2006/08/10 東京内幸町「イイノホール」で開催されている「GTFトーキョーシネマショー」で「キンキーブーツ」の試写を観た。

突然の父親の死で、倒産秒読み寸前の靴工場を相続したチャーリー(ジョエル・エドガートン)。工場は救いたいが、優柔不断で八方塞がりの彼の前に現われた、救いの女神は・・・・ロンドンはSOHOに君臨する美のカリスマ、ドラッグクイーンのローラ(キウェテル・イジョフォー)だった!
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:ジュリアン・ジャロルド
脚本:ジェフ・ディーン、ティム・ファース
プロダクションデザイン:アラン・マクドナルド
衣装デザイン: サミー・シェルドン
音楽:エイドリアン・ジョンストン
出演:ジョエル・エドガートン(チャーリー・プライス)、キウェテル・イジョフォー(ローラ)、サラ=ジェーン・ポッツ(ローレン)、ジェミマ・ルーパー(ニコラ)、ユアン・フーパー(ジョージ)、リンダ・バセット(メル)、ニック・フロスト(ドン)、ロバート・パフ(ハロルド・プライス)

kinky(形容詞)
1.変態の、性的に倒錯した
2.奇妙な、変わり者の

本作「キンキーブーツ」は、苦境に立った老舗の紳士靴工場が、「キンキーブーツ」をミラノ国際見本市に出品し、起死回生を図る、と言う単純明快なもの。

しかし、この「キンキーブーツ」騒動が実際の出来事だった、と言うから驚きである。

さすが「フル・モンティ」(1997)や、「カレンダー・ガールズ」(2003)の題材となった出来事が実際に起こった国イギリスである。
今回の「キンキーブーツ」騒動も、「フル・モンティ」騒動、「カレンダー・ガールズ」騒動と同様に、伝統と近代的感性が融合したすばらしい出来事だと思う。

脚本はある意味ベタな展開が続くのだが、その観客の期待を裏切らない安心感溢れる展開が、作品を普遍的な、誰でも楽しめる存在へと昇華することに成功している、と思う。

特筆すべき点は、冒頭の少年のダンスを脚本に入れる発想が凄いと思った。
本作を2回観た人は、冒頭の少年のダンスで泣くぞ、多分。
 
 
キャストだが、先ずは何と言ってもドラッグ・クイーンのローラを演じたキウェテル・イジョフォーが最高にすばらしかった。

例えるならば、「RENT/レント」(2005)のウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア(エンジェル役)、「ロッキー・ホラー・ショー」(1975)のティム・カリー(フランクン・フルター博士役)、「リトルショップ・オブ・ホラーズ」(1986)のリーヴァイ・スタッブス(オードリーIIの声)らに匹敵するほどの怪演振りだった。

ステージを所狭しと暴れまくるローラ(キウェテル・イジョフォー)の格好良さといったらありません。

性的な嗜好はともかく、ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア(エンジェル)にしろ、リーヴァイ・スタッブス(オードリーII)にしろ、キウェテル・イジョフォー(ローラ)にしろ、テッィム・カリー(フランクン・フルター博士)にしろ、スタイルだけではなく、圧倒的な力があるヴォーカルを持つドラッグ・クイーン(?)に、大きな拍手を送りたい。

多分、このあたりの感情というのは、クィーンのフレディ・マーキュリーに惹かれるのと同じなのかもしれない。

また主人公チャーリー・プライスを演じたジョエル・エドガートンは、特に優柔不断振りがすばらしく、またラストのミラノのショーのシークエンスの七転八倒振りは最高に格好良いし、あれが演出に見えてしまう構成も最高だと思う。

そして、工場の古株マッチョなドンを演じたニック・フロストも良かった。彼とローラの奇妙な友情には涙を誘われてしまう。

本作「キンキーブーツ」は、「フル・モンティ」(1997)や、「カレンダー・ガールズ」(2003)、「リトル・ダンサー」(2000)や「ブラス!」(1996)と言った、苦境の中からの起死回生を、コミカルなタッチで描いた近代イギリス映画の伝統を踏襲したすばらしい作品だと思うし、音楽ファンにもたまらない作品に仕上がっていると思う。

この夏、是非劇場で「キンキーブーツ」を体験してほしいと、本心から思う。

☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

本作のモデルとなった会社のサイト「キンキーブーツ・ファクトリー」
http://www.divine.co.uk/

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