2007/06/11 東京丸の内「東商ホール」で「憑神」の試写を観た。
時は幕末。
別所彦四郎(妻夫木聡)は下級武士とはいえ、代々将軍の影武者をつとめてきた由緒ある家柄の出。
幼いころより文武に優れ、秀才の誉れ高かった彦四郎だが、婿養子に行った先の家からある事件をきっかけに離縁されてしまう。
そんなある晩、彦四郎は昌平坂学問所でライバル同士だった榎本武揚と蕎麦屋で再開する。聞けば軍艦頭取にまで出世を果たしているという。
落ち込む彦四郎に蕎麦屋の親父・甚平(香川照之)は、榎本が出世した本当の理由は、向島の「三囲(みめぐり)稲荷」にお参りしたからであると、彦四郎にも行くことを勧めるが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:降旗康男
原作:浅田次郎「憑神」(新潮社刊)
脚本:降旗康男、小久保利己、土屋保文
美術:松宮敏之
照明:杉本崇
出演:妻夫木聡(別所彦四郎)、夏木マリ(別所イト)、佐々木蔵之介(別所左兵衛)、鈴木砂羽(別所千代)、森迫永依(おつや/死神)、笛木優子(井上八重)、佐藤隆太(小文吾)、赤井英和(九頭龍/疫病神)、香川照之(甚平)、西田敏行(伊勢屋/貧乏神)、江口洋介(勝海舟)
本作「憑神」は、正直なところあまり面白くなかった。
物語は、酔った挙句、出世が叶う「三囲稲荷」のつもりで「三巡稲荷」を参ってしまった彦四郎(妻夫木聡)の元へ、貧乏神(西田敏行)、疫病神(赤井英和)、死神(森迫永依)が次々とやってくる、と言うメイン・プロットに、下級武士のしがない生活や生き様を絡めた、江戸人情喜劇とも言うべきもので、言わば落語のような物語であった。
美術や衣装は、よい仕事をしていると思うし、照明もきっちりしていたので、違和感のない江戸末期幕末の世界観の構築に成功している。
しかし脚本がいただけない。
ただ単に彦四郎等が右往左往するドタバタ振りをなぞっているだけのような印象を受ける。
コメディなんだから、それで十分だ、と思うむきもあると思うが、折角なんだから、ちょっと付加価値をつけて欲しかったと思う。
もちろん、ラストに向けて、シリアスなプロットもあるにはあるのだが、その決着のつけ方にも釈然としないものを感じる。
更に、ラストに登場する人物が物語への感情移入を著しく阻害する結果に終わっている。
キャストだが、多方面で評価されている森迫永依(おつや/死神)は、本作では生意気なガキ振りを見事に発揮しているのだが、姿は子供でも数百年は生きている、と言う設定が生かされておらず、残念な印象を受けた。
これはおそらく、おつやのキャラクター設定に対し、安易な言葉使い(子供のような喋り方)をさせている脚本と演出の問題だと思う。
また、西田敏行(伊勢屋/貧乏神)はくどい上にピーキーなオーバーアクト振りを発揮し、やりすぎ感が多々あった。
良かったのは、佐々木蔵之介(別所左兵衛)で、ある意味論理的なダメ当主を楽しげに演じている。
妻夫木聡(別所彦四郎)は想像通りである。
凛々しい姿もあるのだが、その姿と、普段の彦四郎とのギャップが甚だしい。
ところで、キャスト全体を見渡して感じるのは無駄に豪華である、と言うこと。
果たしてこれだけの俳優が、本当に俳優として必要なのか、顔が知られているからキャスティングされているのか、ちょっと疑問を感じてしまう。
と言うのも脚本がつまらないのだ。
豪華なキャストを宣伝材料にするのは構わないが、如何せん物語がイマイチなのは非常に残念である。
作品の方向性としては、キャストに惹かれて劇場に足を運んだ観客が、物語の内容で満足して帰る、と言う方向を目指して欲しいと思うのだが、残念ながら本作「憑神」は、妻夫木聡と豪華なキャスト以外、取り立てて見るべきものがないような気がする。
言うならば、本作「憑神」は、妻夫木聡と豪華なキャストが客寄せパンダとして使われていると言う、大変残念な作品だと言わざるを得ない。
ついでに、浅田次郎も客寄せパンダとして使われているのだ。
本作「憑神」は、美術や衣装、撮影や照明により、すばらしい世界観を構築しているのにも関わらず、物語はイマイチだが、キャストは無駄に豪華な作品、と言うところであろうか。
☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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時は幕末。
別所彦四郎(妻夫木聡)は下級武士とはいえ、代々将軍の影武者をつとめてきた由緒ある家柄の出。
幼いころより文武に優れ、秀才の誉れ高かった彦四郎だが、婿養子に行った先の家からある事件をきっかけに離縁されてしまう。
そんなある晩、彦四郎は昌平坂学問所でライバル同士だった榎本武揚と蕎麦屋で再開する。聞けば軍艦頭取にまで出世を果たしているという。
落ち込む彦四郎に蕎麦屋の親父・甚平(香川照之)は、榎本が出世した本当の理由は、向島の「三囲(みめぐり)稲荷」にお参りしたからであると、彦四郎にも行くことを勧めるが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:降旗康男
原作:浅田次郎「憑神」(新潮社刊)
脚本:降旗康男、小久保利己、土屋保文
美術:松宮敏之
照明:杉本崇
出演:妻夫木聡(別所彦四郎)、夏木マリ(別所イト)、佐々木蔵之介(別所左兵衛)、鈴木砂羽(別所千代)、森迫永依(おつや/死神)、笛木優子(井上八重)、佐藤隆太(小文吾)、赤井英和(九頭龍/疫病神)、香川照之(甚平)、西田敏行(伊勢屋/貧乏神)、江口洋介(勝海舟)
本作「憑神」は、正直なところあまり面白くなかった。
物語は、酔った挙句、出世が叶う「三囲稲荷」のつもりで「三巡稲荷」を参ってしまった彦四郎(妻夫木聡)の元へ、貧乏神(西田敏行)、疫病神(赤井英和)、死神(森迫永依)が次々とやってくる、と言うメイン・プロットに、下級武士のしがない生活や生き様を絡めた、江戸人情喜劇とも言うべきもので、言わば落語のような物語であった。
美術や衣装は、よい仕事をしていると思うし、照明もきっちりしていたので、違和感のない江戸末期幕末の世界観の構築に成功している。
しかし脚本がいただけない。
ただ単に彦四郎等が右往左往するドタバタ振りをなぞっているだけのような印象を受ける。
コメディなんだから、それで十分だ、と思うむきもあると思うが、折角なんだから、ちょっと付加価値をつけて欲しかったと思う。
もちろん、ラストに向けて、シリアスなプロットもあるにはあるのだが、その決着のつけ方にも釈然としないものを感じる。
更に、ラストに登場する人物が物語への感情移入を著しく阻害する結果に終わっている。
キャストだが、多方面で評価されている森迫永依(おつや/死神)は、本作では生意気なガキ振りを見事に発揮しているのだが、姿は子供でも数百年は生きている、と言う設定が生かされておらず、残念な印象を受けた。
これはおそらく、おつやのキャラクター設定に対し、安易な言葉使い(子供のような喋り方)をさせている脚本と演出の問題だと思う。
また、西田敏行(伊勢屋/貧乏神)はくどい上にピーキーなオーバーアクト振りを発揮し、やりすぎ感が多々あった。
良かったのは、佐々木蔵之介(別所左兵衛)で、ある意味論理的なダメ当主を楽しげに演じている。
妻夫木聡(別所彦四郎)は想像通りである。
凛々しい姿もあるのだが、その姿と、普段の彦四郎とのギャップが甚だしい。
ところで、キャスト全体を見渡して感じるのは無駄に豪華である、と言うこと。
果たしてこれだけの俳優が、本当に俳優として必要なのか、顔が知られているからキャスティングされているのか、ちょっと疑問を感じてしまう。
と言うのも脚本がつまらないのだ。
豪華なキャストを宣伝材料にするのは構わないが、如何せん物語がイマイチなのは非常に残念である。
作品の方向性としては、キャストに惹かれて劇場に足を運んだ観客が、物語の内容で満足して帰る、と言う方向を目指して欲しいと思うのだが、残念ながら本作「憑神」は、妻夫木聡と豪華なキャスト以外、取り立てて見るべきものがないような気がする。
言うならば、本作「憑神」は、妻夫木聡と豪華なキャストが客寄せパンダとして使われていると言う、大変残念な作品だと言わざるを得ない。
ついでに、浅田次郎も客寄せパンダとして使われているのだ。
本作「憑神」は、美術や衣装、撮影や照明により、すばらしい世界観を構築しているのにも関わらず、物語はイマイチだが、キャストは無駄に豪華な作品、と言うところであろうか。
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