2007/12/23 東京板橋「ワーナー・マイカル・シネマズ板橋」で「ベオウルフ/呪われし勇者」を観た。
上映は「デジタル3−Dシネマ」によるもの。

6世紀のデンマーク。
フローズガール王が盛大な宴を催す中に、醜く巨大な怪物グレンデルが姿を現した。人々を虐殺したグレンデルに対し、王は褒賞を用意して討伐隊を募集。これに応じた戦士ベオウルフだったが・・・・。

監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ニール・ゲイマン、ロジャー・エイヴァリー
撮影:ロバート・プレスリー    
プロダクションデザイン:ダグ・チャン    
衣装デザイン:ガブリエラ・ペスクッチ
音楽:アラン・シルヴェストリ    
出演:レイ・ウィンストン(ベオウルフ)、アンソニー・ホプキンス(フロースガール)、ジョン・マルコヴィッチ(アンファース)、ロビン・ライト・ペン(ウィールソー)、ブレンダン・グリーソン(ウィグラーフ)、クリスピン・グローヴァー(グレンデル)、アリソン・ローマン(ウルスラ)、アンジェリーナ・ジョリー(グレンデルの母)

本作「ベオウルフ/呪われし勇者」は大変素晴らしい娯楽大作に仕上がっていた。

物語は、英国文学最古の英雄叙事詩であり、あらゆるファンタジー小説に影響を与えているもの。

その英雄叙事詩を基にニール・ゲイマンとロジャー・エイヴァリーに書き下ろされた脚本は、見事で、普遍的で神話的、様々な示唆に富んだ素晴らしい物語を紡ぎだしている。

また、ダグ・チャンのプロダクションデザイン、ガブリエラ・ペスクッチの衣装デザイン、そしてアラン・シルヴェストリのスコアは流麗で作品にマッチした見事な世界観の構築に成功している。

本作「ベオウルフ/呪われし勇者」の、美術・衣装・スコアから構築された世界観は見事だと言わざるを得ない。

特に衣装は、CGI映画だと言うにも関わらず、デザインされた衣装を実際に制作し、それをスキャンしてCGI化した、と言うのには畏れ入った。

作品自体はパフォーマンス・キャプチャーを基にしたCGI作品であるから、実写映画の持つ、様々な障害を乗り越える可能性がある手法だと言える。

と言うのも、映画製作と言うものは、監督のビジョンを妥協に妥協を重ねて、フィルムに定着する行為であるから、本作のような手法を用いる事により、監督のビジョンを100%実現する可能性が非常に高い手法である、と言える。

しかしながら、本作「ベオウルフ/呪われし勇者」については、実写ではなくパフォーマンス・キャプチャーを使用したCGI作品である、と言う点については、一映画ファンとして釈然としない部分があるのを認めざるを得ないし、俳優と言う職業の今後の行く末にも一抹の不安を感じざるを得ない。

さて、物語だが、脚本は前述のように、普遍的で神話的、様々な示唆に富んだ素晴らしい物語に仕上がっており、あらゆる民族に受け入れられる物語に仕上がっている。

その物語の、同じ事象が何度も繰り返される、と言う予定調和的で、普遍的、神話的な構成に感動を覚える。
繰り返さざるを得ない、と言う運命的なプロットに感慨もひとしおなのだ。

ところで、本作の肝とも言える、CGIアニメーションは、ドリーム・ワークス系のピョコピョコ飛び跳ねるモーションのような印象を受けたが、被写体をとらえるカメラの動きが素晴らしく、現在のところわれわれ観客が望める限りの最高のCGIアニメーション作品に仕上がっていると思う。
ピョコピョコのぞく。

気になるアクション・シークエンスは、ラストのドラゴンとの戦闘に尽きる。
はっきり言って、近年稀に見る程の血沸き肉踊る大興奮のアクション・シークエンスだった。

そのアクション・シークエンスの中で、剣が届かない際にベオウルフが取る行動が、物語として最高である。

しかしながら、アクションの構成が「天空の城ラビュタ」のシータ奪還のシークエンスに似ているような気がしてならない。

キャストは、アンジェリーナ・ジョリーがマスコミに話題性から取り上げられているが、男性陣の活躍は見逃せない。
無駄な豪華さがたまらない。

ゼメキスの演出は微にいり細に入り、痒いところに手が届く感じで、非常に楽しめる。

今回は「デジタル3−Dシネマ」の上映を観たのだが、2D版との比較は出来ないが、演出自体が、3Dを意識した演出がされているのが解りやすかった。

3D効果は、納得いかない部分が結構あったが、基本的には凄かった。

また、「ラストタンゴ・イン・パリ」の修正版や「オースティン・パワーズ」もビックリの全裸シークエンスには笑わせていただいた。

とにかく、本作「ベオウルフ/呪われし勇者」は、英国最古の英雄叙事詩を基にした様々な示唆に富んだ素晴らしい脚本を、最新のCGI技術で現在に蘇らせた、と言う非常に意味のある作品だと思う。

是非劇場で堪能していただきたい。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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