今日の「東京フィルメックス」2005/11/19-20
2005/11/19から「第6回東京フィルメックス」が始まった。

「東京国際映画祭」と比較して、毎日毎日エントリーをあげるほど通いつめる訳ではないが、できるだけ日報に近い形でエントリーしてみたいと思う。

2005/11/19
■「スリー・タイムズ(仮題)」
監督:ホウ・シャオシェン(侯孝賢)
撮影:リー・ピンビン
出演:スー・チー、チャン・チェン、メイ・ファン

1966年の高雄、1911年の遊郭、現代の台北を舞台にした三つのラブ・ストーリーが、同じ俳優によって演じられるオムニバス形式の作品。いずれもホウ・シャオシェンならではのタッチで、エッセンスが凝縮された美しい傑作。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

同じキャストが、1911年、1966年、2005年を舞台に異なった役柄を演じる、と言う意欲作。
見方によっては、輪廻を描いた作品とも言えるだろう。

作品は、1966年、1911年、2005年という順序で構成されているのだが、2005年、1911年、1966年という順序で構成されていたとしたら、非常に感動的な作品となったのではないか、と思った。

特に印象深かったのが、1911年の辛亥革命直前の物語の背景、日本占領下の物語である。
また、1966年の物語は美しく、2005年の物語はノイジーで頭が痛くなる。

撮影はリー・ピンビン。
上映後のティーチ・イン(Q&A)で監督のホウ・シャオシェンは、行定勲の「春の雪」の撮影スケジュールの関係で日本に呼ばれ、「スリー・タイムズ(仮題)」の撮影終盤は非常に忙しかった、と言ったことを発言していた。
 
 
2005/11/20
■「SPL<殺破狼>(原題)」
監督:ウィルソン・イップ(葉偉信)
出演:ドニー・イェン、サモ・ハン、サイモン・ヤム、ジン・ウー

チャン刑事は黒社会の大物ポーの逮捕に執念を燃やし、死闘が繰り広げられる。"香港ノワール"にマーシャル・アーツが大胆に導入された作品。サイモン・ヤムが手段を選ばない刑事を好演。ドニー・イェンとサモ・ハンの対決が凄い。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

感覚的には「インファナル・アフェア」をアクション映画にしたような感覚。
脚本も面白いし、アクション・シークエンスがすばらしい。
ドニー・イェンがアクション指導を行ったようなのだが、何にしてもサモ・ハンの動きに感動である。

下手をすると年老いたサモ・ハンであるが、今までで最高のアクションを見せてくれているのではないか、と思えてしまう。

ジャッキー・チェン等のファンの方々、必見のすばらしいアクション映画である。
 
 
■「バッシング」
監督:小林政広
出演:占部房子、田中隆三、香川照之、大塚寧々

現代の日本で起こる“バッシング”を、受ける側に焦点を当てて描いた力作。中東で武装グループの人質になり帰国した有子をめぐる苛酷な状態を、占部房子が体当たりで熱演。本年度カンヌ映画祭コンペティションに選ばれた。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

ハリウッドの娯楽映画や、日本国内のメジャー配給作品なんかを観ている場合ではない、と思わせてくれるすばらしい作品。

こういった良質の作品はきちんとプロモーションを行い、確実にヒットさせなければならない。
これは映画に関わる人々、そして観客の義務だと言っても差し支えないだろう。

カンヌをはじめ各国の映画祭で評判の作品だったのだが、今回が日本国内ではじめての上映だったらしい。

主演の占部房子は、脚本執筆時から占部房子にアテ書きされており、またロケの際も他のキャストと仲良くならないためにホテルで隔離されていた、と言う事もあるのか、彼女が演じたキャラクターは、最早ドキュメンタリーにも思えてしまうほどのキャラクター造形と演技が強烈に楽しめる。

上映後、占部房子と個人的に話す機会があったのだが、その際の彼女はいたって普通のお嬢さんであっただけに、「バッシング」の演技が強烈であったことが再認識ではた。

ただ、日本人にとっては「バッシング」の元ネタとなった出来事は周知の出来事なのだが、ワールド・ワイドな戦略を考えた場合、その背景となる出来事の描写が足りないような印象を受けた。

上映後、監督の小林政広とも個人的に話す機会があったのだが、友子(占部房子)がおでんを買いに行くコンピニの街路に『子育ては「やめなさい」と言える大人のおもいやり』とかなんとか言うのぼりが立っているのだが、もしこれが演出だとしたら、作品として考えた場合、製作者のスタンスのバランス感覚が微妙ですね。と言う発言をしたところ、あののぼりは偶然そこにあった。と言う話が聞けた。世の中不思議なものである。

個人的には、今年の「東京フィルメックス」最大の収穫だったと思う。
 
 
■「マジシャンズ」
監督:ソン・イルゴン
出演:チョン・ウンイン、チャン・ヒョンソン、カン・ギョンホン

大晦日の夜、かつてのバンド仲間が集まり、3年前に自殺した女性メンバーを偲び、過ぎ去った青春を思い起す。95分ワンカットで撮られ、現在と過去が交錯する構成が見事。『スパイダー・フォレスト』(04)のソン・イルゴンによる驚くべき作品。
(「第6回東京フィルメックス」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
 
ワンカットで映画を撮ろうという気の遠くなるような作業を行った作品。
従来のワンカット映画(フィルム作品)はフィルムの交換時に、例えば登場人物の背中を写し真っ黒の画面で次の巻に交換していたりしていたのだが、本作はDVカメラを利用することにより、フィルムの交換なしに95分間の作品を撮りあげている。

寡聞にしてわたしは「エルミタージュ幻想」を観ていないのだが、本作はワンカット作品である以上、冗長さは否定できないが、評価に値するすばらしい感動をわれわれ観客に与えてくれている。
 
 
■今日のサイン
□コンペティション審査員
アボルファズル・ジャリリ(映画監督)
西島秀俊(俳優)
フレッド・ケレメン(映画監督)
マリアン・レビンスキー(映画史家、キュレーター)

□「バッシング」
監督:小林政広
出演:占部房子

□「マジシャンズ」
監督:ソン・イルゴン
撮影:パク・ヨンジュン

□「落ちる人」
監督:フレッド・ケレメン
 
 
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