「舞妓Haaaan!!!」
2007年6月14日 映画2007/06/01 東京内幸町「イイノホール」で「舞妓Haaaan!!!」の試写を観た。
鬼塚公彦(阿部サダヲ)は鈴屋食品・東京本社で働く平凡なサラリーマン。
ただひとつ異なるのは、熱狂的な舞妓ファンで暇さえあれば京都に通っていること。
しかし、舞妓と遊ぶためのお店・お茶屋ののれんをくぐったことは・・・まだない。
そんなある日、公彦に吉報がもたらされた。
念願の京都支社への転勤が決まったのだ!!!
あっさりと同僚OLの彼女・大沢富士子(柴咲コウ)を捨てて、意気揚々と京都入りする公彦だったが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
出演:阿部サダヲ(鬼塚公彦)、堤真一(内藤貴一郎)、柴咲コウ(大沢富士子/駒富士)、小出早織(駒子)、京野ことみ(小梅)、酒井若菜(豆福)、キムラ緑子(良江)、大倉孝二(大下)、生瀬勝久(先崎部長)、山田孝之(修学旅行生)、須賀健太(カメラ小僧)、Mr.オクレ(老社員)、日村勇紀(カメラ小僧/バナナマン)、北村一輝(医師)、植木等(斉藤老人)、木場勝己(玄太)、真矢みき(こまつ)、吉行和子(さつき)伊東四朗(鈴木大海)
先ずは本作「舞妓Haaaan!!!」は大変面白い娯楽作品に仕上がっていた。
一番印象的だったのは、阿部サダヲ(鬼塚公彦役)、堤真一(内藤貴一郎役)の怪演振りである。
両者とも舞台俳優である、と言うことが作品の世界にすばらしい効果を与えている。
舞台は、映画と異なり、見立ての文化なんだと思う。
例えば、俳優が一言「綺麗な海ね」と言えばそこには大洋が広がり、メイクなしで、子供や老人になってしまう。
舞台とは、俳優と観客が見立てを楽しみ、信じることが出来る、と言う魔法の力を持った世界なのだ。
そんな中で、本作「舞妓Haaaan!!!」ではハイテンションで緊張感とライブ感に溢れる舞台俳優同士の掛け合いが最高に面白い。
脚本は上手いんだか下手なんだか、ムラが多い宮藤官九郎だが、今回の脚本は非常にテンポが良く、前半から中盤までの怒涛の展開には、驚かされつつ、笑わされた。
特に、鬼塚と内藤のバトルがエスカレートしていく様子はすばらしかった。
ラストへの持って行きかたに若干の不満があるものの、トータル的には非常に楽しい脚本に仕上がっていたと思う。
キャストは何と言っても阿部サダヲ(鬼塚公彦役)に尽きる。
悪く言うと、本作「舞妓Haaaan!!!」は阿部サダヲの力量におんぶにだっこ状態のような印象すら受けてしまう。
それほど凄いキャラクターを見事に演じている。
また阿部サダヲは舞台俳優、と言うこともあり、動きのキレと言うか、キメと言うか、一連の動作の中で、ポイントを決めるのが非常に上手いと思った。
あとは不自然な格好での動きがすばらしく、変な格好で動くと言う、筋力的には非常に辛い動きを嬉々として演じる様にも驚かされる。
堤真一(内藤貴一郎役)は、阿部サダヲと同様すばらしく、モデルとなっている野球選手同様、破天荒な生き様を見せてくれている。
柴咲コウ(大沢富士子/駒富士)は、「世界の中心で、愛をさけぶ」 (2004)、「日本沈没」(2006)に続き、例によって、物語にいらないキャラクターを演じているような印象を受けた。
柴咲コウのキャラクターを完全に落として脚本を作ったほうが良かったのではないか、と思えた。
非常に印象的だったのは、小出早織(駒子役)の好演である。
彼女のキャリアは、テレビドラマでのキャリアがほとんどだが、映画への進出を含め、今後が期待の女優さんだと思った。
また、生瀬勝久(先崎部長役)は要所要所を締める、美味しい役柄を楽しげに演じていた。
ところで、水田伸生、宮藤官九郎、阿部サダヲと言えば、テレビドラマ「ぼくの魔法使い」(2003)つながりかと思えるが、宮藤官九郎脚本作品の多くに阿部サダヲがクレジットされているのも興味深い。
前述の柴咲コウのキャラクターは不要だ、と言う話だが、本作「舞妓Haaaan!!!」の脚本のキモは、鬼塚と内藤のエスカレーションギャグと、駒子との係わりであり、富士子の扱いは非常に小さいもので良いハズである。
それなのに、柴咲コウがクレジットされたばかりに、大人の事情で柴咲コウの役柄がクローズアップされてしまっているような印象を受ける。
また本作のプロモーション的には、物語のプロットから考えると端役に過ぎない富士子のシークエンスをメインのプロットのように扱った戦略的なプロモーションが行われているような印象を受ける。
これは、柴咲コウで客を呼んで、小出早織で客を帰す(柴咲コウの人気で客を呼んで、小出早織の演技を堪能させ、客を満足させるの意)、と言う戦略だったのだろうか。
だとすると、「世界の中心で、愛をさけぶ」 (2004)、「日本沈没」(2006)に続き、客寄せパンダのように扱われる柴咲コウと言う女優が不憫でならない。
確かに本作「舞妓Haaaan!!!」と言う作品は客を呼ぶ要素に乏しい。
阿部サダヲや堤真一、宮藤官九郎の脚本だけではなかなか多くの客を呼ぶことは難しいだろう。
そんな中、柴咲コウで客を呼ぼうと考えるのは理解できるのだが、脚本上メインのプロットたり得ない、狂言回し的なキャラクターを振られてしまうのはどうかと思える。
物語の構成を考えた場合、柴咲コウを使うのであれば、小出早織が演じた駒子クラスの役を振るべきだと思う。
それが出来ない、と言うことは柴咲コウの女優としての力量に問題がある、と言うことなのだと思う。
柴咲コウに関する余談が長かったが、本作「舞妓Haaaan!!!」は非常に良質なコメディ作品に仕上がっている。
ラストの取扱いに釈然としない(蛇足的な)部分があるが、あとは手放しでオススメ出来る楽しい作品である。
阿部サダヲの怪演に酔っていただきたい。
是非劇場へ!
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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鬼塚公彦(阿部サダヲ)は鈴屋食品・東京本社で働く平凡なサラリーマン。
ただひとつ異なるのは、熱狂的な舞妓ファンで暇さえあれば京都に通っていること。
しかし、舞妓と遊ぶためのお店・お茶屋ののれんをくぐったことは・・・まだない。
そんなある日、公彦に吉報がもたらされた。
念願の京都支社への転勤が決まったのだ!!!
あっさりと同僚OLの彼女・大沢富士子(柴咲コウ)を捨てて、意気揚々と京都入りする公彦だったが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
出演:阿部サダヲ(鬼塚公彦)、堤真一(内藤貴一郎)、柴咲コウ(大沢富士子/駒富士)、小出早織(駒子)、京野ことみ(小梅)、酒井若菜(豆福)、キムラ緑子(良江)、大倉孝二(大下)、生瀬勝久(先崎部長)、山田孝之(修学旅行生)、須賀健太(カメラ小僧)、Mr.オクレ(老社員)、日村勇紀(カメラ小僧/バナナマン)、北村一輝(医師)、植木等(斉藤老人)、木場勝己(玄太)、真矢みき(こまつ)、吉行和子(さつき)伊東四朗(鈴木大海)
先ずは本作「舞妓Haaaan!!!」は大変面白い娯楽作品に仕上がっていた。
一番印象的だったのは、阿部サダヲ(鬼塚公彦役)、堤真一(内藤貴一郎役)の怪演振りである。
両者とも舞台俳優である、と言うことが作品の世界にすばらしい効果を与えている。
舞台は、映画と異なり、見立ての文化なんだと思う。
例えば、俳優が一言「綺麗な海ね」と言えばそこには大洋が広がり、メイクなしで、子供や老人になってしまう。
舞台とは、俳優と観客が見立てを楽しみ、信じることが出来る、と言う魔法の力を持った世界なのだ。
そんな中で、本作「舞妓Haaaan!!!」ではハイテンションで緊張感とライブ感に溢れる舞台俳優同士の掛け合いが最高に面白い。
脚本は上手いんだか下手なんだか、ムラが多い宮藤官九郎だが、今回の脚本は非常にテンポが良く、前半から中盤までの怒涛の展開には、驚かされつつ、笑わされた。
特に、鬼塚と内藤のバトルがエスカレートしていく様子はすばらしかった。
ラストへの持って行きかたに若干の不満があるものの、トータル的には非常に楽しい脚本に仕上がっていたと思う。
キャストは何と言っても阿部サダヲ(鬼塚公彦役)に尽きる。
悪く言うと、本作「舞妓Haaaan!!!」は阿部サダヲの力量におんぶにだっこ状態のような印象すら受けてしまう。
それほど凄いキャラクターを見事に演じている。
また阿部サダヲは舞台俳優、と言うこともあり、動きのキレと言うか、キメと言うか、一連の動作の中で、ポイントを決めるのが非常に上手いと思った。
あとは不自然な格好での動きがすばらしく、変な格好で動くと言う、筋力的には非常に辛い動きを嬉々として演じる様にも驚かされる。
堤真一(内藤貴一郎役)は、阿部サダヲと同様すばらしく、モデルとなっている野球選手同様、破天荒な生き様を見せてくれている。
柴咲コウ(大沢富士子/駒富士)は、「世界の中心で、愛をさけぶ」 (2004)、「日本沈没」(2006)に続き、例によって、物語にいらないキャラクターを演じているような印象を受けた。
柴咲コウのキャラクターを完全に落として脚本を作ったほうが良かったのではないか、と思えた。
非常に印象的だったのは、小出早織(駒子役)の好演である。
彼女のキャリアは、テレビドラマでのキャリアがほとんどだが、映画への進出を含め、今後が期待の女優さんだと思った。
また、生瀬勝久(先崎部長役)は要所要所を締める、美味しい役柄を楽しげに演じていた。
ところで、水田伸生、宮藤官九郎、阿部サダヲと言えば、テレビドラマ「ぼくの魔法使い」(2003)つながりかと思えるが、宮藤官九郎脚本作品の多くに阿部サダヲがクレジットされているのも興味深い。
前述の柴咲コウのキャラクターは不要だ、と言う話だが、本作「舞妓Haaaan!!!」の脚本のキモは、鬼塚と内藤のエスカレーションギャグと、駒子との係わりであり、富士子の扱いは非常に小さいもので良いハズである。
それなのに、柴咲コウがクレジットされたばかりに、大人の事情で柴咲コウの役柄がクローズアップされてしまっているような印象を受ける。
また本作のプロモーション的には、物語のプロットから考えると端役に過ぎない富士子のシークエンスをメインのプロットのように扱った戦略的なプロモーションが行われているような印象を受ける。
これは、柴咲コウで客を呼んで、小出早織で客を帰す(柴咲コウの人気で客を呼んで、小出早織の演技を堪能させ、客を満足させるの意)、と言う戦略だったのだろうか。
だとすると、「世界の中心で、愛をさけぶ」 (2004)、「日本沈没」(2006)に続き、客寄せパンダのように扱われる柴咲コウと言う女優が不憫でならない。
確かに本作「舞妓Haaaan!!!」と言う作品は客を呼ぶ要素に乏しい。
阿部サダヲや堤真一、宮藤官九郎の脚本だけではなかなか多くの客を呼ぶことは難しいだろう。
そんな中、柴咲コウで客を呼ぼうと考えるのは理解できるのだが、脚本上メインのプロットたり得ない、狂言回し的なキャラクターを振られてしまうのはどうかと思える。
物語の構成を考えた場合、柴咲コウを使うのであれば、小出早織が演じた駒子クラスの役を振るべきだと思う。
それが出来ない、と言うことは柴咲コウの女優としての力量に問題がある、と言うことなのだと思う。
柴咲コウに関する余談が長かったが、本作「舞妓Haaaan!!!」は非常に良質なコメディ作品に仕上がっている。
ラストの取扱いに釈然としない(蛇足的な)部分があるが、あとは手放しでオススメ出来る楽しい作品である。
阿部サダヲの怪演に酔っていただきたい。
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