「銀河ヒッチハイク・ガイド」
2005年10月11日 映画
2005/10/10 東京六本木「VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ」で、「銀河ヒッチハイク・ガイド」を観た。
ある日、上空に現われた、無数の宇宙船。彼らの目的は、ただひとつ−−地球を爆破すること。太陽系を通る銀河バイパスの建設のため、地球はあっけなく消滅してしまった・・・・。
運命のイタズラで、”最後の地球人”となったのは、極めて平凡な英国男性アーサー・デント(マーティン・フリーマン)。彼は、宇宙で行き抜くサバイバル術とクールな風刺に満ちた、銀河系最大のベストセラー「銀河ヒッチハイク・ガイド」を頼りに、果てしない広大な宇宙へ旅に出るが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:ガース・ジェニングス
原作:ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイク・ガイド』
脚本:ダグラス・アダムス、カレイ・カークパトリック
プロダクションデザイン:ジョエル・コリンズ
出演:マーティン・フリーマン(アーサー・デント)、サム・ロックウェル(ゼイフォード・ビーブルブロックス)、モス・デフ(フォード・プリーフェクト)、ズーイー・デシャネル(トリリアン)、ビル・ナイ(スラーティバートファースト)、ジョン・マルコヴィッチ(ハーマ・カヴーラ)、ワーウィック・デイヴィス(マーヴィン)
声の出演:アラン・リックマン(マーヴィン)、スティーヴン・フライ(ナレーター/ザ・ガイド)、イアン・マクニース(クワルツ)、ヘレン・ミレン(ディープ・ソート)、トーマス・レノン(エディ・ザ・コンピュータ)
本作「銀河ヒッチハイク・ガイド」は、もともとBBCのラジオドラマ(1978)として書き上げられた脚本を小説化(1979)した作品で、SFパロディの傑作として世界中でカルト的な人気を呼んだ故ダグラス・アダムスの同名小説の映画化作品である。
原作者で、本作の脚本家であり、製作総指揮にも名を連ねるダグラス・アダムスは、本作製作直前に心臓発作で帰らぬ人となり、本作はその「ダグラスヘ」捧げられている。
さて、本作「銀河ヒッチハイク・ガイド」だが、各方面からの絶賛の話を聴いていたわたしの期待が過多だったのか、わたし個人がモンティ・パイソン系英国ユーモアを解せなかったのか定かではないが、残念なことに本作はそんなに面白い作品には思えなかった。
と言うのも、わたしは本作の映画化の話を聞き、もしかしたら「不思議惑星キン・ザ・ザ」を現代のVFX技術でリッチに蘇らせたような素晴らしい作品になるのではないか、と言う誤った先入観を持っていたためだ。
でも、本作「銀河ヒッチハイク・ガイド」は、わたしの求めていた「不思議惑星キン・ザ・ザ」のような憂いを持った作品ではなかった、と言う事である。
しかしながら、本作は決してつまらない訳ではないし、わたしの嗜好にもマッチする作品に仕上がってはいた。
本作は思索的、哲学的で、ウィットやユーモア、エスプリに富み、またビジュアル・イメージも秀逸だし、設定も構成も愉快である。
またキャストについても、何がなんだかわからない程豪華である。
マーティン・フリーマンの普通の英国人ぶりも良かったし、始終楽しませてくれるサム・ロックウェルも良い。
「スター・ウォーズ」のレイア姫を髣髴とさせるズーイー・デシャネルも素敵だったし、モス・デフの筋が通っていながらちゃらんぽらんなところも良かった。
ワーウィック・デイヴィスが演じているロボット(マーヴィン)の声をアラン・リックマンがあてている、のにも驚きである。
あとは、何と言ってもビル・ナイが最高だった。
また、「銀河ヒッチハイク・ガイド」と言う割には、ヒッチハイクの回数が少なかったのも、気になった。
わたしの想像では、異なった異星人と異なった文化に主人公達がさらされ、危機また危機に陥った主人公たちがヒッチハイクで何とか難を切り抜ける、と言う物語を期待していたのだが、冒頭に何度かヒッチハイクをするだけで、あとはただの宇宙を舞台にしたよくあるコメディ作品になってしまっているような気がした。
もう少し、ヒッチハイクを生かした脚本にして欲しかったような気がする。
但し、圧倒的なビジュアル・イメージや異世界の世界観、哲学的思索的思考は十分評価できると思うし、また万物の霊長を自負する人類に対するシニカルな視線は、非常に素晴らしかった。
また、ミュージカルのように、時々挿入される楽曲の詩が最高に面白い。
脚本は、原作にある重要な部分、例えば「何故地球が誕生したのか」と言った部分が理解しづらい印象を受けた。
もしかしたらこれは訳出の問題なのかもしれないが、重要な部分が明確に描かれていない(ような印象をうけた)ため「えぇ〜、そうだったの〜!!」と言う驚きが半減してしまうような印象を受けた。
ところで、本作「銀河ヒッチハイク・ガイド」は、期待のしどころを間違わなければ、断然に楽しめる素晴らしい作品だと思う。
めくるめく世界観と、小ネタ、小粋なユーモアとシニカルな視点、極端な性格を持つキャラクター・・・・。
「銀河ヒッチハイク・ガイド」の次は、是非「不思議惑星キン・ザ・ザ」を観て欲しい。同作は祭りの後の寂寥感漂う素晴らしい傑作である。
☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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ある日、上空に現われた、無数の宇宙船。彼らの目的は、ただひとつ−−地球を爆破すること。太陽系を通る銀河バイパスの建設のため、地球はあっけなく消滅してしまった・・・・。
運命のイタズラで、”最後の地球人”となったのは、極めて平凡な英国男性アーサー・デント(マーティン・フリーマン)。彼は、宇宙で行き抜くサバイバル術とクールな風刺に満ちた、銀河系最大のベストセラー「銀河ヒッチハイク・ガイド」を頼りに、果てしない広大な宇宙へ旅に出るが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:ガース・ジェニングス
原作:ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイク・ガイド』
脚本:ダグラス・アダムス、カレイ・カークパトリック
プロダクションデザイン:ジョエル・コリンズ
出演:マーティン・フリーマン(アーサー・デント)、サム・ロックウェル(ゼイフォード・ビーブルブロックス)、モス・デフ(フォード・プリーフェクト)、ズーイー・デシャネル(トリリアン)、ビル・ナイ(スラーティバートファースト)、ジョン・マルコヴィッチ(ハーマ・カヴーラ)、ワーウィック・デイヴィス(マーヴィン)
声の出演:アラン・リックマン(マーヴィン)、スティーヴン・フライ(ナレーター/ザ・ガイド)、イアン・マクニース(クワルツ)、ヘレン・ミレン(ディープ・ソート)、トーマス・レノン(エディ・ザ・コンピュータ)
本作「銀河ヒッチハイク・ガイド」は、もともとBBCのラジオドラマ(1978)として書き上げられた脚本を小説化(1979)した作品で、SFパロディの傑作として世界中でカルト的な人気を呼んだ故ダグラス・アダムスの同名小説の映画化作品である。
原作者で、本作の脚本家であり、製作総指揮にも名を連ねるダグラス・アダムスは、本作製作直前に心臓発作で帰らぬ人となり、本作はその「ダグラスヘ」捧げられている。
さて、本作「銀河ヒッチハイク・ガイド」だが、各方面からの絶賛の話を聴いていたわたしの期待が過多だったのか、わたし個人がモンティ・パイソン系英国ユーモアを解せなかったのか定かではないが、残念なことに本作はそんなに面白い作品には思えなかった。
と言うのも、わたしは本作の映画化の話を聞き、もしかしたら「不思議惑星キン・ザ・ザ」を現代のVFX技術でリッチに蘇らせたような素晴らしい作品になるのではないか、と言う誤った先入観を持っていたためだ。
でも、本作「銀河ヒッチハイク・ガイド」は、わたしの求めていた「不思議惑星キン・ザ・ザ」のような憂いを持った作品ではなかった、と言う事である。
しかしながら、本作は決してつまらない訳ではないし、わたしの嗜好にもマッチする作品に仕上がってはいた。
本作は思索的、哲学的で、ウィットやユーモア、エスプリに富み、またビジュアル・イメージも秀逸だし、設定も構成も愉快である。
またキャストについても、何がなんだかわからない程豪華である。
マーティン・フリーマンの普通の英国人ぶりも良かったし、始終楽しませてくれるサム・ロックウェルも良い。
「スター・ウォーズ」のレイア姫を髣髴とさせるズーイー・デシャネルも素敵だったし、モス・デフの筋が通っていながらちゃらんぽらんなところも良かった。
ワーウィック・デイヴィスが演じているロボット(マーヴィン)の声をアラン・リックマンがあてている、のにも驚きである。
あとは、何と言ってもビル・ナイが最高だった。
また、「銀河ヒッチハイク・ガイド」と言う割には、ヒッチハイクの回数が少なかったのも、気になった。
わたしの想像では、異なった異星人と異なった文化に主人公達がさらされ、危機また危機に陥った主人公たちがヒッチハイクで何とか難を切り抜ける、と言う物語を期待していたのだが、冒頭に何度かヒッチハイクをするだけで、あとはただの宇宙を舞台にしたよくあるコメディ作品になってしまっているような気がした。
もう少し、ヒッチハイクを生かした脚本にして欲しかったような気がする。
但し、圧倒的なビジュアル・イメージや異世界の世界観、哲学的思索的思考は十分評価できると思うし、また万物の霊長を自負する人類に対するシニカルな視線は、非常に素晴らしかった。
また、ミュージカルのように、時々挿入される楽曲の詩が最高に面白い。
脚本は、原作にある重要な部分、例えば「何故地球が誕生したのか」と言った部分が理解しづらい印象を受けた。
もしかしたらこれは訳出の問題なのかもしれないが、重要な部分が明確に描かれていない(ような印象をうけた)ため「えぇ〜、そうだったの〜!!」と言う驚きが半減してしまうような印象を受けた。
ところで、本作「銀河ヒッチハイク・ガイド」は、期待のしどころを間違わなければ、断然に楽しめる素晴らしい作品だと思う。
めくるめく世界観と、小ネタ、小粋なユーモアとシニカルな視点、極端な性格を持つキャラクター・・・・。
「銀河ヒッチハイク・ガイド」の次は、是非「不思議惑星キン・ザ・ザ」を観て欲しい。同作は祭りの後の寂寥感漂う素晴らしい傑作である。
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