「SPACE BATTLESHIP ヤマト」をめぐる冒険 その2
2010年12月3日 映画2010年12月1日 東京板橋「ワーナーマイカルシネマズ板橋」で「SPACE BATTLE SHIP ヤマト」を観た。
と言う話は先日書きましたね。( http://29346.diarynote.jp/201012012009113939/ )
でも今日も書いてみようと思います。
だって、語り甲斐がある作品なんだもん。
1.「引用と剽窃の境界」
オマージュやリスペクト、引用や剽窃、パクリや盗作。
世の中にはいろんな言葉がある。
映画の世界で、その作品が好きで好きで仕方がないから、そんな素敵な作品が撮りたいから、そんな格好良いシークエンスが撮りたいから、あのカットを撮りたいから、ちょっとだけ真似してみよう、と言う作品はたくさんある。
その気持ちはわかるけど、真似しちゃいけない部分、て言うのがあると思う。
先人たちが知恵を絞って考え抜いた設定やプロット、そしてトリックとかネタ。
表層ではなく、物語に真摯に向き合った結果、産まれた部分である。
それらを、言わばその作品の肝とも言うべき大きなトリックやネタを、格好良い表層だけ軽くパクるのは我慢が出来ない。
例えば、例に出して悪いが、「踊る大捜査線」シリーズが黒澤明やアルフレッド・ヒッチコックをリスペクトやオマージュの名のもとに、パクるのは許せないのだ。
例えば、上記の「踊る大捜査線」シリーズが、「羊たちの沈黙」とか「機動警察パトレイバー」、「機動戦士ガンダム」、「ジャガーノート」や「サブウェイ・パニック」、「オデッサ・ファイル」、「砂の器」などのちょっとしたシーンやカットを真似しちゃうのはまあ許せるとしても(あんまり許したくないけど)、「天国と地獄」の一番の大ネタや「知りすぎていた男」の大ネタを、作品最大の見せ場としてパクるのは絶対的に許せないのだ。
何故こんな事を書いているか、と言うと本作「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は米テレビシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」の影響をめちゃくちゃ受けていると言わざるを得ないからである。まあ、その他いろいろな作品の引用もあるんだけど、「GALACTICA/ギャラクティカ」の影響が一番多いと思えるのね。
まあ端的に言うと「GALACTICA/ギャラクティカ」の劣化コピーが「SPACE BATTLESHIP ヤマト」だと言えるのだね。
因みに「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の監督である山崎貴は「GALACTICA/ギャラクティカ」の大ファンであると言って差し支えないだろう。
「GALACTICA/ギャラクティカ」のオフィシャル・サイトで山崎貴は、「GALACTICA/ギャラクティカ」の魅力を語り尽くしているのだから。( http://www.galactica-saga.com/int01.html )
これは非常に興味深いコラムなので、是非多くの人、特に「SPACE BATTLESHIP ヤマト」と「GALACTICA/ギャラクティカ」を観た人に読んでいただきたいと思う。
印象的な部分を引用する。
── 旧作の「リ・イマジネーション」という点については、どう思われますか?
山崎 『GALACTICA/ギャラクティカ』の「リ・イマジネーション」って、僕はマンガの『PLUTO(プルートウ)』(※3)に近い感覚だと思うんですよ。オリジナルを大切にしながらも、21世紀の作品として仕上げてるところが。この人たち、ちゃんとオリジナルのいい面に敬意を払ってるというのが素敵です。
── 日本のVFXの第一人者から見て、『GALACTICA/ギャラクティカ』のVFXは?
山崎 いい仕事してますよね。目指していた「ミニチュアで撮った感じ」を本当に大事にしてる。ことさらにVFXを強調しすぎてるカットがない、という点もスゴいです。ニュースやドキュメンタリーの映像みたいですもんね。戦場カメラマンのようなカメラワーク── 。手ブレもあるし、急にズームしたりもする。戦闘シーンのBGMが太鼓の音だけという潔さもカッコいいです。
VFXの使い方がすごく大人ですよ。当然こういう作品だから、VFXというのは必要。かつては戦闘機が出てくるSFだったら、必ず“VFX大会”になってしまっていたんですけど、『GALACTICA/ギャラクティカ』にはストイックな戒めがある。ルールを作っている。「今、撮りに行ってきました!」みたいな絵にしているところは、共感できますね。そうしないと、今はもう駄目なんです。これ見よがしな絵なんてどうでもいいんですよ。そんなものは誰も求めてない。宇宙船の戦闘シーンなんて、過去に何百回と繰り返されてる絵だから、何か新しい要素を加えるためには、ドキュメンタリー風な撮り方はいいですよね。
── 『GALACTICA/ギャラクティカ』の中で、監督も使ってみたい技法はありましたか?
山崎 いろいろありますよ。でも、それは内緒、ということで(笑)。
どうです。
いろいろと凄い事言ってるでしょ。
穿った見方かも知れないけど、山崎貴が自ら封印していた「SF魂」を目覚めさせた作品である「GALACTICA/ギャラクティカ」みたいな作品をつくろうとして「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を作っちゃった、と読み取れてしまうのが恐ろしいですね。
「GALACTICA/ギャラクティカ」の根底に流れる精神ではなく表層を。
つづく・・・・
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」をめぐる冒険 その3
http://29346.diarynote.jp/201012040202165809/
と言う話は先日書きましたね。( http://29346.diarynote.jp/201012012009113939/ )
でも今日も書いてみようと思います。
だって、語り甲斐がある作品なんだもん。
1.「引用と剽窃の境界」
オマージュやリスペクト、引用や剽窃、パクリや盗作。
世の中にはいろんな言葉がある。
映画の世界で、その作品が好きで好きで仕方がないから、そんな素敵な作品が撮りたいから、そんな格好良いシークエンスが撮りたいから、あのカットを撮りたいから、ちょっとだけ真似してみよう、と言う作品はたくさんある。
その気持ちはわかるけど、真似しちゃいけない部分、て言うのがあると思う。
先人たちが知恵を絞って考え抜いた設定やプロット、そしてトリックとかネタ。
表層ではなく、物語に真摯に向き合った結果、産まれた部分である。
それらを、言わばその作品の肝とも言うべき大きなトリックやネタを、格好良い表層だけ軽くパクるのは我慢が出来ない。
例えば、例に出して悪いが、「踊る大捜査線」シリーズが黒澤明やアルフレッド・ヒッチコックをリスペクトやオマージュの名のもとに、パクるのは許せないのだ。
例えば、上記の「踊る大捜査線」シリーズが、「羊たちの沈黙」とか「機動警察パトレイバー」、「機動戦士ガンダム」、「ジャガーノート」や「サブウェイ・パニック」、「オデッサ・ファイル」、「砂の器」などのちょっとしたシーンやカットを真似しちゃうのはまあ許せるとしても(あんまり許したくないけど)、「天国と地獄」の一番の大ネタや「知りすぎていた男」の大ネタを、作品最大の見せ場としてパクるのは絶対的に許せないのだ。
何故こんな事を書いているか、と言うと本作「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は米テレビシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」の影響をめちゃくちゃ受けていると言わざるを得ないからである。まあ、その他いろいろな作品の引用もあるんだけど、「GALACTICA/ギャラクティカ」の影響が一番多いと思えるのね。
まあ端的に言うと「GALACTICA/ギャラクティカ」の劣化コピーが「SPACE BATTLESHIP ヤマト」だと言えるのだね。
因みに「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の監督である山崎貴は「GALACTICA/ギャラクティカ」の大ファンであると言って差し支えないだろう。
「GALACTICA/ギャラクティカ」のオフィシャル・サイトで山崎貴は、「GALACTICA/ギャラクティカ」の魅力を語り尽くしているのだから。( http://www.galactica-saga.com/int01.html )
これは非常に興味深いコラムなので、是非多くの人、特に「SPACE BATTLESHIP ヤマト」と「GALACTICA/ギャラクティカ」を観た人に読んでいただきたいと思う。
印象的な部分を引用する。
── 旧作の「リ・イマジネーション」という点については、どう思われますか?
山崎 『GALACTICA/ギャラクティカ』の「リ・イマジネーション」って、僕はマンガの『PLUTO(プルートウ)』(※3)に近い感覚だと思うんですよ。オリジナルを大切にしながらも、21世紀の作品として仕上げてるところが。この人たち、ちゃんとオリジナルのいい面に敬意を払ってるというのが素敵です。
── 日本のVFXの第一人者から見て、『GALACTICA/ギャラクティカ』のVFXは?
山崎 いい仕事してますよね。目指していた「ミニチュアで撮った感じ」を本当に大事にしてる。ことさらにVFXを強調しすぎてるカットがない、という点もスゴいです。ニュースやドキュメンタリーの映像みたいですもんね。戦場カメラマンのようなカメラワーク── 。手ブレもあるし、急にズームしたりもする。戦闘シーンのBGMが太鼓の音だけという潔さもカッコいいです。
VFXの使い方がすごく大人ですよ。当然こういう作品だから、VFXというのは必要。かつては戦闘機が出てくるSFだったら、必ず“VFX大会”になってしまっていたんですけど、『GALACTICA/ギャラクティカ』にはストイックな戒めがある。ルールを作っている。「今、撮りに行ってきました!」みたいな絵にしているところは、共感できますね。そうしないと、今はもう駄目なんです。これ見よがしな絵なんてどうでもいいんですよ。そんなものは誰も求めてない。宇宙船の戦闘シーンなんて、過去に何百回と繰り返されてる絵だから、何か新しい要素を加えるためには、ドキュメンタリー風な撮り方はいいですよね。
── 『GALACTICA/ギャラクティカ』の中で、監督も使ってみたい技法はありましたか?
山崎 いろいろありますよ。でも、それは内緒、ということで(笑)。
どうです。
いろいろと凄い事言ってるでしょ。
穿った見方かも知れないけど、山崎貴が自ら封印していた「SF魂」を目覚めさせた作品である「GALACTICA/ギャラクティカ」みたいな作品をつくろうとして「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を作っちゃった、と読み取れてしまうのが恐ろしいですね。
「GALACTICA/ギャラクティカ」の根底に流れる精神ではなく表層を。
つづく・・・・
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」をめぐる冒険 その3
http://29346.diarynote.jp/201012040202165809/
コメント