2006/05/12 東京池袋「シネ・リーブル池袋」で「機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-」を観た。
多分東京でのロードショー公開の最終上映の回だと思う。

先ず驚いたのは本作「機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-」の画面のクオリティの低さである。
このクオリティの低さは、「機動戦士Zガンダム」三部作の中で最低だと思う。

尤も、わたしは「機動戦士Zガンダム−星を継ぐ者−」と「機動戦士Zガンダム II−恋人たち−」はそれぞれ、「東京国際ファンタスティック映画祭」のプログラムとして「新宿ミラノ座」のスクリーンで、しかも比較的後ろの方から観ており、本作「機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-」は「シネ・リーブル池袋」の比較的前の方から観ており、スクリーンの大きさと、スクリーンからの距離が異なっているので、同列で論じることは出来ないと思うのだが、如何せん、お客様にお出しできるクオリティではなかった、と思う。

特に、スタンダード撮影のテレビ・シリーズの映像を劇場版のビスタサイズに広げる際、今回はスタンダードの映像にマスクをかけて上下をカットする方法と、スタンダードサイズの映像の中の必要な部分をビスタサイズに切り取り、光学的に映像を拡大する方法が取られているようなのだが、後者の方法で作られた映像が酷い。
シーンによっては、人間の形はしているか、誰だかわからない粒子の連なりが動き、喋っているのだ。

最早、お客様に出せるクオリティではない、と言わざるを得ない。

物語については、テレビ・シリーズを切り刻み、キャッチーなところだけを繋いだものと言うこともあり、決して褒められたものではないのだが、終わり良ければ全て良しで、ラストのおまけのシークエンス(地球のセイラ、カイ、ミライ、アムロらのシークエンス)だけで、全てを許してしまうガンダム好きの莫迦な自分がなんとも情けない。

余談だが、ラストのおまけの印象は「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」のラストのイウォークのお祭りに、「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐 特別篇」になって、コルサントのお祭りが挿入されたような印象を受けた。

本作の尺はなんと99分。
「星を継ぐ者」は95分、「恋人たち」は98分、計292分(4時間52分)
「機動戦士ガンダム」三部作は、137分、134分、141分、計412分(6時間52分)

なんと結果的には、「機動戦士ガンダム」三部作と比較して、2時間も短い訳だ。
この短さは、一体どう言うことだ!
なんとも釈然としないが、おそらく製作者側の問題ではないか、と勘ぐってしまう。

そして、この尺の圧倒的な短さが、作品としての完成度を下げ、かつ物語を破綻に導いているのだ。
また、前述のような、旧カットを無理やり引き伸ばして使っているのも同時に製作者側の問題だと思う。

物理的に出来ない、間に合わない、と言う製作者側のジレンマの結果、妥協して、妥協して、でっち上げたのが、本作「機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-」だったような気がしてならない。

尺の短さも、映像クオリティの低さも、圧倒的に製作期間が短かった所以だと思う。

これは、製作発表の時点で公開日が決まってしまう、日本映画全体の悪しき伝統が問題となっているのだと思うが、ちょっとぐらい時間をかけても良いから、お客様に自信を持ってお出しできるクオリティの作品を期待する。

新作カットのクオリティや、演出には見るべきものは多々あるのだが、総合的には良くないです。
演出力はあるのだから、もっと頑張っていただきたいと思う。

余談だけど、あんなに長尺の三部作を作ってもらったアムロは、非常に幸福だったと思うし、本作を観て思うのは、所謂ファースト・ガンダムの圧倒的な面白さの再認識である。

ファースト・ガンダムのテレビ・シリーズの打切りが決まってから、最終話までの流れは、神懸り的な奇跡と言って良いほどの力が結集した姿だと、今でも思う。
その奇跡を発揮させる気概が本作に欠けていたのだと思う。

「機動戦士Zガンダム−星を継ぐ者−」
http://diarynote.jp/d/29346/20041018.html
「機動戦士Zガンダム II−恋人たち−」
http://diarynote.jp/d/29346/20051018.html

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