ながらくお待たせいたしました。
すっかり忘れていましたが、『「電車男」になりそこなった話 その3』をお届けします。

前回までのお話しはこちら・・・・

『「電車男」になりそこなった話 その1』
http://diarynote.jp/d/29346/20050803.html
『「電車男」になりそこなった話 その2』
http://diarynote.jp/d/29346/20050804.html

(承前)
わたしに右手を掴まれた男は一瞬わたしの目を見た。
男の目には怯えの表情が浮かんでいた。

警笛を鳴らした急行電車は「下板橋」駅を通過する。
対峙するふたりの男の上を、陸橋の影が凄い勢いで通り過ぎる。
「池袋」まであと二分。

腹部を蹴られた女性が何事かを叫んでいる。

右手をわたしに押さえられた男は、右手を振り払おうとあがきつつ、左手で殴りかかってきた。
もちろん、右手を封じられた男の左は腰が入っていないただの横殴りである。

わたしは腕を上げ、右脇で男の左を受け、そのまま右腕を下ろして男の左腕を挟み込むと同時に内側に入った男の左腕を掴んだ。

男の両腕を封じたわたしは、男の蹴りを警戒しつつ、軽く崩しを入れ、浮足を軽く払う。バランスを崩した男は電車の通路をよろよろし、男はわたしの目論見通り元々座っていた座席に座り込む。が、座った事で逆に足が自由になった男は、わたしの膝に蹴りを入れてきた。

両腕をつないだ状態のわたしには、男の蹴りをよける事は出来ない。仕方が無いので、わたしは自分の右膝を男の腿の上に置き、男の蹴りを封じる。

沸く観客たち。
急行電車は「北池袋」を通過、減速が始まる。

終点の「池袋」が近づくと、わたしによって両手両足を封じられた男は、何を血迷ったのか、頭突き攻撃をしてきた。

お前は亀か!
わたしは彼には悪いが失笑してしまった。
両手両足を封じられて、頭を使って攻撃をしかけてくるとは・・・・、極限状態の人間は何を思って行動するのか。

電車は「池袋」に到着、ドアが開く。
男は観念したのか、動かなくなっている。
わたしは、「もうこれ以上殴らない」状態で男を押さえ込むことに成功した。

今回の一件の発端となった腹部を蹴られた女性は妙に殺気立っており、男を警察に突き出す、と息巻いている。

わたしは男を立たせ、腕をがっちりと掴み、問いかける。
「警察か、鉄道会社か」と。

男は警察を選択した。

男を拘引して電車を降りるわたし。
わたしとその男のカバンを持って電車を降りる女性。
電車から降りるついでに、男にぶつかり、叩き、蹴りを入れながら降りる乗客たち。

わたし達は、「池袋パルコ」脇の交番へ向かった。
 
 
つづく・・・・

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