「ラフ/ROUGH」

2006年8月22日 映画
2006/08/20 東京有楽町「東証ホール」で「ラフ/ROUGH」の試写を観た。

水泳日本選手権、自由形決勝。

精神統一を図る大和圭介(速水もこみち)の隣には、自由形日本チャンピオンを目される仲西弘樹(阿部力)がいた。

レースで仲西は日本新記録をただきだし、大和はレース中に足をいため、最下位になってしまう。

応急措置を受けた大和は、偶然一人の少女とすれ違う。
彼女はすれ違いざまに大和に声をかける。

「ひとごろし」と。

監督:大谷健太郎
原作:あだち充 「ラフ」(小学館/少年サンデーコミックス)
脚本:金子ありさ
出演:長澤まさみ(二ノ宮亜美)、速水もこみち(大和圭介)、阿部力(仲西弘樹)、石田卓也(緒形剛)、高橋真唯(木下理恵子)、黒瀬真奈美(東海林緑/寮母の娘)、市川由衣(小柳かおり)、八嶋智人(古屋先生)、田丸麻紀(咲山先生)、徳井優(チロリンのマスター)、松重豊(亜美の父)、渡辺えり子(東海林さん/寮母)
 
 
本作「ラフ/ROUGH」は「タッチ」(2005)に続く、原作:あだち充×主演:長澤まさみコンビの作品であり、また「涙そうそう」(2006)とほぼ同時期に公開される長澤まさみ主演作品である。

監督は「約三十の嘘」(2004)、「NANA」(2005)、そして次回作はなんと「NANA2」と話題作が続く大谷健太郎。

さて、本作「ラフ/ROUGH」についてだが、先ずは、なんとも真直ぐで真っ当なアイドル映画に仕上がっている事に驚いてしまった。
と言うのも、「NANA」のような作品の後に、言わば前時代的なアイドル映画を普通に撮ってしまう大谷健太郎に驚かされてしまった、という事である。

脚本は、テレビ・ムービーのコメディを数多く手がけ、「電車男」(2005)でブレイクした金子ありさ。

いきなり余談で恐縮だが、本作「ラフ/ROUGH」においては、長澤まさみが惜しげもなく水着を、特にプールサイドのシークエンスではハイレグの競泳水着を披露している点に好感を覚えた。

アイドル女優が主演する作品では多くの場合、水着やヌード・シーン等肌の露出が高いシーンを演じるのは主演女優(アイドル女優)ではなく、共演女優であることが多い。

例えば、脇役がきちんとビキニを着ているのに、主役が水着の上にTシャツなんかを着ているような作品を観た事があるのではないだろうか。

そんな状況の中、本作「ラフ/ROUGH」では長澤まさみの水着を、−−しかもなんと数種類の水着を−−、きちんと見せているのだ。

この辺については、アイドル女優の所属事務所からの物言いとか様々な大人の事情により、水着のシーンが増えたり減ったりする事があるのだが、さすが「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004)で、長澤まさみの丸坊主を許した事務所。太っ腹というところだろうか。

つまり「ラフ/ROUGH」と言う作品に真摯に取り組む制作者サイドに頭が下がる思いがする、という事なのだ。

※ ここで言いたいのは、長澤まさみの水着姿が見たいとか見たくないとかそういう次元のことではなく、本作は大人の事情より作品の質を高めることを優先させている作品だ、と言うこと。

ところで、物語はマンガが原作、と言う事もあるのか、ベタでお約束の想像通りの展開が続くのだが、細かい脚本が良く出来ているせいか、全く鼻につかず、気が付いたら作品に集中してしまっている、と言う作品だったような印象を受けた。

長澤まさみ×あだち充コンビの前作「タッチ」(2005)と比較すると、20倍くらい面白い作品に仕上がっていると思う。

あと驚いたのは、水中撮影が驚くほど綺麗な点。
日本映画史に残るくらいの綺麗な水中シーンが楽しめる。

尤も、水中シーンのほとんどが室内プールでのシークエンスなので、撮影時において照明等がきちんとコントロールできる環境下での撮影であるから、水中シーンが綺麗だ、と言うのはあたりまえなのかも知れない。

また水泳のシークエンスでは、普段の競泳の中継で見る映像ではなく、ある意味斬新で革新的なカメラ・ワークが楽しめる。

特に、日本選手権時のスタート時、飛び込んでしばらく水中を泳ぐ仲西と大和が、微妙なタイミングの差(日本チャンピオンと日本第2位の差)で水面に上がってくる際のカメラ・ワークは感動的だし、「シービスケット」(2003)において、騎手の目線で競馬場を疾駆するカメラの感動にもにた、水中の一人称カメラにも感動させられる。

また、速水もこみち(大和圭介)、阿部力(仲西弘樹)、長澤まさみ(二ノ宮亜美)、市川由衣(小柳かおり)の水泳、高飛び込みシークエンスでは、水泳・飛込みの吹替えで4人の男女がクレジットされているのだが、俳優から吹替に変わる切れ目がわからないのだ。
文字通りシームレスですばらしい水泳、高飛び込みシークエンスが楽しめる。(主演4人が本当に泳いでいるように見える、と言う事)

キャストは、大和圭介役を演じた速水もこみちは、独り言やナレーションみたいな部分に問題があったが、ソツなくこなしていると思う。

また、二ノ宮亜美役の長澤まさみは、特に問題なく良い印象を受けた。

まあとにかく、アイドル映画としては及第点だと思えるし、ベタでありながら突拍子も無い設定やプロットに問題を感じなければ大変楽しい作品だと思う。

☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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