入院中の差し入れで東野圭吾の「さまよう刃」を読んだ。

「さまよう刃」あらすじ
蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。遺族に裁く権利はあるのか? 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?

一読して感じたのは、東野圭吾の甘さ、と言うか日本の作家の限界を感じてしまった。

わたしが求めていたのはピカレスクロマンだったのだが、ラストには失望させられてしまった。
例えが悪いが少年誌の限界を感じさせてしまった「デスノート」も同様の例である。

物語から受けた印象と、求める物語はジョン・グリシャムの「評決のとき」の方向性である。

「評決のとき」あらすじ
いまなお人種差別の色濃く残るアメリカ南部の街クラントン。ある日この街で、二人の白人青年が十歳の黒人少女を強姦するという事件が起きた。少女は一命をとりとめ、犯人の二人もすぐに逮補されたが、強いショックを受けた少女の父親カール・リーは、裁判所で犯人たちを射殺してしまう。若いけれど凄腕のジェイクが彼の弁護を引受けたのだが…。全米ベストセラー作家の処女長編。

繰り返しになるが、わたしが「さまよう刃」に求めたのは、ピカレスクロマンか、裁判員制度導入後の少年法に関する裁判まで描いた作品である。

従って、導入から中盤にかけては良く書けているとは思うが、ラストの方向性には大いに失望させられてしまった。

逆説的に、日本民族の事なかれ主義を反映しているのかも知れないが・・・・。

コメント

砂姫
2009年9月22日17:42

私も、後半の展開に残念さを感じました。
エンタメ作家が落とし前つけるには、ちょっと厳しいテーマだったのかなあ?とも思ってしまいました。
映画は、もっと薄まっちゃう気がしてます。
tkrさんは見に行かれますか?

tkr
2009年9月25日23:14

前半から中盤までは良かったんですけどね。
ラストが圧倒的にいただけません。

わたしだったら、無罪放免で裁判所から出て来たところを狙撃させるかも。
「野獣死すべし」のラスト的な感じで。

映画の件ですが、実は退院してから劇場にほとんど行っていないのです。
2時間の間、劇場の椅子に座り続けるのが結構苦痛だったりします。
こまったものです。

「さまよう刃」のスタッフ・キャストで気になるのは川井憲次(音楽)位なので多分行かないと思います。
tkr

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