2006/01/12 東京中野「中野サンプラザ」で「スタンドアップ」の試写を観た。
なぜこんな男と結婚してしまったのだろう?夫の暴力に耐えかね、二人の子供を連れて家を出たジョージー(シャーリーズ・セロン)は、故郷の北ミネソタの町に戻ってきた。そこは古くからの鉱山の町。10代でシングルマザーとなり、今また父親の違う子供を連れて出戻ってきたジョージーに、周囲の視線は冷たい。『身持ちの悪い女』というレッテルを貼られ、父親(リチャード・ジェンキンス)からも信用されず、母のアリス(シシー・スペイセク)が繰り返すのは、夫とやり直すために辛抱しろという言葉ばかり。
しかし、ジョージーは殴られ続ける生活に戻るつもりはなかった。この土地で二人の子供を養って生きていくために選んだ仕事。それは町の男たちに混じって鉱山で働くこと。ベテラン鉱山労働者である父は猛反対し、父娘の溝はさらに深まったが、病気の夫に代わり長年鉱山で働いてきた旧友グローリー(フランシス・マクドーマンド)の存在は心強かったが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:ニキ・カーロ
出演:シャーリーズ・セロン(ジョージー・エイムズ)、フランシス・マクドーマンド(グローリー)、ショーン・ビーン(カイル)、リチャード・ジェンキンス(ハンク・エイムズ)、ジェレミー・レナー(ボビー・シャープ)、ミシェル・モナハン(シェリー)、エル・ピーターソン(カレン・エイムズ)、トーマス・カーティス(サミー・エイムズ)、ウディ・ハレルソン(ビル・ホワイト)、シシー・スペイセク(アリス・エイムズ)
脚本も面白いし、俳優たちの演技合戦も楽しいのだが、穿った見方なのかも知れないが、毎年この時期に公開される賞狙いの作品の一本に思えてならない。
実際、主演女優(シャーリーズ・セロン)、助演女優(フランシス・マクドーマンド/シシー・スペイセク)は素晴らしかったし、助演男優(リチャード・ジェンキンス/ウディ・ハレルソン)も良かった。
主演はともかく、助演に数名ずつノミネートされそうな俳優が出てるのは凄いと思うし、アカデミー会員の女性票を狙うような作品のコンセプトも凄いと思う。
ところで、物語の構成は最近では「ドミノ」のそれに近く、現在進行形の出来事(裁判)に過去のエピソードを挟み込みながら物語が進行する、という形式をとっている。
また、聴衆の信頼(共感)を得るためのスピーチが登場する部分があるのだが、それは最近で言うところの「エリザベスタウン」や「イン・ハー・シューズ」のシークエンスを髣髴とさせる。
さらに作品のキーともなる邦題にも使われているシークエンスは、かのスタンリー・キューブリックの「スパルタカス」やピーター・ウィアーの「いまを生きる」とかぶっている。
もちろん「スパルタカス」のシークエンスの方がタイミングも映像も含めて5倍くらいは感動するのだが。
キャストはシャーリーズ・セロンが良いのはさておき、なんと言ってもフランシス・マクドーマンドだろう。
役者冥利に尽きる格好良い、まるで西部劇のガンマン(例えばクワイエット・マン)のようなキャラクターを見事に演じている。
なんとも格好良い。
「ファーゴ」(1996)に続きアカデミー賞受賞なるか、と言うところである。
思うに、わたしは彼女(フランシス・マクドーマンド)のような女優さんが大好きなようである。
また「キャリー」(1976)のシシー・スペイセクも良かった。
古い町の古いタイプの女性を見事に演じていた。
「キャリー」以降、数々の賞を受賞している彼女だけにアカデミー賞の行方も楽しみである。
俳優としては、リチャード・ジェンキンス、ウディ・ハレルソン、ショーン・ビーン等が良い味を出しているのだが、特にリチャード・ジェンキンス、ウディ・ハレルソンが良かった。
特にリチャード・ジェンキンスのスピーチは大変素晴らしかった。親娘の確執が瓦解する場面に滂沱である。
演出は女性監督であるニキ・カーロの感性と観点が良く出ていたような印象を受けた。
セクハラの描写は、本作を誇張され演出されたフィクションだととらえると、それほど強烈なものではないのだが、実際の出来事だととらえると大変なことだと思う。もちろん時代性とか、国民性だとか様々なフィルターを通さなければならないと思うが、結構なセクハラ描写だったと思う。
それに対するリチャード・ジェンキンスのスピーチの観点がすばらしい。アメリカ人という国民のいわばプライドに働きかけるすばらしいスピーチだった。
結局は、本作「スタンドアップ」は賞狙い作品だ、と言う穿った見方も出来るのだが、社会派の作品として、大人の鑑賞に耐えうる素晴らしい作品だと思う。
特に女性にオススメの作品だと個人的に思う。
とは言うものの、感情ではなく論理で楽しんで欲しい作品。
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
余談だけど、フランシス・マクドーマンドの役名がグローリーだったり、ウディ・ハレルソンの役名がビル・ホワイトと言うのはやりすぎではないか、と思ってしまった。
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なぜこんな男と結婚してしまったのだろう?夫の暴力に耐えかね、二人の子供を連れて家を出たジョージー(シャーリーズ・セロン)は、故郷の北ミネソタの町に戻ってきた。そこは古くからの鉱山の町。10代でシングルマザーとなり、今また父親の違う子供を連れて出戻ってきたジョージーに、周囲の視線は冷たい。『身持ちの悪い女』というレッテルを貼られ、父親(リチャード・ジェンキンス)からも信用されず、母のアリス(シシー・スペイセク)が繰り返すのは、夫とやり直すために辛抱しろという言葉ばかり。
しかし、ジョージーは殴られ続ける生活に戻るつもりはなかった。この土地で二人の子供を養って生きていくために選んだ仕事。それは町の男たちに混じって鉱山で働くこと。ベテラン鉱山労働者である父は猛反対し、父娘の溝はさらに深まったが、病気の夫に代わり長年鉱山で働いてきた旧友グローリー(フランシス・マクドーマンド)の存在は心強かったが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:ニキ・カーロ
出演:シャーリーズ・セロン(ジョージー・エイムズ)、フランシス・マクドーマンド(グローリー)、ショーン・ビーン(カイル)、リチャード・ジェンキンス(ハンク・エイムズ)、ジェレミー・レナー(ボビー・シャープ)、ミシェル・モナハン(シェリー)、エル・ピーターソン(カレン・エイムズ)、トーマス・カーティス(サミー・エイムズ)、ウディ・ハレルソン(ビル・ホワイト)、シシー・スペイセク(アリス・エイムズ)
脚本も面白いし、俳優たちの演技合戦も楽しいのだが、穿った見方なのかも知れないが、毎年この時期に公開される賞狙いの作品の一本に思えてならない。
実際、主演女優(シャーリーズ・セロン)、助演女優(フランシス・マクドーマンド/シシー・スペイセク)は素晴らしかったし、助演男優(リチャード・ジェンキンス/ウディ・ハレルソン)も良かった。
主演はともかく、助演に数名ずつノミネートされそうな俳優が出てるのは凄いと思うし、アカデミー会員の女性票を狙うような作品のコンセプトも凄いと思う。
ところで、物語の構成は最近では「ドミノ」のそれに近く、現在進行形の出来事(裁判)に過去のエピソードを挟み込みながら物語が進行する、という形式をとっている。
また、聴衆の信頼(共感)を得るためのスピーチが登場する部分があるのだが、それは最近で言うところの「エリザベスタウン」や「イン・ハー・シューズ」のシークエンスを髣髴とさせる。
さらに作品のキーともなる邦題にも使われているシークエンスは、かのスタンリー・キューブリックの「スパルタカス」やピーター・ウィアーの「いまを生きる」とかぶっている。
もちろん「スパルタカス」のシークエンスの方がタイミングも映像も含めて5倍くらいは感動するのだが。
キャストはシャーリーズ・セロンが良いのはさておき、なんと言ってもフランシス・マクドーマンドだろう。
役者冥利に尽きる格好良い、まるで西部劇のガンマン(例えばクワイエット・マン)のようなキャラクターを見事に演じている。
なんとも格好良い。
「ファーゴ」(1996)に続きアカデミー賞受賞なるか、と言うところである。
思うに、わたしは彼女(フランシス・マクドーマンド)のような女優さんが大好きなようである。
また「キャリー」(1976)のシシー・スペイセクも良かった。
古い町の古いタイプの女性を見事に演じていた。
「キャリー」以降、数々の賞を受賞している彼女だけにアカデミー賞の行方も楽しみである。
俳優としては、リチャード・ジェンキンス、ウディ・ハレルソン、ショーン・ビーン等が良い味を出しているのだが、特にリチャード・ジェンキンス、ウディ・ハレルソンが良かった。
特にリチャード・ジェンキンスのスピーチは大変素晴らしかった。親娘の確執が瓦解する場面に滂沱である。
演出は女性監督であるニキ・カーロの感性と観点が良く出ていたような印象を受けた。
セクハラの描写は、本作を誇張され演出されたフィクションだととらえると、それほど強烈なものではないのだが、実際の出来事だととらえると大変なことだと思う。もちろん時代性とか、国民性だとか様々なフィルターを通さなければならないと思うが、結構なセクハラ描写だったと思う。
それに対するリチャード・ジェンキンスのスピーチの観点がすばらしい。アメリカ人という国民のいわばプライドに働きかけるすばらしいスピーチだった。
結局は、本作「スタンドアップ」は賞狙い作品だ、と言う穿った見方も出来るのだが、社会派の作品として、大人の鑑賞に耐えうる素晴らしい作品だと思う。
特に女性にオススメの作品だと個人的に思う。
とは言うものの、感情ではなく論理で楽しんで欲しい作品。
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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