「日本沈没」(1973)
2006年7月27日 映画
世は、樋口真嗣版「日本沈没」(2006)の話題で持ちきりだが、とりあえずはオリジナル版:森谷司郎版「日本沈没」(1973)のお話。
地球物理学者である田所雄介博士(小林桂樹)は、地震の観測データから日本列島に異変が起きているのを直感し、調査に乗り出す。潜水艇の操縦士小野寺俊夫(藤岡弘)、助手の幸長信彦助教授(滝田裕介)と共に伊豆沖海底に潜った田所は、海底を走る奇妙な亀裂と乱泥流を発見する。異変を確信した田所はデータを集め続け、一つの結論に達する。それは「日本列島は最悪の場合、2年以内に地殻変動で陸地のほとんどが海面下に沈降する」というものだった。
監督:森谷司郎
製作:田中友幸、田中収
原作:小松左京
脚本:橋本忍
音楽:佐藤勝
特技監督:中野昭慶
出演:藤岡弘(小野寺俊夫)、いしだあゆみ(阿部玲子)、小林桂樹(田所博士)、丹波哲郎(山本総理)、滝田裕介(幸長助教授)、二谷英明(中田/科学技術庁)、中丸忠雄(邦枝/内閣調査室)、村井国夫(片岡/防衛庁技官)、夏八木勲(結城)、竹内均(竹内教授)、島田正吾(渡/政界のフィクサー)
本作「日本沈没」(1973)は映画史に残る大変すばらしい作品だった。
本作の作品としてのスタンスはリアリティに徹しており、映画作品と言うフィクションの体裁を取った娯楽作品でありながらも、日本列島が沈没する、と言う事象を想定した言わば「災害シミュレーション映像」を見ているような印象を受ける。
そして非常に興味深い事に、本作のメイン・プロットは内閣総理大臣山本(丹波哲郎)に軸足を乗せているのだ。
丹波哲郎は国家存亡の危機に直面する日本国内閣総理大臣を好演している。
特に渡老人(島田正吾)からシナリオを手渡されるシークエンスの丹波哲郎は最高である。
丹波哲郎は、日本国が世界に誇る最高に格好良く、そしてリーダーシップに溢れる最高の内閣総理大臣を見せてくれているのだ。
さらに、マッド・サイエンティスト田所雄介博士の役をふられた小林桂樹がすばらしい。
テレビ討論番組で共演者を殴り飛ばす田所教授。こんなに格好良い科学者をわたしはいまだかつて見たことがない。
藤岡弘(小野寺俊夫)が格好良いのは、もちろん言うまではないし、二谷英明(中田/科学技術庁)にしろ夏八木勲(結城)にしろ格好良すぎである。
そうなのだ、本作は与えられた使命を最大限の力で全うしようとする熱い男(漢)たちを描いた物語なのだ。
語弊はあるが、おんな子どもに媚びない硬派な制作者サイドの姿勢が美しい。
日本が沈没する、と言う荒唐無稽なプロットに対し、あくまでも真摯に取り組んだ制作者サイドの姿勢に頭が下がる思いである。
不必要なカメオもないし、くだらないプロットもない。
「日本沈没」を描くために必要なものだけをまとめたものが本作「日本沈没」なのだ。(もちろん阿部玲子(いしだあゆみ)の存在には若干問題はあるのは否定できないが・・・・。)
特撮(特技監督:中野昭慶、特技・合成:三瓶一信、特技・撮影:富岡素敬、特技・製作担当:篠田啓助、特技・美術:井上泰幸)は、ミニチュア・ワークが一々すばらしい。
例えば瓦が飛ぶ描写だとか、その瓦の下の埃が舞う描写とか、かゆいところに手が届く特撮がすばらしい。
ミニチュアにしろスクリーン合成にしろ、使い所と使う手法に誤りがなければ、CGIなんかより効果的だと思う。
とにかく、本作「日本沈没」(1973)は、大変すばらしい作品である。現在公開中の「日本沈没」(2006)を観る前に、出来れば観て欲しいと思う。
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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地球物理学者である田所雄介博士(小林桂樹)は、地震の観測データから日本列島に異変が起きているのを直感し、調査に乗り出す。潜水艇の操縦士小野寺俊夫(藤岡弘)、助手の幸長信彦助教授(滝田裕介)と共に伊豆沖海底に潜った田所は、海底を走る奇妙な亀裂と乱泥流を発見する。異変を確信した田所はデータを集め続け、一つの結論に達する。それは「日本列島は最悪の場合、2年以内に地殻変動で陸地のほとんどが海面下に沈降する」というものだった。
監督:森谷司郎
製作:田中友幸、田中収
原作:小松左京
脚本:橋本忍
音楽:佐藤勝
特技監督:中野昭慶
出演:藤岡弘(小野寺俊夫)、いしだあゆみ(阿部玲子)、小林桂樹(田所博士)、丹波哲郎(山本総理)、滝田裕介(幸長助教授)、二谷英明(中田/科学技術庁)、中丸忠雄(邦枝/内閣調査室)、村井国夫(片岡/防衛庁技官)、夏八木勲(結城)、竹内均(竹内教授)、島田正吾(渡/政界のフィクサー)
本作「日本沈没」(1973)は映画史に残る大変すばらしい作品だった。
本作の作品としてのスタンスはリアリティに徹しており、映画作品と言うフィクションの体裁を取った娯楽作品でありながらも、日本列島が沈没する、と言う事象を想定した言わば「災害シミュレーション映像」を見ているような印象を受ける。
そして非常に興味深い事に、本作のメイン・プロットは内閣総理大臣山本(丹波哲郎)に軸足を乗せているのだ。
丹波哲郎は国家存亡の危機に直面する日本国内閣総理大臣を好演している。
特に渡老人(島田正吾)からシナリオを手渡されるシークエンスの丹波哲郎は最高である。
丹波哲郎は、日本国が世界に誇る最高に格好良く、そしてリーダーシップに溢れる最高の内閣総理大臣を見せてくれているのだ。
さらに、マッド・サイエンティスト田所雄介博士の役をふられた小林桂樹がすばらしい。
テレビ討論番組で共演者を殴り飛ばす田所教授。こんなに格好良い科学者をわたしはいまだかつて見たことがない。
藤岡弘(小野寺俊夫)が格好良いのは、もちろん言うまではないし、二谷英明(中田/科学技術庁)にしろ夏八木勲(結城)にしろ格好良すぎである。
そうなのだ、本作は与えられた使命を最大限の力で全うしようとする熱い男(漢)たちを描いた物語なのだ。
語弊はあるが、おんな子どもに媚びない硬派な制作者サイドの姿勢が美しい。
日本が沈没する、と言う荒唐無稽なプロットに対し、あくまでも真摯に取り組んだ制作者サイドの姿勢に頭が下がる思いである。
不必要なカメオもないし、くだらないプロットもない。
「日本沈没」を描くために必要なものだけをまとめたものが本作「日本沈没」なのだ。(もちろん阿部玲子(いしだあゆみ)の存在には若干問題はあるのは否定できないが・・・・。)
特撮(特技監督:中野昭慶、特技・合成:三瓶一信、特技・撮影:富岡素敬、特技・製作担当:篠田啓助、特技・美術:井上泰幸)は、ミニチュア・ワークが一々すばらしい。
例えば瓦が飛ぶ描写だとか、その瓦の下の埃が舞う描写とか、かゆいところに手が届く特撮がすばらしい。
ミニチュアにしろスクリーン合成にしろ、使い所と使う手法に誤りがなければ、CGIなんかより効果的だと思う。
とにかく、本作「日本沈没」(1973)は、大変すばらしい作品である。現在公開中の「日本沈没」(2006)を観る前に、出来れば観て欲しいと思う。
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