今日の「東京フィルメックス」2005/11/25-26
2005年11月27日 映画 コメント (185)
2005/11/19から始まった「東京フィルメックス」だが、本日(2005/11/27)で会期は9日目、最終日である。
が、とりあえず、今日のところは、11/25-26までのリポートを・・・・
2005/11/25
■「サウンド・バリア」
監督:アミール・ナデリ
出演:チャーリー・ウィルソン、フランク・グラッケン
イラン映画界で巨匠としての名声を確立し、現在はニューヨークをベースに独自の活動を続けるナデリの最新作。亡くなった母親の声が録音されたテープを探す少年を描く。鮮烈な映像表現が見る者を圧倒する傑作。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
すばらしい傑作。
この作品には明確なセリフは一切ないのだが、恐ろしいほどにエモーショナルである。
映像だけで、つまり登場人物の行動だけで、全てを語ってしまっているのだ。
映画って凄いな、映像って凄いな、と思える瞬間である。
11/27のトーク・イベントで、アミール・ナデリはスタンリー・キューブリックから直接「2001年宇宙の旅」のチケットをもらった云々の話があった。
その話を聞く前に感じていたのだが、本作「サウンド・バリア」のラストのシークエンスは、ある一つの奇跡を描いている、と言えるのだが、その描写は、まるで猿人がモノリスに触れた後の行動を髣髴とさせるようなシークエンスであり、あぁ、キューブリックは未だこんなところにも影響を与えている、とわたしはその描写に慄然としてしまった。
件のチケットの話を聞いて、わたしの感じたことが、正しいのではないか、と言う想いが強くなった。
アミール・デナリ監督とは、「サウンド・バリア」について個人的に話す機会があったのだが、「2001年宇宙の旅」からの影響があるのかどうかについては、本人を前にして口に出せなかった。
観客を選ぶ映画ではあるが、是非観て欲しいすばらしい作品である。
2005/11/26
■「無窮動」
監督:ニン・イン(寧瀛)
出演:ホン・ホワン、リウ・ソラ、リ・チンチン
変わりゆく北京を描いてきたニン・インが、近年の中国社会の変貌に鋭く迫る。旧正月の祝いに集まった4人の女性たちのお喋りは他愛もない会話から思わぬ感情の吐露にまで発展していく。女優たちの演技のアンサンブルが見もの。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
夫の不倫相手を見つけるために、3人の女性を食事に招くと言う興味深いプロット。
探偵モノの舞台劇のように楽しめた。
まるでアガサ・クリスティの戯曲のような印象である。
その中で、現在の中国の近代化に対する批判もある、すばらしい作品であった。
他の中国の監督も言っていたが、最近の中国の近代化は、本来ならば100年かけて発展すべきところをわずか25年ほどで発展しており、様々な問題や様々な弊害を抱えている、と言うことである。
それを考えた場合、ラストのシークエンスにつながる、ロング・ショットへの移行のカットが強烈である。
中国の伝統的な建築様式で構成された本作の舞台である屋敷が、実はビルの谷間に残っている映像は非常にショッキングでもある。
コメディ風ディテクティブ・ストーリーでありながら、実は社会派的な作品でもあった。
おそるべし、ニン・イン。
■「結果」
監督:チャン・ミン(章明)
出演:リャオ・ズゥン、トミー・ウォン、シュウ・バイホイ
「沈む街」(1996)「週末の出来事」(2002)のチャン・ミンの監督第3作。中国南部の海辺のリゾート・ホテルに、ある男を探しに来た中年男は、若い女と出会い、同じ男を待ちながら時間を過ごすが……。様々な謎が散りばめられた野心作。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
22歳の女性が脚本を書いた意欲作。
物語はAパート、Bパートと言う感じで、ちょうど真ん中から二つに分かれているのだが、実際はほとんど同じことが別の登場人物(一部は同じ登場人物)で繰り返されると言う「時計じかけのオレンジ」や「アイズ ワイド シャット」のような構成を持った作品。
パッと見、あまり面白くはないのだが、実は深い作品なのかもしれない。
■「フリー・ゾーン」
監督:アモス・ギタイ
出演:ナタリー・ポートマン、ハンナ・ラスロ、ヒヤム・アッバス
イスラエル人の婚約者と喧嘩して家を飛び出したアメリカ人女性・レベッカは、”フリー・ゾーン”に行くハンナの車に同乗するが……。カンヌ映画祭女優賞を受賞したハンナ・ラスロの名演は、ギタイ作品に新たな軽妙さを加味している。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
すばらしい傑作。
物語は、フリー・ゾーンを目指すロード・ムービーなのだが、その車に同乗する3人の女性達が織りなす、複雑でいて自己中心的な物語が楽しい。
また冒頭とラストに挿入される唄(父親が安く小ヤギを買ってきた)が強烈な印象を観客に与える。
因果応報なのだ。
□「中国映画のいま-ニン・イン、チャン・ミン、イン・リャン」
本編構成中
■今日のサイン
□「サウンド・バリア」
監督:アミール・ナデリ
□「無窮動」
監督:ニン・イン(寧瀛)
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が、とりあえず、今日のところは、11/25-26までのリポートを・・・・
2005/11/25
■「サウンド・バリア」
監督:アミール・ナデリ
出演:チャーリー・ウィルソン、フランク・グラッケン
イラン映画界で巨匠としての名声を確立し、現在はニューヨークをベースに独自の活動を続けるナデリの最新作。亡くなった母親の声が録音されたテープを探す少年を描く。鮮烈な映像表現が見る者を圧倒する傑作。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
すばらしい傑作。
この作品には明確なセリフは一切ないのだが、恐ろしいほどにエモーショナルである。
映像だけで、つまり登場人物の行動だけで、全てを語ってしまっているのだ。
映画って凄いな、映像って凄いな、と思える瞬間である。
11/27のトーク・イベントで、アミール・ナデリはスタンリー・キューブリックから直接「2001年宇宙の旅」のチケットをもらった云々の話があった。
その話を聞く前に感じていたのだが、本作「サウンド・バリア」のラストのシークエンスは、ある一つの奇跡を描いている、と言えるのだが、その描写は、まるで猿人がモノリスに触れた後の行動を髣髴とさせるようなシークエンスであり、あぁ、キューブリックは未だこんなところにも影響を与えている、とわたしはその描写に慄然としてしまった。
件のチケットの話を聞いて、わたしの感じたことが、正しいのではないか、と言う想いが強くなった。
アミール・デナリ監督とは、「サウンド・バリア」について個人的に話す機会があったのだが、「2001年宇宙の旅」からの影響があるのかどうかについては、本人を前にして口に出せなかった。
観客を選ぶ映画ではあるが、是非観て欲しいすばらしい作品である。
2005/11/26
■「無窮動」
監督:ニン・イン(寧瀛)
出演:ホン・ホワン、リウ・ソラ、リ・チンチン
変わりゆく北京を描いてきたニン・インが、近年の中国社会の変貌に鋭く迫る。旧正月の祝いに集まった4人の女性たちのお喋りは他愛もない会話から思わぬ感情の吐露にまで発展していく。女優たちの演技のアンサンブルが見もの。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
夫の不倫相手を見つけるために、3人の女性を食事に招くと言う興味深いプロット。
探偵モノの舞台劇のように楽しめた。
まるでアガサ・クリスティの戯曲のような印象である。
その中で、現在の中国の近代化に対する批判もある、すばらしい作品であった。
他の中国の監督も言っていたが、最近の中国の近代化は、本来ならば100年かけて発展すべきところをわずか25年ほどで発展しており、様々な問題や様々な弊害を抱えている、と言うことである。
それを考えた場合、ラストのシークエンスにつながる、ロング・ショットへの移行のカットが強烈である。
中国の伝統的な建築様式で構成された本作の舞台である屋敷が、実はビルの谷間に残っている映像は非常にショッキングでもある。
コメディ風ディテクティブ・ストーリーでありながら、実は社会派的な作品でもあった。
おそるべし、ニン・イン。
■「結果」
監督:チャン・ミン(章明)
出演:リャオ・ズゥン、トミー・ウォン、シュウ・バイホイ
「沈む街」(1996)「週末の出来事」(2002)のチャン・ミンの監督第3作。中国南部の海辺のリゾート・ホテルに、ある男を探しに来た中年男は、若い女と出会い、同じ男を待ちながら時間を過ごすが……。様々な謎が散りばめられた野心作。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
22歳の女性が脚本を書いた意欲作。
物語はAパート、Bパートと言う感じで、ちょうど真ん中から二つに分かれているのだが、実際はほとんど同じことが別の登場人物(一部は同じ登場人物)で繰り返されると言う「時計じかけのオレンジ」や「アイズ ワイド シャット」のような構成を持った作品。
パッと見、あまり面白くはないのだが、実は深い作品なのかもしれない。
■「フリー・ゾーン」
監督:アモス・ギタイ
出演:ナタリー・ポートマン、ハンナ・ラスロ、ヒヤム・アッバス
イスラエル人の婚約者と喧嘩して家を飛び出したアメリカ人女性・レベッカは、”フリー・ゾーン”に行くハンナの車に同乗するが……。カンヌ映画祭女優賞を受賞したハンナ・ラスロの名演は、ギタイ作品に新たな軽妙さを加味している。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
すばらしい傑作。
物語は、フリー・ゾーンを目指すロード・ムービーなのだが、その車に同乗する3人の女性達が織りなす、複雑でいて自己中心的な物語が楽しい。
また冒頭とラストに挿入される唄(父親が安く小ヤギを買ってきた)が強烈な印象を観客に与える。
因果応報なのだ。
□「中国映画のいま-ニン・イン、チャン・ミン、イン・リャン」
本編構成中
■今日のサイン
□「サウンド・バリア」
監督:アミール・ナデリ
□「無窮動」
監督:ニン・イン(寧瀛)
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