「ジーリ」

2004年8月21日 映画
2004/08/21 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント試写室で噂の「ジーリ」を観た。

ご承知の方はご承知のように本作「ジーリ」は、2004年のゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)を総なめにした作品である。

日本の映画ファンの中には、どんなに酷いか確認してみたい、と言う「恐いもの見たさ」感覚を持った人も多く、日本公開が待たれていた作品の一本であったのだ。
しかしながら、ソニー・ピクチャーズの英断もあり、所謂ビデオ・ストレート(ビデオ・スルー)作品と相成った訳だ。

そして、DVD(ビデオ)発売を記念した試写が2度ほどあったようなのだが、わたしはたまたま21日(土)の試写を観た訳である。
 
 
ご参考までに本作「ジーリ」のゴールデン・ラジー賞の受賞歴をご紹介しよう。

2004年 ゴールデン・ラジー賞 受賞
ワースト作品賞
ワースト主演男優賞 ベン・アフレック
(※「デアデビル」、「ジーリ」、「ペイチェック 消された記憶」の三作品に対して) 
ワースト主演女優賞 ジェニファー・ロペス
ワースト監督賞 マーティン・ブレスト
ワースト脚本賞 マーティン・ブレスト
ワースト・スクリーン・カップル賞 ベン・アフレック&ジェニファー・ロペス

2004年 ゴールデン・ラジー賞 ノミネート
ワースト助演男優賞 アル・パチーノ
ワースト助演男優賞 クリストファー・ウォーケン
(※「カンガルー・ジャック」、「ジーリ」の二作品に対して)
ワースト助演女優賞 レイニー・カザン
 
 
第一印象としては、普通のつまらない映画だ、と言うものだが、やはりこのおバカなカップルが共演している、と言う点がやはりラジー賞たる所以だろう。
わたしは個人的に、ベン・アフレックとジェニファー・ロペスではない他の俳優が、彼等の役柄を演じていたとしたら、おそらくラジー賞の対象にはならなかったと思うし、話題にもならなかったのではないか、と思う。

脚本は、おそらくクエンティン・タランティーノのような薀蓄満載のちょっと下品だがエスプリがきいたキャッチーで面白い物(「レザボアドッグス」のマドンナの話や「パルプ・フィクション」のビッグ・マックの話)を目指したのだと思うのが、なぜか性(sex)の話題が頻発するシモネタ系にまとまってしまい、なんだか下品なテイストを十二分に醸し出してしまっている。
従って本作は、おバカ・カップルの下品な性(SEX)に関する話題満載のサスペンス・コメディになってしまっているのだ。

そして、製作サイドとしては、おそらく二人の話題性だけで行けると思ったのか、前述のように脚本はマズいし、演出も微妙、音楽は安易、と言った印象を与えてしまっている。

キャスト的には、先ずベン・アフレックは例によってマヌケ面全開で、キャラクターもハイスクールのマッチョな俺様ヒーローが、社会に出てダメになってしまった感じのキャラクターをある意味見事に演じている。

ジェニファー・ロペスは普通だった。
と言うか、前半部分ではベン・アフレックのバカさ加減に、ジェニファー・ロペスが切れる役に見えてしまうのだ。

そんな中で、ブライアン役のジャスティン・バーサは良かった。
一応本作「ジーリ」はブライアンの成長物語とも言える事もあり、もしかするとブラインの存在に本作は救われているのかも知れない。
事実ジャスティン・バーサはラジー賞にはノミネートすらされていないのだ。

またクリストファー・ウォーケンやアル・パチーノは、各々1シーンずつの登場なのだが、一見の価値がある素晴らしい存在感を醸し出している。
特にアル・パチーノのシーンは素晴らしい。
アル・パチーノの「ゴッドファーザー」を彷彿とさせる所謂セルフ・オマージュが楽しい。

しかし大きな問題としては、大御所二人のキャラクターが脚本の他の部分に絡まないのだ。勿論プロット上はクリストファー・ウォーケンはともかく、アル・パチーノは主要キャラクターと言って言いし、話題にはなっている。しかし、他のシーンとの絡みが皆無に近いのだ。
もしかしたら、二人の大御所俳優はこの映画の全貌を知らないのかも知れないし、客寄せパンダ的な役割を担っているのかも知れない。

結果的にわたしは本作「ジーリ」を次のような人にオススメするのだ。
1.1年間に映画を100本以上観る人のうち、
2.ラジー賞がどういった賞か理解している人で、
3.おバカなカップルを見たい人

余談だが、東京では1週間で公開が打ち切られた「フォード・フェアレーンの冒険」のアンドリュー・ダイス・クレイとベン・アフレックが被るような気がした。

因みにわたしは「フォード・フェアレーンの冒険」も当時「ダイハード2」のレニー・ハーリンの作品という事で、初日に観に行っている。

わたしを誘った友人の「こんな映画いつ打ち切りになるのかわからないから、初日か二日目に観るしかない」と言う言葉を覚えている。
tkr

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