「シュレック3」

2007年6月19日 映画
2007/06/10 東京神保町「一ツ橋ホール」で「シュレック3」の試写を観た。

互いへの愛を確認し、幸せな生活を送っていたシュレック(マイク・マイヤーズ)とフィオナ姫(キャメロン・ディアス)。
ところが、ハロルド国王(ジョン・クリーズ)の容態が悪化し、シュレックは次の王様になるハメに。
公務もロクにこなせないシュレックは、王様なんてなりたくない。
そこで、シュレックはもうひとりの後継者だというアーサー(ジャスティン・ティンバーレイク)を探しに、ドンキー(エディ・マーフィ)と長ぐつをはいた猫(アントニオ・バンデラス)と旅に出ることに・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:クリス・ミラー
原作:ウィリアム・スタイグ     
原案:アンドリュー・アダムソン     
脚本:ピーター・S・シーマン、ジェフリー・プライス、クリス・ミラー、アーロン・ワーナー
声の出演:マイク・マイヤーズ(シュレック)、キャメロン・ディアス(フィオナ姫)、エディ・マーフィ(ドンキー)、アントニオ・バンデラス(長ぐつをはいた猫)、ジュリー・アンドリュース(リリアン王妃)、ジョン・クリーズ(ハロルド国王)、ルパート・エヴェレット(チャーミング王子)、ジャスティン・ティンバーレイク(アーサー)、エリック・アイドル(マーリン)、エイミー・ポーラー(白雪姫)、マーヤ・ルドルフ(髪長姫)、チェリ・オテリ(眠れる森の美女)、エイミー・セダリス(シンデレラ)、ジョン・クラシンスキー(ランスロット)、イアン・マクシェーン(フック船長)、ラリー・キング(ドリス)、レジス・フィルビン(メイベル)
 
 
いきなり余談で恐縮だが、先ずはこちらをご参照願いたい。

「シュレック2」のヒットを憂慮する
http://diarynote.jp/d/29346/20041110.html

さて本作「シュレック3」だが、作品の背景には、前述のエントリーのように釈然としない部分が多々あるが、作品自体をみた場合、楽しい作品に仕上がっていた。

ところで、「シュレック」(2001)、「シュレック2」(2004)、「シュレック3」(2007)と眺めてみると、ちょっと気になったのは、アーノルド・シュワルツェネッガーが人気者になってしまったため、悪役に徹することが出来なくなり、知らない間にヒーローものになってしまった「ターミネーター」(1984)、「ターミネーター2」(1991)、「ターミネーター3」(2003)と同じような印象を受ける。

若い映画ファンは、「ターミネーター」一作目で、シュワルツェネッガーが悪役だったことを知らないかも知れないが、シュワネツェネッガーは「ターミネーター」では悪の権化を演じていたのだが、「ターミネーター2」の時点でシュワルツェネッガー本人は大人気俳優になってしまい、そのイメージを壊すことが興行的に難しく、所謂大人の事情で悪役が出来ない状況に陥っていた訳である。

尤も「ターミネーター2」の冒頭部分の「ターミネーター」を観た事がある観客に対するジェームス・キャメロンが仕掛けたミス・デレクションは大変素晴らしい効果を与えているのは事実だが、多くの「ターミネーター」を楽しんだ映画ファンは、悪役のシュワルツェネッガーが見たかったのだ。

さて、話は「シュレック」に戻るが、一作目のシュレックは嫌われ者で恐怖の存在だったのだが、「シュレック2」、「シュレック3」と進むにつれ、シュレック自身は愛すべきキャラクターになってしまい、その愛すべきキャラクター振りは、観客だけではなく、物語の中の多くの国民たちの敬愛を集めてしまっているのだ。

これで良いのか?
毒気を抜かれた、万人に愛される怪物シュレックで本当に良いのか?
個人的には大きな疑問を感じてしまう。

シュレックのキャラクターは、「シュレック」、「シュレック2」の大ヒットを受け、キャラクター設定にも変更が加えられ、「シュレック3」においてのシュレックのキャラクターは、既に怪物ではなく、ヒーローになってしまっている。

もうそろそろ作品としての限界も見えてきているような印象を受けた。

実際「シュレック3」のシュレックは、王様になんかなるより、自分の沼に帰って、静かな怪物ライフを送りたい旨の発言をしているのだが、それをそうさせないのがドリームワークスと言う会社、と言うことなのであろうか。
 
 
さて、話は本作「シュレック3」に再度戻るが、脚本は、王国の王位継承問題と言う、ちょっと難しいテーマを導入、その王位継承者のひとりがアーサーで、アーサーを指導するマーリンと言う魔法使いが登場。ドリームワークス(カッツェンバーグ)の反ディズニー路線としては今回は「王様の剣」(1963)と言う比較的マイナーな作品まで俎上に載せている。

しかし、脚本自体は特に面白いわけでもなく、単純明快なドタバタ冒険アクションに、数々の映画のパロディが盛り込まれている。

アニメーションのクオリティは、前作からまたまた進化し、特に印象的だったのは、ラスト近辺のプリンス・チャーミングの舞台にアーサーが登場するシークエンスでは、アーサーの動きや舞台照明の感じがすばらしく、人間じゃねぇの、と見紛うばかりであった。

前作ではドンキーやシュレックのルックスが変貌する魔法が物語りのスパイスとして効いていたのだが、今回のドンキーと長猫の中身が入れ替わる、と言うプロットは今ひとつだった。

まあ、本作「シュレック3」は楽しい作品に仕上がっているのは仕上がっているのだが、やはり気になるのは、例えば「シュレック」シリーズを観た子供たちが、ディズニーのクラシック作品を観た場合、「シュレック」シリーズにおいて、パロディのモトネタとしての印象しか受けないのではないか、と言う点である。

つまり、「シュレック」好きの子供が「ピノキオ」(1940)や「白雪姫」(1937)を観て、素直に感動できるのか、と言うことである。

やはり、パロディ映画はオリジナル作品よりヒットしたり、表舞台に出てはいけないな、と思った。

例えば、「スター・ウォーズ」(1977)より「スペース・ボール」(1987)が、「鳥」(1963)や「サイコ」(1960)より「新サイコ」(1977)がヒットしたらどう思います?

☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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