「トム・ヤム・クン!」
2005/10/14 東京新宿「新宿ミラノ座」で「東京国際ファンタスティック映画祭2005」オープニング作品の「トム・ヤム・クン!」を観た。

カーム(トニー・ジャー)の家系は、代々護衛軍象の血筋を守る像の調教師で、カームは小さい頃から象のポーヤイと一緒に育ち、ポーヤイの子、小象のコーンを誰よりもかわいがっていた。

ある年のソンクラーン(水掛祭)の日、国王陛下にポーヤイを献上しようと、カームと父はソンクラーンの会場へ向かう。
国王陛下への献上象を決める審査をポーヤイが受ける間、カームは露店をながめ、小象のコーンのために鈴を買う。

そんなカームの耳に、象の審査場からただならぬ騒ぎの音と怒号が聞こえてくる。象の審査場にあわてて飛び込んだカームの目に、傷つき倒れた父の姿が映った。
「ポーヤイを追え!」と父は息絶え絶え言い放つが・・・・。

監督・製作:プラッチャヤー・ピンゲーオ
武術指導:パンナー・リットグライ、トニー・ジャー
出演:トニー・ジャー(カーム)、ペットターイ・ウォンカムラオ(マーク)、ボンゴット・コンマーライ(プラ)、チン・シン(マダム・ローズ)、ジョニー・グエン(ジョニー)、ネイサン・ジョーンズ(TK)、ラティフ・クロウダー(カポエィラ・ファイター)

本作「トム・ヤム・クン!」は、「マッハ!」のトニー・ジャー(主演)、プラッチャヤー・ピンゲーオ(監督)、パンナー・リットグライ(武術指導)等が再びタッグを組んだ強烈な作品である。

物語は「マッハ!」同様単純で、「マッハ!」は盗まれた仏像の首を求めてトニー・ジャー(ティン)、ペットターイ・ウォンカムラオ(ジョージ)、プマワーリー・ヨートガモン(ムエ)等が冒険する話だったのだが、本作「トム・ヤム・クン!」も同様に、盗まれた象を求めてトニー・ジャー(カーム)、ペットターイ・ウォンカムラオ(マーク)らが冒険する話である。

トニー・ジャー演じるキャラクターは何故か両作とも直線的で、例えば本作では、戦略も何もなしに、直情的に行く先々で「僕の象を返せ!」と訴える。
そしてトニー・ジャー(カーム)の前に立ちはだかる奴等をことごとく、やっつけ、どんどんどんどん象に近づいていく、と言う物語である。

そして主人公カームのキャラクターが単純明快であるのと対象的に、悪役サイドのマダム・ローズ(チン・シン)やジョニー(ジョニー・グエン)の悪事の背景が比較的複雑に設定されている。
一応、象が盗まれた理由をひとつの謎として脚本が組み立てられているのだ。

また本作は前作同様タイ映画と言う事で、仏教的世界観や道徳観に裏打ちされた物語が明確に描かれている。

期待のアクションは、「マッハ!」同様、フルコンタクト系ムエタイ・アクションがベースとなっているのだから、前作同様相手に技がボコボコ入るのは勿論、ボートやヘリコプターを使ったアクション・シークエンスや、「ヤマカシ」軍団もビックリのインライン・スケート軍団との対決も楽しいのだが、今回は様々な格闘技とムエタイの対決が楽しい。

例えば、マダム・ローズ(チン・シン)率いる一味は中国系(チャイニーズ・マフィア)背景があるためか、ジョニー(ジョニー・グエン)等、中国系拳法との戦いが楽しめるし、アートワークにも使われているでかい男TK(ネイサン・ジョーンズ)とはレスリング系の無茶な戦いも楽しめる。
しかしながら、個人的に特に印象に残ったのは、「鉄拳」シリーズのエディもビックリのカポエィラ使い(ラティフ・クロウダー)との対決であった。

今までわたしが見たことがあるカポエィラは、非常にゆっくりとした、まるで踊り(演舞)のような動きのものだったのだが、本作のカポエィラは正に「鉄拳3」のエディそのもの、凄まじいスピードで、様々な技が飛び出して来る凄い格闘技だったのだ。
「カポエィラすげえ!」
と、言うわけで本作は「鉄拳」ファンにもオススメなのだ。
ついでに、トニー・ジャーはリン・シャオユウ的な技も繰り出したりしている。

前作同様、トニー・ジャーのアクションは、一撃必殺のブルース・リー系の格闘アクションや、スティーブン・セガール風の関節ボキボキの格闘アクション、街中や周囲の物を上手に使ったジャッキー・チェン風のアクション、または命がけの、と言うか紙一重のジャッキー・チェン風のアクションも楽しめる、と言う、ここ数十年のアクション映画の集大成的なエッセンスをも感じる事が出来るのだ。

ある意味トニー・ジャーは、ブルース・リーも、リー・リンチェイ(ジェット・リー)も、ジャッキー・チェンも超越したひとつの格闘映画の体系を作ってしまったかも知れない、と思うのだ。

まあ、とにかく本作「トム・ヤム・クン!」はアクション映画ファン必見と言うか義務的作品だし、そのあまりにも凄いアクションのおかげで涙すら出ちゃう位の素晴らしいアクションが堪能できる、傑作アクション映画なのだ。
いつ公開されるのかは知らないが、是非劇場に足を運んで欲しい。

強烈なカメオ出演もあるしね。

余談だけど、「マッハ!」より「ボーン・トゥ・ファイト(七人のマッハ!)」よりも、本作は全然面白いですよ。

☆☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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