「アイ・アム・レジェンド」
2008年1月7日 映画
2007/12/29 東京板橋「ワーナーマイカル・シネマズ板橋」で「アイ・アム・レジェンド」を観た。
エンディングを観ながらはらわたが煮えくり返った。
いくつかの視点から、本作「アイ・アム・レジェンド」のダメ映画振りを検証して見たい。
■日米同時公開について
日米同時公開されるハリウッド映画には2種類ある。
ラストのオチのプロットが作品にとって重要でネタバレを極度に嫌う作品、それとも、ハリウッドでの悪評が日本に伝わる前に、駆け込みで日本公開しちゃえ、と言うダメな作品かのどちらかである。
本作「アイ・アム・レジェンド」はどう考えても後者であろう。
ウィル・スミスが本作のプロモーションにやたらと力を入れ、来日までしちゃった上、愛嬌を振りまいたのも、もしかしたらスミス本人にとっても本作はやっちまった感が多々ある作品なのかも知れない。
ここしばらく、オレサマ映画が続くウィル・スミスにとって、本作「アイ・アム・レジェンド」は自身のキャリアに傷を付ける、痛い作品になるかも知れない。
■映画と原作は別物とは言うけれど・・・・
わたしは常日頃から、映画と原作は別物だ、と言うスタンスを貫いてきた。
原作と違うストーリーが展開したり、聞いたこともない登場人物が登場したりしても、その映像作家がこの原作をあんな風に料理したのだ、と好意的に受取ることが多々ある訳だ。
しかし「アイ・アム・レジェンド」はいただけない。
原作のストーリーをアレンジするどころか、原作のストーリーを完全に改悪しているし、そもそも「レジェンド」の意味が原作と映画では全く異なっている。
「レジェンド」と言う言葉については、ミスデレクションどころか、まるで適当にでっち上げた、語呂合わせのような使い方をされているのだ。
そもそも「アイ・アム・レジェンド」の原作はリチャード・マシスンの伝説的な作品「地球最後の男」(最近、「アイ・アム・レジェンド」と言うタイトルで新訳が出たらしい)で、SFやホラーファンにとっては、非常に重要で大切なカルト・クラシック的な作品だと言える。
例えば、ジョージ・A・ロメロが「地球最後の男」をイメージして「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を撮影したとも言われている位だ。
そんな全世界のSFファン、ホラーファンが愛する原作をだ、「レジェンド」と言う言葉をとんでもない使い方で使った上に、とってつけたようなあの急転直下の馬鹿馬鹿しいエンディングはなんなんだ、と言わざるを得ない。
あんなものを「地球最後の男」を原作にした作品ですよ、などとは言って欲しくない、と言う訳なのだ。
■看板に偽りあり
この作品は「日本沈没」(2006)が「日本沈没」を描いていないように、「アイ・アム・レジェンド」を描いていない。
「日本沈没」のリメイク作品だと思って観にいったら、気が付いたら「さよならジュピター」のリメイクだった、と言う話と同様(ちょっと違うか)に、本作は「地球最後の男」の映画化作品だと思って観にいったら、その名を借りたとんでも映画だった、と言う印象。
■「アイ・アム・レジェンド」妄想篇
多分多くのSFファンやホラーファンが思い描く「アイ・アム・レジェンド」のラストはこんな感じだと思う。
手榴弾が爆発した後・・・・。
部屋で目を覚ましたウィル・スミス。
地鳴りのような音が聞こえ、部屋自体が振動している。
やがて部屋のドアが開き、ウィル・スミスと戦っていた一体の吸血ゾンビが部屋の中に入ってくる。
ウィル・スミを部屋の外にいざなう吸血ゾンビ。
部屋の外は暗くて狭い通路に続いていた。
進むに連れて大きくなる地鳴りの音。
通路の先のドアからは、明るい光がもれている。
通路の先に到達したウィル・スミスがドアを開けると、そこは明るい照明にてらされた緑の世界だった。
その瞬間、地鳴りのような音が鳴りをひそめ、完全な静寂が訪れる。
周りの明るさに慣れたウィル・スミスがあたりを見回すと、そこは吸血ゾンビが数万人集まったスタジアムだった。
次の瞬間、再び地鳴りのような音が聞こえ始める。
「こ・ろ・せ!」「こ・ろ・せ!」
地鳴りのような音は、スタジアム中から響くシュプレヒコールだった。
スタジアムの中央に引っ立てられるウィル・スミス。
ウィル・スミスは、自分こそが吸血ゾンビにとって、数多くの同胞たちを毎日毎日殺し続けてきたた、唯一無二の恐怖の存在であったことを知る。
「ウォー!!」
咽喉も裂けよ、と言わんばかりのウィル・スミスの絶叫。
こんな映画が観たかった。
余談だけど、ダクトから女子どもを逃がして、手榴弾を使うとは、あなたはレオンですか?
☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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エンディングを観ながらはらわたが煮えくり返った。
いくつかの視点から、本作「アイ・アム・レジェンド」のダメ映画振りを検証して見たい。
■日米同時公開について
日米同時公開されるハリウッド映画には2種類ある。
ラストのオチのプロットが作品にとって重要でネタバレを極度に嫌う作品、それとも、ハリウッドでの悪評が日本に伝わる前に、駆け込みで日本公開しちゃえ、と言うダメな作品かのどちらかである。
本作「アイ・アム・レジェンド」はどう考えても後者であろう。
ウィル・スミスが本作のプロモーションにやたらと力を入れ、来日までしちゃった上、愛嬌を振りまいたのも、もしかしたらスミス本人にとっても本作はやっちまった感が多々ある作品なのかも知れない。
ここしばらく、オレサマ映画が続くウィル・スミスにとって、本作「アイ・アム・レジェンド」は自身のキャリアに傷を付ける、痛い作品になるかも知れない。
■映画と原作は別物とは言うけれど・・・・
わたしは常日頃から、映画と原作は別物だ、と言うスタンスを貫いてきた。
原作と違うストーリーが展開したり、聞いたこともない登場人物が登場したりしても、その映像作家がこの原作をあんな風に料理したのだ、と好意的に受取ることが多々ある訳だ。
しかし「アイ・アム・レジェンド」はいただけない。
原作のストーリーをアレンジするどころか、原作のストーリーを完全に改悪しているし、そもそも「レジェンド」の意味が原作と映画では全く異なっている。
「レジェンド」と言う言葉については、ミスデレクションどころか、まるで適当にでっち上げた、語呂合わせのような使い方をされているのだ。
そもそも「アイ・アム・レジェンド」の原作はリチャード・マシスンの伝説的な作品「地球最後の男」(最近、「アイ・アム・レジェンド」と言うタイトルで新訳が出たらしい)で、SFやホラーファンにとっては、非常に重要で大切なカルト・クラシック的な作品だと言える。
例えば、ジョージ・A・ロメロが「地球最後の男」をイメージして「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を撮影したとも言われている位だ。
そんな全世界のSFファン、ホラーファンが愛する原作をだ、「レジェンド」と言う言葉をとんでもない使い方で使った上に、とってつけたようなあの急転直下の馬鹿馬鹿しいエンディングはなんなんだ、と言わざるを得ない。
あんなものを「地球最後の男」を原作にした作品ですよ、などとは言って欲しくない、と言う訳なのだ。
■看板に偽りあり
この作品は「日本沈没」(2006)が「日本沈没」を描いていないように、「アイ・アム・レジェンド」を描いていない。
「日本沈没」のリメイク作品だと思って観にいったら、気が付いたら「さよならジュピター」のリメイクだった、と言う話と同様(ちょっと違うか)に、本作は「地球最後の男」の映画化作品だと思って観にいったら、その名を借りたとんでも映画だった、と言う印象。
■「アイ・アム・レジェンド」妄想篇
多分多くのSFファンやホラーファンが思い描く「アイ・アム・レジェンド」のラストはこんな感じだと思う。
手榴弾が爆発した後・・・・。
部屋で目を覚ましたウィル・スミス。
地鳴りのような音が聞こえ、部屋自体が振動している。
やがて部屋のドアが開き、ウィル・スミスと戦っていた一体の吸血ゾンビが部屋の中に入ってくる。
ウィル・スミを部屋の外にいざなう吸血ゾンビ。
部屋の外は暗くて狭い通路に続いていた。
進むに連れて大きくなる地鳴りの音。
通路の先のドアからは、明るい光がもれている。
通路の先に到達したウィル・スミスがドアを開けると、そこは明るい照明にてらされた緑の世界だった。
その瞬間、地鳴りのような音が鳴りをひそめ、完全な静寂が訪れる。
周りの明るさに慣れたウィル・スミスがあたりを見回すと、そこは吸血ゾンビが数万人集まったスタジアムだった。
次の瞬間、再び地鳴りのような音が聞こえ始める。
「こ・ろ・せ!」「こ・ろ・せ!」
地鳴りのような音は、スタジアム中から響くシュプレヒコールだった。
スタジアムの中央に引っ立てられるウィル・スミス。
ウィル・スミスは、自分こそが吸血ゾンビにとって、数多くの同胞たちを毎日毎日殺し続けてきたた、唯一無二の恐怖の存在であったことを知る。
「ウォー!!」
咽喉も裂けよ、と言わんばかりのウィル・スミスの絶叫。
こんな映画が観たかった。
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