2008/07/03 東京有楽町「東京国際フォーラム」で「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」の試写を観た。
当日は、監督の押井守、超えの出演の菊地凛子、加瀬亮、栗山千明、谷原章介を迎えたジャパン・プレミア。

カンナミ・ユーイチは、戦争請負会社ロストック社に所属する戦闘機のパイロット。前線基地「ウリス」に配属されてきた彼には、それ以前の記憶がない。彼にわかっているのは、自分がキルドレであることと、戦闘機の操縦の仕方だけ。空で戦うこと・・・・それがユーイチのすべてだった。

基地の女性司令官クサナギ・スイトも、かつてはエースパイロットとして空で戦ったキルドレのひとりだったが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:押井守
原作:森博嗣
脚本:伊藤ちひろ
音楽:川井憲次
声の出演:菊地凛子(草薙水素)、加瀬亮(函南優一)、栗山千明(三ツ矢碧)、谷原章介(土岐野尚文)

先ずは本作「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」はおもしろい娯楽作品に仕上がっていたことを喜びたい。
つまり、一握りの押井守信奉者ではなく、一般の観客にアピールする作品に仕上がっていると言うことである。

ところで、「スカイ・クロラ」って一体全体何だったのだろうと考えたわたしが最初に思ったのは、これは「うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー」(1984)だ、と言うこと。「うる星やつら2」は、押井守の名前を世界に知らしめたアニメーション作品である。

何故そんな話をしているかと言うと、「うる星やつら2」と言う作品は、閉鎖された世界で、同じ登場人物が延々と同じ事をする物語なのでが、今回の「スカイ・クロラ」は、同じように閉鎖された世界で、違う登場人物が延々と同じ事をする物語である、と言えるからである。

ここに来て、原点回帰とは押井守は何を考えているのか、と思った。

ところで、本作のキャラクターで一番印象的なのは、谷原章介演じる土岐野尚文である。

このキャラクターが優れているのは、この世界で起きていることを全部知っていながら、何も知らない雰囲気を醸し出しつつ、観客の視点となっている点。

無言で意味ありげに、草薙水素(菊地凛子)や函南優一(加瀬亮)を眺める冷めたながらも温かい視線が最高である。

余談だけと「スカイ・クロラ」の草薙水素と「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の草薙素子って偶然なのかな?

物語は非常にストレートでわかりやすく、昨今の押井守作品の中では圧倒的にわかりやすい、と言うか敷居が低い作品で、多くの観客にアピールする作品に仕上がっていると思う。

ただ、空中戦のシークエンスより、ただうだうだ話しているシーンが圧倒的に長いので、その辺には注意が必要かと思う。

あと本作の根底に流れているのは、親殺しのイメージである。
何度も何度も失敗しながら、親を殺そうとするイメージが根底に流れている。

また「千の顔を持つ英雄」的には、旅立ちを妨げている存在の破壊を目論む物語、とも言えるし、迷宮からの再誕生とも言える。

と考えた場合本作「スカイ・クロラ」は、世界中のあらゆる民族に受け入れられる普遍的で神話的な物語に姿を変えてしまう。

日本っぽい国だとか、ヨーロッパっぽい雰囲気だとか、昔の日本の飛行隊っぽい描写を剥ぎ取ると、普遍的な物語が見えてくると言う訳だ。

何度も何度も生まれ変わって、父親を殺して旅立とうとしている物語、そんな風に見えてくるのかも知れない。

そんなことを考えなくても本作「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」は充分におもしろい作品に仕上がっている。
是非劇場で堪能していただきたい。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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