「釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪」
2005年9月23日 映画
2005/08/13 東京霞ヶ関「イイノホール」で「釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪」の試写を観た。
長引く不景気を何とか生き抜いてきた鈴木建設は今、ビッグ・プロジェクトを成し遂げようとしていた。3年前に着工した長崎県佐世保市の第二西海橋がまもなく完成、遂に連絡式を迎えるのだ。鈴木一之助社長(三國連太郎)は、自分と一緒に式に出席するのが、万年ヒラ社員のハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)だと知って驚く。実はこの仕事は、ハマちゃんが家族の次に愛している「釣り」の人脈があったからこそ取れたものだった。
出張を目前にして、最高潮に上機嫌なハマちゃん。連結式は金曜日、となれば土日は東シナ海で釣りパラダイス!ハマちゃんは長崎営業所で設計を担当している久保田達也(金子昇)に電話すると、さっそく釣り船の手配を指示する。達也は東京の大会社、久保田興業の御曹司で、一之助も気を配る存在だった。
出張の朝、しっかり遅刻して一之助を待たせたハマちゃんは、長崎に着くなりホテルにチェックインもせずに、迎えに来た達也の車で大村湾に直行する。船着場には、ハッとするほど美しい河口美鈴(伊東美咲)が待っていた。船の手配をしてくれた美鈴を「僕の行きつけの店の人です」とハマちゃんに紹介する達也。ハマちゃんは、米軍基地に勤める「アメリカの釣りバカ」青年ボブ(ボビー・オロゴン)と、九十九島の小島を目指す。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:朝原雄三
原作:やまざき十三(作)、北見けんいち(画)小学館「ビッグコミックオリジナル」連載
脚本:山田洋次、石川勝己、平松恵美子
出演:西田敏行(浜崎伝助)、三國連太郎(鈴木一之助)、浅田美代子(浜崎みち子)、伊東美咲(河口美鈴)、加藤武(秋山専務)、小野武彦(原口人事担当取締役)、鶴田忍(堀田常務)、中村梅雀[2代目](草森秘書課長)、益岡徹(舟木課長)、濱口優(海老名)、笹野高史(前原運転手)、平山あや(鯛子)、持丸加賀(浜崎鯉太郎)、岡本麗(澄子)、ボビー・オロゴン(ボブ)、中本賢(太田八郎)、谷啓(佐々木次長)、奈良岡朋子(鈴木久江)、さだまさし(刑事)、金子昇(久保田達也)、尾崎紀世彦(河口輝男)
「釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪」は安心して観ていられる大変面白い人情コメディ作品であった。
若い映画ファンの皆さんにとって「釣りバカ日誌」は、あまり関心がないシリーズだと思うのだが、決してつまらない作品ではなく、実直な脚本と堅実な演出、芸達者な俳優達、そして舞台となるロケ地の観光が楽しめる娯楽作品なのだ。
驚くべき事にこの「釣りバカ日誌」シリーズの脚本(共同脚本)の多くは山田洋次が担当している。
「男はつらいよ」シリーズが終了し「虹をつかむ男」が上手く行かなかった後、「釣りバカ日誌」シリーズは山田洋次のひとつのライフワークとなっているのかも知れない。
その山田洋次の脚本(共同脚本)は、日本人の琴線に触れる、普遍的なもので、今回のプロットは「娘の結婚におろおろする頑固親父」と言ういわばベタなものだが、その普遍的な物語が安心感となり、多くの(特に年配の)観客に支持されているのではないだろうか。
本作で頑固親父を演じたのは尾崎紀世彦。絵に描いたような不器用でいながら娘思いの頑固親父を見事に演じている。
以前の「釣りバカ日誌」シリーズでは西田敏行の悪夢のような裸踊りがひとつの見せ場になっていたのだが、最近のシリーズではミュージカル・シーンが、裸踊りに取って変わり、作品としてのグレードが上がったような印象を受ける。
本作では、尾崎紀世彦(河口輝男)が経営するカントリー・バーでの一大ミュージカル・シークエンスが楽しめる。
尾崎紀世彦の面目躍如といったところであろうか。
また伊東美咲や金子昇の起用も比較的年配の観客に対し、若手の俳優をイントロデュースする機能も担っている。
朝原雄三の堅実で正攻法の演出で、若手俳優も見事(特に問題を感じないほどの)な演技を見せてくれている。
またお茶の間の人気者ボビー・オロゴンの起用も、素晴らしい効果を出している。
その辺(ボビー・オロゴンの起用)も穿った見方をすれば、作品としていかに売るかと言う点を戦略的に良く考えた上での起用のような印象を受ける。
ただ残念な事に、三國連太郎の老いの問題が脚本に影を投げかけている。
最近のシリーズでは三國連太郎の釣りシーンがほとんどなく、「スーさんは釣りをしたくてハマちゃんに何度も何度も連絡を取ろうとするが、ハマちゃんはそれを冷たくあしらう」と言うシークエンスの繰り返しになってしまっている。
勿論コミカルなシーンではあるのだが、最後にはスーさんとハマちゃんが一緒に釣りをするシーンが作品を締める意味でも必要ではないかと思うのだ。
本作「釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪」は、「水戸黄門」のような時代劇と同じ種類の安心感を与えてくれる楽しい娯楽作品に仕上がっている。
たまにはこんな作品も観て欲しいな、と思うのだ。
☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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長引く不景気を何とか生き抜いてきた鈴木建設は今、ビッグ・プロジェクトを成し遂げようとしていた。3年前に着工した長崎県佐世保市の第二西海橋がまもなく完成、遂に連絡式を迎えるのだ。鈴木一之助社長(三國連太郎)は、自分と一緒に式に出席するのが、万年ヒラ社員のハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)だと知って驚く。実はこの仕事は、ハマちゃんが家族の次に愛している「釣り」の人脈があったからこそ取れたものだった。
出張を目前にして、最高潮に上機嫌なハマちゃん。連結式は金曜日、となれば土日は東シナ海で釣りパラダイス!ハマちゃんは長崎営業所で設計を担当している久保田達也(金子昇)に電話すると、さっそく釣り船の手配を指示する。達也は東京の大会社、久保田興業の御曹司で、一之助も気を配る存在だった。
出張の朝、しっかり遅刻して一之助を待たせたハマちゃんは、長崎に着くなりホテルにチェックインもせずに、迎えに来た達也の車で大村湾に直行する。船着場には、ハッとするほど美しい河口美鈴(伊東美咲)が待っていた。船の手配をしてくれた美鈴を「僕の行きつけの店の人です」とハマちゃんに紹介する達也。ハマちゃんは、米軍基地に勤める「アメリカの釣りバカ」青年ボブ(ボビー・オロゴン)と、九十九島の小島を目指す。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:朝原雄三
原作:やまざき十三(作)、北見けんいち(画)小学館「ビッグコミックオリジナル」連載
脚本:山田洋次、石川勝己、平松恵美子
出演:西田敏行(浜崎伝助)、三國連太郎(鈴木一之助)、浅田美代子(浜崎みち子)、伊東美咲(河口美鈴)、加藤武(秋山専務)、小野武彦(原口人事担当取締役)、鶴田忍(堀田常務)、中村梅雀[2代目](草森秘書課長)、益岡徹(舟木課長)、濱口優(海老名)、笹野高史(前原運転手)、平山あや(鯛子)、持丸加賀(浜崎鯉太郎)、岡本麗(澄子)、ボビー・オロゴン(ボブ)、中本賢(太田八郎)、谷啓(佐々木次長)、奈良岡朋子(鈴木久江)、さだまさし(刑事)、金子昇(久保田達也)、尾崎紀世彦(河口輝男)
「釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪」は安心して観ていられる大変面白い人情コメディ作品であった。
若い映画ファンの皆さんにとって「釣りバカ日誌」は、あまり関心がないシリーズだと思うのだが、決してつまらない作品ではなく、実直な脚本と堅実な演出、芸達者な俳優達、そして舞台となるロケ地の観光が楽しめる娯楽作品なのだ。
驚くべき事にこの「釣りバカ日誌」シリーズの脚本(共同脚本)の多くは山田洋次が担当している。
「男はつらいよ」シリーズが終了し「虹をつかむ男」が上手く行かなかった後、「釣りバカ日誌」シリーズは山田洋次のひとつのライフワークとなっているのかも知れない。
その山田洋次の脚本(共同脚本)は、日本人の琴線に触れる、普遍的なもので、今回のプロットは「娘の結婚におろおろする頑固親父」と言ういわばベタなものだが、その普遍的な物語が安心感となり、多くの(特に年配の)観客に支持されているのではないだろうか。
本作で頑固親父を演じたのは尾崎紀世彦。絵に描いたような不器用でいながら娘思いの頑固親父を見事に演じている。
以前の「釣りバカ日誌」シリーズでは西田敏行の悪夢のような裸踊りがひとつの見せ場になっていたのだが、最近のシリーズではミュージカル・シーンが、裸踊りに取って変わり、作品としてのグレードが上がったような印象を受ける。
本作では、尾崎紀世彦(河口輝男)が経営するカントリー・バーでの一大ミュージカル・シークエンスが楽しめる。
尾崎紀世彦の面目躍如といったところであろうか。
また伊東美咲や金子昇の起用も比較的年配の観客に対し、若手の俳優をイントロデュースする機能も担っている。
朝原雄三の堅実で正攻法の演出で、若手俳優も見事(特に問題を感じないほどの)な演技を見せてくれている。
またお茶の間の人気者ボビー・オロゴンの起用も、素晴らしい効果を出している。
その辺(ボビー・オロゴンの起用)も穿った見方をすれば、作品としていかに売るかと言う点を戦略的に良く考えた上での起用のような印象を受ける。
ただ残念な事に、三國連太郎の老いの問題が脚本に影を投げかけている。
最近のシリーズでは三國連太郎の釣りシーンがほとんどなく、「スーさんは釣りをしたくてハマちゃんに何度も何度も連絡を取ろうとするが、ハマちゃんはそれを冷たくあしらう」と言うシークエンスの繰り返しになってしまっている。
勿論コミカルなシーンではあるのだが、最後にはスーさんとハマちゃんが一緒に釣りをするシーンが作品を締める意味でも必要ではないかと思うのだ。
本作「釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪」は、「水戸黄門」のような時代劇と同じ種類の安心感を与えてくれる楽しい娯楽作品に仕上がっている。
たまにはこんな作品も観て欲しいな、と思うのだ。
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