2005/08/17 東京新橋「ヤクルトホール」で「奥さまは魔女」の試写を観た。

普通の生活や恋に憧れて、人間界に舞い降りてて来た本物の魔女イザベル・ビグロー(ニコール・キッドマン)は、もう魔法を使わないと決心する。

一方、失敗作が続く落目の映画俳優ジャック・ワイヤット(ウィル・フェレル)は、往年のテレビ・シリーズ「奥さまは魔女」のリメイク版ダーリン役に、テレビ俳優としての再起をかけていた。ジャックは自分が演じるダーリン役を目立たさせるため、サマンサ役には新人女優を起用する事を考える。
しかし、イメージ通りの女優は見つからず、サマンサ役のキャスティングは難航していた。

そんなある日、ジャックはたまたま本屋でイザベルと出会う。
イザベルの鼻をピクピクさせる仕草を見初めたジャックは、イザベルにサマンサ役を猛烈にオファーするが・・・・。

監督・脚本・製作:ノーラ・エフロン
共同脚本:デリア・エフロン
出演:出演:ニコール・キッドマン(イザベル・ビグロー/サマンサ役)、ウィル・フェレル(ジャック・ワイヤット/ダーリン役)、シャーリー・マクレーン(アイリス・スミスソン/エンドラ役)、マイケル・ケイン(ナイジェル・ビグロー)、ジェイソン・シュワルツマン(リッチー)、ヘザー・バーンズ(ニーナ)、クリスティン・チェノウェス(マリア)、スティーヴ・カレル(アーサーおじさん)、キャロル・シェリー(クララおばさん)

本作「奥さまは魔女」は、往年の大ヒットTVシリーズ「奥さまは魔女」の単純なリメイクではなく、TVシリーズ「奥さまは魔女」リメイク版の製作の際、サマンサ役に本物の魔女をキャスティングしてしまう事に端を発するロマンティック・コメディである。

そのプロットは、真正面から「奥さまは魔女」をリメイクするだけではなく、「奥さまは魔女」本来のシチュエーションである、「魔女が人間界で魔法を使わないで恋愛し生活する」を、背景と製作するドラマにおいて、二重に再現すると言うトリッキーな構成を持っている。

特に印象的なのは、ニコール・キッドマン演じるイザベルが、父ナイジェル(マイケル・ケイン)の反対を押し切って人間界に舞い降り、魔法を使わない普通の恋愛や生活を営みたいと言う部分に顕著である。

そのメイン・プロットは前述のようにトリッキーではあるし、充分に評価できると思うのだが、全世界中が愛した「奥さまは魔女」のサマンサとダーリンと言うキャラクターを考えた場合、ダーリンを演じる事になるジャック・ワイヤット(ウィル・フェレル)が、愛すべき人物ではない、と言う設定が釈然としない。

勿論、本作のプロットにはジャックの成長と言う部分もあるのだが、ウィル・フェレルが演じるジャックは観客が求めているダーリン像にそぐわない印象が否定できない。
また、ウィル・フェレルのルックスにも華がない。

一方かつてのTVシリーズ「奥さまは魔女」を踏襲した部分は評価できる。

愛すべきエンドラ役のアイリス・スミスソン(シャーリー・マクレーン)をはじめ、クララおばさん(キャロル・シェリー)やアーサーおじさん(スティーヴ・カレル)、エピローグのグラディスさん(エイミー・セダリス)と夫アブナー(リチャード・カインド)等が楽しい。

特にシャーリー・マクレーン(アイリス・スミスソン/エンドラ役)はオリジナル(アグネス・ムーアヘッド)に勝るとも劣らないほど素晴らしい。
エンドラ最高なのだ!

また素晴らしいと言えば、マイケル・ケイン演じるナイジェル・ビグローも素晴らしい。
本作にとって、シャーリー・マクレーンとマイケル・ケインがキャスティング出来たことは、大いなる幸せだと思う。
こういった往年の俳優達が醸し出すものが、映画に風格を与えているのだ。

また、オリジナルと同じキャラクター設定のクララおばさん(キャロル・シェリー)とアーサーおじさん(スティーヴ・カレル)の存在は、面白いのは面白いのだが、脚本を真面目に読み解くと、釈然としない印象を受ける。
彼らはサマンサ、ダーリン、エンドラと同様にTVシリーズ「奥さまは魔女」における創作上のキャラクターなのだが、本作で彼らは、イザベルの本当のおじとおばとして登場しているのだ。
その設定は、他のキャラクターと比較して、おかしいと言わざるを得ない。
目くじらを立てるような部分ではないのだが、付記しておく。

また本作のニコール・キッドマン(イザベル・ビグロー/サマンサ役)は、実年齢と比較して非常にキュートで、女優は怖いと思わせるほど若々しい。

脚本的には、もう一歩踏み込んで、魔法を使う生き方と、人間として地道に生きる事を考えさせるところまで到達して欲しかったような気がする。

本作はオリジナル版「奥さまは魔女」に取り立てて思い入れがない観客には充分楽しめる作品だと思うのだが、オリジナル版の熱心なファンにとっては、満足できる作品だとは言えないのではないか、と思う。
とは言うものの、多くの観客が楽しめる非常に楽しいロマンティック・コメディではある。デート・ムービーには最適だろう。

☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。

参考になったら、クリック!(現在のランキングがわかります)
http://blog.with2.net/link.php?29604

コメント

tkr

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索