本書「ダーク・タワー1/ガンスリンガー」は、2005年12月から出版が始まった新潮文庫版「暗黒の塔」シリーズの第一巻であ。

この「暗黒の塔」シリーズ(全七巻)とは、言わずと知れた大ベストセラー作家スティーヴン・キングのライフ・ワークとも言える長大なダーク・ヒロイック・ファンタジーである。

本「暗黒の塔」シリーズの翻訳は、1992年4月に角川書店から池央耿訳で出版された「ガンスリンガー/暗黒の塔(1)」を皮切りに、「ザ・スリー/暗黒の塔(2)」(池央耿訳)、「荒地/暗黒の塔(3)」(風間賢二訳)、「魔導師の虹/暗黒の塔(4)」(風間賢二訳)と出版されていたのだが、第五巻以降は諸般の事情で出版されず、そのため日本中のスティーヴン・キングファンは、文字通り切歯扼腕状態で続刊を待ち続けていた。

そんな中、全七巻完結(原書)を受け、キング自身がシリーズ全体の統制を図るために手を入れた版を底本として、日本におけるスティーヴン・キング研究の第一人者風間賢二の手によって、新たに翻訳がなされ、出版元を角川書店から新潮社に移し、2005年12月から出版が始まった訳である。

旧版(角川書店版)「ガンスリンガー」の翻訳は、池央耿の手によるもので、その格調高く孤高で硬質な、−−あたかもやわなファンタジーファンを拒むような−−、文章は、キングファンの中でも賛否が分かれるところだったのだが、「暗黒の塔」シリーズの方向性を決定付けた、という事もあり、個人的には非常にすばらしい訳、文字通りの名訳だと思っている。

特に印象に残るのは、ローランドとコートの対決の際の問答の訳が身悶えするほどにすばらしい。

「若い者、汝、真剣なる目的をもってこのところへは来たりしか?」
「師よ、我は真剣なる目的をもって来たれるなり」
「父の家より追放されたる者なるや」
「いかにも」
「得手なる武器を携え来しや」
「いかにも」
「してその武器は」
「我が武器はデイヴィッド」
「汝、我と立ち会う料なるや」
「然り」
「ならば、抜かるな」

(「ガンスリンガー/暗黒の塔(1)」スティーヴン・キング著/池央耿訳/角川書店より引用)

原文は以下の通り。

"Have you come here for a serious purpose, boy?"
"I have come for a serious purpose, teacher."
"Have you come as an outcast from your father’s house?"
"I have so come, teacher."
"Have you come with your chosen weapon?"
"I have so come, teacher."
"What is your weapon?"
"My weapon in David, teacher."
"So then have you at me, boy?"
"I do."
"Be swift, then."

つづく・・・・。

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