2006/12/07 東京池袋「新文芸座」で「ハチミツとクローバー」を観た。

手先は器用だが、人間関係は全く不器用な純朴青年・竹本(櫻井翔)。
クールで優しい真山(加瀬亮)。
そして天才的な才能を持ち、突然いなくなってはふらりと帰ってくる奇人・森田(伊勢谷友介)。
彼らは浜美大に籍を置き、貧乏だが楽しい学生生活を送っている。

ある日、花本先生(境雅人)の親戚のはぐみ(蒼井優)が入学してきた。
可憐な容姿に似合わずダイナミックな絵を描くはぐにひとめぼれをする竹本。
そして、久し振りに学校に帰ってきた森田も一発で恋に落ちる。

一方、真山はバイト先の建築デザイナー理花(西田尚美)に思いを寄せている。
亡き夫(田辺誠一)の影を追う理花への思いを止められない真山を見つめるのは、山田あゆみ(関めぐみ)。
勝気な山田もまた、報われない切ない思いを胸に秘めていた。

交差する5人の片思いだったが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:高田雅博
原作:羽海野チカ(集英社/月刊「YOUNG YOU」連載中)
脚本:河原雅彦・高田雅博
出演:櫻井翔(竹本祐太)、伊勢谷友介(森田忍)、蒼井優(花本はぐみ)、加瀬亮(真山巧)、関めぐみ(山田あゆみ)、堺雅人(花本修司)、西田尚美(原田理花)、堀部圭亮(藤原ルイジ)、宮崎吐夢(藤原マリオ)、銀粉蝶(幸田先生)、中村獅童(修復士)、田辺誠一(原田)

先ずは、本作「ハチミツトクローバー」は非常に面白かった。

何だか知らないが、非常にノスタルジックで、憧憬と羨望に溢れ、そして大切な何かがまだ残っているファンタジックな作品だとわたしは思った。

若い世代(ローティーン)にも、その上の世代(30〜40歳台)にも受け入れられる作品ではないか、と思えた。

もちろん本作は、大学生の恋愛模様を描いているのだが、その恋愛描写については、どう考えても大学生には思えず、誰が見てもせいぜい中学生レベルの恋愛だと思うのだが、そんなところにリアリティがあるとかないとか、別にそんなことはどーでも良いのだ。

本作「ハチミツとクローバー」は、美大と言う異世界での恋の物語を真っ当に描いた作品なのだ。

その描き方はやりたい事をやっている大学生の、一本筋が通っていながらも無軌道な青春を散文的ではありながら、情感たっぷりに描いている。

ところで、わたしは本作の原作を読んだこともないし、テレビ・アニメも1回だけ、−しかも最終回を−、たまたま見かけただけである。

つまり原作ファンでもなんでもないただの映画ファンとして観ても、本作は非常に魅力的な作品に思えたし、登場するキャラクターもそれぞれ魅力的に思えた。

先ずは、蒼井優(花本はぐみ)がすばらしかった。
セリフがあまりないキャラクターなのだが、絵を描いているだけで、画になっていた。

絵を描く映画と言えば「美しき諍い女」(1991)を思い出すが、あれと比較しても絵を描くシークエンスは大変面白く描かれている。
絵を描く姿は感動的ですらある。
はぐが音楽を聴きながら絵を描く、と言うか音楽を絵にトランスレイトする、と言う設定は非常に良いと思った。

本当かどうか知らないが、ロックをガンガンにヘッドホンで聴きながら演出をするといわれているデヴィッド・リンチを思い出した。

また、伊勢谷友介(森田忍)だが、相変わらず何言っているのかわからないのだが、本作では良い印象を受けた。
自己中の天才肌のキャラクターはいけるのではないかと思った。

あとは、堺雅人(花本修司)が良かった。
物語の中に登場する大人の中で、一番子どもに近いキャラクターを見事に演じている。

演出は順当で、編集は例えばはぐの制作風景と森田の制作風景のカットをつなぐシークエンスでは別に大したことをやっているわけではないのだが、感動してしまう。

また美術大と言う特異な世界が物語をリアリティから乖離させ、ファンタジックな方向へ持っていくことに成功しているような印象を受けた。

で興味深いのは、登場人物の専攻がバラバラであると言う点である。
油絵、建築、木彫、陶芸等々・・・・バラバラでいながらコミュニケーションが取られている点は、どうかと言われればリアリティの欠如だと思えてしまうが、美大の持つお祭り騒ぎ的な方向性を加味していけば、概ねOKというところだろうか。

ところで、わたしは大学時代に、映画ばっかり撮っていたりしていたのだが、やっていたことは本作とは違って美術ではないのだが、わたしたちの大学時代はなんだか本作と非常に近いことをやっていたような気がした。

大学時代にもどりたいと思った。
で、もっと真面目に映画を撮っていれば良かったと思った。

機会があれば、是非観ていただきたいと思う。

ところで、テレビアニメには、ハチミツとクローバーのサンドイッチが出てきたのだけど、原作のマンガには出てくるのかな。
映画には関係なかったようだけど・・・・。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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