2005/10/23 東京六本木「VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ」で、「第18回東京国際映画祭」特別招待作品「ブラザーズ・グリム」を観た。

19世紀、フランス統治下のドイツ。
ウィル(マット・デイモン)とジェイコブ(ヒース・レジャー)のグリム兄弟は、ドイツ各地の民話を収集しながら、村々を旅していた。
そんなグリム兄弟にはもうひとつの顔があった。辺境の村々の奇怪な出来事を調査の上、魔物を退治し、奇怪な出来事に困っている村々から賞金を稼ぎ、それを生業ともしていたのであるが・・・・。
 
 
監督:テリー・ギリアム
プロダクションデザイン:ガイ・ディアス
衣装デザイン:ガブリエラ・ペスクッチ、カルロ・ポジオリ
出演:マット・デイモン(ウィル)、ヒース・レジャー(ジェイコブ)、モニカ・ベルッチ(鏡の女王)、ジョナサン・プライス(デラトンベ)、レナ・ヘディ(アンジェリカ)、ピーター・ストーメア(カヴァルディ)、リチャード・ライディングス(バンスト)、マッケンジー・クルック(ヒドリック)、ロジャー・アシュトン=グリフィス(メイヤー)、ローラ・グリーンウッド(サーシャ)
 
 
「モンティ・パイソン」シリーズはともかく、「バンデッドQ」(1981)や「未来世紀ブラジル」(1985)で狂喜乱舞し、以来テリー・ギリアム大好き人間になってしまったわたしとしては、テリー・ギリアムの7年振りの新作「ブラザーズ・グリム」に大いに期待をしていた。

ところで、テリー・ギリアム作品の魅力は何かと考えた場合、すぐ挙がるのは、圧倒的なビジュアル・イメージと、マニアックに論理付けされた世界観、そして何と言っても「騎士道精神」に裏打ちされたキャラクターと彼らの行動だと思う。

そして多くのテリー・ギリアム作品で語られているのは、騎士(ナイト)である主人公が自らの姫君に忠誠を誓い、社会とか規範とか言うあらゆる制約や束縛を何するものぞと、姫君のためだけに戦い、いくつかのクエストに立ち向かう姿なのだ。

勿論、この傾向は「パロン」(1989)では言うまでもないだろうし、「未来世紀ブラジル」(1985)もわかりやすい騎士道精神に則っている、また「フィッシャー・キング」(1991)でも騎士道精神的に見事なクエストが描かれている。
また、「ロスト・イン・ラ・マンチャ」(2001)で描かれる、当時次回作と言われていた"The Man Who Killed Don Quixote"では文字通り、騎士道精神に彩られた作品になるハズだったのだろう。

そんな状況で、わたしは「ブラザーズ・グリム」は、従来どおり騎士道精神に裏打ちされた作品だろうと、大いなる期待を抱きながら、わたしは「ブラザーズ・グリム」を観た訳である。

結果、わたしは大きな失望をすることになってしまう。
なぜなら「ブラザーズ・グリム」はただの娯楽大作に過ぎなかったからだ。
本作「ブラザーズ・グリム」は、わたし達テリー・ギリアムファンが、彼に求める作品ではなかった。かつてジャック・マシューズの「バトル・オブ・ブラジル」で描かれたように配給会社と戦った男の作品とは思えないのだ。
本作は、子飼いの監督がメジャー配給会社に迎合した、なんの変哲もない娯楽作品に過ぎない、と思う。
例えるならば、本作「ブラザーズ・グリム」は、まるで「ヴァン・ヘルシング」(2004)のような作品だと言えるのだ。

本作「ブラザーズ・グリム」は普通の娯楽作品に過ぎない、とは言うものの、普通の娯楽作品とすれば、結構面白い水準的な作品だと言える。

美術(ガイ・ディアス)や衣装デザイン(ガブリエラ・ペスクッチ、カルロ・ポジオリ)により構築された世界観は素晴らしく、またその世界観で描かれる物語も運命的で寓意的なプロットが楽しい。勿論物語の設定も伏線も意表をついたものが多く、普通に興味深い。

キャストも豪華で、メイン・キャスト以外でも、ジョナサン・プライスやピーター・ストーメアが非常に良い味を出している。
彼らの頑張りあっての作品だと思う。

話題のモニカ・ベルッチは出番が少なく、ちょっと残念である。
モニカ・ベルッチの登場を中盤にし、彼に忠誠を誓う騎士(ナイト)の生き様をもう少し描けば、良い物語になったのではないか、と思った。

まあ、とにかく本作「ブラザーズ・グリム」は誰でも楽しめる普通の娯楽作品で、誰もが普通に満足できる楽しい作品だと思う。

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上映に先駆け行われたアリーナ・イベントでは、赤ずきんに扮した上戸彩と監督のテリー・ギリアムが登場。
また、上映前には、テリー・ギリアムの舞台挨拶もあった。
当初は、モニカ・ベルッチの来日も予定されていたようなのだが、それは残念ながら実現しなかった。
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☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

『今日の「東京国際映画祭」2005/10/23』
http://diarynote.jp/d/29346/20051023.html

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