「京都買います」(「怪奇大作戦」)をめぐる冒険
2007年5月4日 映画
2007/04/30-05/03の深夜、NHK BS2で「怪奇大作戦セカンドファイル」(2007)3話と、「怪奇大作戦」(1968)14話が放映された。
「怪奇大作戦」(1968)とは、NHKのサイトによると、
オリジナル版「怪奇大作戦」は、昭和43年、円谷プロダクションが「ウルトラセブン」の後番組として制作した特撮犯罪ドラマ。平均視聴率22%を獲得した人気番組でした。特撮で描かれる怪奇犯罪とその謎解きの面白さはもちろん、事件の背後に隠された人の心の闇にこそ真の“怪奇”が潜むという社会派のスタンスは、今もなお多くのファンを惹きつけてやみません。
とのことです。
なお、「怪奇大作戦セカンドファイル」は、2006年に急逝した実相寺明雄がシリーズ構成・脚本(ファイル2「昭和幻燈小路」)を努め、発表順で言うと遺作となっている。
(「ユメ十夜」は、2007/01/27公開)
実相寺明雄と言えば、やはり「ウルトラマン」(1966-67)や「ウルトラセブン」(1967-68)の監督として名が挙がって来ると思うのだが、わたし的には「帝都物語」(1988)の印象が強い。
「帝都物語」で描かれる日本人のおじさん達が、滅法格好良いのだよ、これが。
そして、そんな俳優達の立ち居振る舞いが素敵なのだ。彼らは肩で立っているのだ。
そして、「屋根裏の散歩者」(1994)、「D坂の怪事件」(1997)、「乱歩地獄」(2005)等の一連の江戸川乱歩原作作品の映像化作品であったり、2005年の「姑獲鳥の夏」(京極夏彦原作作品)を映像化し、ついには夏目漱石の映像化と、江戸川乱歩、京極夏彦、夏目漱石と、日本の近代文学のひとつの方向性(耽美性)を持った映像化の騎手として期待されていた中の悲報は残念でならないものだった。
彼の映像スタイルは、広角レンズを多用した極端な被写体のアップであったり、前景から被写体を覗く画面構成であったり、被写体の顔のアップでありながら、顔を切ると言った映像スタイルが素晴らしく、またセリフではなく映像で物語を語るスタンスをもっていた。
そこで「京都買います」/「怪奇大作戦」(1968)第25話だが、子供の頃に再放送で見ていると思うのだが、そんなに印象に残っていなかったのだが、今回大人になってから初めて見たのだが、はっきり言って驚いた。
「京都買います」は、フィルムで撮った30分ものの子供向けのテレビシリーズのクオリティを遥かに凌駕している。
その映像スタイルと編集スタイルは既に完成されており、最早芸術作品と言って良い程のスタイルを持っているのだ。
特に印象的なのは、編集がきちんとされていることである。
1960年代にフィルムで撮られたテレビドラマでありながら、ワンカットで複数のセリフを描写するのではなく、ひとつのセリフですら複数のカットで構成されている。
また、前景と背景を意識して撮影された映像も素晴らしい。
極端なアップの多用のため、セリフではなく表情で物語を語る手法が、俳優に要求されているのだ。
また、セリフを喋ることではなく、セリフを喋る状況を基に構成、演出されている芝居も素晴らしい。
そして、キャストだが、何と言っても岸田森の格好良さにはたまらない。岸田今日子も凄いが、岸田森のダンディズムには涙が出てしまう。
こんな芳醇な作品が、30分ものの子供向けのテレビシリーズで放映されていた、とは全く驚きを禁じ得ない。
セリフを喋っている映像を繋いだだけで、ドラマになると思っている現代の映像作家に見せてやりたいと思った。
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「怪奇大作戦」(1968)とは、NHKのサイトによると、
オリジナル版「怪奇大作戦」は、昭和43年、円谷プロダクションが「ウルトラセブン」の後番組として制作した特撮犯罪ドラマ。平均視聴率22%を獲得した人気番組でした。特撮で描かれる怪奇犯罪とその謎解きの面白さはもちろん、事件の背後に隠された人の心の闇にこそ真の“怪奇”が潜むという社会派のスタンスは、今もなお多くのファンを惹きつけてやみません。
とのことです。
なお、「怪奇大作戦セカンドファイル」は、2006年に急逝した実相寺明雄がシリーズ構成・脚本(ファイル2「昭和幻燈小路」)を努め、発表順で言うと遺作となっている。
(「ユメ十夜」は、2007/01/27公開)
実相寺明雄と言えば、やはり「ウルトラマン」(1966-67)や「ウルトラセブン」(1967-68)の監督として名が挙がって来ると思うのだが、わたし的には「帝都物語」(1988)の印象が強い。
「帝都物語」で描かれる日本人のおじさん達が、滅法格好良いのだよ、これが。
そして、そんな俳優達の立ち居振る舞いが素敵なのだ。彼らは肩で立っているのだ。
そして、「屋根裏の散歩者」(1994)、「D坂の怪事件」(1997)、「乱歩地獄」(2005)等の一連の江戸川乱歩原作作品の映像化作品であったり、2005年の「姑獲鳥の夏」(京極夏彦原作作品)を映像化し、ついには夏目漱石の映像化と、江戸川乱歩、京極夏彦、夏目漱石と、日本の近代文学のひとつの方向性(耽美性)を持った映像化の騎手として期待されていた中の悲報は残念でならないものだった。
彼の映像スタイルは、広角レンズを多用した極端な被写体のアップであったり、前景から被写体を覗く画面構成であったり、被写体の顔のアップでありながら、顔を切ると言った映像スタイルが素晴らしく、またセリフではなく映像で物語を語るスタンスをもっていた。
そこで「京都買います」/「怪奇大作戦」(1968)第25話だが、子供の頃に再放送で見ていると思うのだが、そんなに印象に残っていなかったのだが、今回大人になってから初めて見たのだが、はっきり言って驚いた。
「京都買います」は、フィルムで撮った30分ものの子供向けのテレビシリーズのクオリティを遥かに凌駕している。
その映像スタイルと編集スタイルは既に完成されており、最早芸術作品と言って良い程のスタイルを持っているのだ。
特に印象的なのは、編集がきちんとされていることである。
1960年代にフィルムで撮られたテレビドラマでありながら、ワンカットで複数のセリフを描写するのではなく、ひとつのセリフですら複数のカットで構成されている。
また、前景と背景を意識して撮影された映像も素晴らしい。
極端なアップの多用のため、セリフではなく表情で物語を語る手法が、俳優に要求されているのだ。
また、セリフを喋ることではなく、セリフを喋る状況を基に構成、演出されている芝居も素晴らしい。
そして、キャストだが、何と言っても岸田森の格好良さにはたまらない。岸田今日子も凄いが、岸田森のダンディズムには涙が出てしまう。
こんな芳醇な作品が、30分ものの子供向けのテレビシリーズで放映されていた、とは全く驚きを禁じ得ない。
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