アニメーション・スタジオをめぐる冒険
2007年1月12日 映画2006年という年は、日本が世界に誇るアニメーション・スタジオの新作アニメーション映画が次々と劇場公開される、という非常に興味深い一年だったのではないかと思う。
そこから感じられるのは、誤解を恐れず言わせていただければ、アニメーション・スタジオは映像作家のビジョンをフィルムに定着させるための道具に過ぎないのだ、ということ。
ところで、今回俎上にのせるのは次の5作品。
「ブレイブ ストーリー」制作:GONZO/監督:千明孝一/2006/07/08公開
「時をかける少女」制作:マッドハウス/監督:細田守/2006/07/15公開
「ゲド戦記」制作:スタジオジブリ/監督:宮崎吾朗/2006/07/29公開
「パプリカ」制作:マッドハウス/監督:今敏/2006/11/25公開
「鉄コン筋クリート」制作:STUDIO4℃/監督:マイケル・アリアス /2006/12/26公開
アニメーション・スタジオは映像作家のビジョンをフィルムに定着させるための道具に過ぎないのだ、という事を一番感じさせてくれたのは、なんと言っても「ゲド戦記」だろう。
「ゲド戦記」という作品は、スタジオジブリのスタッフの力があれば、仮に全くの素人が監督をしたとしても、そこそこの作品が出来るのではないか、と言う淡い期待を見事に裏切ってくれる作品だった。
物語りもグダグダだが、作画もグダグダと言う、スタジオジブリとは思えないクオリティの作品がヒットしてしまっているのだ。
夏のアニメーション映画の本命が「ゲド戦記」だとすると対抗はもちろん「ブレイブ ストーリー」だろう。
「ブレイブ ストーリー」はアニメーション自体のクオリティは全く、と言って良い程問題はないのだが、いかんせん脚本がまずい。
劇場作品として考えると、監督の千明孝一には荷が重すぎた、ということなのだろう。
本命が「ゲド戦記」、対抗が「ブレイブ ストーリー」とすれば、「時をかける少女」は大穴だろう。
しかし、夏のアニメーション映画は大穴が来たのだ。
「時をかける少女」は細田守の作家性を十二分に感じられるすばらしい作品である。
全てにおいてきちんと計算され、きちんと演出されているアニメーション作品を観るのは本当にすばらしい映像体験だと言える。
そして、アニメーション制作のマッドハウスは、細田守の要望に見事に答えている、と言える。
映像作家のビジョンを実現するアニメーション・スタジオに頭が下がる思いである。
「時をかける少女」が、2006年の日本のアニメーション映画のベストだと思っていた中、わたしは「東京国際映画祭」で「パプリカ」を観る事になる。
今敏のフィルモグラフィーを考えると全くハズレがない、と言う事もあり、新作「パプリカ」に大きな期待をしていたわたしは、なんとか「パプリカ」のチケットを押さえようといろいろ努力をしたのだが、「パプリカ」はなぜか人気が高く、一向に押さえられなかった。
それでも、どうしても「パプリカ」を観たいわたしは、オークションでチケットを落札することにした。
と言う訳で、結局のところ、チケット代は結構高くついてしまったのだが、「パプリカ」は全くチケット代の損を感じさせないすばらしい作品に仕上がっていた。
もちろん今敏とマッドハウスのコラボレーションは今はじまったことではなく、全てがカッチリときまった印象を受ける。
今敏とマッドハウスとのコラボレーションはアニメーションのひとつの方向性の頂点なのだと思えてならない。
いやぁ、2006年の日本アニメーション作品の最高峰は「パプリカ」だったな、と思った3日後、わたしは「東京国際映画祭」で「鉄コン筋クリート」を観ることになる。
「鉄コン筋クリート」は、あんなにすばらしかった「パプリカ」がかすんでしまうほどのすばらしい作品だった。
1999年に制作された森本晃司とマイケル・アリアスが制作した「鉄コン筋クリート」のパイロット版を見てちょっとだけ期待していたのだが、正直なところ、わたしはそれほど大きな期待を感じてはいなかった。期待の大半はアニメーション制作が「マインド・ゲーム」のSTUDIO4℃ということだったと思う。
また、クロの声をあてているのが二宮和也と言うのも、不安な方向にわたしを導いていた。
しかし、「鉄コン筋クリート」のフィルムに定着されていたのは、マイケル・アリアスの作品に対する強烈な愛情だけであった。
フィルムには愛情しか映っていないのだ。そんな作品にわたしは号泣である。
本当に凄い作品である。
マイケル・アリアスの情熱とSTUDIO4℃の強烈な個性が見事に融和したすばらしい作品に仕上がっている。
なんだが話がグダグダになってきたが、結局は映像作家の作家性と、そのビジョンを実現する力を持ったアニメーション・スタジオががっぷりと四つに組んだ作品は最高に面白い、と言う事だな。
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そこから感じられるのは、誤解を恐れず言わせていただければ、アニメーション・スタジオは映像作家のビジョンをフィルムに定着させるための道具に過ぎないのだ、ということ。
ところで、今回俎上にのせるのは次の5作品。
「ブレイブ ストーリー」制作:GONZO/監督:千明孝一/2006/07/08公開
「時をかける少女」制作:マッドハウス/監督:細田守/2006/07/15公開
「ゲド戦記」制作:スタジオジブリ/監督:宮崎吾朗/2006/07/29公開
「パプリカ」制作:マッドハウス/監督:今敏/2006/11/25公開
「鉄コン筋クリート」制作:STUDIO4℃/監督:マイケル・アリアス /2006/12/26公開
アニメーション・スタジオは映像作家のビジョンをフィルムに定着させるための道具に過ぎないのだ、という事を一番感じさせてくれたのは、なんと言っても「ゲド戦記」だろう。
「ゲド戦記」という作品は、スタジオジブリのスタッフの力があれば、仮に全くの素人が監督をしたとしても、そこそこの作品が出来るのではないか、と言う淡い期待を見事に裏切ってくれる作品だった。
物語りもグダグダだが、作画もグダグダと言う、スタジオジブリとは思えないクオリティの作品がヒットしてしまっているのだ。
夏のアニメーション映画の本命が「ゲド戦記」だとすると対抗はもちろん「ブレイブ ストーリー」だろう。
「ブレイブ ストーリー」はアニメーション自体のクオリティは全く、と言って良い程問題はないのだが、いかんせん脚本がまずい。
劇場作品として考えると、監督の千明孝一には荷が重すぎた、ということなのだろう。
本命が「ゲド戦記」、対抗が「ブレイブ ストーリー」とすれば、「時をかける少女」は大穴だろう。
しかし、夏のアニメーション映画は大穴が来たのだ。
「時をかける少女」は細田守の作家性を十二分に感じられるすばらしい作品である。
全てにおいてきちんと計算され、きちんと演出されているアニメーション作品を観るのは本当にすばらしい映像体験だと言える。
そして、アニメーション制作のマッドハウスは、細田守の要望に見事に答えている、と言える。
映像作家のビジョンを実現するアニメーション・スタジオに頭が下がる思いである。
「時をかける少女」が、2006年の日本のアニメーション映画のベストだと思っていた中、わたしは「東京国際映画祭」で「パプリカ」を観る事になる。
今敏のフィルモグラフィーを考えると全くハズレがない、と言う事もあり、新作「パプリカ」に大きな期待をしていたわたしは、なんとか「パプリカ」のチケットを押さえようといろいろ努力をしたのだが、「パプリカ」はなぜか人気が高く、一向に押さえられなかった。
それでも、どうしても「パプリカ」を観たいわたしは、オークションでチケットを落札することにした。
と言う訳で、結局のところ、チケット代は結構高くついてしまったのだが、「パプリカ」は全くチケット代の損を感じさせないすばらしい作品に仕上がっていた。
もちろん今敏とマッドハウスのコラボレーションは今はじまったことではなく、全てがカッチリときまった印象を受ける。
今敏とマッドハウスとのコラボレーションはアニメーションのひとつの方向性の頂点なのだと思えてならない。
いやぁ、2006年の日本アニメーション作品の最高峰は「パプリカ」だったな、と思った3日後、わたしは「東京国際映画祭」で「鉄コン筋クリート」を観ることになる。
「鉄コン筋クリート」は、あんなにすばらしかった「パプリカ」がかすんでしまうほどのすばらしい作品だった。
1999年に制作された森本晃司とマイケル・アリアスが制作した「鉄コン筋クリート」のパイロット版を見てちょっとだけ期待していたのだが、正直なところ、わたしはそれほど大きな期待を感じてはいなかった。期待の大半はアニメーション制作が「マインド・ゲーム」のSTUDIO4℃ということだったと思う。
また、クロの声をあてているのが二宮和也と言うのも、不安な方向にわたしを導いていた。
しかし、「鉄コン筋クリート」のフィルムに定着されていたのは、マイケル・アリアスの作品に対する強烈な愛情だけであった。
フィルムには愛情しか映っていないのだ。そんな作品にわたしは号泣である。
本当に凄い作品である。
マイケル・アリアスの情熱とSTUDIO4℃の強烈な個性が見事に融和したすばらしい作品に仕上がっている。
なんだが話がグダグダになってきたが、結局は映像作家の作家性と、そのビジョンを実現する力を持ったアニメーション・スタジオががっぷりと四つに組んだ作品は最高に面白い、と言う事だな。
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