2007/04/01 東京池袋「シネ・リーブル池袋」で「さくらん」を観た。
真っ赤な金魚たちが宙を泳ぐ大門をくぐると、そこは華やかな吉原遊郭。
桜が満開の中、遊郭『玉菊屋』に連れてこられた8歳の少女は、きよ葉と名付けられた。
しかし、向こう意気が強いきよ葉は脱走を試みて捕まり折檻を受ける。そんなきよ葉に店番の清次は、決して咲くことのない吉原の桜の木に花が咲いたら俺が出してやるとなぐさめる。
やがてきよ葉は、美貌も知性も兼ね備えた完璧な花魁・粧ひが面倒を見ることに。それでも脱走をやめようとしないきよ葉だったが、粧ひの挑発に乗せられ、自分も花魁になってやると啖呵を切るのだった。
監督:蜷川実花
原作:安野モヨコ 「さくらん」(講談社刊)
脚本:タナダユキ
撮影:石坂拓郎
美術:岩城南海子
出演:土屋アンナ(きよ葉・日暮)、椎名桔平(倉之助)、成宮寛貴(
惣次郎)、木村佳乃(高尾)、菅野美穂(粧ひ)、永瀬正敏(光信)、美波(若菊)、山本浩司(大工)、遠藤憲一(坂口)、小池彩夢(幼ききよ葉)、山口愛(しげじ)、小泉今日子(お蘭)、石橋蓮司(楼主)、夏木マリ(女将)、市川左團次(ご隠居)、安藤政信(清次)
先ず思ったのは、本作「さくらん」と「マリー・アントワネット」(2006)との共通点である。
1.コスチューム・プレイ(時代劇・歴史劇)である。
2.現代文化・現代音楽をフィーチャーしている。
3.美術・衣装が絢爛豪華である。
そして、本作「さくらん」の根底にあるのは、おそらく多くの観客が感じたように、シェークスピア悲劇「ロミオとジュリエット」である。
特に日暮と清次が月を眺めるシークエンスは「ロミオとジュリエット」のシークエンスそのものである。
と考えた場合、ラストのシークエンスの現実離れした風景は、果たして本当の事なのだろうか、と思えてならない。
感覚的には「未来世紀プラジル」(1985)のラストをも彷彿とさせる。
また、ラスト近くの猫が金魚を襲うシークエンスは、「ロミオとジュリエット」のラストのような悲劇性を観客に示唆するために存在するのだが、その伏線は既に語られており、蛇足ですらある。
絢爛豪華な衣装と美術、またそこに現れる色彩設計は非常に印象的で素晴らしい。
一方、何度か繰り返される花魁道中のシークエンスはあまりにもアップ過ぎて、非常に残念な印象を受けた。
余談だが、「日光江戸村」の花魁道中が、ショーとして大変素晴らしいだけに、映画がそのダイナミズムや繊細さを再現できていないのは、非常に残念な印象を受けた。
機会があれば、是非「日光江戸村」の花魁道中を観て欲しいと思う。
監督の蜷川実花は写真家と言う事もあり、画作りと色彩に長けているが、演出については順当で、真っ当な印象を受ける。
クセのある俳優の演技バトルは非常に面白いのだが、主演の土屋アンナは微妙である。何しろ声が出ていないのだ。また怒鳴り過ぎで声が潰れているような印象すら受ける。
あと驚いたのは、花魁役の3女優(菅野美穂、木村佳乃、土屋アンナ)の脱ぎっぷりと言うか濡れ場が印象的だった。
俳優陣は、椎名桔平、成宮寛貴、石橋蓮司が良かったが、安藤政信が特に良かった。良い俳優になってきたものである。
あと興味深かったのは、直接の共演は無いのだが、永瀬正敏と小泉今日子がキャスティングされている点や、庵野秀明や忌野清志郎のカメオである。
まあとにかく、観るべきものは多々ある作品だと思うので、是非劇場に足を運んでいただきたいと個人的には思う。
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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真っ赤な金魚たちが宙を泳ぐ大門をくぐると、そこは華やかな吉原遊郭。
桜が満開の中、遊郭『玉菊屋』に連れてこられた8歳の少女は、きよ葉と名付けられた。
しかし、向こう意気が強いきよ葉は脱走を試みて捕まり折檻を受ける。そんなきよ葉に店番の清次は、決して咲くことのない吉原の桜の木に花が咲いたら俺が出してやるとなぐさめる。
やがてきよ葉は、美貌も知性も兼ね備えた完璧な花魁・粧ひが面倒を見ることに。それでも脱走をやめようとしないきよ葉だったが、粧ひの挑発に乗せられ、自分も花魁になってやると啖呵を切るのだった。
監督:蜷川実花
原作:安野モヨコ 「さくらん」(講談社刊)
脚本:タナダユキ
撮影:石坂拓郎
美術:岩城南海子
出演:土屋アンナ(きよ葉・日暮)、椎名桔平(倉之助)、成宮寛貴(
惣次郎)、木村佳乃(高尾)、菅野美穂(粧ひ)、永瀬正敏(光信)、美波(若菊)、山本浩司(大工)、遠藤憲一(坂口)、小池彩夢(幼ききよ葉)、山口愛(しげじ)、小泉今日子(お蘭)、石橋蓮司(楼主)、夏木マリ(女将)、市川左團次(ご隠居)、安藤政信(清次)
先ず思ったのは、本作「さくらん」と「マリー・アントワネット」(2006)との共通点である。
1.コスチューム・プレイ(時代劇・歴史劇)である。
2.現代文化・現代音楽をフィーチャーしている。
3.美術・衣装が絢爛豪華である。
そして、本作「さくらん」の根底にあるのは、おそらく多くの観客が感じたように、シェークスピア悲劇「ロミオとジュリエット」である。
特に日暮と清次が月を眺めるシークエンスは「ロミオとジュリエット」のシークエンスそのものである。
と考えた場合、ラストのシークエンスの現実離れした風景は、果たして本当の事なのだろうか、と思えてならない。
感覚的には「未来世紀プラジル」(1985)のラストをも彷彿とさせる。
また、ラスト近くの猫が金魚を襲うシークエンスは、「ロミオとジュリエット」のラストのような悲劇性を観客に示唆するために存在するのだが、その伏線は既に語られており、蛇足ですらある。
絢爛豪華な衣装と美術、またそこに現れる色彩設計は非常に印象的で素晴らしい。
一方、何度か繰り返される花魁道中のシークエンスはあまりにもアップ過ぎて、非常に残念な印象を受けた。
余談だが、「日光江戸村」の花魁道中が、ショーとして大変素晴らしいだけに、映画がそのダイナミズムや繊細さを再現できていないのは、非常に残念な印象を受けた。
機会があれば、是非「日光江戸村」の花魁道中を観て欲しいと思う。
監督の蜷川実花は写真家と言う事もあり、画作りと色彩に長けているが、演出については順当で、真っ当な印象を受ける。
クセのある俳優の演技バトルは非常に面白いのだが、主演の土屋アンナは微妙である。何しろ声が出ていないのだ。また怒鳴り過ぎで声が潰れているような印象すら受ける。
あと驚いたのは、花魁役の3女優(菅野美穂、木村佳乃、土屋アンナ)の脱ぎっぷりと言うか濡れ場が印象的だった。
俳優陣は、椎名桔平、成宮寛貴、石橋蓮司が良かったが、安藤政信が特に良かった。良い俳優になってきたものである。
あと興味深かったのは、直接の共演は無いのだが、永瀬正敏と小泉今日子がキャスティングされている点や、庵野秀明や忌野清志郎のカメオである。
まあとにかく、観るべきものは多々ある作品だと思うので、是非劇場に足を運んでいただきたいと個人的には思う。
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