2006/06/01 東京板橋「ワーナーマイカル・シネマズ板橋」で「ダ・ヴィンチ・コード」を観た。

閉館後のルーヴル美術館。
ダ・ヴィンチの有名な素描「ウィトルウィクス的人体図」を模して横たわる、館長の死体が発見された。死体の周りに残された、不可解な暗号。その暗号の中には、その夜、彼が会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンの名前が含まれていた。殺人の参考人として現場に連れて来られたラングドンだったが、捜査を指揮するベズ警部は、ラングドンが殺人犯であることを確信していた。

館長の孫娘で暗号解読官のソフィーの機転によりルーヴル美術館を脱出したラングドンは、ソフィーと共に、暗号の謎を解き始めるが・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:ロン・ハワード
原作:ダン・ブラウン 「ダ・ヴィンチ・コード」(角川書店)
脚本:アキヴァ・ゴールズマン
出演:トム・ハンクス(ロバート・ラングドン)、オドレイ・トトゥ(ソフィー・ヌヴー)、イアン・マッケラン(リー・ティービング)、アルフレッド・モリナ(アリンガローサ司教)、ジャン・レノ(ベズ・ファーシュ警部)、ポール・ベタニー(シラス)、ユルゲン・プロフノウ(ヴェルネ)、エチエンヌ・シコ(コレ警部補)、ジャン=ピエール・マリエール(ジャック・ソニエール)

わたしが観た回は、フィルム上映ではなく、世界初のネットワーク配信デジタルシネマ共同トライアル「4K Pure Cinema」による上映だった。
と言うか、「4K Pure Cinema」の回をわざわざ選んで「ダ・ヴィンチ・コード」を観た訳である。
画質は驚くべき程クリア。フィルムに対して遜色は全くと言って良い程ありませんでした。
また、字幕が非常に綺麗で、白い字幕に黒い影が入っており、非常に見やすかったです。

さて、本作「ダ・ヴィンチ・コード」の物語は所謂ジェットコースター・ムービーと言われる種類のもので、肝心の謎解き部分や人物描写を大幅に割愛し、二人の主人公が様々な危機に翻弄される様に主眼を置いて描いている。
作品としてのアプローチは、おそらく正しいのだろうと思うが、わたし達観客の多くが「ダ・ヴィンチ・コード」に求めていたものとは、幾分異なった作品に仕上がっていると言わざるを得ない。

興味深いのは、その反面、雨後の筍のように、謎解きに特化した雑誌やテレビ番組が続々登場し、映画「ダ・ヴィンチ・コード」から欠落している謎解き部分を検証し補完する構成になっているとも思えるし、本作は、小説「ダ・ヴィンチ・コード」の壮大な予告編だとも言える作品の出来に非常に残念な思いがした。

謎解き部分を除くと脚本は面白いし、描写も演出も的確、ミスデレクションの方向性も好感が持てる。
美術もすばらしいし、きちんとした世界観の構築に一役買っている。

ただ、謎を作るために不自然で理不尽なプロットが採用されている点が非常に気になった。特に物語のキーとなる、冒頭の殺人事件のシークエンスが強烈である。
わたしは原作を読んでいなかったので、予告編を見る限りは、冒頭の殺人事件の被害者は、第三者によって衣類を脱がされ、床に寝かされた、と思っていたのだが、事実は違ったようである。

キャストは、先ずはイアン・マッケラン(リー・ティービング役)の大活躍に驚いた。ついでに、「今度のドラゴンは簡単に退治できたな」とか言うセリフには驚かされる。

また、アルフレッド・モリナ(アリンガローサ司教役)が印象的だった。しかし恰幅の良いモリナを司教にキャスティングすることにより、飽食の香が付き纏い、アリンガローサ司教が悪人に見えてしまうし、ラストのシラスとの対峙のシークエンスでも、アリンガローサ司教は自分のためにシラスを利用していた、と言う印象を受けてしまう。

ポール・ベタニー(シラス役)は新境地の発見的には良い役柄だったのではないか、と思える。

トム・ハンクス(ロバート・ラングドン役)には特に言うべきことはない。ただの人寄せパンダ的な役割を演じているのだろうと思う。
オドレイ・トトゥ(ソフィー・ヌヴー役)もジャン・レノ(ベズ・ファーシュ警部役)も、ヨーロッパの観客を集めるためにキャスティングされているような気がした。

大資本とメディアの力があれば、映画をあまり観ない人々をだますのは簡単なんだな、と思える作品だ、と言うのは言いすぎだろうか。

世の中には、もっと面白い映画はたくさんあるし、この時期に公開されている作品の中でも、「ダ・ヴィンチ・コード」なんかより、見るべき作品はたくさんあると思う。そんな気がした。

☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

余談だけど、普段は一切字幕が出ない部分、
"The characters and incidents portrayed and the names herein are fictions, and any similarity to the name, character on history of any person is entirely coincidental and unintentional."

に思いっきり字幕が付いていて、驚き、かつ笑わせていただいた。(「この作品はフィクションです。登場する団体・人物は架空のもので、 現実に存在するいかなる人物・団体とも関係ありません。」)

こんな字幕を付けなければならないとは、嘆かわしい事である。

映画鑑賞後、10代の若者が「映画の最後の字幕でショックを受けたよ。オレてっきり本当の話だと思っていた」とか言っていた。
日本は平和だと思った。

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