ボクの本棚 #003「シャドー81」

中学生時代は吹奏楽部に所属していた。
平日は、朝練、昼練、そして部活。休日は朝から練習のため学校に詰めていた。

ある休日のことである。
菓子パンの朝食をとり、当然の如く練習のため学校に向かう。

練習開始後、急激に体調が悪くなった。圧倒的な下痢と嘔吐。

意識が朦朧となり、立って歩けなくなったわたしは、女子に両脇を支えられ、吹奏楽部の顧問の先生の車で自宅に送ってもらった。

自宅で倒れ込むように休養に入るが、下痢と嘔吐でトイレに行くため、立ち上がるがそのまま意識を失い倒れ、気がつくとトイレに行く途中だと思い出し、また立ち上がるがそのまま意識を失う、そんなことを繰り返すのを見た母親はわたしを病院に連れていき、そのまま入院することになった。

診断は食中毒であった。
菓子パンめ!
しかしながら、家族全員同じ食事をして入院したのはわたしだけだった。

以来、点滴づけのわたしの友達は、病室に持ちこんだラジオだった。

ある夜のことである。
就寝後、いつものようにラジオを聞いていたわたしの耳に野沢那智の声が飛び込んでくる。
それは「シャドー81」のラジオドラマだった。

ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機PGA81便が無線で驚くべき通告を受ける。
たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。犯人は最新鋭戦闘爆撃機TX75Eのパイロット。
だがその機は旅客機の死角に入り、決して姿を見せなかった。犯人は二百余名の人命と引き換えに巨額の金塊を要求するが・・・・。

圧倒的に、強烈に、そして滅法面白いラジオドラマだった。

それから、2週間。
退院後、わたしが最初に向かったのは書店だった。

コメント

tkr

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索