2007/09/16 東京板橋「ワーナーマイカルシネマズ板橋」で「SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ」を観た。

源氏と平家の決戦、壇ノ浦の戦いから数百年後。

とある山間の寒村『湯田(ユタ)』に言い伝えられる『お宝』を探し求め、義経(伊勢谷友介)率いる源氏軍(白)と、清盛(佐藤浩市)が指揮する平家軍(赤)が激しく対立し、村人を巻き込んでの抗争を繰り広げていた。

そこに、心に傷を負った一人のスゴ腕ガンマン(伊藤英明)が流れ着く。

「一体お前はどっちの用心棒になるんだ!」
睨み合いを続ける両軍から叫び声があがるが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:三池崇史
脚本:三池崇史、NAKA雅MURA
撮影監督:栗田豊通    
美術:佐々木尚    
衣装:北村道子
音楽:遠藤浩二    
主題歌:北島三郎 「ジャンゴ〜さすらい〜」
出演:伊藤英明(ガンマン)、佐藤浩市(平清盛)、伊勢谷友介(源義経)、桃井かおり(ルリ子)、香川照之(保安官)、石橋貴明(弁慶)、安藤政信(与一)、木村佳乃(静)、松重豊(トシオ)、塩見三省(伝七)、石橋蓮司(村長)、堺雅人(平重盛)、田中要次(平宗盛)、小栗旬(アキラ)、内田流果(平八)、クエンティン・タランティーノ(ピリンゴ)、香取慎吾(野盗)

先ずは本作「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」は大変素晴らしい娯楽作品に仕上がっていた。

本作は「マカロニ・ウエスタン」へのリスペクトを表明し「スキヤキ・ウエスタン」と言う名称を自ら名乗ってはいるが、物語は黒澤明の「用心棒」(1961)をほぼ踏襲している。

「用心棒」(1961)と言えば、セルジオ・レオーネ監督、エンニオ・モリコーネ音楽、クリント・イーストウッド主演の「荒野の用心棒」(1964)の元ネタと言われている作品であり、当然ながら現在リメイクがすすんでいる「椿三十郎」(1962)の正編(続編の第一作目と言う意味)である。

ここで考えなければならないのは、何故この時期、世界配給を前提として、「用心棒」のリメイク的な背景を持つ「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」が制作されたのか、と言う事である。

ところで、皆さんも既にお気付きのように、2007年は黒澤明関係の話題に事欠かない。

先ずは前述の「椿三十郎」のリメイク(森田芳光監督、織田裕二主演)が全ての発端だと思うのだが、先日はテレビ朝日系で「天国と地獄」、「生きる」がドラマ化され、またアサヒ飲料の缶コーヒー「ワンダ」のCF(CM)「桑田+黒澤」篇では、なんと黒澤明その人が出演している。

そう考えた場合、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」の制作サイドは、森田芳光の「椿三十郎」が公開される前に、「用心棒」のリメイクやってしまおう、と考えたのではないか、と思える。

そして、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」は、「用心棒」と似通っていながら、確実に異なっている傑作映画となったのである。

キャストはなんと言っても、伊勢谷友介(源義経役)に尽きる。
圧倒的な実在感をもったキャラクターの構築は見事である。
現在までの伊勢谷友介のキャリアを考えても、本作は伊勢谷友介の代表作と言っても過言ではない。
伊勢谷友介は主役の伊藤英明を完全に食っている。

また、香川照之(保安官役)は、所謂コメディ・リリーフ役を振られ、まるで「博士の異常な愛情」のDr.ストレンジラヴばりの怪演を見せてくれる。
鏡のシーンでの演出意図が微妙だったりとか、釈然としない部分は若干あるが、十分に楽しめる。

佐藤浩市(平清盛役)のダメっぷりも良かったし、堺雅人(平重盛役)の彼のキャラクターに似合わない驚きのキャスティングにもびっくりである。

女優陣は、木村佳乃(静役)の好演が光る。
言わば今後の女優生命をかけたすばらしい演技が堪能できる、と言うのは言いすぎだろうか。

また桃井かおり(ルリ子役)も非常に良かった。
映画に格調を与える大御所の出演か、と思ったらラストでの驚きの大活躍にはびっくりである。(伏線はあるけどね)



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