2010年12月1日 東京板橋「ワーナーマイカルシネマズ板橋」で「SPACE BATTLE SHIP ヤマト」を観た。

と言う話は先日書きましたね。

でも今日も書いてみようと思います。
だって、語り甲斐がある作品なんだもん。

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」をめぐる冒険
http://29346.diarynote.jp/201012012009113939/

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」をめぐる冒険 その2
http://29346.diarynote.jp/201012040039316354/


2.SFとしての「宇宙戦艦ヤマト」

時に西暦2199年。

そう、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の舞台は2199年。

しかも地球は、ガミラスから無数の遊星爆弾の無差別攻撃を受け、地表に住めなくなってしまった人類は、その赤茶けた地表から地下都市へと移り住んでいるのだ。

そんな中、製作された「SPACE BATTLESHIP ヤマト」に期待されているのは、21世紀のSF作品であろう。
ぼくだけじゃないでしょ。骨太なSFドラマを期待しているのは。

ところで、最近のSF映画のトレンドは、ハードなSF世界の構築に腐心しているのではないだろうか。
そんな状況の中、当然ながら我が国が誇るSF映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」もハードSFとしての作風が期待されていたのではないかと思う。
表層だけではなく、根底に流れる精神もね。

と言う訳で、本作をSF映画として考えた場合、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の世界観の構築にとっては、所謂SF考証が非常に重要になってくると考えられるのだ。

まあ、今日はSF考証だなんてなんだか小難しい固い事を言うのではなく、SF映画として本作を眺めた場合の違和感を考えていきたいと思う。

1)ユニフォームは皮革製!?

ヤマト乗組員のユニフォームのデザインはテレビアニメのデザインを踏襲しているのだが、上着はどうやら皮革製であるように描写されている。
ユニフォームの下(パンツ)はちとださいですけどね。

おいおい、地球の地表は放射能汚染で誰も住めない環境で人類は細々と地下都市で暮らしてるんだぞ、なのにユニフォームは皮革製品かよ。
牛とか羊とか馬とかの皮革だよ。
人間が地下で細々と暮らしているのに・・・・

もしそうなら、状況的に考えて超高級品じゃねーか、と思います。

まあ合成皮革かも知れませんが、見るからに普通の皮革みたいですよね。

こんな環境で、皮革を使うのはおかしいんじゃない、と思う人はいなかったのでしょうか。


2)酒ばっかり呑んでんじゃねーよ

まあ、ヤマトなんですから、別に艦内で酒を飲んでも構わないのですが、暇さえあれば誰もがみんな酒を飲んでます。

ヤマトが地球を旅立った後、ヤマト艦内では、戦闘しているか酒呑んでいるかのどちらかのシーンしかありません。

で面白いのは、クルーの皆さんはソフトドリンクを飲む場合はガラス製のグラスやデキャンタを使っているのですが、酒を呑む場合は金属製のカップ、(おそらく錫のカップだと思います)を使っているようなのです。

日本酒に錫のカップ、と言うこだわりなのだと思いますが、こだわる意味がわかりません。
美術のコンセプトと言うか、世界観の構築に錫のカップが貢献しているのでしょうか。

意味がわからないと言えば、娯楽室とか食堂のプロダクションデザインがおかしいです。
その辺の家具屋で売っているような椅子やテーブルがそのまま置いてあるのです。

従って、2199年の宇宙戦艦の内装とは思えないのです。

前述のように、SF映画としては世界観の構築が重要だと思うのですが、その重要な世界観の構築がなされていない訳ですね。

しかも、無重力状態になったら、使い物にならないような家具や食器ですよ。
って言うか、艦船としても考えられない位の普通の家具です。

狭い艦船内を有効に活用していない戦艦なんですね。ヤマトは。

無重力に耐えられる家具や食器にしようとは、誰も考えつかなかったのでしょうか。
ヤマトの艦内は狭いので、コンパクトで合理的な家具にしようと思わなかったのでしょうか。

SF映画なのに、家具とか食器とか言ってる時点でおかしいですよね。


3)第三艦橋が!

まあ、第三艦橋が壊れたりするのはヤマトのお約束なので良いのですが、伏線がしょぼいし(「ローレライ」の野球のボールかと思いましたよ)、その壊し方がまたもや「GALACTICA/ギャラクティカ」です。

脚本上、ただ単に、第三艦橋を破壊するために存在する伏線が哀れです。

ところで、「GALACTICA/ギャラクティカ」の女性戦闘機パイロットであるスターバックがオリンピックキャリアと言う民間船を撃つエピソードがあるのですが、これはそのエピソードのパクリです。

まあ、黒木メイサが演じる森雪のキャラクター自体が「GALACTICA/ギャラクティカ」のスターバックのパクリなんですから仕方がないんですけどね。

で、第三艦橋の壊れ方なんですが、不思議な事に宇宙空間なのに下に落ちていくんですね。これが。

無重力なのにおかしいな、と思う人はいなかったんでしょうか。


4)キーボード!?

ヤマトのブリッジにキーボードがたくさんあります。

2199年に現代のキーボードみたいなものが残っているのかな。
そのキーボードで宇宙戦艦をコントロールしているのかな。

キーボードで宇宙戦艦を動かすなんて安易ですよね。

誰もおかしいとおもわなかったのかな。


5)通信室

クルーのIDは4桁でした。
通信室での通信には、認識票(ドッグタグ)に表示されている認識番号が必要な設定だったのですが、その桁数はなんと4桁でした。

いくらなんでも4桁はないでしょう。
アメリカの社会保障番号は9桁なので、それにおまけがついて10〜12桁くらいじゃないですかね。

ところで、この通信は、即時性が維持されているんですが、ヤマトは亜空間通信でしたっけ。説明なかったですよね。

誰もおかしいと思わなかったのでしょうか。


6) I have control.

波動砲を撃つ際、古代は島から操舵を受け取るのですが、所謂You have control. I have control. ですね。(ヤマトではそんなこと言ってないけど)操舵を受け取る際の古代の操縦桿らしきもの、がとっても小さいし、操舵を受け取った瞬間ヤマトが揺れるんですよ。
これは設定上どうなんでしょうか。
例えば、南部に操舵を渡した方が良いんじゃないのかな、と思ったね。

目標、ヤマトの軸線に乗りました、とか言ってるのは南部だし。

船体を固定するのもどうかな。

あと、数十キロ先の目標を波動砲で撃つのは良いとして、目標が描写されないので、当たったのか外れたのかもわからないですね。

観客に危機感が全く伝わらないのです。


7)次元レーダーと作戦室

オリジナルのヤマトのブリッジ(第一艦橋)の中央には次元レーダーと言う半球状のレーダーが置いてあったのですが、今回のヤマトにはありませんでした。

と言うか、「GALACTICA/ギャラクティカ」でおなじみの作戦用のテーブルみたいのが、ブリッジの中央、艦長席と古代の席の間に、ありますね。

「GALACTICA/ギャラクティカ」へのオマージュ以外の理由で、次元レーダーをブリッジに置かないで、作戦用のテーブルを置く意味がわからない。

あと真田さんがワープの説明をする作戦室がなかった。
この作戦室は「新世紀エヴァンゲリオン」とかでも引用されているビジュアル的に大変素晴らしいプロップなのに何故出てこなかったのかな。非常にもったいないですね。

そういった細部の描写が重要だと思うのですがね。


8)ワープと波動砲って簡単ね。

エネルギーの充填のタイムラグはまあ良いんだけど、ワープも波動砲も危機感が全くない。

ワープについての真田さんの説明がなかったせいか設定の問題か、ワープのタイミングを間違えると宇宙が吹っ飛ぶ、と言う設定でもなかったし、古代が無理矢理ワープするシークエンスも全く危機感がない。

因みに、古代が無理矢理ワープするのも、「GALACTICA/ギャラクティカ」の最終回のジャンプのシークエンスのパクリでしょうかね。

9)アナライザー!

あの使い方はどうよ。
あの愛すべきキャラクターがあんな扱いに・・・・


10)ワープ

ワープのビジュアルどうですか。
煙と言うか水蒸気みたいの出てるけど大丈夫ですかね。

11)コスモ・ゼロ

発進する際、古代の首ガクってなんだよ。
いつの時代の演出だよ。

今時、F1だって首ガクってならないようにヘッドレストついてるよ。


まだまだつづくね・・・・

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」をめぐる冒険 その4
http://29346.diarynote.jp/201012112316056938/

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