「劇場男」になりそこなった話
2005年11月22日 エッセイ/コラム2005/11/20 東京有楽町「有楽町朝日ホール」
「第6回東京フィルメックス」特別招待作品「SPL<殺破狼>」を観にいった際の出来事である。
ところで、わたしはご承知のように映画が大好きである。
従って、映画を邪魔する奴は大嫌いである。
ネタバレする奴、おしゃべりする奴、携帯を鳴らしたり、光らせたりする奴、ビニール袋をシャカシャカする奴・・・・。
■前提条件
・・・女女女 通路
・・・男私× 通路
「東京フィルメックス」は全席指定。
わたしの席は、劇場中央左側、通路から2席目。
わたしの右隣が空席で、その席が通路に面していた。
わたしの前の席には、3〜4人連れの女性が並んで座っていた。
■「SPL<殺破狼>」開映5分前
わたしの隣に1人の小太りの男がやって来た。
その小太りの男は、隣にいるわたしに軽く蹴りを入れ、ドタドタドタと崩れ落ちるように席につく。
その男は、上映中に食べようとでも思っていたのか、バナナを一本握り締めていた。
その男は大股を開いて座り、腿と肘とでわたしを自分のテリトリーから押しやろうとしているような印象を受けた。
あぁ、身体が不自由なんだな。
とわたしは好意的に解釈した。
そのうちに、その男は「オホッ、オホッ」と咳払いをはじめ、前の席を軽く蹴り始めた。
と同時に「はやくはじめろよ」と、独り言を言いはじめた。
係わり合いになるのが嫌だったわたしは、無関心を装っていたが、上映中もこんな状況だと否だなあ、と、思いながら寝た振りをしていた。
そのうち、前の女性−−蹴られていた席の隣の女性−−が振り返り、「すいません、蹴らないでくれませんか」と男に言った。
男はいきなり「うるせえ」だの「黙れババア」だの、比較的大声で暴言を吐きながら、再び前の席を蹴りはじめた。
劇場内、特にわたしたちの周りは騒然としはじめてしまい、仕方がないのでわたしも口をだした。
もちろん丁寧な言葉遣いである。
「大変申し訳ありませんが、少し静かにしていただけませんか」
「うるせえ、何言ってんだよ、だまれ!」
その一言で、男の矛先は完全にわたしに向いた。
「黙って静かに座ってろ!って言ってんだよ!!」と言うわたしに、
「なんだお前、やる気か!」と返す男。
「こっちは映画観に来てんだよ!黙って座ってろ!!ボケ!!!」丁寧な言葉にも、きちんと罵詈を入れるわたしであったが、
「くぁwせdrftgyふじこlp;」と、奇声を上げ、立ち上がりかける男。
もちろんわたしは、先に手を出さないことにしていたので、座ったままだし、腕も肘掛けに乗せたままである。
激高した男と、わたしの口論は続く。
そんな中、プログラムが始まってしまった。
司会が「SPL<殺破狼>」の関係者からのビデオ・メッセージの紹介をはじめた。
口論の最中、その男は、周りを見渡し空いている席(招待客用の席)を見つけ、そっちに移動した。
その男は、本編上映前に上映された監督等のビデオ・メッセージに対しては、「そんなの良いからはやくはじめろよ」とか「字幕つけろよ」とか、本作は「新宿オスカー」での上映が決まっていると言う言葉には「小さいスクリーンでやるなよ」とか、いろいろ不満をぶちまけていた。
わたしと男の関係としては、上映が終わった後が勝負だな、と思いながらわたしは「SPL<殺破狼>」を楽しんだ。
はっきり言って本気で楽しんだ。
上映後、最悪の場合は後から飛び蹴りでもされるかな、と背中を緊張させた状態でわたしは「SPL<殺破狼>」のエンド・クレジットを眺めていた。
劇場内は照明がつき、場内は退出客で騒然としはじめた。
緊張しつつも後を振り返るが、その男の姿は既になかった。
わたしの前の、蹴られていた女性たちからは、何度も何度もお礼の言葉が聞こえていた。
わたしの株が20円程あがった瞬間である。
その男の席の後の列には、コンペティションの審査員席があった。
わたしは、女性のお礼の声に後ろ髪を引かれながらも、審査員の皆さんのサインをもらうために立ち上がった。
「電車男」になりそこなった話 その1
http://diarynote.jp/d/29346/20050803.html
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「第6回東京フィルメックス」特別招待作品「SPL<殺破狼>」を観にいった際の出来事である。
ところで、わたしはご承知のように映画が大好きである。
従って、映画を邪魔する奴は大嫌いである。
ネタバレする奴、おしゃべりする奴、携帯を鳴らしたり、光らせたりする奴、ビニール袋をシャカシャカする奴・・・・。
■前提条件
・・・女女女 通路
・・・男私× 通路
「東京フィルメックス」は全席指定。
わたしの席は、劇場中央左側、通路から2席目。
わたしの右隣が空席で、その席が通路に面していた。
わたしの前の席には、3〜4人連れの女性が並んで座っていた。
■「SPL<殺破狼>」開映5分前
わたしの隣に1人の小太りの男がやって来た。
その小太りの男は、隣にいるわたしに軽く蹴りを入れ、ドタドタドタと崩れ落ちるように席につく。
その男は、上映中に食べようとでも思っていたのか、バナナを一本握り締めていた。
その男は大股を開いて座り、腿と肘とでわたしを自分のテリトリーから押しやろうとしているような印象を受けた。
あぁ、身体が不自由なんだな。
とわたしは好意的に解釈した。
そのうちに、その男は「オホッ、オホッ」と咳払いをはじめ、前の席を軽く蹴り始めた。
と同時に「はやくはじめろよ」と、独り言を言いはじめた。
係わり合いになるのが嫌だったわたしは、無関心を装っていたが、上映中もこんな状況だと否だなあ、と、思いながら寝た振りをしていた。
そのうち、前の女性−−蹴られていた席の隣の女性−−が振り返り、「すいません、蹴らないでくれませんか」と男に言った。
男はいきなり「うるせえ」だの「黙れババア」だの、比較的大声で暴言を吐きながら、再び前の席を蹴りはじめた。
劇場内、特にわたしたちの周りは騒然としはじめてしまい、仕方がないのでわたしも口をだした。
もちろん丁寧な言葉遣いである。
「大変申し訳ありませんが、少し静かにしていただけませんか」
「うるせえ、何言ってんだよ、だまれ!」
その一言で、男の矛先は完全にわたしに向いた。
「黙って静かに座ってろ!って言ってんだよ!!」と言うわたしに、
「なんだお前、やる気か!」と返す男。
「こっちは映画観に来てんだよ!黙って座ってろ!!ボケ!!!」丁寧な言葉にも、きちんと罵詈を入れるわたしであったが、
「くぁwせdrftgyふじこlp;」と、奇声を上げ、立ち上がりかける男。
もちろんわたしは、先に手を出さないことにしていたので、座ったままだし、腕も肘掛けに乗せたままである。
激高した男と、わたしの口論は続く。
そんな中、プログラムが始まってしまった。
司会が「SPL<殺破狼>」の関係者からのビデオ・メッセージの紹介をはじめた。
口論の最中、その男は、周りを見渡し空いている席(招待客用の席)を見つけ、そっちに移動した。
その男は、本編上映前に上映された監督等のビデオ・メッセージに対しては、「そんなの良いからはやくはじめろよ」とか「字幕つけろよ」とか、本作は「新宿オスカー」での上映が決まっていると言う言葉には「小さいスクリーンでやるなよ」とか、いろいろ不満をぶちまけていた。
わたしと男の関係としては、上映が終わった後が勝負だな、と思いながらわたしは「SPL<殺破狼>」を楽しんだ。
はっきり言って本気で楽しんだ。
上映後、最悪の場合は後から飛び蹴りでもされるかな、と背中を緊張させた状態でわたしは「SPL<殺破狼>」のエンド・クレジットを眺めていた。
劇場内は照明がつき、場内は退出客で騒然としはじめた。
緊張しつつも後を振り返るが、その男の姿は既になかった。
わたしの前の、蹴られていた女性たちからは、何度も何度もお礼の言葉が聞こえていた。
わたしの株が20円程あがった瞬間である。
その男の席の後の列には、コンペティションの審査員席があった。
わたしは、女性のお礼の声に後ろ髪を引かれながらも、審査員の皆さんのサインをもらうために立ち上がった。
「電車男」になりそこなった話 その1
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