「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」
2005年8月16日 映画
2005/07/30 東京池袋「シネ・リーブル池袋」で「チーム★アメリカ/ワールドポリス」を観た。
ますます混迷を極め、かつてないほど緊迫した状況下に置かれている現代の世界−−−−そんななか、平和を乱すテロリストに対抗するため、とある国際警備組織が結成された。
その名は<チーム・アメリカ>!
ハリウッドの秘密基地を拠点とする彼らは、アレック・ボールドウィンをはじめとする多くの知識人から「救済活動と称して破壊行為を繰り返しているだけ」と手厳しく批判されながらも、そんなことはいっさい意に介せず、今日も世界のどこかで、マシンガンを両手に、憎きテロリストたちを無差別に殺しまくってくれているのである。
パリでの任務遂行中、メンバーのひとりを失ってしまった<チーム・アメリカ>は、深い悲しみに暮れながらも、独裁者がテロリストに大量破壊兵器を売りさばこうとしているとの情報をつかむ。
テロリストの陰謀を事前に阻止するため、チームを指揮するリーダーであるスポッツウッドは、前代未聞の計画を思いつく−−−−ブロードウェイで活躍中のスター俳優、ゲイリーをチームにリクルートし、おとり捜査をさせようというのだ!
ゲイリーは一度はその要請を断るのだが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:トレイ・パーカー
脚本:トレイ・パーカー、 マット・ストーン、パム・プラディ
声の出演:トレイ・パーカー、マット・ストーン、クリステン・ミラー、フィル・ヘンドリー、モーリス・ラマルシュ
本作「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」は、2004年8月、WEB上で予告編が公開されるや否や、全世界の各方面で賛否両論話題沸騰の作品である。
また、それと同時に2004年に公開されたジョナサン・フレイクス版「サンダーバード」に失望した多くのオリジナル版「サンダーバード」ファンが待ち望んだ作品でもあったのだ。
「ボクラが見たかったのはこれだ!」と。
何しろ本作は、「サンダーバード」をはじめとする一連のITC作品(ジェリー・アンダーソン作品)でおなじみのマリオネーション技法(但し、勿論スーパー・マリオネーションではない)を使った作品で、肝心の人形のクオリティは勿論、その操演技術も、セットやプロップのクオリティも大変素晴らしいものがある。
またその演出手法も、微に入り細に入り、かつての「サンダーバード」をも髣髴とさせる。
内容については、当初言われていたような、ブッシュ政権打倒に向けた「華氏911」の援護射撃的な作品ではなく、作品のベクトルは、右も左も容赦なく俎上に乗せ、こけにし笑い飛ばす、というものであった。
これについては「ダーティハリー」のハリー・キャラハンの設定、「黒人も白人も分けへだてなく嫌っている」を思い出した。
また子供向けの題材(ここでは人形劇を指す)を使用した大人向けの作品と言えば、今をときめくピーター・ジャクソンの「ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス」が思い出された。同作は「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」に関心を持った方には是非観ていただきたい素晴らしい作品である。
そういった観点では、同作の題材はパペットで、そのパペット同士が殺し合いをする、スプラッタ作品に仕上がっている。同作では可愛らしいパペット達が、人間の醜さを表現しているのだ。
さて、本作についてだが、まずは脚本だが、個人的に非常に残念な点がひとつあった。
中盤のバーのシークエンスで、DとPとAのたとえ話が出てくるのだが、このたとえ話は本作の一番のテーマとも言うべきものなのだ。
このたとえ話について、ラストの演説シークエンスでその種明かしをしてしまうのは、いかがなものかと思った。
もう少し観客の想像力を信じて、演説ではなく異なったアプローチで作品のテーマを暗喩して欲しかったと思う。
と言うか、本作は、右も左もお構いなく批判し馬鹿にする、と言うコンセプトを持っている作品だったと思うのだが、ラストの演説において、バーのシークエンスが暗喩することを明示してしまうことにより、全てに唾を吐きかけると言う、作品としてのベクトルがぶれ、そのためある方向性を持ったある種の説教臭さを観客に押し付けてしまっているのだ。そのためか、本作のような孤高な作品が持つ魔法の力が薄れてしまったような印象を受けてしまう。
世界観の構築に関わる、美術やプロップ、セットは大変素晴らしい。
チープなところはあくまでチープに、そして壮大なところはあくまで壮大に、美術にしろ衣装にしろプロップにしろ、見事な世界観の構築に成功している。
また、前述のように人形の操演技術も大変素晴らしい。
とは言うものの、美術関係で気になったのは、人形の顔がフォーム・ラテックス(おそらく)で覆われている点である。これにより、「サンダーバード」等スーパー・マリオネーションに特有の唇のパーツだけがパカパカと動く、と言ったノスタルジックな観点がなくなってしまっている。だからどうした、と言う事もないのだが、ご参考までに付記しておく。
最後に、本作が観客を選ぶ点なのだが、四文字ワードの頻出は勿論の事、下ネタ満載で下品だし、バイオレンスの描写も(人形劇にしては)激しい、またハリウッドの俳優の皆さんを政治家同様コケにしている。
そう言った作品を観て気分が悪くなってしまう方にはオススメできないが、ここまで真面目に不真面目をやっている作品には頭が下がってしまうのだ。
とにかく本作「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」は、関心があるのならば、出来れば劇場に足を運んで欲しい、と思える良い作品だと言えるのだ。
余談だが、「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」以降、モンタージュ技法のひとつの手法を行っている作品を観ると笑いがこぼれてしまう。
先日試写で「シンデレラマン」を観たのだが、それでも笑えてしまった。困ったものである。
”Team America: World Police”を考える
http://diarynote.jp/d/29346/20040813.html
☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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ますます混迷を極め、かつてないほど緊迫した状況下に置かれている現代の世界−−−−そんななか、平和を乱すテロリストに対抗するため、とある国際警備組織が結成された。
その名は<チーム・アメリカ>!
ハリウッドの秘密基地を拠点とする彼らは、アレック・ボールドウィンをはじめとする多くの知識人から「救済活動と称して破壊行為を繰り返しているだけ」と手厳しく批判されながらも、そんなことはいっさい意に介せず、今日も世界のどこかで、マシンガンを両手に、憎きテロリストたちを無差別に殺しまくってくれているのである。
パリでの任務遂行中、メンバーのひとりを失ってしまった<チーム・アメリカ>は、深い悲しみに暮れながらも、独裁者がテロリストに大量破壊兵器を売りさばこうとしているとの情報をつかむ。
テロリストの陰謀を事前に阻止するため、チームを指揮するリーダーであるスポッツウッドは、前代未聞の計画を思いつく−−−−ブロードウェイで活躍中のスター俳優、ゲイリーをチームにリクルートし、おとり捜査をさせようというのだ!
ゲイリーは一度はその要請を断るのだが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:トレイ・パーカー
脚本:トレイ・パーカー、 マット・ストーン、パム・プラディ
声の出演:トレイ・パーカー、マット・ストーン、クリステン・ミラー、フィル・ヘンドリー、モーリス・ラマルシュ
本作「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」は、2004年8月、WEB上で予告編が公開されるや否や、全世界の各方面で賛否両論話題沸騰の作品である。
また、それと同時に2004年に公開されたジョナサン・フレイクス版「サンダーバード」に失望した多くのオリジナル版「サンダーバード」ファンが待ち望んだ作品でもあったのだ。
「ボクラが見たかったのはこれだ!」と。
何しろ本作は、「サンダーバード」をはじめとする一連のITC作品(ジェリー・アンダーソン作品)でおなじみのマリオネーション技法(但し、勿論スーパー・マリオネーションではない)を使った作品で、肝心の人形のクオリティは勿論、その操演技術も、セットやプロップのクオリティも大変素晴らしいものがある。
またその演出手法も、微に入り細に入り、かつての「サンダーバード」をも髣髴とさせる。
内容については、当初言われていたような、ブッシュ政権打倒に向けた「華氏911」の援護射撃的な作品ではなく、作品のベクトルは、右も左も容赦なく俎上に乗せ、こけにし笑い飛ばす、というものであった。
これについては「ダーティハリー」のハリー・キャラハンの設定、「黒人も白人も分けへだてなく嫌っている」を思い出した。
また子供向けの題材(ここでは人形劇を指す)を使用した大人向けの作品と言えば、今をときめくピーター・ジャクソンの「ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス」が思い出された。同作は「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」に関心を持った方には是非観ていただきたい素晴らしい作品である。
そういった観点では、同作の題材はパペットで、そのパペット同士が殺し合いをする、スプラッタ作品に仕上がっている。同作では可愛らしいパペット達が、人間の醜さを表現しているのだ。
さて、本作についてだが、まずは脚本だが、個人的に非常に残念な点がひとつあった。
中盤のバーのシークエンスで、DとPとAのたとえ話が出てくるのだが、このたとえ話は本作の一番のテーマとも言うべきものなのだ。
このたとえ話について、ラストの演説シークエンスでその種明かしをしてしまうのは、いかがなものかと思った。
もう少し観客の想像力を信じて、演説ではなく異なったアプローチで作品のテーマを暗喩して欲しかったと思う。
と言うか、本作は、右も左もお構いなく批判し馬鹿にする、と言うコンセプトを持っている作品だったと思うのだが、ラストの演説において、バーのシークエンスが暗喩することを明示してしまうことにより、全てに唾を吐きかけると言う、作品としてのベクトルがぶれ、そのためある方向性を持ったある種の説教臭さを観客に押し付けてしまっているのだ。そのためか、本作のような孤高な作品が持つ魔法の力が薄れてしまったような印象を受けてしまう。
世界観の構築に関わる、美術やプロップ、セットは大変素晴らしい。
チープなところはあくまでチープに、そして壮大なところはあくまで壮大に、美術にしろ衣装にしろプロップにしろ、見事な世界観の構築に成功している。
また、前述のように人形の操演技術も大変素晴らしい。
とは言うものの、美術関係で気になったのは、人形の顔がフォーム・ラテックス(おそらく)で覆われている点である。これにより、「サンダーバード」等スーパー・マリオネーションに特有の唇のパーツだけがパカパカと動く、と言ったノスタルジックな観点がなくなってしまっている。だからどうした、と言う事もないのだが、ご参考までに付記しておく。
最後に、本作が観客を選ぶ点なのだが、四文字ワードの頻出は勿論の事、下ネタ満載で下品だし、バイオレンスの描写も(人形劇にしては)激しい、またハリウッドの俳優の皆さんを政治家同様コケにしている。
そう言った作品を観て気分が悪くなってしまう方にはオススメできないが、ここまで真面目に不真面目をやっている作品には頭が下がってしまうのだ。
とにかく本作「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」は、関心があるのならば、出来れば劇場に足を運んで欲しい、と思える良い作品だと言えるのだ。
余談だが、「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」以降、モンタージュ技法のひとつの手法を行っている作品を観ると笑いがこぼれてしまう。
先日試写で「シンデレラマン」を観たのだが、それでも笑えてしまった。困ったものである。
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