訃報:今敏

2010年8月25日 映画
2010年8月24日、今敏が亡くなった。膵臓がんだったそうだ。

日本の主要メディアが今敏の訃報を発信し始めたのは、日本時間:8月25日15:00過ぎ頃であった。
訃報に早い遅いは関係ないと思うが、わたしが確認した限り、アメリカ、フランス、イタリア、
スペイン、アルゼンチン、中国等海外のメディアは、日本時間:8月25日9:00の時点で訃報を発信していた。
因みに、IMDBが訃報を発信したのは、日本時間:8月25日4:30頃だった。
http://www.imdb.com/news/ni3963353/
http://twitter.com/IMDb/status/22028349202

日本が世界に誇る映画監督が亡くなったんだぞ!

なんらかの大人の事情があったのかも知れないが、日本人映画監督の訃報を海外メディアから知らされるってどうゆうことだよ!!


今敏の名前を認知したのは1997年に渋谷パルコで開催された「PARCO PRESENTS デイジーVISIONS 大友克洋とデジタル新世代展」でだった。
http://www.animetopics.com/news.php?news_seq=2367

大友克洋ファンのわたしは、大友の名につられ同「大友克洋とデジタル新世代展」に行き、
今敏の「PERFECT BLUE パーフェクト ブルー」のフッテージに圧倒された。

当時、大友克洋総監督の「MEMORIES」は観ていたのだが、同作に収録されている「彼女の思いで」は圧倒的名作品だったのだが、「彼女の思いで」と今敏の名前はわたしの中ではまだリンクしていなかった。

「大友克洋とデジタル新世代展」で公開されていた「パーフェクト ブルー」には、現在ま
で続く今敏の作風が満ちていた。

肉感的で重みが感じられるキャラクターの描写と、背景とキャラクターのシームレスと言っ
ても良いような一体感。

同展で、何度も何度も繰り返される「パーフェクト ブルー」のフッテージにわたしは見入っていた。

しかしながら、同「大友克洋とデジタル新世代展」の企画で大友克洋と森本晃司と今敏の座談会もあったのだが、「パーフェクト ブルー」のフッテージや「大砲の街」の原画、公開が2003年にまで遅れた「スチームボーイ STEAMBOY」のフッテージやなんかについては覚えているのだが、座談会の内容は全く覚えていないのが非常に残念である。

そして、「パーフェクト ブルー」の次に今敏の名前を目にしたのは「東京ゴッドファーザーズ」だった。
http://29346.diarynote.jp/?day=20040107

当時のわたしはこんなことを言ってる。

もし、この時期、アニメーション繋がりで、「ファインディング・ニモ」を観ようと思っているのならば、出来れば「東京ゴッドファーザーズ」を観ろ!なのだ。

で、「パプリカ」である。
http://29346.diarynote.jp/?day=20061221
http://29346.diarynote.jp/?day=20061022

「パプリカ」は「第19回東京国際映画祭」で、事実上のジャパン・プレミアとして今敏、筒井康隆、古谷徹の舞台挨拶付きで観たのだが、当時のわたしはこんなことを言っている。

微に入り細に入りきめ細かくきちんと演出されているアニメーション作品を観るのは大変気持ちがよく、かつ非常に有意義で、非常に感動的な経験である。

本編が描いている物語の内容ではなく、アニメーション作品が持つ、その特有の「動き」だけで、その「躍動感」だけで、その圧倒的な映像体験だけで泣けてしまう。

ところで余談だが、今敏は結構不遇なアニメーション作家だと思う。
と言うのも、今敏は「PERFECT BLUE」(1998)、「千年女優」(2001)、「東京ゴッドファーザーズ」(2003)と、圧倒的なクオリティで全くハズレがない、言わばエポック・メイキング的な作品群をコンスタントに製作し続けているアニメーション作家なのだが、残念ながら一般の認知度は低いような印象を受ける。

今敏と言う映像作家は、もっともっと評価されるべき映像作家だと思うぞ。

彼の作品はアニメーション作品ならではの圧倒的な躍動感、緻密なレイアウト、すばらしい脚本、的確でいながら大胆かつ細心の意識が注ぎ込まれた強烈な演出が楽しめる。

そして、誤解を恐れず言うならば、彼の作品は、「アニメーション映画」と言うカテゴリーではなく、「映画」と言うカテゴリーで語るべきクオリティを持った作品だといえる、と思う。

巨大メディアとコラボレーションしたようなつまらないアニメーション作品なんかを見ている場合ではない、と言わざるを得ないのだ。


そんな素晴らしい映画監督今敏が亡くなったのである。
日本が世界に誇る、世界中が愛した今敏が亡くなったのである。

今敏が現在制作している作品は「夢みる機械」である。
http://yume-robo.com/

なんらかの形で「夢みる機械」は完成されるとは思うが、今敏の新作として公開されることはおそらくないだろう。

もう、今敏の新作は観られないのだ。

慎んでご冥福をお祈りする。

http://kikori2660.tumblr.com/post/1007816998/5-18

コメント

tkr

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索