「口裂け女」

2007年3月18日 映画
2007/03/17 東京板橋「ワーナーマイカルシネマズ板橋」で「口裂け女」を観た。
上映前に、監督の白石晃人、キャストの佐藤江梨子、加藤晴彦の舞台挨拶があった。

本作「口裂け女」は、子供に対する暴力描写に不快感を感じるが、現代の日本ホラー映画界を考える上で、有意義な作品だと思う。

私見だが、ホラー映画と言う物は、大きく二つに分類できると考えている。
それは、ホラー映画の主体となる存在、ーーモンスターや殺人者ーー、にスーパーナチュラルな要素があるかどうか、と言うことである。

言い換えるならば、そのモンスターが物理法則に従っているかどうか、である。

大昔のホラー映画の主体(モンスター等)のほとんどはスーパーナチュラルの要素に満ちていたのだが、いつの頃からか、ーおそらくベトナム戦争等、国家の信頼が揺るいだ後ー、実際に恐ろしいのはモンスターではなく人間である、と言う時代が到来し、物理法則に則ったモンスターが登場するホラー映画が製作されるようになり、同時に実際の世の中にも、理解に苦しむような異常性格殺人者の事件が増えてくる。

1950年代のエド・ゲイン事件を基に製作されたトビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」(1974)や、ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968)等ゾンビシリーズは、物理法則に則ったモンスターが登場するホラー映画の代表だと思う。

ここで何故そんな話をしているかと言うと本作「口裂け女」は、口裂け女の存在自体にはスーパーナチュラルな要素が含まれているのだが、その口裂け女が行っていることは、「悪魔のいれにえ」のレザーフェイスが行っていることと類似しているのだ。

つまり、本作「口裂け女」は、スーパーナチュラルなホラー映画、ー怖いのはその場だけのファンタジックなホラー映画ー、の体裁を取りながら、実際は実在のサイコキラーを主人公とした恐怖を描いているのではないか、と思えるのだ。

つまり、この映画は、幼少期にこの映画を観た観客にとってトラウマとなりうる力を持ったホラー映画になりうる可能性を持った作品だと思えるのだ。

脚本は、難はあるものの十分に面白いものだし、その演出はツボをおさえた的確な演出が続き、また残酷描写もなかなかにえぐいものがあり、ショック・シーンだけではなく、生理的な嫌悪感を与えるような恐怖描写も効果的である。

つづく・・・・

☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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