『Macをはじめよう。』をめぐる冒険 その11
2007年3月19日 『Macをはじめよう。』今日は「iPhone」のCF(CM)の話。
2007/03/18 TBS系で放映されている総合ニュース・バラエティ「サンデー・ジャポン」をたまたま見ていたら、「第79回(2006)アカデミー賞授賞式」の際に放映されたアップル社の「iPhone」のCF(CM)"Hello"が紹介されていた。
驚いたのは、このCF(CM)が放映されたのはもう1ヶ月も前の事だし、WEBでも普通に公開されているにも関わらず、日本のメディアは、このCF(CM)を取り上げていなかったのか、と言う事。
アップル社「iPhone」CF(CM) "Hello"
http://www.apple.com/iphone/hello/
このCF(CM)の興味深い部分はいろいろあるのだが、先ずは「第79回(2006)アカデミー賞授賞式」の際に放映された、と言う事。
と言うのも、「アカデミー賞授賞式」では、古今東西のフッテージを繋いだ映像により何かを伝えると言うコンセプトの映像がよく使用されている。
名誉賞が与えられる映画人が関わった作品のフッテージを繋いだ映像だとか、今年亡くなった映画人のフッテージを繋いだ映像だとか、編集ってこんなに凄いんだよ、とか効果音ってこんなに凄いんだよ、とか言う映像だとか。
つまりあのCF(CM)をいきなり見た視聴者は、この映像はCF(CM)ではなく「アカデミー賞授賞式」の一部だと思ってしまう、と言う見事なミス・デレクション効果を持っているのだ。
このCF(CM)のコンセプトや企画は、誰でも思いつくようなもので、全然たいしたものではないのだが、「アカデミー賞授賞式」の際に放映する、と言う事実により、大きな意味と効果を持つCF(CM)に化けてしまう訳だ。
とは言うものの、今回のCF(CM)は、作品ではなく俳優をフィーチャーしているのは、ちょっと残念だと思った。
と言うのも、今回のCF(CM)には「2001年宇宙の旅」(1968)のテレビ電話のシークエンスが入っていないし、キューブリック繋がりで言わせていただければ、どうせピーター・セラーズを使うのなら「ピンクの豹」(1973)じゃなくて「博士の異常な愛情」(1964)のホットラインのシークエンスだろうとか、どうせリチャード・ドレイファスを使うんだったら「アメリカン・グラフィティ」(1973)じゃなくて「グッバイガール」(1977)じゃねえのか、とか、映画史に残る珠玉の名作をフィーチャーするのではなく、前述のように俳優をフィーチャーしているのが、ちょっと残念な気がする。
ところで、本CF(CM)は聞くところによると制作費が170万ドル(約2億円)かかったそうである。
広告代理店がプレゼンしたであろう企画やコンセプトは、前述のようにたいしたものではないと思うのだが、広告代理店の取り分はあってないようなもので全然わからないし、「アカデミー賞授賞式」のCF(CM)枠をおさえるのにどれくらいの費用がかかるのか知らないが、制作費のほとんどは権利料だと思われる。
なにしろ、センスはともかく、このCF(CM)は、どこの誰でも素材だけあれば、出来てしまうものなのだ。
ここで気になるのはパブリック・ドメインの問題である。
日本国内では、50年から70年に著作権延長の期限が延長されたが、アメリカでは、最高120年(権利者の死後70年、出版後95年、制作後120年)ということなので、今回のCF(CM)の最古のフッテージは、「或る夜の出来事」(1934)のクラーク・ゲーブルなので、全く問題は無いと思われる。
と言う訳でCF(CM)に登場する作品の権利を調べてみた。
1.「ダイヤルMを廻せ!」(1954) ワーナー
2.「アイ・ラブ・ルーシー」(1951-1957) パラマウント
3.「The Honeymooners」(1955-56) パラマウント
4.「キー・ラーゴ」(1948) ワーナー
5.「欲望という名の電車」(1951) ワーナー
6.「底抜けてんやわんや」(1960) パラマウント
7.「お熱いのがお好き」(1959) MGM
8.「或る夜の出来事」(1934) コロムビア
9.「ピンクの豹」(1963) MGM/UA
10.「ゲッタウェイ」(1972) ワーナー
11.「アメリカン・グラフィティ」(1973) ユニバーサル
12.「ブギーナイツ」(1997) ニューライン
13.「原始家族フリントストーン」(1960-1966) ABC ?
14.「コンドル」(1975) ユニバーサル ?
15.「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985) ユニバーサル
つづく・・・・
『Macをはじめよう。』をめぐる冒険 その12 につづく・・・・
http://diarynote.jp/d/29346/20070322.html
『Macをはじめよう。』をめぐる冒険 その1(最初から読む)
http://diarynote.jp/d/29346/20061122.html
『Macをはじめよう。』をめぐる冒険 その10(直前のエントリーを読む)
http://diarynote.jp/d/29346/20070308.html
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2007/03/18 TBS系で放映されている総合ニュース・バラエティ「サンデー・ジャポン」をたまたま見ていたら、「第79回(2006)アカデミー賞授賞式」の際に放映されたアップル社の「iPhone」のCF(CM)"Hello"が紹介されていた。
驚いたのは、このCF(CM)が放映されたのはもう1ヶ月も前の事だし、WEBでも普通に公開されているにも関わらず、日本のメディアは、このCF(CM)を取り上げていなかったのか、と言う事。
アップル社「iPhone」CF(CM) "Hello"
http://www.apple.com/iphone/hello/
このCF(CM)の興味深い部分はいろいろあるのだが、先ずは「第79回(2006)アカデミー賞授賞式」の際に放映された、と言う事。
と言うのも、「アカデミー賞授賞式」では、古今東西のフッテージを繋いだ映像により何かを伝えると言うコンセプトの映像がよく使用されている。
名誉賞が与えられる映画人が関わった作品のフッテージを繋いだ映像だとか、今年亡くなった映画人のフッテージを繋いだ映像だとか、編集ってこんなに凄いんだよ、とか効果音ってこんなに凄いんだよ、とか言う映像だとか。
つまりあのCF(CM)をいきなり見た視聴者は、この映像はCF(CM)ではなく「アカデミー賞授賞式」の一部だと思ってしまう、と言う見事なミス・デレクション効果を持っているのだ。
このCF(CM)のコンセプトや企画は、誰でも思いつくようなもので、全然たいしたものではないのだが、「アカデミー賞授賞式」の際に放映する、と言う事実により、大きな意味と効果を持つCF(CM)に化けてしまう訳だ。
とは言うものの、今回のCF(CM)は、作品ではなく俳優をフィーチャーしているのは、ちょっと残念だと思った。
と言うのも、今回のCF(CM)には「2001年宇宙の旅」(1968)のテレビ電話のシークエンスが入っていないし、キューブリック繋がりで言わせていただければ、どうせピーター・セラーズを使うのなら「ピンクの豹」(1973)じゃなくて「博士の異常な愛情」(1964)のホットラインのシークエンスだろうとか、どうせリチャード・ドレイファスを使うんだったら「アメリカン・グラフィティ」(1973)じゃなくて「グッバイガール」(1977)じゃねえのか、とか、映画史に残る珠玉の名作をフィーチャーするのではなく、前述のように俳優をフィーチャーしているのが、ちょっと残念な気がする。
ところで、本CF(CM)は聞くところによると制作費が170万ドル(約2億円)かかったそうである。
広告代理店がプレゼンしたであろう企画やコンセプトは、前述のようにたいしたものではないと思うのだが、広告代理店の取り分はあってないようなもので全然わからないし、「アカデミー賞授賞式」のCF(CM)枠をおさえるのにどれくらいの費用がかかるのか知らないが、制作費のほとんどは権利料だと思われる。
なにしろ、センスはともかく、このCF(CM)は、どこの誰でも素材だけあれば、出来てしまうものなのだ。
ここで気になるのはパブリック・ドメインの問題である。
日本国内では、50年から70年に著作権延長の期限が延長されたが、アメリカでは、最高120年(権利者の死後70年、出版後95年、制作後120年)ということなので、今回のCF(CM)の最古のフッテージは、「或る夜の出来事」(1934)のクラーク・ゲーブルなので、全く問題は無いと思われる。
と言う訳でCF(CM)に登場する作品の権利を調べてみた。
1.「ダイヤルMを廻せ!」(1954) ワーナー
2.「アイ・ラブ・ルーシー」(1951-1957) パラマウント
3.「The Honeymooners」(1955-56) パラマウント
4.「キー・ラーゴ」(1948) ワーナー
5.「欲望という名の電車」(1951) ワーナー
6.「底抜けてんやわんや」(1960) パラマウント
7.「お熱いのがお好き」(1959) MGM
8.「或る夜の出来事」(1934) コロムビア
9.「ピンクの豹」(1963) MGM/UA
10.「ゲッタウェイ」(1972) ワーナー
11.「アメリカン・グラフィティ」(1973) ユニバーサル
12.「ブギーナイツ」(1997) ニューライン
13.「原始家族フリントストーン」(1960-1966) ABC ?
14.「コンドル」(1975) ユニバーサル ?
15.「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985) ユニバーサル
つづく・・・・
『Macをはじめよう。』をめぐる冒険 その12 につづく・・・・
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『Macをはじめよう。』をめぐる冒険 その1(最初から読む)
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