「鉄コン筋クリートall in one」
2006年12月29日 読書
松本大洋の「鉄コン筋クリートall in one」を読んだ。
因みに、この「鉄コン筋クリートall in one」とは、全三巻の「鉄コン筋クリート」を一冊にまとめたもので、基本的にマイケル・アリアスの映画「鉄コン筋クリート」とのタイアップ出版だと思われる。(初版:2007/02/01)
ところでわたしは「鉄コン筋クリート」をきちんと読んだことが今までなかった。わたしの「鉄コン筋クリート」の体験はせいぜい書店で本誌をパラパラと眺める程度だった。
で、映画「鉄コン筋クリート」を観て、その素晴らしい作品の原点を追体験すべく、本誌を手に取った訳である。
当時の松本大洋に対するわたしの印象は、なんだか知らないが大友克洋に影響された作家が出てきたな、程度の印象しかなかった。
松本大洋の一体どこが大友克洋に影響されているのか、と言われると明確な答えは出せないが、松本大洋の名:大洋をひらくと大友克洋の名になるせいかも知れない。
松本大洋の名は、大友克洋の名を包括しているのだ。
さて、それでは「鉄コン筋クリートall in one」について、いくつかの観点から、お話してみようと思う。
内容には基本的に触れませんので、心配ご無用です。
■広角レンズを意識した構図
わたしは広角レンズで撮られる映像が大好きである。
で、本作「鉄コン筋クリート」には広角レンズを意識したであろう構図が多々登場する。
人間の目は基本的に広角レンズなので、それら広角レンズを意識した構図は、一人称的なカメラの存在を意識させることになり、物語の臨場感を高めることに成功している。
更に広角レンズを意識した歪んだ構図は、場面によって、登場人物の心象風景を巧みに描写することにも一役かっている。
■多元中継的な物語の構成
■詩人の感性
セリフ(ネーム)の感性に驚かされる。
と言うのも、本作「鉄コン筋クリート」は、様々な名ゼリフに彩られている。
それら登場人物が心情を吐露する数々のセリフの感性は圧倒的で、仮に松本大洋が意図せずこれらのセリフを書いているとしたら、松本大洋は詩人の感性を持つ天才マンガ家だと思う。
もちろん松本大洋にもセリフを生む苦しみはあるとは思うのだが、松本大洋が書いたセリフだけをまとめるだけで詩集が出来てしまうのではないか、とまで思えてしまう。
と言うのも、松本大洋の母親は詩人の工藤直子だと言うのだから、その母親の詩人の感性を引き継いでいるのかも知れないが、それにしても彼が書くセリフは強烈に胸に響く。
■扉絵の存在
扉絵の存在に驚いた。
本誌「鉄コン筋クリートall in one」には連載時の各話の扉絵が全話分挿入されている、と言うか扉絵を含めて単行本化されているのだ。
全三巻の「鉄コン筋クリート」の状況は知らないのでなんとも言えないのだが、おそらく全三巻版も同様なのだろう。
なぜこんな話をしているかと言うと、所謂ストーリーマンガを一冊にまとめた形態の本誌においては、物語と関連性が乏しい扉絵を挿入することは、物語の進行を止めてしまう、と言うリスクを伴うことが多いからである。
しかしながら、本作の形式は、一話完結の物語を複数集めることにより、全体的な物語を構成する、と言う形式を取っている。
その辺は、所謂ストーリーマンガの構成とは異なっている。
つづく・・・・
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因みに、この「鉄コン筋クリートall in one」とは、全三巻の「鉄コン筋クリート」を一冊にまとめたもので、基本的にマイケル・アリアスの映画「鉄コン筋クリート」とのタイアップ出版だと思われる。(初版:2007/02/01)
ところでわたしは「鉄コン筋クリート」をきちんと読んだことが今までなかった。わたしの「鉄コン筋クリート」の体験はせいぜい書店で本誌をパラパラと眺める程度だった。
で、映画「鉄コン筋クリート」を観て、その素晴らしい作品の原点を追体験すべく、本誌を手に取った訳である。
当時の松本大洋に対するわたしの印象は、なんだか知らないが大友克洋に影響された作家が出てきたな、程度の印象しかなかった。
松本大洋の一体どこが大友克洋に影響されているのか、と言われると明確な答えは出せないが、松本大洋の名:大洋をひらくと大友克洋の名になるせいかも知れない。
松本大洋の名は、大友克洋の名を包括しているのだ。
さて、それでは「鉄コン筋クリートall in one」について、いくつかの観点から、お話してみようと思う。
内容には基本的に触れませんので、心配ご無用です。
■広角レンズを意識した構図
わたしは広角レンズで撮られる映像が大好きである。
で、本作「鉄コン筋クリート」には広角レンズを意識したであろう構図が多々登場する。
人間の目は基本的に広角レンズなので、それら広角レンズを意識した構図は、一人称的なカメラの存在を意識させることになり、物語の臨場感を高めることに成功している。
更に広角レンズを意識した歪んだ構図は、場面によって、登場人物の心象風景を巧みに描写することにも一役かっている。
■多元中継的な物語の構成
■詩人の感性
セリフ(ネーム)の感性に驚かされる。
と言うのも、本作「鉄コン筋クリート」は、様々な名ゼリフに彩られている。
それら登場人物が心情を吐露する数々のセリフの感性は圧倒的で、仮に松本大洋が意図せずこれらのセリフを書いているとしたら、松本大洋は詩人の感性を持つ天才マンガ家だと思う。
もちろん松本大洋にもセリフを生む苦しみはあるとは思うのだが、松本大洋が書いたセリフだけをまとめるだけで詩集が出来てしまうのではないか、とまで思えてしまう。
と言うのも、松本大洋の母親は詩人の工藤直子だと言うのだから、その母親の詩人の感性を引き継いでいるのかも知れないが、それにしても彼が書くセリフは強烈に胸に響く。
■扉絵の存在
扉絵の存在に驚いた。
本誌「鉄コン筋クリートall in one」には連載時の各話の扉絵が全話分挿入されている、と言うか扉絵を含めて単行本化されているのだ。
全三巻の「鉄コン筋クリート」の状況は知らないのでなんとも言えないのだが、おそらく全三巻版も同様なのだろう。
なぜこんな話をしているかと言うと、所謂ストーリーマンガを一冊にまとめた形態の本誌においては、物語と関連性が乏しい扉絵を挿入することは、物語の進行を止めてしまう、と言うリスクを伴うことが多いからである。
しかしながら、本作の形式は、一話完結の物語を複数集めることにより、全体的な物語を構成する、と言う形式を取っている。
その辺は、所謂ストーリーマンガの構成とは異なっている。
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