIDO」の試写会に行ってきた。
本作「シルミド/SILMIDO」は、韓国政府によって長年に亘って隠蔽されていた、韓国政府による北朝鮮金日成暗殺計画と、それを巡る特殊工作部隊の反乱事件(「シルミド事件」)を描いたアクション・サスペンスである。
1968年1月、北朝鮮特殊工作部隊による韓国大統領府襲撃未遂事件が発生。同年4月、韓国政府はその報復のため、シルミド(実尾島)に死刑囚ら31人を集め、極秘に金日成暗殺部隊の設立を目論んだ。
カン・インチャン(684部隊第3班長/ソル・ギョング)、ハン・サンピル(684部隊第1班長/チョン・ジェヨン)ら元死刑囚31人は、その時の年月から名付けられた684部隊の特殊工作員としてジェヒョン隊長(アン・ソンギ)、チョ2曹(ホ・ジュノ)の下、過酷な訓練を開始する。
3年後、優秀な工作員に仕立て上げられた彼らに、いよいよ実行命令が下される。しかし、政府の対北政策は決行目前になって大きく転換、北潜入へ向け行動を開始した部隊に急遽命令の撤回が告げられるのだったが・・・・。
本作「シルミド/SILMIDO」は、韓国本国では、1,200万人(2004年3月現在)以上という韓国映画史上最高動員記録を樹立した作品であると同時に、実際の事件である所謂「シルミド事件(金日成暗殺を目的とする特殊工作部隊の設置と、その部隊の抹殺指令の発令、部隊の反乱と粛清)」という韓国の近代史における恥部を映画化した、ある意味志の高い作品である。
もしかすると文化の違いからかも知れないが、韓国の皆さんのようにわたしは号泣することはなかったが、軍隊という階級社会の閉鎖された環境で、軍人として生きるのか、それとも本来の人間として生きるのかを、淡々とまたは壮絶に描いている。
また細かい泣かせどころもツボを押さえており、感動の社会派ドラマという見方も出来る作品である。
そして、その物語の描き方は、冒頭部分を684部隊内部の視点から描き、反乱直前までの部分を684部隊の教官側の視点から描いているのが興味深かった。
これにより、684部隊の隊員に厳しく接するジェヒョン隊長(アン・ソンギ)やチョ2曹(ホ・ジュノ)の、軍人として684部隊に接する厳しさと、人間として愛情を持って、自らの命の危機を顧みず684部隊員の事を考える姿の対比が、素晴らしい効果を醸し出している。
特に自分の力ではどうしようもない環境に置かれてしまった684部隊の教官たちの苦悩が悲しくも美しい。
繰り返しになるが、チョ2曹(ホ・ジュノ)の人間臭い生き様が泣ける。
物語の構成は、前半部分は訓練風景、後半部分は実戦ということで、ともすれば、スタンリー・キューブリックの「フルメタルジャケット」的な印象を受けたし、また、同様の観点からクリント・イーストウッドの「ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場」のような印象も受けた。
また、後半部分のバス・ジャック辺りは、クリント・イーストウッドの「ガントレット」を髣髴とさせるアクション・シークエンスが続く。
おそらく、日本国内では、いくら韓国映画ブームだとは言っても、客がたくさん入る映画ではないと思われるが、現在日本が抱えているアジアの外交・政治問題に遠からず関連がある題材を描いている作品なので、その辺りに関心がある方は是非劇場に足を運んでいただきたい。
☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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本作「シルミド/SILMIDO」は、韓国政府によって長年に亘って隠蔽されていた、韓国政府による北朝鮮金日成暗殺計画と、それを巡る特殊工作部隊の反乱事件(「シルミド事件」)を描いたアクション・サスペンスである。
1968年1月、北朝鮮特殊工作部隊による韓国大統領府襲撃未遂事件が発生。同年4月、韓国政府はその報復のため、シルミド(実尾島)に死刑囚ら31人を集め、極秘に金日成暗殺部隊の設立を目論んだ。
カン・インチャン(684部隊第3班長/ソル・ギョング)、ハン・サンピル(684部隊第1班長/チョン・ジェヨン)ら元死刑囚31人は、その時の年月から名付けられた684部隊の特殊工作員としてジェヒョン隊長(アン・ソンギ)、チョ2曹(ホ・ジュノ)の下、過酷な訓練を開始する。
3年後、優秀な工作員に仕立て上げられた彼らに、いよいよ実行命令が下される。しかし、政府の対北政策は決行目前になって大きく転換、北潜入へ向け行動を開始した部隊に急遽命令の撤回が告げられるのだったが・・・・。
本作「シルミド/SILMIDO」は、韓国本国では、1,200万人(2004年3月現在)以上という韓国映画史上最高動員記録を樹立した作品であると同時に、実際の事件である所謂「シルミド事件(金日成暗殺を目的とする特殊工作部隊の設置と、その部隊の抹殺指令の発令、部隊の反乱と粛清)」という韓国の近代史における恥部を映画化した、ある意味志の高い作品である。
もしかすると文化の違いからかも知れないが、韓国の皆さんのようにわたしは号泣することはなかったが、軍隊という階級社会の閉鎖された環境で、軍人として生きるのか、それとも本来の人間として生きるのかを、淡々とまたは壮絶に描いている。
また細かい泣かせどころもツボを押さえており、感動の社会派ドラマという見方も出来る作品である。
そして、その物語の描き方は、冒頭部分を684部隊内部の視点から描き、反乱直前までの部分を684部隊の教官側の視点から描いているのが興味深かった。
これにより、684部隊の隊員に厳しく接するジェヒョン隊長(アン・ソンギ)やチョ2曹(ホ・ジュノ)の、軍人として684部隊に接する厳しさと、人間として愛情を持って、自らの命の危機を顧みず684部隊員の事を考える姿の対比が、素晴らしい効果を醸し出している。
特に自分の力ではどうしようもない環境に置かれてしまった684部隊の教官たちの苦悩が悲しくも美しい。
繰り返しになるが、チョ2曹(ホ・ジュノ)の人間臭い生き様が泣ける。
物語の構成は、前半部分は訓練風景、後半部分は実戦ということで、ともすれば、スタンリー・キューブリックの「フルメタルジャケット」的な印象を受けたし、また、同様の観点からクリント・イーストウッドの「ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場」のような印象も受けた。
また、後半部分のバス・ジャック辺りは、クリント・イーストウッドの「ガントレット」を髣髴とさせるアクション・シークエンスが続く。
おそらく、日本国内では、いくら韓国映画ブームだとは言っても、客がたくさん入る映画ではないと思われるが、現在日本が抱えているアジアの外交・政治問題に遠からず関連がある題材を描いている作品なので、その辺りに関心がある方は是非劇場に足を運んでいただきたい。
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