「ザ・シューター/極大射程」
2007年5月24日 映画
2007/05/18 東京新橋「ヤクルトホール」で「ザ・シューター/極大射程」の試写を観た。
アフリカの小国エリトリア。
海兵隊の特殊部隊であり狙撃の名手ボブ・リー・スワガーは、相棒のドニーと岩山で任務に就いていた。
彼等の任務は、自軍の武装車両の隊列を敵軍の攻撃から守ることだった。次々と現れる敵軍を的確に狙撃するスワガーだったが、戦闘ヘリを投入し激しさを増す敵の攻撃に進退窮まったスワガーらは無線で応援を要請するが無線は切られてしまった。
彼等は見捨てられたのだ。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:アントワーン・フークア
原作:スティーヴン・ハンター 「極大射程」(新潮社刊)
脚本:ジョナサン・レムキン
出演:マーク・ウォールバーグ(ボブ・リー・スワガー)、マイケル・ペーニャ(ニック・メンフィス)、ダニー・グローヴァー(アイザック・ジョンソン大佐)、ケイト・マーラ(サラ・フェン)、イライアス・コティーズ(ジャック・ペイン)、ローナ・ミトラ(アローデス・ガリンド)、ネッド・ビーティ(チャールズ・ミーチャム上院議員)、ラデ・シェルベッジア(マイケル・サンダー)
本作「ザ・シューター/極大射程」は娯楽作品として先ずは大変面白かった。
作品の方向性としては、配給会社も言っているように、(「ボーン・アイデンティティー」の“ジェイソン・ボーン”シリーズに続き、プロフェッショナルを極めたゆえに巨大な陰謀に呑み込まれようとする孤高のヒーローが、またひとり誕生する。)、本作「ザ・シューター/極大射程」のボブ・リー・スワガーは、「ボーン・アイデンティティー」(2002)シリーズのジェイソン・ボーンとかぶる。
また、俳優の外見と言うか印象もジェイソン・ボーンを演じたマット・ディモンと本作でボブ・リー・スワガーを演じたマーク・ウォールバーグがかぶると思うのはわたしだけだろうか。
物語は、悪い政府の人にはめられた孤高のヒーローが、悪い政府の人への復讐を遂げる、と言う、物語としてはありがちなものなのだが、悪い政府の人を演じるダニー・グローヴァーとネッド・ビーティ、そしてイライアス・コティーズが非常に良い味を出しているし、原作がスティーヴン・ハンターの機略に満ちたベストセラー小説と言うこともあり、描写や設定、伏線は、微に入り細に入り、よく出来ており、根本的なプロットはありがちなものでも作品としては非常に良く出来た面白い作品に仕上がっている。
印象的だったのは、マイケル・ペーニャが演じたニック・メンフィスのキャラクターが秀逸で、コメディ・リリーフでありながらも大活躍すると言う、感覚的に言うと「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(2005)のダーク・ピットとアルみたいな関係のような感じを受けた。
そして、「スーパーマン」(1978)でレックス・ルーサーの間抜けな手下を演じたネッド・ビーティだが、本当に良い味を出している。どちらかと言うと「スーパーマン」にしろバート・レイノルズの作品でもコメディ色が強い俳優だと思うのだが、今回は灰汁の強い名悪役を見事に演じている。
ついでに、イライアス・コティーズのサディスティックでいながら一風変わったユーモア・センスを持ったジャック・ペインのキャラクターも良かった。
名前もペインだし。(綴りは違うけど・・・・)
さて、主演のマーク・ウォールバーグだが、個人的な印象では「ブギーナイツ」(1997)以降初めての当たり役じゃないかと思った。
結果的に本作はマーク・ウォールバーグの現在のところの代表作だと言っても良い出来だと思う。
「ディパーテッド」(2006)のラストでも、最後に物語をさらうような良い味を出してるけど、本作は良い味出しっ放しだし、孤高のヒーローの説得力もあった、と思う。
監督のアントワーン・フークアにとっても本作は代表作だと言っても良いんじゃないかと思う。前作「キング・アーサー」(2004)とは雲泥の差を感じる。まぁプロデューサーのせいかも知れないが。
ところで、所謂スナイパーを描いた作品としては、トム・ベレンジャーがスナイパーを演じた「山猫は眠らない」(1992)シリーズがあるが、本作の狙撃のシークエンスは「山猫は眠らない」シリーズのスタンスを踏襲し、非常にリアルな印象を受ける。
特に冒頭のシークエンスで、2人一組で狙撃を行い、狙撃手とその狙撃を成功に導くナビゲーター(日本語名称は失念)とのペアでの狙撃をきちんと描写している点には感心した。
一般的な作品に登場するスナイパーは、ペアでの作業ではなく個人的な作業として描かれていることが多いが、本作では標的や周囲の情報や風向き、気温、湿度、標的までの距離や標的の状況をスナイパーに伝え、また本作中では、移動している車両のドライバーをウインドウ越しに狙撃する際、「3ミル手前を撃て」(1ミル=0.001インチ=0.025mm)と言うような、一般人では到底認知できない距離の指示が出ていたのが印象的だった。
正しくプロフェッショナルの仕事なのだと思った。
復讐劇になってからは、アクションにしろプロットにしろ若干やりすぎの感は否めないが、娯楽作品としては十分に見応えのある追跡劇が楽しめる。
またプロットの根本には、利益のためなら人の死をなんとも思わない、と言う悪い政府の人が出てくるのだが、本作は見方によれば、社会派的なスタンスを持った娯楽作品だと言えるかも知れない。
とにかく本作「ザ・シューター/極大射程」は大変面白いサスペンス映画だと言える。
社会派的な側面からスカッと爽やかなさくひんではないし、人が簡単にたくさん死んでいくので、その辺にアレルギーがある人にはオススメできないが、娯楽作品としては満足が行く作品だと思う。
是非劇場で観ていただきたいと思う。
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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アフリカの小国エリトリア。
海兵隊の特殊部隊であり狙撃の名手ボブ・リー・スワガーは、相棒のドニーと岩山で任務に就いていた。
彼等の任務は、自軍の武装車両の隊列を敵軍の攻撃から守ることだった。次々と現れる敵軍を的確に狙撃するスワガーだったが、戦闘ヘリを投入し激しさを増す敵の攻撃に進退窮まったスワガーらは無線で応援を要請するが無線は切られてしまった。
彼等は見捨てられたのだ。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:アントワーン・フークア
原作:スティーヴン・ハンター 「極大射程」(新潮社刊)
脚本:ジョナサン・レムキン
出演:マーク・ウォールバーグ(ボブ・リー・スワガー)、マイケル・ペーニャ(ニック・メンフィス)、ダニー・グローヴァー(アイザック・ジョンソン大佐)、ケイト・マーラ(サラ・フェン)、イライアス・コティーズ(ジャック・ペイン)、ローナ・ミトラ(アローデス・ガリンド)、ネッド・ビーティ(チャールズ・ミーチャム上院議員)、ラデ・シェルベッジア(マイケル・サンダー)
本作「ザ・シューター/極大射程」は娯楽作品として先ずは大変面白かった。
作品の方向性としては、配給会社も言っているように、(「ボーン・アイデンティティー」の“ジェイソン・ボーン”シリーズに続き、プロフェッショナルを極めたゆえに巨大な陰謀に呑み込まれようとする孤高のヒーローが、またひとり誕生する。)、本作「ザ・シューター/極大射程」のボブ・リー・スワガーは、「ボーン・アイデンティティー」(2002)シリーズのジェイソン・ボーンとかぶる。
また、俳優の外見と言うか印象もジェイソン・ボーンを演じたマット・ディモンと本作でボブ・リー・スワガーを演じたマーク・ウォールバーグがかぶると思うのはわたしだけだろうか。
物語は、悪い政府の人にはめられた孤高のヒーローが、悪い政府の人への復讐を遂げる、と言う、物語としてはありがちなものなのだが、悪い政府の人を演じるダニー・グローヴァーとネッド・ビーティ、そしてイライアス・コティーズが非常に良い味を出しているし、原作がスティーヴン・ハンターの機略に満ちたベストセラー小説と言うこともあり、描写や設定、伏線は、微に入り細に入り、よく出来ており、根本的なプロットはありがちなものでも作品としては非常に良く出来た面白い作品に仕上がっている。
印象的だったのは、マイケル・ペーニャが演じたニック・メンフィスのキャラクターが秀逸で、コメディ・リリーフでありながらも大活躍すると言う、感覚的に言うと「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(2005)のダーク・ピットとアルみたいな関係のような感じを受けた。
そして、「スーパーマン」(1978)でレックス・ルーサーの間抜けな手下を演じたネッド・ビーティだが、本当に良い味を出している。どちらかと言うと「スーパーマン」にしろバート・レイノルズの作品でもコメディ色が強い俳優だと思うのだが、今回は灰汁の強い名悪役を見事に演じている。
ついでに、イライアス・コティーズのサディスティックでいながら一風変わったユーモア・センスを持ったジャック・ペインのキャラクターも良かった。
名前もペインだし。(綴りは違うけど・・・・)
さて、主演のマーク・ウォールバーグだが、個人的な印象では「ブギーナイツ」(1997)以降初めての当たり役じゃないかと思った。
結果的に本作はマーク・ウォールバーグの現在のところの代表作だと言っても良い出来だと思う。
「ディパーテッド」(2006)のラストでも、最後に物語をさらうような良い味を出してるけど、本作は良い味出しっ放しだし、孤高のヒーローの説得力もあった、と思う。
監督のアントワーン・フークアにとっても本作は代表作だと言っても良いんじゃないかと思う。前作「キング・アーサー」(2004)とは雲泥の差を感じる。まぁプロデューサーのせいかも知れないが。
ところで、所謂スナイパーを描いた作品としては、トム・ベレンジャーがスナイパーを演じた「山猫は眠らない」(1992)シリーズがあるが、本作の狙撃のシークエンスは「山猫は眠らない」シリーズのスタンスを踏襲し、非常にリアルな印象を受ける。
特に冒頭のシークエンスで、2人一組で狙撃を行い、狙撃手とその狙撃を成功に導くナビゲーター(日本語名称は失念)とのペアでの狙撃をきちんと描写している点には感心した。
一般的な作品に登場するスナイパーは、ペアでの作業ではなく個人的な作業として描かれていることが多いが、本作では標的や周囲の情報や風向き、気温、湿度、標的までの距離や標的の状況をスナイパーに伝え、また本作中では、移動している車両のドライバーをウインドウ越しに狙撃する際、「3ミル手前を撃て」(1ミル=0.001インチ=0.025mm)と言うような、一般人では到底認知できない距離の指示が出ていたのが印象的だった。
正しくプロフェッショナルの仕事なのだと思った。
復讐劇になってからは、アクションにしろプロットにしろ若干やりすぎの感は否めないが、娯楽作品としては十分に見応えのある追跡劇が楽しめる。
またプロットの根本には、利益のためなら人の死をなんとも思わない、と言う悪い政府の人が出てくるのだが、本作は見方によれば、社会派的なスタンスを持った娯楽作品だと言えるかも知れない。
とにかく本作「ザ・シューター/極大射程」は大変面白いサスペンス映画だと言える。
社会派的な側面からスカッと爽やかなさくひんではないし、人が簡単にたくさん死んでいくので、その辺にアレルギーがある人にはオススメできないが、娯楽作品としては満足が行く作品だと思う。
是非劇場で観ていただきたいと思う。
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