2006/08/07 東京有楽町「よみうりホール」で「マイアミ・バイス」の試写を観た。

フロリダ州の楽園マイアミ。アメリカ合衆国で最も南米に近い都市であることから、巨大犯罪組織による密輸の重大な中継地になっている危険地帯だ。昼夜を問わず潜入調査に挑む、マイアミ警察特捜課(バイス)の刑事コンビ、ソニー・クロケット(コリレン・ファレル)とリカルド・タブス(ジェイミー・フォックス)。

ある日、2人が使っている情報屋が家族を殺され、自分もフリーウェイに身を投げて自殺するという悲劇的事件が発生。さらにFBIの潜入捜査官2人も囮捜査の現場で殺される。

どうやら、南米と北米を結ぶ巨大なドラッグの密輸コネクションに、アメリカ司法機関の合同捜査情報が漏洩しているらしい。

FBIのフジマ(キアラン・ハインズ)は状況を打破すべく、合同捜査と関係がないマイアミ=デイド郡警察に協力を要請する。
それは麻薬の運び屋として組織に潜入、情報漏洩ルートを見つけ出す、と言うもの。
あまりにも危険な任務に上司カステロ(パリー・シャバカ・ヘンリー)は反対するが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督・製作・脚本:マイケル・マン
製作総指揮・オリジナル脚本:アンソニー・ヤーコヴィック
出演:コリン・ファレル(ソニー・クロケット)、ジェイミー・フォックス(リカルド・タブス)、コン・リー(イザベラ)、ルイス・トサル(モントーヤ)、ナオミ・ハリス(トルーディ・ジョプリン)、ジョン・オーティス(ホセ・イエロ)、ジャスティン・セロー(ジトー)、エリザベス・ロドリゲス(ジーナ)、キアラン・ハインズ(フジマ)、バリー・シャバカ・ヘンリー(マーティン・カステロ)

本作「マイアミ・バイス」は、キャリアの大半をポリス・アクションとクライム・アクションに捧げてきたマイケル・マンの集大成的な作品だと言える。

もちろん、「ラスト・オブ・モヒカン」(1992)や「ALI アリ」(2001)等、若干方向性が異なる作品もいくつか手がけてはいるのだが、彼が描く題材は一貫して、刑事警察または犯罪だと言えるだろう。

と言った訳で、本作「マイアミ・バイス」は、テレビ・シリーズ「特捜刑事マイアミ・バイス」(1984-89)の製作総指揮を努めていた、マイケル・マンが満を持して世に問う、ポリス・アクション、クライム・アクションの集大成的な作品なのだ。
 
 
物語は、FBI主導のドラッグ密輸コネクションの合同捜査チームからの情報漏洩源を探るべく、2人の刑事が麻薬組織に潜入する、と言うもの。

物語自体は大して新しいものではないのだが、マイアミを中心とした北米と南米をまたにかける、大規模な作戦行動が印象的であった。

その中で特に印象に残ったのは、ルシアン・ネイハムの小説「シャドー81」もびっくりのジェット機をレーダーから消す方法を実際の映像で見られた点である。
(「シャドー81」とは、V/STOL機を使って、旅客機を外部からハイジャックする話)

また、件(くだん)のジェット機のシークエンスをはじめとして、複数のジェット機やパワーボート、フェラーリ等々を捜査(?)のために自由に利用するマイアミ警察の資金力と言うか、機動力には驚かされた。
まあ、実際のところは、潜入捜査の為、押収品を使用している設定だと言うのだが、プライベート・ジェットと言うのは凄いな、と思う。

更に、印象に残るのは、2人の刑事が活躍すると言う前提はあるものの、マイアミ警察のチーム・プレーがきちんと描かれている点である。

最近ではチーム・プレーに回帰したと言われている「M:i:III」(2006)なんかがあったが、スパイ・アクションとポリス・アクションと言う違いがあるが、それ以上にきっちりとしたチーム・プレーによる作戦が楽しめる。

また、チーム・プレーを前提とすると、優秀で部下思いの上司カステロ(バリー・シャバカ・ヘンリー)の存在がすばらしい。

独断専行型のヒーローが上司の制止を振り切って大活躍する、と言うスタンスの物語が多い中、上司を尊敬する主人公に好感が持てるし、カステロが無能な上司ではないところも好印象である。

また銃撃シーン等アクション・シークエンスは、銃声、着弾音等の音響がすばらしいせいもあるのだが、リアリティあふれ、かつ、痛みをも感じられるようなアクション・シークエンスが楽しめる。

キャラクターについては、刑事サイドはもちろん、麻薬組織サイドのキャラクターも丁寧に描かれており、物語の説得力、またリアリティの付与に貢献している。

麻薬組織サイドの所謂悪役が三者三様にきちんと描かれている点が良かった。

特に、イエロ(ジョン・オーティス)と、イザベラ(コン・リー)等の心情が明確に描かれているため、物語にふくらみが感じられた。

また、ジトー(ジャスティン・セロー)にしろジーナ(エリザベス・ロドリゲス)にしろ、きちんとした見せ場があり、警察組織の中での立場やスタンスと言う背景まで感じられるほどキャラクターが描かれていた、と思う。

ソニー役のコリン・ファレルは、バート・レイノルズ、ドン・ジョンソン系のセクシーな俳優の路線だと思うのだが、個人的にはちょっと方向性が違うような印象を受けた。

タブス役のジェイミー・フォックスはあのり目立たず、コリン・ファレルの引き立て役に回り、マイケル・マンの前作「コラテラル」(2004)で、主役のトム・クルーズを喰ってしまったジェイミー・フォックスだが、今回は抑制された感じが良かったと思う。

本作「マイアミ・バイス」は、前述の「M:i:III」同様に、身内を救出すると言うプロットが採用されている。

本作をポリス・アクション作品として考えた場合、作戦に私情を交えないと言う立場から、常々身内救出のプロットには否定的なスタンスを取るわたしだが、今回の身内救出プロットは、作戦の一部と言うこともあり、許容範囲という事でよしとする。

とにかく本作「マイアミ・バイス」は、往年のテレビ・シリーズファンもそうでない人にも結構オススメのプロットがしっかりしたポリス・アクションだと思う。

Tシャツにジャケットじゃないけどね。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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