「アキハバラ@DEEP」
2006年9月8日 映画
2006/08/25 東京銀座「丸の内TOEI 1」で「アキハバラ@DEEP」の試写を観た。
世界の電脳中心地<アキハバラ>。
そこは、最新AV機器から胡散臭いジャンク商品までが揃う、世界最大にして最強のエレクトリック・マーケット。
ユイ(板谷由夏)の引き合わせで偶然出会ったページ(成宮寛貴)、アキラ(山田優)、ボックス(忍成修吾)、タイコ(荒川良々)、イズム(三浦春馬)の若者5人。
社会からドロップアウトした彼らは、一緒に小さなベンチャー会社『アキハバラ@DEEP』を設立するが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:源孝志
原作:石田衣良 「アキハバラ@DEEP」(文藝春秋刊)
脚本:源孝志、成田はじめ
撮影:袴一喜、足立真仁
音楽:小西康陽
出演:成宮寛貴(ページ)、山田優(アキラ)、忍成修吾(ボックス)、荒川良々(タイコ)、三浦春馬(イズム)、板谷由夏(ユイ)、ユセフ・ロットフィ(アジタ)、松尾政寿(加藤則之)、今井朋彦(平井)、寺島しのぶ(渡会藤子)、萩原聖人(遠坂直樹)、佐々木蔵之介(中込威)
本作「アキハバラ@DEEP」は普通に面白い娯楽作品に仕上がっていた。
しかし、個人的には物語として非常に残念な印象を受けた。
と言うのも本作の物語は、ページ(成宮寛貴)、アキラ(山田優)、ボックス(忍成修吾)、タイコ(荒川良々)、イズム(三浦春馬)らが立ち上げたベンチャー企業『アキハバラ@DEEP』が独自のコンセプトで開発した画期的な検索エンジン『クルーク』の争奪戦を描いているのだが、中込威(佐々木蔵之介)率いる巨大IT企業デジタル・キャピタル社(通称:デジキャピ)は、ベンチャー企業『アキハバラ@DEEP』に侵入し、暴力をもって『クルーク』を強奪する。
『目には目を』と言う言葉があるが、非常に残念な事にページらが強奪された『クルーク』を取り戻す手段が、デジキャピ社と同様に暴力による強奪なのだ。
暴力で『クルーク』を強奪するデジキャピ社と暴力をもって『クルーク』を取り戻す『アキハバラ@DEEP』。
「アキハバラ@DEEP」と言う物語の文法として、暴力で奪われたからと言って、暴力で『クルーク』を取り戻してはいけない、と言わざるを得ない。
彼らのような純粋で正直で清純な存在には、暴力は似合わないのだ。
暴力と言う手段を使った時点で、『アキハバラ@DEEP』の高邁な精神は地に落ち、デジキャピ社の中込らと『同じ穴の狢(むじな)』になってしまう。
暴力を使う悪の組織デジキャピに対抗する手段は暴力ではなく知性であって欲しかった。
これでは同工異曲の「七人のおたく cult seven」(1992)の方がコンセプトは良かったのではないか、と思えてしまう。
仮にデジキャピの暴力に対し『アキハバラ@DEEP』が知性で立ち向かったならば、非常に面白いコン・ゲームの映画になったのではないか、と思えてならない。
例えばジェフリー・アーチャーの小説「百万ドルをとり返せ!」とか、名作「スティング」(1973)のような、「やられた〜」と思わせるような作品にして欲しかったと思う。
脚本は、ITベンチャー企業の台頭と、ネット社会、監禁飼育、アキバ系、メイド・カフェ、地下格闘技、アニメ等様々でキャッチーなキーワードを散りばめ、テンポよく構成されている点は評価できるが、やはり最大の問題点は、暴力に暴力で対抗してしまっている点だろう。
ラストのシークエンスで、折角の5人の特殊なスキルを持った設定が生かされていないような印象を受けるのだ。
撮影はなんだか知らないが、映像が非常に暗く。イライラさせられた。
美術は基本的に良い仕事をしているとは思うのだが、その反面、東京国際フォーラムのガラス棟を使ったロケについては、セットを作る予算がなかったのか、近未来的な建物でゲリラ撮影をしているような自主制作映画、まるで学生映画のような印象を受けてしまった。
キャストは何と言っても佐々木蔵之介(中込威役)が良かった。
エキセントリックで逝っちゃってるキャラクターを見事に、そして楽しげに演じている。
最近引っ張りダコの佐々木蔵之介だが、新たな方向性を見つけたのではないかと思える。
また山田優(アキラ役)も良かった。
山田祐のファンにとっては、彼女の様々なコスプレが楽しめる非常に魅力的な作品なのかもしれない。
さらに主演の成宮寛貴(ページ役)は吃音の演技が若干やりすぎの感が否めないが、その分表情や動きで特徴を出していたような印象を受けた。
個人的には、ページの拷問の際に吃音の治療のための言葉、例えば「カレハコブシヲグイグイトハシラヲオシユウレイガミエルトシツコクイイハル」みたいに言葉を執拗に繰返すシークエンスが欲しかったと思う。
本作の成宮寛貴はいつもよりちょっと幼いような印象も受けた。
あとは、寺島しのぶ(渡会藤子役)には驚かされた。
アクションとは・・・・、彼女の新境地なのだろうか。
そしてもちろん、荒川良々(タイコ役)はすばらしかった。
本当に荒川良々は良い役者だと思う。
まあ本作「アキハバラ@DEEP」は、前述の問題点に目をつぶれば、普通に楽しめる娯楽作品だと思う。
結構苦戦している噂を聞くが、関心があるのならば、是非劇場で観て欲しい作品ではある。
☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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世界の電脳中心地<アキハバラ>。
そこは、最新AV機器から胡散臭いジャンク商品までが揃う、世界最大にして最強のエレクトリック・マーケット。
ユイ(板谷由夏)の引き合わせで偶然出会ったページ(成宮寛貴)、アキラ(山田優)、ボックス(忍成修吾)、タイコ(荒川良々)、イズム(三浦春馬)の若者5人。
社会からドロップアウトした彼らは、一緒に小さなベンチャー会社『アキハバラ@DEEP』を設立するが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:源孝志
原作:石田衣良 「アキハバラ@DEEP」(文藝春秋刊)
脚本:源孝志、成田はじめ
撮影:袴一喜、足立真仁
音楽:小西康陽
出演:成宮寛貴(ページ)、山田優(アキラ)、忍成修吾(ボックス)、荒川良々(タイコ)、三浦春馬(イズム)、板谷由夏(ユイ)、ユセフ・ロットフィ(アジタ)、松尾政寿(加藤則之)、今井朋彦(平井)、寺島しのぶ(渡会藤子)、萩原聖人(遠坂直樹)、佐々木蔵之介(中込威)
本作「アキハバラ@DEEP」は普通に面白い娯楽作品に仕上がっていた。
しかし、個人的には物語として非常に残念な印象を受けた。
と言うのも本作の物語は、ページ(成宮寛貴)、アキラ(山田優)、ボックス(忍成修吾)、タイコ(荒川良々)、イズム(三浦春馬)らが立ち上げたベンチャー企業『アキハバラ@DEEP』が独自のコンセプトで開発した画期的な検索エンジン『クルーク』の争奪戦を描いているのだが、中込威(佐々木蔵之介)率いる巨大IT企業デジタル・キャピタル社(通称:デジキャピ)は、ベンチャー企業『アキハバラ@DEEP』に侵入し、暴力をもって『クルーク』を強奪する。
『目には目を』と言う言葉があるが、非常に残念な事にページらが強奪された『クルーク』を取り戻す手段が、デジキャピ社と同様に暴力による強奪なのだ。
暴力で『クルーク』を強奪するデジキャピ社と暴力をもって『クルーク』を取り戻す『アキハバラ@DEEP』。
「アキハバラ@DEEP」と言う物語の文法として、暴力で奪われたからと言って、暴力で『クルーク』を取り戻してはいけない、と言わざるを得ない。
彼らのような純粋で正直で清純な存在には、暴力は似合わないのだ。
暴力と言う手段を使った時点で、『アキハバラ@DEEP』の高邁な精神は地に落ち、デジキャピ社の中込らと『同じ穴の狢(むじな)』になってしまう。
暴力を使う悪の組織デジキャピに対抗する手段は暴力ではなく知性であって欲しかった。
これでは同工異曲の「七人のおたく cult seven」(1992)の方がコンセプトは良かったのではないか、と思えてしまう。
仮にデジキャピの暴力に対し『アキハバラ@DEEP』が知性で立ち向かったならば、非常に面白いコン・ゲームの映画になったのではないか、と思えてならない。
例えばジェフリー・アーチャーの小説「百万ドルをとり返せ!」とか、名作「スティング」(1973)のような、「やられた〜」と思わせるような作品にして欲しかったと思う。
脚本は、ITベンチャー企業の台頭と、ネット社会、監禁飼育、アキバ系、メイド・カフェ、地下格闘技、アニメ等様々でキャッチーなキーワードを散りばめ、テンポよく構成されている点は評価できるが、やはり最大の問題点は、暴力に暴力で対抗してしまっている点だろう。
ラストのシークエンスで、折角の5人の特殊なスキルを持った設定が生かされていないような印象を受けるのだ。
撮影はなんだか知らないが、映像が非常に暗く。イライラさせられた。
美術は基本的に良い仕事をしているとは思うのだが、その反面、東京国際フォーラムのガラス棟を使ったロケについては、セットを作る予算がなかったのか、近未来的な建物でゲリラ撮影をしているような自主制作映画、まるで学生映画のような印象を受けてしまった。
キャストは何と言っても佐々木蔵之介(中込威役)が良かった。
エキセントリックで逝っちゃってるキャラクターを見事に、そして楽しげに演じている。
最近引っ張りダコの佐々木蔵之介だが、新たな方向性を見つけたのではないかと思える。
また山田優(アキラ役)も良かった。
山田祐のファンにとっては、彼女の様々なコスプレが楽しめる非常に魅力的な作品なのかもしれない。
さらに主演の成宮寛貴(ページ役)は吃音の演技が若干やりすぎの感が否めないが、その分表情や動きで特徴を出していたような印象を受けた。
個人的には、ページの拷問の際に吃音の治療のための言葉、例えば「カレハコブシヲグイグイトハシラヲオシユウレイガミエルトシツコクイイハル」みたいに言葉を執拗に繰返すシークエンスが欲しかったと思う。
本作の成宮寛貴はいつもよりちょっと幼いような印象も受けた。
あとは、寺島しのぶ(渡会藤子役)には驚かされた。
アクションとは・・・・、彼女の新境地なのだろうか。
そしてもちろん、荒川良々(タイコ役)はすばらしかった。
本当に荒川良々は良い役者だと思う。
まあ本作「アキハバラ@DEEP」は、前述の問題点に目をつぶれば、普通に楽しめる娯楽作品だと思う。
結構苦戦している噂を聞くが、関心があるのならば、是非劇場で観て欲しい作品ではある。
☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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